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<25コツ目>インターネット無料物件の賃貸管理上の注意点は?

過去2回、賃貸管理業で発生する電気関係のトラブルについてご紹介いたしました。
→第1回 キュービクルって何?
(電気の分類、強電)

→第2回 入居の際に電池や管球交換が必要な事をお伝えしていますか?
(専有部分(家電)、共用設備、電池)

今回は第3回目になります。
3回目は弱電に関するトラブルについてご紹介したいと思います。

目次

    用途および共通する原因

    共同住宅の中にはこれまでご紹介した家庭用の強電(いわゆる100ボルトの一般の電源)以外にも様々な電気配線が通っています。
    テレビ、電話、インターネット、インターフォン、防犯・警報関連、消防関連等があります。

    いずれの設備にも集合機や分配器と呼ばれる装置が各管理物件内に設置され、これらは共用電源(100ボルト)から電気の供給を受けているため、何らかの原因で、ここのブレーカーが作動する事でこれらの弱電設備が利用できなくなると言うトラブルが発生します。

    ただ、これ以外の原因で弱電設備が使えなくなったと言うトラブルは意外に少なく感じます。
    地震や、水漏れ事故が発生して、配線が漏電したり、遮断したりして利用できなくなるケースはあるかもしれませんが、それ以外に遮断するようなケースはあまり記憶がありません。

    家庭用電源(100ボルト)の場合は家電を作動させるために比較的大きな電力が必要になります。
    このため、火災や感電防止措置を取る必要があり、小さな異常が発生しても電源を切る事になります。
    これに対して弱電の用途は情報の伝達が主となるため、例えばテレビの映りが悪くなったからと言って、電気を遮断するようなことはありません。

    つまり、今回ご紹介している弱電については一部を除いて、多少トラブルがあっても家庭用電源と比べて大きな影響が出にくいため、その対応の緊急性は低いように思います。
    ただ、消防設備(自動火災報知機)だけは例外で、火災事故に直結する可能性があるため、別途記述しますが緊急の対応が必要になります。

    テレビ

    共同住宅は入居者がご自身で設置する衛星放送用のアンテナ等を除いて、原則、入居者全員が共同でアンテナやブースター(テレビの信号を強める機器)、分配器等を利用する共聴設備を利用します。この共聴設備は主に以下の3種類に分けられます。

    ①共聴アンテナ

    各管理物件(共同住宅)に1つのアンテナを立て、共同で利用する方法です。
    通常は定期的なメンテナンスを入れないので、老朽化すると電波が弱くなり、徐々に映りが悪くなったり、台風でアンテナが倒れて全戸のテレビが映らなくなったりします。

    ②受信障害共聴(共同アンテナ)

    都市部に比較的多いタイプで、近隣の高層ビルの影響等でテレビの映りが悪くなるエリアに、補償的にその原因となるビル等からエリア全体に電波を供給する方法です。

    ③ケーブルテレビ(CATV)

    ケーブルテレビ局から電柱を伝って有線(同軸ケーブルや光ケーブル)でテレビ電波を送る方法です。
    現在では一般のテレビ放送以外に地域の情報や、インターネット、電話機能も有しているものが一般化しています。

    ケーブルテレビに関連するトラブルでは、管理物件に上記の共聴アンテナや共同アンテナがすでに設置されており、この物件に新たにケーブルテレビを引きたいと言う要望を入居者から頂いた場合です。

    既存の配管等を利用して引く事が出来る場合は問題がありませんが、これらのスペースが無い場合は、例えばエアコン配管の隙間から線を通す場合があります。
    このような場合は水漏れ発生の危険性だけでなく、外観上の問題、また、屋外配線を外壁に固定するために穴をあける等の措置が必要になり、オーナーとの調整業務が生じる事になります。

    賃貸管理の中でテレビに関するトラブルは入居時に発生する事が多いと思います。
    特に多いのがテレビの映りが悪いと言うクレームです。物件によって一部のチャンネルの映りが不鮮明だったり、共聴アンテナを設置していないため、衛星放送が映らない物件があります。

    これらについては対応が難しくなるケースもありますので、予め入居時に説明できるようにしておく事が必要になります。

    また、築古物件の場合、一部に接続方法の異なる(同軸ケーブル対応ではない)ケースがあります。フィーダー線(テレビ配線を二またに分けて接続)を接続するフィーダー端子と呼ばれるタイプで、相当古いタイプの接続方法になりますので、入居者の入れ替え時に予め同軸ケーブル対応に変更しておく事をお勧めします。

    電話

    スマートフォンの普及とともに、賃借した物件に固定電話を引く入居者は年々減少しています。
    元々、電話回線(当時はアナログ回線)を利用してインターネットを利用する(ADSL)と言うのが当たり前の時代から、現在では光回線が主流となり、電話はインターネットサービスのおまけのような位置づけになりつつあります。

    インターネット

    現在、この部分の対応方法が管理物件によって異なるため、一番注意を要します。
    特に分譲マンションの管理を受託した場合、さらに多様な方式が存在します。

    ①機器の説明

    インターネットのサービスをご説明するに当たっては、まず、よく使われる言葉の意味を説明しなければなりません。ただ、そのままご説明すると専門的になり、分かりにくいため、少し比喩(郵便物に例えて)を使ってご説明してみたいと思います。

    ・インターネット
    郵便物で言えば国際郵便物のようなもので、世界中どこにでも送ることが出来ます。

    ・LAN
    LAN(Local Area Network)とは、特定のエリア内にあるネットワークを指します。
    特定のエリアが国内だとすれば、国内郵便物のようなもので、海外には送れません。また、LANには有線LANと無線LANがあります。

    ・モデム、ONU(Optical Network Unit)
    モデムはアナログ信号をデジタル信号に、ONUは光信号をデジタル信号に変換する装置です。差し当たり翻訳機能のようなものでしょうか。

    ・ルーター
    郵便物で言えば税関のような機能です。
    郵便物に問題が無いかチェックしたり、国別のタグ(印)を付けたりします。

    ・ハブ
    郵便局のような機能です。データを効率よくやり取りします。
    上記のうち、インターネットとLANは有線(配線)であったり、無線であったりします(郵便物の配送方法が船であったり、飛行機であったりするようなもの)が、モデムとONU、ルーター、ハブは必ず物理的な機器が存在します。

    これらの機器はそれぞれが別の設備として存在する場合もありますが、モデムやONUとルーター、ルーターとハブ、あるいはモデムとルーターとハブが一つになっている機器(まるで国際郵便局)も存在します。

    ②賃貸の標準サービス(無料サービス)かそうでないか

    ・賃貸の標準サービスとして設置されている場合
    モデムとONU、ルーター、ハブの所有権が、そのサービスによってオーナーであったり、入居者であったり、回線接続業者からのレンタルであったりする事から、入居者が引っ越しをする時に、間違えてオーナーや回線接続業者が所有するものを持って行ってしまったり、入居者が所有するものなのに置いていってしまうケースが発生します。

    また、オーナーや回線接続業者がこれらの機器を所有している場合、これらの機器がすべて室内の見える場所に設置されている訳ではなく、例えば、管理物件が分譲マンションである場合、共有(管理組合が管理)しているルーターが入居者から見えない場所に設置されている場合もあります。

    こういった場合、入居者が改めてルーターを購入して設置すると二重ルーターの状態になり、インターネットに接続できません。
    また、インターネットのクレームで多いのは、回線速度で、これが遅い場合、動画が正常に映らない等のクレームを頂く場合があります。

    提供しているサービスが無線LANの場合、受信する部屋によって、回線速度が異なるため、トラブルになりがちです。

    ・入居者がご自身で接続契約を結ぶ場合
    この場合、基本的には入居者と接続業者との契約なので、管理会社が関わる事はありませんが、接続工事のために建物の一部に配線の固定のために穴をあけたり、外観に影響を与えてしまう場合はオーナーの許可が必要になります。

    まとめ

    今回は弱電について、ご紹介してきました。

    特にケーブルテレビやインターネットの設備については、分かりにくい部分が多く、賃貸管理の場面で苦労が多いのではないかと思います。
    この2つについてはご紹介できなかった機能も多く、また、年々新しい機能も追加されているので継続して情報を取得する必要があります。

    また、テーマの「弱電」についても、その種類の多さと内容が複雑な事から、今回すべてをご紹介することが出来ませんでした。
    次回、継続して残りの部分(インターフォン、防犯・警報、消防設備)についてもご紹介したいと思います。

    以上

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