メタバースで不動産を活用する方法|土地の買い方や所有するメリット・デメリットを紹介!
メタバースは、現実世界を超えた仮想世界のことであり、その世界では他者との交流や物の売買などを、現実世界に近い感覚で行うことが可能です。そんなメタバースは近年、不動産取引でも用いられるようになってきました。
この記事ではメタバースの概要に加えて、メタバースがどのように不動産取引において用いられているのか詳しく解説します。
そもそもメタバースってどんな概念?
メタバースは、今まで経験できなかった世界を体験できるという、近年注目を集めるようになった新しい概念です。2021年10月には、世界を代表する大手IT企業「Facebook」が社名を「meta」に変更し、事業のメインをSNSからメタバースに移行するほど注目されています。
また、メタバースの市場規模の急速な拡大も注目すべきポイント。日本国内でも、メタバースの市場規模は著しく成長しています。三菱総合研究所が2022年11月に発表したレポートでは、国内のメタバース市場は、2025年には約4兆円、2030年には約24兆円規模への成長が期待されると予測されています。
※参照元:三菱総合研究所│2030年代、メタバースの産業利用が社会課題を解決
メタバースの概要
メタバースとは、簡単にいうと現実世界には存在しない仮想上の世界のこと。メタバースは英語で表記すると「metaverse」となり、「meta」は日本語で「超える」という意味、「verse」は世界という意味の「universe」から取られたものです。この語源から、メタバースは「現実世界を超えたもの」であると解釈できます。
メタバースの世界は、パソコンやスマートフォン、ゲーム機などで経験できます。例えば、ゲームの「あつまれどうぶつの森」や「フォートナイト」などで体験できる仮想世界も、メタバースの一種。これらのゲームでは、現実世界とは異なる他者との関わりを疑似体験できます。
メタバースに関連性がある言葉に「VR」がありますが、これらは似て非なるものです。具体的には、メタバースは仮想空間そのものを指しますが、VRはゴーグルなど「仮想世界を体験するためのツール」のことを指します。
メタバースの世界ではどんなことができる?
メタバースの世界では、具体的に以下のようなことができます。
- コミュニケーション:他のユーザーとチャットや音声でコミュニケーションでき、アバターを活用すればよりリアルに近い形で関わることが可能。趣味としてのコミュニケーションだけではなく、ビジネス会議など実用的な用途にもに用いられています。
- ゲーム:メタバースの技術はゲームにも用いられます。現在では「PSVR」や「MetaQuest2」などのVR機器も出てきており、よりリアリティのあるゲームが楽しめます。
- まちづくり:メタバース技術をまちづくりに応用することで、より現実性の高い都市計画が可能。実際に仮想空間都市として「バーチャル渋谷」や「バーチャル大阪」などが存在します。
- 物の売買:メタバース世界にデジタル資産を持ち込むことで、物の売買もできます。現在、デジタルアートである「NFT」が価値を高めており、メタバース世界でも売買されるケースが少なくありません。
メタバースの特徴
従来でも、アバターを作成し、二次元の世界で動かして上記のようなことを行うことは可能でした。しかし、メタバースとは大きな違いがあります。メタバースならではの特徴は、以下の通りです。
【メタバースの特徴】
- 圧倒的なリアリティや没入感がある
- 複数のユーザーとの交流ができる
- 一時的ではなく永続的な世界である
- 仮想世界内の物の所有権が明確である
つまり、メタバース技術の進歩によって、仮想空間は従来よりも圧倒的にリアルさが増したわけです。現実世界と並行してもう一つの世界が存在するイメージといえばわかりやすいかもしれません。
特に、仮想世界における物の所有権が明確になったことは、メタバース発展に大きく寄与しました。仮想世界の物の所有権が明確になった理由は、簡単に複製できるデータのようなもののコピーとオリジナルの区別ができるようになったからです。
つまり、オリジナルのみが価値を持つことになるため、価値が担保されるわけです。このことにより、まちづくりなどにおいてメタバース上の不動産取引なども行われるようになりました。
メタバースの仕組み
メタバースが発展した理由として、仮想世界内の物の所有権が明確になったことを挙げました。このことにより、メタバース世界での物の売買ができるようになったことが、メタバースを成立させる仕組みです。
メタバースでは、NFTの売買がよく行われています。NFTとは、デジタルアートやゲーム内のアイテムなど、ブロックチェーン技術の活用によって価値が担保されるデジタル資産のこと。ブロックチェーンとは、改ざんが非常に困難、かつ多数の者に同一のデータを分散保持させる仕組みのことを指します。
これらの技術により、デジタル資産の価値が担保されるようになったため、仮想世界でも安心して物の売買ができるのです。
メタバース内で行われる不動産取引
ここまでメタバース=仮想空間であることについて解説しましたが、一口にメタバースと言ってもさまざまな種類があります。メタバースの主な種類は、以下の通りです。
- イベント系:アイドルや芸能人だけでなく、企業の商品紹介や採用活動などでも活用されている
- ゲーム系:有名なゲームの世界をそのままメタバースとして体験できる
- クリエーター系:好きな空間やアイテムなどを自由に作り、他者と一緒に楽しめる
メタバースは、不動産取引にも用いられるようになってきています。しかし、すべてのメタバースで不動産取引ができるわけではない点にご注意ください。
メタバース不動産の買い方
不動産取引ができるメタバースの例は、以下の通りです。
- The sandbox
- Decentraland
- Cryptovoxels
- Somnium Space
上記4つのメタバースは、「メタバースBIG4」とも言われています。
メタバース上での不動産の購入には、仮想通貨が必要です。仮想通貨とは、インターネット上で使える財産価値のことを指します。
メタバースの不動産購入手順は、以下の通りです。
- 仮想通貨口座を持っていない場合は開設する(コインチェックなど有名な会社の口座で可)
- メタマスク(仮想通貨や土地を保管しておくための財布や金庫のようなもの)を作成する
- 仮想通貨口座を使って購入した仮想通貨をメタマスクに送る
- メタバースプラットフォームのアカウントを作成する
- メタバースで不動産を探して購入する
メタバースの不動産でできること
メタバース上の不動産を入手することで、以下のようなことができます。
- 売買
- 賃貸
- 店舗の運営
- イベントの開催
それぞれについて具体的に見ていきましょう。
不動産の売買
メタバースの不動産売買は、仮想通貨を使って行われますので、まずは仮想通貨を用意しなくてはなりません。
メタバースの世界では、不動産を安い時に買って高く売ることで売却益が得られますし、土地を持っている場合は建築物を建てることで更地の状態よりも高く売れる可能性があります。こうした点は、現実世界の不動産取引とまったく同様です。そのため、現実世界での不動産取引に慣れている方なら、メタバース上でも問題なく取引できるでしょう。
メタバースの不動産売買の実例として、カナダのIT企業である「TerraZero」が挙げられます。TerraZeroは、メタバース内の仮想不動産を購入する人に対し、メタバース向け住宅ローン「Metaverse Mortgages」を提供しました。
不動産の賃貸
メタバース上の不動産の賃貸方法は、現実世界の不動産と同様。つまり、所有している不動産の入居者をメタバース上で探すのです。メタバース上で不動産賃貸を行うことで、実店舗を構える必要がなくなるため、大幅なコストダウンにつなげられます。
店舗の運営
メタバースは、店舗運営にも活用することが可能。実際にメタバースBIG4の一角である「Decentraland」では、マクドナルドやサムスン、グッチなど多くの大手企業が出店しています。
メタバースでの店舗運営は、従来のECショップとは異なります。例えば、ECショップの場合、商品購入の判断材料となるのは商品のスペックや紹介文、動画などです。しかし、メタバースの店舗の場合は実際に店舗に行かなくても現実世界と同じように店員とコミュニケーションを取ったり、商品を3Dで陳列してより実物に近い感覚で見られたりします。
イベントの開催
メタバースの不動産活用方法として、イベント開催が挙げられます。2022年には、メタバースBIG4の一角であるDecentralandでファッションウィークが開催され、グッチやバーバリー、バレンシアガなどの超一流ブランドが参加しました。
このようなイベントはこれまで直接参加しなければ商品などを目にすることができませんでした。しかし、メタバース上で開催されれば、誰でも気軽に参加して商品を見られるようになったのです。気に入った商品があれば、仮想通貨を使って購入もできます。
また、今後はメタバース上でアーティストのライブや著名人のイベントなども開催される可能性があります。コロナ禍で直接ファンと接することが難しくなっている現在、メタバースによってファンの満足度をより向上させられるかもしれません。
メタバースの不動産を所有するメリット・デメリット
続いて、メタバース不動産を所有するメリットとデメリットについて解説します。
メタバース不動産を所有するメリット
メタバース不動産を所有するメリットは、以下の通りです。
- ビジネスチャンスが多く見込める
- 経年劣化や災害などによる費用リスクはない
1つ目に関しては、現実世界よりもメタバース上の方が気軽に不動産を探しやすいことが要因です。不動産オーナー側としても、メタバース上で不動産を見つけてもらう場合は広告費がかからないため、積極的に物件をアピールしやすいでしょう。
2つ目に関しては、メタバース上の不動産はデジタルであるため、劣化や災害のリスクはゼロ。そのため、長期間保有していても価値は落ちませんし、不測の出費により利回りが悪化することもありません。
メタバース不動産を所有するデメリット
メタバース不動産を所有するデメリットは、以下の通りです。
- 仮想通貨の株価の変動の影響を受ける
- 一過性のブームの可能性もゼロではない
1つ目については、メタバース上の不動産取引は仮想通貨を用いて行われますが、仮想通貨の価格の変動は現実の通貨よりも激しい点がデメリットです。実際に、仮想通貨「SAND」は2021年12月末には日本円で600~784円程度でしたが、2022年1月には420円~610円程度まで価格が下落しました。つまり、仮想通貨で購入した不動産の価値も大きく下落する可能性があるということです。
2つ目については、メタバースはまだ新しい分野であるため、今後も今の勢いを維持できるかどうかは確定的ではありません。もしかしたら一過性のブームで終わってしまう可能性もあります。そうなった場合、メタバース上に保有している不動産の価値は大きく下落してしまうでしょう。ただし、現時点では、メタバースに大手企業が続々と参入してきているため、今後も市場が拡大していくと予想されています。
メタバースの不動産価値
メタバース上の不動産の価値は、現在凄まじい勢いで上昇しています。例えば、ニューヨークのメタバース特化型不動産投資ファンドである「Republic Realm」はThe Sandbox内の土地を5億円で購入し、カナダの投資会社である「Tokens.com」はDecentraland上のデジタル商店街を約2.8億円で購入しました。
メタバース不動産のデータ分析を行う「MetaMetric Solutions」の調査によると、2021年にはメタバースBIG4の不動産取引の売上は5億100万ドル(約580億円)でした。
また、調査会社「Technavio」はメタバース不動産の市場規模2026年までに53億6,000万ドル(7,000億円超)を突破すると予測しています。
以上のことからもわかるように、メタバース上での不動産取引は活況を呈しているのです。
まとめ
メタバースは現実世界に近い感覚での体験を実現する仮想空間・サービスです。不動産取引にも用いられるようになり、その市場規模は急速に拡大してきています。現時点でメタバースの不動産取引に参入すれば、この凄まじい時流に乗って利益を得られるかもしれません。
この記事のポイント
● メタバースとはリアルな仮想空間で市場は拡大中
メタバースは、現実世界と変わらないような体験がで可能。加えて、仮想通貨やNFTを使った取引など、現実世界にはないような便利さもあります。
● メタバースでは不動産取引がすでに行われている メタバース上では、売買や賃貸などの不動産取引が行われています。その市場規模は急速に拡大してきています。
● リスクもあるがビジネスチャンスはこれから増える見込みである メタバース上での不動産取引には、仮想通貨の大幅な価格変動などによるリスクがありますが、一方で、今の勢いに乗れれば大きく稼げる可能性もあります。ハイリスクを許容できるのであれば、ハイリターンを狙って参入してみるのも良いかもしれません。 |