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<29コツ目> 2種類の収支(オーナーと賃貸管理会社)を把握していますか?

賃貸管理業の運営に関する指標や数値の中で、前回は空室率について考えてきました。

→ 空室率はどうやって算出する? 戸数?面積?賃料?

今回は賃貸住宅の運営に関する収支について、考えてみたいと思います。

収支と一言で言っても、様々な種類や考え方があります。

目次

    収支の分類

    当事者ごと

    大きく分けて物件オーナーにとっての収支と、賃貸管理会社にとっての収支に分かれますが、賃貸管理会社は物件オーナーから建物をお預かりして収益の最大化を目指すと言う目的がある以上、両方の収支に注意を払う事になります。

    事業ごと

    賃貸管理業では様々な業務を取り扱います。
    このため、賃貸管理会社としては賃貸管理業を、広い意味での賃貸管理業と狭い意味での賃貸管理業に分けてとらえる事が出来ます。

    広い意味での賃貸管理業は、賃貸管理会社が実施しているすべての業務を賃貸管理事業としてとらえます。狭い意味での賃貸管理業は、賃貸管理業法に規定されている建物の維持保全、及び家賃等の金銭管理を行う業務(実際には入居者の募集や契約も)だけを請け負う事業です。

    具体的には入居者の募集、新規契約、更新契約、解約、家賃の集金、建物の維持保全、クレーム対応等です。しかし、実際の賃貸管理会社はこれ以外の事業も行っているケースがほとんどです。

    従って広い意味での賃貸管理業と狭い意味での賃貸管理業との関係性は以下の通りとなります。

    このため、上記の狭い意味での賃貸管理業を含めた様々な事業ごとに収支を作成する必要があります。

    管理の対象ごと

    賃貸管理会社で住宅のみを管理していると言う会社はめずらしく、通常は住宅を中心にしながら、様々なものを管理しています。

    具体的には駐車場や駐輪場、倉庫、事業用物件(店舗や事務所)等です。同じ駐車場と言っても月極駐車場とコインパーキングでは管理方法が大きく異なりますし、倉庫でも企業の商品倉庫と、一般顧客向けのトランクルームでは異なります。いずれにせよ、それぞれの対象ごとに分けて、適正な賃料、稼働率を維持しなければなりません。

    物件別収支

    賃貸管理会社は管理物件全体の収支状況を把握するだけでなく、営業拠点ごとにも収支を作成します。さらに物件ごとの施策を検討するために物件別収支を作成するケースもあります。管理戸数の多い賃貸管理会社ほど、どうしても個別の管理物件に目が行かず、全体で見てしまいがちです。賃貸住宅は高額な資産でもありますので、物件別に収支を見ると言うスタンスを忘れてはいけないと思います。

    その他

    その他、目的に応じて様々な収支を作成します。

    ①入替収支

    入居者の1入れ替えごとに収支がどうなっているかを確認して、適正な空室期間を保つことになります。この項目については、また改めてご説明します。

    ②タイプ別収支

    間取りのタイプ別に収支を作成します。単身者とファミリーでは、平均居住期間や原状回復の費用等が異なるため、それぞれを分けて収支を作成する事で、適切な運用が出来ているかを確認します。

    収支の項目

    オーナー収支

    オーナー収支はいわゆる投資不動産の収支にあたりますので、収支の作成だけではなく、キャッシュフロー分析やローン分析等、分析法を含めて多くの専門書も出ていますので、詳しい説明は割愛します。

    ここでは単に項目だけをご紹介して、以下の賃貸管理会社収支と比較して頂ければと思います。

    収入 支出
    家賃
    共益費、管理費
    礼金、更新料
    原状回復修繕負担金(入居者から)
    違約金収入(短期解約等)
    建物維持管理費(賃貸管理会社のケースも有)
    共用部分の水道光熱費
    管理手数料(賃貸管理会社へ)
    修繕費
    入替内装工事費
    広告費(入居者募集)
    ※火災保険料
    利益

    ・上記の※について、賃貸管理会社はあまり関わらないケースが多いです
    ・敷金は入居者から預かり、解約時に返却するため上記には含めていません

    賃貸管理会社収支(狭い意味での賃貸管理業)

    賃貸管理会社は上記のオーナー収支に配慮しながら、自らの収支を作成して、収益管理を行います。

    収入 支出
    管理手数料収入
    建物維持管理収入
    建物維持管理専門業者へ外注
    コールセンター等の事務委託
    人件費等の販売管理費用
    利益

    ・賃貸管理会社では、家賃をはじめとして、様々な費用を入居者やオーナーからお預かりして、オーナーや取引先にお支払いしますが、狭い意味での賃貸管理業で考えた場合、すべてお預かりして必要な支払先にお支払いするため、上記には含めていません。

    建物維持管理事業収支

    建物維持管理事業と一言で言っても、多くの種類があります。

    ①共用部分の清掃、除草、ゴミ集積所の整理、駐輪場の整頓
    ②植栽の維持(剪定、施肥、散水)
    ③消防設備点検
    ④エレベーターの保守点検
    ⑤共用灯の管球交換
    ⑥受水槽の清掃、水質検査または増圧給水装置の点検

    以上が主な項目ですが、これ以外にも規模によっては、建築設備定期検査、特定建築物定期調査、自家用電気工作物(キュービクル)保守点検、建物のセキュリティレベルによっては、設備の遠隔監視、監視カメラ、オートロックの保守、また、エリアによっては浄化槽の清掃・保守点検等、記載しきれないくらいの多くの項目があります。

    まとめ

    今回は収支の分類と項目について、ご紹介してきました。

    実際にはこれらの分類や項目に従って数値を月ごとや四半期ごと、また年ごとに算出し、計画や前年同月と比較しながら評価する事になります。賃貸管理会社は日頃から非常に多種の業務に携わっている事もあり、どうしてもこれらの業務をこなす事で終わってしまい、その業務が適切に実施されているのかを見るところまで目が回りません。

    また、多方面の知識が必要な事もあり、それぞれの事業や項目について、どの程度が適切なのか自体も分からない部分もあるかと思います。

    この状況を解決するためには、人材育成が大きなキーになると思います。目の前の業務をこなすための知識だけではなく、その収支も読める知識も蓄えて行けるような育成をしなければ、会社の成長は厳しくなるのではないでしょうか?

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