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<23コツ目>キュービクルって何?

前回まで数回に渡り、賃貸管理の際に発生する水に関するトラブルについてご紹介いたしました。
水が出ない、水が漏れる、雨が漏れる、水が詰まる、流れが悪いなど、様々な種類がある事が分かりました。

今回から、電気に関して考えてみたいと思います。
電気は様々な設備で使用されているため、水に関するトラブルと同様、多くの種類のトラブルが発生するように思いますが、家電を除けば発生頻度が少なく、あらかじめ理解しておけば、対応のハードルは低いのではないかと感じます。

目次

電気に関するトラブルの分類

まずは読者の皆さんとの目線合わせのため、電気の分類から始めたいと思います。

電気には大きく分けて強電と弱電があります。
強電は電気を、ガスなどのように一つのエネルギーとしてとらえ、照明器具やエアコンのような設備を動かすために用いられるものです。

これに対して弱電は電気を信号としてとらえ、電話やインターフォン、有線のインターネット回線等に用いられるものです。

さらに、強電は低圧電力と高圧電力に分かれますが、高圧電力は鉄塔、電柱などを通じて、電気を多くの場所に送電するためのものですから、私たち賃貸管理会社が関わるのは、その先の低圧電力の方になります。低圧電力は、さらに100ボルトと200ボルトに分かれ、共用部や店舗等の比較的大型の電気設備には200ボルトが多く用いられます。

各住戸に届いた低圧電力は、ブレーカーを経て、コンセントから各家電製品で利用します。
コンセントと言えば、一般の100ボルトのコンセントは2つの穴(プラグ受け)がありますが、実際には様々なタイプがあります。穴が3つあるタイプ(三相)はご存じの方もいらっしゃるかと思います。

高圧電力は賃貸管理物件には直接の関係が無いため、賃貸管理会社の取り扱う電気は100ボルトと200ボルト、そして、弱電と言う事になります。
以上の事から、ここでは電気に関するトラブルを以下のように分類いたします。

①強電設備
電気が外部からコンセントに来るまでの間

②家電(強電用)
強電(100ボルトと200ボルト)で使用するエアコン、照明器具などの設備

③弱電設備
弱電を使用する電話、インターネット、インターフォン等の設備とその配線

電気に関するクレームの割合

ある賃貸管理会社の先月(2024年8月)のクレームの発生状況を調べてみました。
すると全体の三分の二は設備に関するクレームではなく、近隣騒音やゴミ出し、駐輪駐車、そして、様々なお問い合わせが占めました。
残りの三分の一が設備関連のクレームですが、このうち、半数弱が電気関連と思われるクレームでした。この電気関連にはエアコンや照明器具等の故障も含んでいます。

つまり、全体の約15%が電気(設備)に関連するクレームでした。さらにこの15%のうち、約半数がエアコンに関するものでした。
残りの内容も、ほとんどが照明器具、換気扇、インターフォン、火災警報器といった設備で、電気の供給側(ブレーカー、コンセント、停電等)のクレームは全体のクレーム件数から見ると約1%しかありませんでした。

強電設備

上記でお伝えした通り、強電設備のトラブルの件数は非常に少ないです。
しかしながら、このトラブルが発生すると様々な電気設備を利用する事が出来なくなり、入居者の生活に大きな影響を与える事になります。
その原因について、考えてみたいと思います。

①ブレーカーの作動

各住戸、そして共用部分にはブレーカーと呼ばれる電気異常を感知する設備が設置されています。
多くは玄関、あるいは洗面室周辺にケースに入って設置されており、通常は以下の3種類のブレーカーが並んでいます。

・アンペアブレーカー
住戸によって使用される電流(アンペア)の上限は予め設定されており、それぞれの住戸でこれを超える家電を一度に使用すると、このブレーカーが作動して、自動的に電気が遮断されます。

入居したばかりの入居者から、照明が付かないとか、エアコンが使えないと言うご連絡を頂く事があります。
これらの原因の多くがこのアンペアブレーカーが落ちているためです。
このブレーカーは元栓のようなものですから、空室の場合、落としているケースが多くあります。

もし、アンペア容量を上げて、入居者が一度に多くの家電を使用したい場合には、あらかじめ、電力会社にこのアンペアの上限を上げる手続きを行い、ブレーカーを交換してから電気設備を使用する事になります。(現在はスマートメーターが普及しており、この場合は遠隔でアンペア変更が可能です。)
ただし、後述するキュービクルが設置されているマンションの場合、そのマンションで使用できる総電力が決まっている事から、このアンペアを上げる手続きが行えない場合もあります。

・漏電ブレーカー
漏電は文字通り、電気が漏れる状態です。
例えば、賃貸物件の室内の電気コードが何らかの事情でコードを覆っているビニールが破れ、ここが電気を通す物質に触れてしまうと電気が漏れ、漏電状態となります。
この漏電は非常に危険(感電や火災の恐れ)なため、漏電ブレーカーで漏電を検知すると自動遮断されます。
この漏電は電源コードが劣化したり、家電に雨や水がかかったり、タコ足配線で過度な電流が流れる事で発生する恐れがあります。

・安全ブレーカー
安全ブレーカーは通常、各住戸に届いた電気を部屋ごとや室内の用途別にさらに分けるために複数設置されます。
基本的には過電流(電気設備の使用過多)、あるいは電気がショート(簡単に言えば100ボルトのコンセントの2つの穴の電気が家電を通さず直接触れてしまうようなこと)をすると自動遮断されます。このショートが発生する原因は基本的には漏電の原因と同様です。

・復旧方法
各ブレーカーの復旧方法については、インターネットで検索をすれば、多くのサイトで紹介されているため、賃貸管理会社に連絡せず、入居者自身で対応されているケースが多いのではないかと思います。

アンペアブレーカーや、個別の安全ブレーカーが落ちた場合は、一度に電気を使い過ぎた訳ですから、利用する家電製品を減らせば解決できます。
問題は漏電ブレーカーですが、対応については、まず、すべてのブレーカーを落とした上で、アンペアブレーカー、漏電ブレーカーの順にブレーカーを上げます。その後、安全ブレーカーを1箇所ずつ上げていき、その際、漏電ブレーカーが落ちたら、その時の安全ブレーカーの先に原因がある事が分かります。

原因を調査する時に家電製品等に水がかかった事が判明したり、接続不良がある等、明らかな原因が分かるようであればいいですが、原因がはっきりしない場合は危険ですから、電気工事業者を手配するようにします。

②キュービクルのトラブル

道路わきに立っている電柱には、所どころにポリバケツのような箱が空中に設置されています。これは柱上変圧器と言って、高圧の電気を低圧の電気に変換する設備です。
通常は高圧で運んできた電気をここで100~200ボルトに変換して、各家庭に運びます。
ただ一定規模以上の物件や多くの電力を必要とする物件、また高圧電力を直接引き込んだ方が電気料金が安くなる物件等では直接高圧電線を敷地内に引き込む場合があります。
キュービクルは、マンションの敷地内で、この高圧の電気を低圧に変換する設備の事です。

キュービクルは、敷地内に屋外物置のような箱があって、「変電設備」と表示されていたり、大きなマンションであれば、扉に「変電設備」と表示された部屋(借室)がある場合もあり、ご覧になった方も多いかと思います。

ここに何らかのトラブルが発生すると建物全体の電気が停止する事になります。
マンションに借室がある場合、所有者は電力会社に無償提供しています。
セキュリティの関係もあり、鍵は電力会社しか持っていないため、賃貸管理会社には対応が出来ません。

③大規模な停電

停電が地域で発生した場合は、当然、建物全体の電気も停止します。
ただ、一部の太陽光発電設備が設置されている物件の場合は、共用部分等で一部の電気が使用できる場合があります。

④電力会社による電気の遮断

入居者が電気料金の未納を続けてしまうと、電気が止められてしまいます。
また、新電力会社が増えてきている現在、入居者の入退去の際、メーターを交換するまで電気が使用できない場合があります。
以上のように、何らかの故障が無くても電気が止まる場合があります。

まとめ

今回のコラムで電気に関するトラブルについて、そのうち強電設備についてご紹介してきました。

強電設備のトラブルはそもそも少なく、結果として、仮にトラブルが発生しても、賃貸管理会社が出来る対応はブレーカーを上げる(上げて頂く)くらいしか出来ないのですが、電気は感電や火災の恐れもあるため、仕方が無いかなと思います。

次回の電気に関するトラブルは家電関連になるため、賃貸住宅の設備として設置されているエアコンや照明器具等、対応しなければならないバリエーションも多くなってきます。

以上

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