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<21コツ目>「水漏れ」「雨漏り」「水詰まり」その2

前回は「水漏れ」「雨漏り」「水詰まり」のうち、雨漏りについてご紹介いたしました。

今回は水漏れと水詰まりについて、考えてみたいと思います。
水が詰まる場所によってはそこから水が漏れにつながるケースがある事から、この2つを合わせて取り扱う事にいたします。

また、これらは様々な原因で発生するため、1回のコラムではご紹介出来ないほどのボリュームになります。このため、今回と次回の2回に分けてご紹介する事にいたします。

目次

    水道蛇口のパッキンの破損や劣化

    水道(給水)の蛇口や蛇口周りから水が漏れる事があります。
    水道の蛇口周りには水道の使い勝手を良くするため、可動部分にゴム製パッキンが使用されています。ゴム製なので時間が経つとゴムが劣化し、すり減ったり、ひび割れを起こして、そこから水が漏れる事になります。このため、水が漏れ始めたら、このパッキンを交換して水漏れを止める必要があります。

    入居者との賃貸借契約上は、基本的にパッキン交換は消耗品として、借主(入居者)負担となっているケースがほとんどです。このため、入居者にはご自分でパッキン交換をして頂く事になります。

    ただ、中古の賃貸物件の場合、タイミングが悪く、入居してすぐに水が漏れる事があります。新しく入居したばかりの入居者にしてみると、このパッキンを入居者自身が手間と費用負担をかけて交換する事には、いくら賃貸借契約上の合意事項とは言え、気持ちの上でご納得頂けない部分があります。

    水道を高頻度で使用するとゴムパッキンのすり減りが早くなり、また逆に水道をほとんど使用しなければゴムが固くなってひび割れや変形を起こしやすくなり、結果としてどちらとも通常より短期間で水漏れを起こす事になります。

    賃貸管理会社で事前に入居者の水道の使用頻度やパッキンの劣化度を把握する事は困難です。
    このため、入居満足度の向上のため、予防的措置として賃貸管理会社がパッキンをタイミングよく交換する事は難しく、結果として水漏れが発生してからの賃貸管理会社対応となりがちです。

    パッキンは水道の蛇口だけでなく、浴室やシャンプードレッサーのシャワーホースにも使用されています。

    配管の劣化

    管理している建物が古くなってくると、配管も劣化してきます。
    中でも築20年を超える物件の一部に、給水管として銅管が使用されている場合があります。
    銅は施工性に優れている点と、熱に強い点から、従来、給湯管として多く使用されてきました。

    ただ、この施工性の高さが仇(あだ)になり、L字(管が曲がっている部分)部分の強度が若干弱くなっており、水道を使用した際、管内に発生した気泡により管内が徐々に浸食され、この弱い部分にピンホールと呼ばれる小さな穴が開いてしまい、ここから水漏れが発生します。

    賃貸住宅は基本的に各部屋が同じ工法で施工されているため、1室にピンホールが発生すると、他の部屋も次々に時間を空けて水漏れが発生する事になります。
    私の経験した管理物件ではこのピンホールの発生した部分が外壁に取り付けられている給湯器の奥で発生したため、給湯器をいったん外して配管工事をしなければならず、大変な費用と時間がかかってしまいました。

    また、以前、ご紹介しましたが(→<19コツ目>水が出ない)、金属製の管内に錆こぶと呼ばれる錆びが発生すると、水の流れが悪くなります。
    内部に鉄が使用されている管を使用すると、徐々に錆びが発生し、これが給水管の場合には水の出が悪くなり、排水管の場合には流れが悪くなり、最悪の場合、詰まってしまいます。

    施工不良

    施工時に給水管や排水管のつなぎ忘れやナットの緩み、勾配不足などがあった場合、水漏れが発生したり、水が詰まったりします。
    これが単純なつなぎ忘れなどの場合はすぐに水漏れが発生し、発見できるのですが、給水管に塩ビ管を使用した物件の、塩ビ管同士を接着する接着剤が少なかったりすると、新築後、すぐには水漏れが発生せず、数年経過してから水が漏れ始める事があります。

    さらに施工時の排水勾配が少なかったりすると、排水に固形物が流れると詰まりやすくなり、徐々に詰まりが発生する場合があります。

    排水口の清掃不足

    水が詰まったと言う入居者からのご連絡で一番多い場所は排水口の詰まりです。
    台所の流し台、浴室、洗面台、洗濯機置場等の排水口が詰まったと言うご連絡が非常に多く届きます。

    これらの排水口には、基本的にはゴミ受けが設置されており、これを定期的に清掃しないと水の流れが悪くなります。このゴミ受けが目に見える場所にあればこれに気付き、そのゴミを除去すれば流れが良くなります。

    ところが、外観上の配慮なのかゴミ受けの上に目隠しのフタがあったり、洗濯機置場などで洗濯機が邪魔をしてゴミ受けが見えなくなっていると、ゴミ受けの存在に気付かなかった入居者から水の流れが悪いと言うご連絡を頂くケースがあります。

    さらに各排水口には何らかのトラップが設置されており、ここに物が詰まったりして、水の流れが悪くなる場合もあります。
    トラップは封水トラップとも呼ばれ、排水口付近に水を貯めておく(封水)事によって、排水管からの臭いや虫の侵入を防ぐ目的で設置されるものです。
    一時的に水を貯める仕組みですから、どうしても水の流れに強弱が生じ、物が詰まりやすくなります。

    清掃不足になりがちな部分として、共用部分の排水口や排水桝が挙げられます。
    これらが建物の外にあると、排水口のフタがずれたり割れたりして、その隙間から土や砂が入ったり、植栽の根が排水桝の周辺から入り込み、排水をせき止めてしまう事もあります。

    トイレ

    トイレはその構造が複雑な事から様々なトラブルが発生します。

    ①給水が出ない・給水量が少ない

    水が出ないと言うトラブルは以前(→<19コツ目>水が出ない)ご紹介しましたが、トイレの給水については取り扱ってなかったのでこちらで取り扱いたいと思います。

    ・(給水)レバーや内部設備の故障
    トイレは内部のボールタップと呼ばれる浮きやゴムフロートと呼ばれる一気に水を流すための開閉部分等で構成されており、ゴムやプラスチック製品が使用されている事もあって、使用頻度や年月の経過によって劣化が進みます。レバーや内部設備は劣化によって故障すると水が出なくなったり、給水量が少なくなったりします。

    ・給水フィルターの目詰まり
    トイレのタンク脇にある水道管にはゴミを除去するためのフィルターが設置されています。
    長年トイレを使用する中で、このフィルターには徐々にゴミが詰まり、定期的に清掃しなければ、トイレのタンクに水が溜まらなくなる事があります。

    このフィルターの清掃には工具が必要で、また一定の知識も必要なため、入居者がご自身で清掃される事はほぼありません。
    このため、トイレのタンクに水が溜まらなくなって、入居者からご連絡を頂く事になります。

    ・間違った節水対策
    トイレのタンク内に水を入れたペットボトルを沈めておくと、水が節約できると言う事がテレビで放映され、これが流行した時期がありました。
    これを見た入居者がタンク内にペットボトルを入れ、そのまま退去してしまい、その次に入居した入居者はこの事をご存じないため、水の出が悪いと言うご連絡を頂く事がありました。

    トイレの便器は年々改良が進み、その洗浄水の量は水洗トイレが出来た頃と比較して数分の1にまでなっています。こう言った事からタンクの中にペットボトルを入れてしまうと、洗浄水の量が減ってしまい、排水が詰まってしまう可能性が高くなります。

    ②給水が止まらない

    これも上記でご紹介したタンク内部設備の故障により発生します。

    ③排水が詰まる・排水の流れが悪い・水位が高い・異音(コポコポ)がする

    これらの原因はそのほとんどが、流した固形物が詰まる事によって発生します。
    よくあるケースでは紙おむつや生理用品、それにトイレットペーパーの使い過ぎによるものです。

    賃貸住宅ではペットを飼ってはいけない物件が一般的です。
    このような中で、契約違反と知ってペットを飼っている入居者が、ペットの排泄物をゴミとして出すと賃貸管理会社に見つかってしまうと思ったのか、トイレに流して詰まってしまうケースもあります。

    特に入居者がネコ用トイレに敷く猫砂を流し、詰まってしまうケースを多く経験しました。
    この猫砂は吸水性が高いのか、大きな事故になったケースがありました。

    当時、マンションの上階に住んでいた入居者がこの猫砂をトイレに流してしまいました。これがマンションの縦管を流れ、縦管の1階部分で縦から横に曲がるところまで来て詰まってしまいました。これにより、猫砂を流した入居者の部屋のトイレの排水には異常がありませんでしたが、2階の入居者の室内に詰まった水が逆流(1階には部屋が無かった)して、部屋中に水があふれてしまいました。猫砂を流した階の下の階すべてから流した排水も2階であふれるため、大変な(汚)水量でした。

    ④溜まり水がなくなる(封水切れ)、水位が下がる

    上記でご紹介しましたが、トイレの溜まり水が無くなってしまうと封水切れとなり、短期的には臭いが発生し、時間が経つとコバエ等の虫が発生します。
    この水が減ったり、無くなったりする原因は、長期間トイレを使用しなかった場合に溜まり水が蒸発する事もそうですが、他にも原因がある場合があります。

    一時的なものでは、上階の入居者が多くの水を流してサイフォン作用(上階の流した水の圧力により、溜まり水が引っ張られた)が発生する場合です。
    この場合、溜まり水の水位が低くなる程度であれば、しばらく様子を見て、大きな影響が無ければ問題ありません。

    しかし、トイレから流した固形物が詰まってしまった場合も、その詰まった位置によっては、水位が下がってしまう場合があります。
    この場合は詰まりを除去する必要があります。

    まとめ

    今回は水漏れと水詰まりの原因について、ご紹介してきました。
    すべてはご紹介できなかったので、今回を前半、次回のコラムで後半をご紹介したいと思います。

    原因を推測するためのポイントとしては、給水管は水圧、排水管は勾配が挙げられます。
    給水は、蛇口をひねると一定の水量が出るように、管内には常に水圧がかかっています。

    このため、小さな穴(ピンホール)が一つ開いても、そこから水が噴き出します。
    排水に水圧をかける事はありませんが、排水をスムーズに流すために一定の勾配があります。
    この勾配が少なければ少ないほど、流れが遅くなり、特に固形物は詰まりやすくなります。

    この2つのポイントを頭に入れて判断すると、その原因が探りやすくなるように思います。

    以上

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