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<18コツ目>お湯が出ない

入居者からのお電話で、「お湯が出ない」というご連絡を頂く事が多くあります。
今回はこの対応について、整理してみたいと思います。

目次

    原因は多種多様

    最初にどこ(物件、部屋)のどなた(ご連絡頂いた方)を把握した後、原因を把握するために確認しなければならない事が数多くあります。
    一般的な給湯器は電気・水道・ガスを使うため、給湯器本体以外にも原因が隠れている場合があります。さらに仮に複数の原因が絡み合っていると解決に時間もかかるため、早計な判断はしないようにしなければなりません。

    さらに、お電話を頂く相手(入居者)は、一刻も早く課題を解決してほしいため、お電話でこちらから細かくお聞きする中でお怒りになってしまい、「すぐに来い」となってしまう恐れもあるため、可能な限り細心の注意を払いながらヒアリングしたいところです。
    このあたりのお客様の温度感等についてのコツについては、また改めてご紹介できればと思います。

    設備本体

    お湯が出ないと言う事の内容が把握出来たら、まずは物件の給湯設備に壁付けリモコンが設置されている場合が多くありますので、それがあればそちらでエラー表示がされていないかを確認すると原因の早期把握に役立ちます。

    以下は簡単な給湯設備のご紹介と設備ごとのポイントです。

    ①ガス給湯器

    ガス設備のほとんどがこれに当たるのではないかと思います。
    ガス給湯器は屋外に設置されている事がほとんどですが、古い物件では屋内に設置されている場合もあり、この場合、不完全燃焼等の恐れもある事から早急な対応をお勧めします。

    同様に主に古い物件で見られるケースとして、台所と浴室の給湯設備が分かれているケースもあります。
    台所は瞬間湯沸かし器と呼ばれる設備で湯沸かし器本体から直接、お湯の蛇口(吐水口)が伸びているものです。
    浴室はバランス釜と呼ばれる設備で、浴室内に設備が設置され、こちらも設備から直接シャワーヘッドが出ています。
    この場合、どちらの設備が故障しているかを把握する必要があります。

    さらに、設置されている給湯器がLPガス用である場合、給湯器の修理または交換の費用をLPガス事業者が負担する特約をガス会社とオーナー様が交わされているようなケースもあるため、賃貸管理会社は予めこのあたりを把握した上で、賃貸管理システムに入力しておく必要があります。

    また、ガス給湯器には水栓からお湯が出るだけでなく、お風呂の追い炊きが出来るタイプもあります。
    この追い炊き機能が弱く(つまりお湯になるのが遅く)なる原因には、フィルター(バスタブ内でお湯の出てくるところ)が目詰まりを起こしている可能性があります。
    このフィルターの目詰まりは追い炊き機能を低下させるだけでなく、お湯張り(湯量)機能の誤作動にもつながるため、フィルターを定期的に清掃して頂く必要があります。

    ②電気温水器

    電気温水器はオール電化の建物に多く見られ、各住戸に設置された貯水タンクで水道水を温め、給湯するものです。
    タンクには容量があり、また温める電気も安価な夜間電力を使用するタイプがある事から、一度に大量のお湯を使用するとお湯が足りなくなってしまいます。
    お湯が足りなくなると水温が下がり、いったん水温が下がってしまうと再度高温に戻すまでに長い時間が必要になります。
    このため、機器自体は故障していないのにお湯が出ないと言う状況が生じます。

    ③太陽熱温水器

    太陽熱温水器は一般の賃貸住宅で設置されているケースはほとんどありませんが、一部、戸建て賃貸等で設置されているケースがあります。

    基本的に文字通り太陽熱を使って水温を上げているため、お湯が出ないと言うケースは考えにくいです。
    しかしながら、気温や日照時間、お湯の使用量によって期待した水温に達しなくなってしまう事があります。
    太陽熱温水器の場合、お湯が出ないと言うより、お湯がぬるいと言うご連絡が多いのではないでしょうか?

    太陽熱温水器のうち、自然落下式は動力(電気)およびガスを使用しないため、水道および本体の確認だけをしてお湯の出ない原因を探ります。

    ④その他

    各設備に共通する故障原因として、凍結防止のための水抜きをしていない事による故障が挙げられます。
    水抜き(作業)には様々なパターンがありますが、その目的は気温が低い日に配管が凍結しないようにするための措置です。

    水抜きをしない事による故障は寒冷地と言うより、寒冷地ではない地域で、普段はあまり凍結しない地域の方が凍結する危険性が高いのではないかと思います。
    なぜなら、寒冷地の場合、そもそも設備が寒冷地仕様であったり、配管にも凍結防止措置が取られ、さらに水抜き(作業)もしやすい仕様になっている事も多い事から、思ったより故障が少ないのではないかと思います。
    これに対して、普段は配管が凍結しない地域は、水抜きが一般化しておらず、実際に気温が下がる事が予想され、水抜きをしようとしても栓の開閉が固くなってしまっており、工具が必要となる場合がある事から入居者が作業をあきらめてしまい、結果として凍結してしまうからです。

    配管の凍結防止対策は、ある程度、予防的措置が可能な事から、賃貸管理会社として予め準備しておくことで結果として、顧客満足度が高まり、費用負担の軽減が図れるのではないかと思います。

    ガス

    ガス給湯器を利用していると、ガスが停止した場合もお湯が出ません。
    従って、お湯が出ないと言うご連絡を頂いた場合は、ガスコンロ等、他のガス設備が正常に作動するかを確認する必要があります。

    水道

    水道に原因がある場合は、お湯が出ないではなく、水も出ない事となります。
    ただし、例外として屋外給湯器の給湯栓がいたずら等で閉止されたり、給湯管が何らかの原因で漏水を起こしたりすると、水は出るけどお湯が出ないと言う可能性があります。

    電気

    給湯設備は一部を除いて、ガスや水道の他に電気も使用します。
    屋外に給湯器があって、そのコンセントが抜けてもお湯は出ません。
    また、コンセントが抜けていなくても、そのコンセントにつながる分岐ブレーカーが落ちていても、電気が供給されないため、お湯が出ない事になります。

    その他

    その他、給湯設備には様々なタイプがあります。

    ・セントラル給湯設備
    一部のマンションや、物件内の他の住戸でホテル、オフィスや店舗がある複合用途の建物など、給湯設備が共用となっている物件があります。
    この場合、ビル全体の給湯を1か所の設備で補っているため、万一その設備が故障するとビル全体のお湯が出ないと言う事態になります。
    当然、そうなると大きな問題となるため、一定の資格者(ボイラー技士)が日頃から点検を行っています。

    ・エコキュート
    電気温水器がヒーターを使って水温を上げるのに対して、エコキュートはヒートポンプ方式で水温を上げます。
    ここでの説明は省略しますが、エコキュートは地球温暖化対策に貢献するため、今後増加する事が考えられます。

    ヒアリング時のポイント

    以上のように多種多様な給湯設備や電気、ガス、水道等インフラをご紹介しましたが、実際に入居者からお湯が出ないと言うご連絡を頂いた場合、どのようにヒアリングを進めれば良いのでしょうか?
    ここですべてをご説明すると相当なボリュームになるため、いくつかのポイントに絞ってご紹介したいと思います。

    ①入居して間もない?

    ご連絡頂いた方が入居後、間もないかどうかは一つのポイントになります。
    入居したあと、電気、ガス、水道の開栓連絡が済んでいなかったり、給湯設備の使用方法をご存じない、またはそもそも初めての賃貸暮らしである方である可能性ですらあります。
    この場合、入居者と基本的なポイントを確認するだけで、比較的簡単にお湯が出る状況に出来る可能性が高いかと思います。

    ②インフラのダウン

    地震の発生により、ガスメーターの安全装置が働いてガスが遮断されたり、また、揺れにより、受水槽の満減水警報が働いて水が出なくなったりするケースがあります。落雷により電気が止まる場合もあります。
    このような場合は、安全装置を復旧させたうえで、給湯設備を再起動させることになりますが、このタイミングでお湯が出ないと言ったご連絡も多く届きます。

    ③外気温が低い

    外気温が低い場合もお問い合わせが集中します。
    特に給湯設備から吐水口(蛇口のお湯が出るところ)までの距離が長いほど、お湯になるまでの時間が長くかかったり、途中で冷やされて期待した水温に届かないと言ったケースが多くなります。
    また、元々の給湯能力によって、外気温が影響を受けやすくなります。
    具体的には寒冷地ではない場合でも最低16号(1分間に+25℃のお湯を16ℓ出す事が出来る能力)の給湯器でないとお問い合わせを多く頂く事になるかと思います。

    まとめ

    今回は「お湯が出ない」と言うお問い合わせを入居者から頂いた場合について、整理してみました。
    比較的多く発生するケースを中心にご紹介させて頂いたため、足りない部分もあったと思いますが、ご了承下さい。

    入居者の方からは給湯器が故障したと言うお電話を頂く事はほとんどありません。
    それは原因だからです。
    入居者からはお湯が出ないと言う結果のご連絡を頂きます。
    原因を突き止めるのは賃貸管理会社の役割です。

    毎月のように新しいタイプの給湯設備が発売され、賃貸住宅に設置されています。
    ある程度以上の規模の賃貸管理会社では、こういった情報を継続的に仕入れる仕組みも必要ではないかと思います。

    以上

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