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取材記事Interview

オールハウス 原田尚明社長|社員の可能性を信じ、挑戦を続ける組織へ。ワンストップ経営と事業創造の未来

不動産業界の変化と将来性について、業界全体を幅広い視点で捉え、明確な方向性を持って業界を牽引するトップリーダーたちが、今後の不動産業界の進路を語る特別企画「リーダーインタビュー」。

今回お話を伺ったのは、広島県を拠点に賃貸、売買、注文住宅、リフォーム、賃貸管理など、住まいに関するサービスをワンストップで展開するオールハウス株式会社の代表取締役社長・原田尚明氏です。大工見習いとして現場からキャリアをスタートし、2016年に代表取締役へ就任。社員一人ひとりの可能性を引き出す組織づくりと、思い切った事業展開によって同社の成長を牽引してきました。「未来のくらし 楽しく シンプルに」を掲げ、挑戦を続ける原田氏に、キャリアの原点、社長就任時の決意、ワンストップサービスの強み、DXや人材育成、そして今後の展望について伺いました。

目次

    大工見習いからスタートしたキャリア――ものづくりへの情熱が原点

    まずは不動産業界に入られた経緯と、不動産業界でのキャリアについてお聞かせください。

    ▲オールハウス株式会社 代表取締役社長 原田 尚明 氏

    父が不動産会社を経営していましたが、当初から家業を継ぐことを前提で入社したわけではありません。当時、父は不動産の分譲やテナント仲介を行いながら、自社で住宅を建てることにも取り組み始めていました。カナダのツーバイフォー(2×4)工法に関心を持ち、「自分たちでも家を建てられるのではないか」と挑戦していたんです。

    ちょうどそのタイミングで、私もアルバイトとして現場に入り、大工見習いからスタートしました。もともと車やバイクを自分で触るのが好きで、ものづくりへの興味がありました。建築の現場に触れていくうちに、職人の仕事や家づくりの面白さに引き込まれました。当初は家業を継ぐことを意識していたわけではありませんが、現場で経験を積む中で、この仕事に魅力を感じ、入社を決意しました。今振り返ると、その経験が現在につながっていると感じます。

    若手時代に学んだことは何でしたか。

    一番は、「ゼロからでも、努力を積み重ねれば形にできる」ということです。父も、もともと建築の専門家だったわけではありません。それでも自分たちで学び、職人さんたちと一緒に試行錯誤しながら家を建てていった。その姿を近くで見られたことは大きかったですね。

    当時はまだ会社規模も大きくなく、手がける分譲住宅も年間数棟ほどでした。空いた時間には、賃貸仲介会社へ足を運び、営業活動を行ったり、原状回復やハウスクリーニングを自分たちで請け負ったりしていました。そこからクロスの張り替えやリフォームへと仕事を広げていったんです。自ら仕事を開拓し、自分たちで考えながら、できることを一つひとつ増やしていく。その積み重ねが、現在のオールハウスの多角的な事業展開の原点になっています。

    社長就任で目指したのは、社員が挑戦できる会社

    社長就任時には、どのような決意がありましたか。

    単独で代表になる前に、父が会長、私が社長という共同代表の期間が5年ほどありました。その期間は、私にとって準備期間でもありましたし、同時に「自分はどのような会社にしたいのか」を考える時間でもありました。

    創業者である父は、強いリーダーシップを持って会社を引っ張るタイプでした。一方で私は、社員に裁量を持って仕事を任せることで、それぞれの力を発揮できる組織にしたいと考えていました。最終的に代表を引き継ぐ時に決めたのは、「一人ひとりが主体的に考え、新しい価値を生み出せる会社にする」ということでした。

    組織づくりで大切にしていることを教えてください。

    大切にしているのは、人に任せることです。もちろん最終的な責任は自分が取りますが、社員一人ひとりが自分で考え、判断し、何かを生み出せる会社にしたいと思っています。すべてを社長が決める組織では、多様な発想が生まれにくくなりますし、一人ひとりの力を十分に生かすことも難しくなります。

    だからこそ、事業部長や責任者にはできるだけ任せるようにしています。新しい事業も、私がすべて考えて始めているわけではありません。マンスリー事業や保証会社など、社員の発想から生まれたものも多くあります。自分たちで考えたことが形になれば、仕事へのやりがいや主体性が生まれ、責任感も育まれていきます。社員が積極的に意見を発信し、それを事業やサービスにつなげていける組織をつくることが、会社の成長につながると考えています。

    「未来のくらし 楽しく シンプルに」に込めた思いを教えてください。

    これは、私が社長になる時に新たな理念として掲げた言葉です。社外に向けたメッセージと同時に、社員に向けた言葉でもあります。未来を考えるというのは、お客様の未来だけではなく、自分自身の未来、会社の未来を考えることでもあります。その時に大切なのは、まず自分たちが楽しく仕事をできているかどうかです。楽しく仕事をしている時は、自然とアイデアも生まれますし、エネルギーも湧いてきます。一方で、受け身の姿勢では、新しい発想や挑戦は生まれにくいと感じています。

    思い切った投資が成長を生む。挑戦を続ける事業づくり

    これまでで印象に残っている挑戦はありますか。

    建築事業を本格的に伸ばそうとした時のことは、今でも印象に残っています。当時はまだホームページ集客が今ほど一般的ではない時代でした。私は注文住宅を伸ばすためには、これまでと違うやり方が必要だと感じていました。そこで、ホームページ制作に思い切って投資することを決めました。当時提示された金額は700万円ほどで、かなり大きな金額でしたが、「将来を見据えれば必要な投資だ」と判断しました。さらに、1年後には住宅展示場に出ると決めて、そこから本格的に動き出しました。

    結果的に、ホームページからの反響が大きな武器になりました。周囲がまだ紙媒体中心だった中で、早くウェブに取り組んだことが他社との差別化につながったと感じています。周囲に先駆けて取り組むこと、そして将来につながると判断したものには思い切って投資すること。その大切さを改めて実感しました。

    事業を広げる際の判断基準はありますか。

    基本的には、まず事業部の中で新しい取り組みを始めます。その中で収益性が見えてきたら、事業部として切り出し、さらに一定の利益が見込める段階で分社化を考えます。目安としては、単体で1,000万円から1,500万円ほど利益を安定的に確保できるようになれば、会社として独立させてもよいと判断しています。

    現在も、マンスリー事業や保証会社など、社員発信で生まれた事業が複数あります。私がすべて考えているわけではありません。社員から「こんなことに挑戦したい」という提案があり、それを事業化していく。そういう流れをもっと増やしていきたいと思っています。挑戦には当然リスクもあります。ただ、実際に挑戦してみなければ見えてこないことも多くあります。だからこそ、社員が主体的に挑戦し、成果につなげられる環境をつくることが、会社の成長につながると考えています。

    オールハウスの成長を支えた要因は何でしょうか。

    一番大きいのは、事業を一つひとつ積み重ねながら、住まいに関わる幅広い領域へ広げてきたことだと思います。最初は建築や原状回復、賃貸仲介など、一つひとつの仕事を自分たちで考えながら形にしていきました。そこから売買、管理、リフォーム、保証、マンスリーなどへと広がり、現在のワンストップ体制につながっています。

    ただ、単に事業を増やせば成長するわけではありません。各事業の責任者が、自分の部署だけでなく、会社全体やお客様にとって何が一番良いかを考えられるようになってきたことが大きいと思います。お互いの専門性を理解し、「ここはこの部署に任せた方がいい」と判断できるようになったことで、ワンストップ体制としての強みを、より発揮できるようになりました。

    ワンストップサービスとDXが生み出す価値

    総合不動産会社としての強みを教えてください。

    不動産と建築は密接につながっています。たとえば土地を買ってアパートを建てる場合、土地の購入、建築、賃貸募集、管理、アフターメンテナンスまで、本来は一連の流れで考える必要があります。それを別々の会社に依頼すると、どうしても責任が分散してしまいます。オールハウスでは、賃貸、売買、建築、リフォーム、管理まで、自社で対応できる体制を整えています。だからこそ、一貫した品質でサービスを提供できると考えています。

    ワンストップといっても、機能するまでには時間がかかりました。各事業部が自分たちの売上だけでなく、会社全体、お客様全体のことを考えられるようになって、少しずつ形になってきたと感じています。

    地域との関わりについて、どのように考えていますか。

    広島で創業し、地域に根差して事業を続けてきた会社として、地域への貢献は大切にしていきたいと考えています。住まいに関わる仕事は、その地域で暮らす人や働く人の生活と深くつながっています。だからこそ、事業を通じた貢献だけでなく、地域活動への協力も継続していく必要があると思っています。

    地域まちづくり貢献型の私募債の発行 贈呈式の様子

    具体的には、もみじ銀行や広島銀行を通じた社債発行により、学校や府中町への寄付を行ってきました。また、サンフレッチェ広島、サンフレッチェ広島レジーナ、広島ドラゴンフライズといった地元スポーツチームのスポンサーとしても活動しています。

    地域見守り活動「こども110番の家」登録

    さらに、府中町のイベントへの寄付や、事務所を「こども110番の家」に登録するなど、地域の安全やにぎわいづくりにも取り組んでいます。まだ取り組むべきことは多くありますが、これからも地域の企業として、住まいや暮らしの領域にとどまらず、広島や府中町に少しでも還元できる活動を続けていきたいですね。

    DXやテレワークについて、どのように取り組んできましたか。

    DXについては、コロナ禍以前から取り組んでいました。業務効率化を進めるうえでは、非生産的な作業をいかに減らすかが重要だと考えてきました。RPAの活用や各種システム導入を進めてきたのも、時間を生み出し、生産性を高めるためでした。

    結果的に、コロナ禍でテレワークへ移行する時も大きな障壁はありませんでした。経費精算などもオンラインでできる環境が整っていましたし、在宅でも仕事ができる仕組みがありました。今でも、広報や設計など、ほぼテレワークで働いている社員もいます。大切なのは、出社すること自体を目的にするのではなく、それぞれが最も力を発揮できる環境ではたらくことだと考えています。会社に来た方が力を発揮できる人もいれば、在宅の方が集中できる人もいます。その人の得意な働き方を活かすことで、社員一人ひとりの力をより発揮できる環境につながると考えています。

    10人の社長をつくる。次世代へ託す経営へ。

    人材育成で大切にしていることを教えてください。

    社員には、もっといろいろな体験をしてほしいと思っています。日頃目にするものや食事、ファッション、訪れる場所など、さまざまな体験です。一見仕事に関係ないように見えることでも、実はアイディアに大きく関係していると思うんです。そのため社員旅行では、国内・海外を問わず、さまざまな場所を訪れる機会を設けています。見たことのない世界に触れることで、視野が広がると考えています。上質なサービスに触れる機会があれば、その接客やおもてなしから多くのことを学べます。そうした経験が、新しい発想やお客様への向き合い方につながるはずです。

    また、日々の行動指針も大切にしています。社員が毎日、その日のテーマに対してどう行動するかを共有する仕組みもあります。ただ言葉を掲げるだけではなく、自らのこととして考えることが大事です。自分で考えて行動する人を増やしていきたいですね。

    今後の展望を教えてください。

    一つの目標は、売上100億円を目指すことです。そのために、各事業部がどう成長していくかを考えています。もう一つ、私自身が大きな目標にしているのは、「10人の社長をつくる」ことです。オールハウス以外にもすでに複数の会社がありますが、私の代でさらに会社を増やし、社員が自分たちで事業をつくり上げていけるようにしたいと思っています。

    私は今後、少しずつプレーヤーという立場から、事業を支え、後押しする立場へ移っていきたいと考えています。社員が考え、挑戦し、会社をつくる。私はそこに必要な支援を行い、挑戦を後押しする役割を担っていきたいと思っています。今後は、民泊やホテル、新しい建築ブランドなどにも取り組んでいきます。社員一人ひとりが主体的に挑戦し、自ら未来を切り拓いていける会社を目指していきたいですね。

    まとめ

    ▲写真左:GMO ReTech株式会社 執行役員 宮崎 晃

    大工見習いとして現場からキャリアをスタートし、オールハウスの事業領域を建築、不動産、賃貸管理、リフォームへと広げ、総合不動産会社としての基盤を築いてきた原田尚明社長。その歩みから見えてくるのは、社員の主体性を尊重する経営姿勢です。

    特に印象的だったのは、社長就任時に掲げた「社員に任せる組織づくり」への決意です。創業者から受け継いだ挑戦の精神を大切にしながらも、社員一人ひとりが自分で考え、責任を持って動ける会社へと進化させてきました。ホームページへの先行投資や注文住宅事業の拡大、分社化による事業拡大など、その一つひとつの判断からは、未来を見据えた経営判断が随所に感じられました。

    「10人の社長をつくる」という言葉に象徴されるように、原田社長が見据えているのは、個人の力に依存する会社ではなく、社員一人ひとりが主体的に挑戦し、新たな事業や価値を生み出していける組織です。「未来のくらし 楽しく シンプルに」という理念のもと、オールハウスは今後も住まいを起点に、新たな価値の創出に挑戦していくことが期待されます。

    本記事取材のインタビュイー様

    オールハウス株式会社
    代表取締役社長
    原田尚明 様

    1974年広島県生まれ。大学卒業後、1997年にオールハウス株式会社へ入社。創業者である父のもと、大工見習いとしてキャリアをスタートし、現場で住まいづくりの基礎を学ぶ。その後、賃貸、売買、建築営業、設計、施工など、住まいに関わる幅広い実務を経験。2016年に同社代表取締役社長に就任。「未来のくらし 楽しく シンプルに」を掲げ、住まいに関するワンストップサービスの強化と、社員のアイデアを生かした新規事業創出を推進している。

    会社紹介

    オールハウス株式会社
    https://www.allhouse.co.jp/

    広島県安芸郡府中町に本社を構え、賃貸・売買・注文住宅・リフォーム・賃貸管理など、住まいに関する幅広いサービスを展開する総合不動産会社。1976年の創業以来、地域に根差した事業を展開し、「未来のくらし 楽しく シンプルに」を掲げて、暮らしに関わる多様な課題にワンストップで対応している。近年は福岡への事業展開やグループ会社の設立など、事業領域を拡大。社員のアイデアを生かした新規事業創出にも力を入れ、住まいを起点に新たな価値づくりに挑戦している。

    ■所在地
    〒735-0012
    広島県安芸郡府中町八幡1―4―23

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