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マンション管理適正化法とは|施行の背景からマンション管理の重要性を知る

マンション管理適正化法とは|施行の背景からマンション管理の重要性を知る

平成13(2001)年8月に『マンション管理適正化法』が施行されたことにより、『マンション管理への意識を変えていこう』という動きが国を中心に広まり始めました。

区分所有者にとってマンションが自身の資産であるということを再認識することは、管理会社に預けている修繕積立金や管理業務に対する意識を高めることにつながります。管理会社に対する意識を区分所有者が高めることは、管理会社の経営状況が危険になるなどした際に、修繕積立金の回収をするなどその時々で正しい行動が起こせるようになるので、資産を守るためにリスクを軽減させることにつながります。

つまり、管理会社だけでなく区分所有者もマンション管理に対して意識を高めることで、マンション全体にメリットが生まれます。このことを踏まえて、22年4月には改正法が施行開始予定となっている『マンション管理適正化法』がなぜ作られたのかを本記事において知ることで、マンション管理の重要性を再確認してください。

目次

    マンション管理適正化法とは

    家の模型の写真

    マンション管理適正化法とは、平成12(2000)年12月8日に公布され、翌年8月に施行された法律で、正式名称は『マンションの管理の適正化の推進に関する法律』といいます。

    マンション管理適正化法は、マンションにおける良好な居住環境の確保が必要とされ始めたので作られました。その居住環境の確保が必要とされ始めた原因として、都心部の利用可能土地の減少やその他国民を取り巻く環境の変化に伴って、多くの区分所有者が居住するマンションの重要性が高まったことが挙げられます。

    また、マンション管理適正化法の公布に伴って『マンション管理士』という資格が作られました。この資格は、管理組合の管理業務・運営をサポートするための専門家として位置付けられており、管理組合のコンサルタントに必要とされる一定の専門知識を有していると証明される国家資格です。

    前提として、マンション管理の主体である管理組合及び区分所有者にそうした当事者意識を持つべきことを、努力規定として明確に定めており、あくまでもそれらの当事者意識を高めるためのサポート役としてマンション管理士という資格があります。そもそもマンション管理ってどんなことするのかイマイチ…という方はこちらの記事も参考にしてみてください。

    参考:管理費は何に使う?管理費の相場と決め方について詳しく解説

    『マンション管理適正化法』施行の背景

    マンションの模型を指差している写真

    マンション管理適正化法が作られた背景として、管理組合のお金を扱う管理会社に対する取り決めが定まっていなかったのと、管理組合自体に修繕積立金などのお金を管理会社に預けているという意識が低かったことが挙げられます。

    つまり、『管理組合は自分たちのマンションに関するお金や管理方法について真剣に考えていないかもしれない』という状況に対して、改善を加えるべく作られたのがマンション管理適正化法なのです。一般的に、自身の貯金や所有物を大切に扱うのは普通のこととされていますが、マンションのこととなると『管理は管理会社や理事会がやるもの』と考えてしまう矛盾が発生し、自身のお金を他の人に預けているという危機感が区分所有者にとって薄かったのです。

    もちろん、管理のプロである管理会社に預けているのだから「安心」という気持ちも理解できますが、実際過去に『管理会社が倒産して、預けていた修繕積立金も銀行から差し押さえの対象になった』という事実もあることから、管理について区分所有者も真剣に向き合うことが大切であることは管理組合全体で意識しなくてはなりません。

    以上のことを踏まえて、マンション管理適正化法は以下のマンション管理に対する3つの問題を改善するために作られたことを確認して、この法律がマンション管理において重要なものであることを知っておいてください。

    【マンション管理適正化法施工前の問題点】

    • 管理組合・区分所有者の管理意識が低い
    • 管理組合・区分所有者が管理の知識を持つのは難しい
    • 管理会社と組合側で会計に関する法的な取り決めがなかった

    管理組合・区分所有者の管理意識が低い

    管理組合・区分所有者の管理意識が低いことによって管理の質が落ちてしまい、マンションの耐久性に問題が出てしまうというケースがあります。マンションの耐久性が落ちるということは、マンションの資産価値が落ちるだけでなく、近隣住民の安全にも影響を与えるので、国としては見過ごせない状況となっていました。

    そこで、法律を作ることで『管理組合は適正に管理するよう努めなければならない、また管理組合の一員としての役割を適切に果たすよう努めなければならない』として、マンション管理への意識を高めるように促しました。

    管理組合・区分所有者が管理の知識を持つのは難しい

    現実問題として、管理組合・区分所有者がマンション管理の知識を持つのは難しいです。なぜなら、マンション管理に関する知識は専門性も高く、勉強するにしてもハードルが高かったからです。

    そのため、管理については管理会社に依存せざるをえなかったという事実も相まって、管理組合全体が管理に対する意識を高めることが難しかったという問題がありました。

    そこで、法律が施工されたことに付随して『マンション管理士』という、管理組合がマンション管理について相談できる専門家の立場としての国家資格を創設しました。

    管理会社と組合側で会計に関する法的な取り決めがなかった

    法律施工前は、修繕積立金などの預かり金に対して管理会社は分別することなく保管しており、そのお金に対する法的な取り決めがありませんでした。それにより、管理会社が倒産した際に預けていた修繕積立金の全てが差し押さえられてしまうという問題があったのです。

    しかし、法律施行後は修繕積立金などの組合からの預かり金に関して、管理会社の財産とは別に分別・管理するのを定めたことで、管理組合の資産であるお金を守ることを取り決めました。

    また、それ以外にも以下のような規定を盛り込むことで法的な会計に関する取り決めが作られました。

    • 帳簿作成や管理事務の報告
    • 管理業務主任者や委託契約の締結の際の重要事項説明義務
    • 違反した場合の改善命令や指定の取り消し

    令和2(2020)年に『マンション管理適正化法』が改正

    マンションの写真

    平成13(2021)年8月に施行されたマンション管理適正化法は、令和2(2020)年の6月に以下の内容へ改正されました。

    【マンション管理適正化法の改正内容】

    (1)マンションの管理の適正化の推進に関する法律関係
    [1] 国による基本方針の策定
    〇 マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針を策定
    [2] 市区(町村部は都道府県)によるマンション管理適正化の推進
    〇 基本方針に基づき、マンションの管理の適正化の推進を図るための計画(マンション管理適正化推進計画)を策定(任意)
    〇 管理の適正化のために、必要に応じて、管理組合に対して指導・助言等を実施
    〇 マンション管理適正化推進計画を策定した場合に、管理組合が作成する個々のマンションの管理計画を認定
    (2)マンションの建替え等の円滑化に関する法律関係
    [1]除却の必要性に係る認定対象の拡充
    〇 除却の必要性に係る認定対象に、現行の耐震性不足のものに加え、外壁の剝落等により危害を生ずるおそれがあるマンション、バリアフリー性能が確保されていないマンション等を追加
    [2] 団地における敷地分割制度の創設
    〇 要除却認定を受けた老朽化マンションを含む団地において、敷地共有者の4/5以上の同意によりマンション敷地の分割を可能とする制度を創設

    引用:国土交通省

    耐久制度が低下し、周辺地域に危害を及ぼす可能性があるマンションは除却の必要性がある、と定める内容が今までありました。ですが改正により、『外壁剥離に関する内容』と『バリアフリーに関する内容』が追加されました。これにより、マンション管理が機能していないものに対して、さらにサポートが加えられるような法律となったのです。

    マンション管理適正化法が改正された背景

    マンション管理適正化法が出来上がった平成12(2000)年から約20年が経過した令和2(2020)年において、マンションに関する状況は大きく変化しました。その一番の変化として挙げられるのが『老朽化』です。

    2020年の時点で築40年越えのマンションは約81万戸あると言われており、10年後の2030年には約200万戸まで上昇するとされています。それに伴って、マンションの老朽化と住人の高齢化が進み管理を適正に行えないマンションが増えてきてしまいました。

    これらの問題を解決すべく、マンション管理適正化法は令和2(2020)年に改正されました。

    マンションの老朽化は耐久性が落ちるだけでなく、周辺環境にも危害を加える可能性が高まるので、地域全体が安心して暮らせるようにするためにも管理に対する制度に改善を加えることは必須だったと言えるでしょう。

    まとめ

    マンションの管理は、区分所有者全員で『自身の資産を保持する』という意識の持つことが大切です。

    しかし、平成12(2000)年の時点でそういった意識付けができていない区分所有者が多かったのと、それに伴い、管理会社とのお金のやり取りに問題が発生するリスクがあったのが合わさり、制度を作ることを喫緊とした国は『マンション管理適正化法』を制定しました。

    この法律の制定により、管理に対する意識の向上や、管理組合への管理に対するサポート体制が充実し始め、お金・業務・修繕などに対する管理の実施状況に変化が見られました。

    ですが、令和2(2020)年になるとマンションの老朽化と、住人の高齢化が合わさり、管理が適正に行えないところも増えてきてしまったのです。それに合わせて国は、管理のサポートを強化すべく法律の改正を行いました。

    法律の改正が行われましたが、今後も『老朽化と高齢化』の問題は引き続き向き合っていくべき課題です。現在、区分所有者として組合に在籍する方も、それらのマンションを管理する管理会社も今後の管理体制・管理方法をどうしていくべきか真剣に考えていかなくてはなりません。

    そして管理会社はいかに効率的にオーナーさんや入居者さんとコミュニケーションを図っていき、満足度を高め業績をアップさせていく必要もありますよね。そこでどのような方法で業績アップを図るのか管理会社向けにまとめた資料がありますので、ぜひ参考にしてみてください。

    参考資料(無料):不動産管理会社が業務効率化を図るには?

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