マンション管理人と住人で発生しやすいトラブル|良い管理人と悪い管理人の違いや知っておきたい業務内容
マンションの管理人は、マンションの管理業務を行いつつ、住人とのコミュニケーションを図る重要なポジションでもあります。
難しい立場であるがゆえにトラブルが発生しやすい職業です。業務をしっかりこなす管理人であれば良いですが、良い管理人と悪い管理人の違いや知っておきたい業務内容をお伝えしていきます。
マンションの管理人は清掃や点検業務などを行うことで、住環境に不便が無いように維持する役目を持っています。
しかし、人によっては管理人のことを『何でも屋』と勘違いして、通常業務以上の要求をすることでトラブルに発展するケースがあったりします。これは住人が『管理人の正しい業務内容』を知らないことで発生する場合がほとんどです。
そこで、当記事では『管理人の業務』を正しく認識することで、『そのトラブルの責任は管理人にあるのか』を正しく判断できることを目標として解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
マンション管理人とは
マンション管理人とは、マンションの清掃・点検・窓口といった管理に関係する仕事を請け負う人のことを指します。マンション管理員とも呼ばれ、『マンション管理員検定』という資格もあります。(管理人になるために必須の資格ではありません)
基本的には管理会社から派遣されている場合がほとんどで、日常的に行う点検や清掃などに加えて、修繕結果や苦情などを管理会社に報告をしたいする業務を行います。そのため、住人との関係性を良好に保つこともある意味必要とされていますが、過度に住人の肩を持ちすぎて管理会社と対立するようなことがあってはならない役職です。
自身の立ち位置を理解し、管理会社としての業務を実施したうえで住人との関係をなるべく壊さず日常業務を行うという、非常に立ち位置の難しい仕事であるがゆえにトラブルも発生しやすい職業となっています。
管理人の業務内容
管理人の業務は『マンション内における管理に関する業務』とされています。具体的な業務内容は以下の通りです。
【管理人の業務内容】
- 点検・巡回業務
- 立ち合い業務
- 清掃業務
- 受付業務
- 報告業務
- 管理補助業務
基本的には以上の6つが管理人の業務とされており、清掃や点検業務だけでなく、共用スペース利用の受付・管理やマンション内で発生したトラブルの対処などもあります。つまり、管理人は管理に関する業務以外は行う必要がなく、住人の要望だとしても管理業務に関係のないことであれば拒否することが可能です。
巡回・点検業務
巡回・点検業務は主に以下のような部分の設備の点検や巡回業務を行います。
- 電灯
- エレベーター
- 自動ドア
- 宅配ボックス
- 消防設備
- ハチの巣など害虫被害
巡回・点検業務は普段から利用するような電灯設備や、万が一に備えて使えるようにしておくべき消防設備などの点検を重点的に行います。住人が安心して暮らすことができるように、物件の状況把握をすることが巡回・点検業務の目的です。
立ち合い業務
立ち合い業務はマンションに関わる修繕や業務の立ち合いをすることで、現場の把握やその後の環境整備を行います。
具体的にはエレベーターや自動ドアの設備点検や修繕・補修の作業に立ち会ったり、ごみ収集の場に立ち会ってごみ置き場の清掃や不法投棄の確認します。また、他にも新たな入居者や退去者がいる場合は移住の日に立ち合い引っ越しの確認作業をすることもあります。
清掃業務
日常の清掃業務も管理人の仕事です。マンションの規模によっては一人でこなすのは難しいため、週一回専門の業者に依頼するなどして、清掃の現場を取りまとめる業務に徹する場合もあります。
清掃場所は主に以下の通りです。
- 廊下
- 階段
- エントランス
- 駐車場
- 共用スペース
清掃業務の一部として植栽の水やりや除雪作業も必要に応じて実施します。とはいえ、基本的にマンション在中の管理人は高齢の方も多いので、管理人の体力や能力に合わせて清掃業務の負担度合いは調整する必要があるでしょう。こちらの記事も参考にしてみてください。
参考:アパートのゴミ捨て場設置ルール・注意点を紹介|よくあるトラブルと管理会社・オーナーができる対策
受付業務
マンション内に会議室やキッズスペースなどの共用スペースがある場合は、利用希望者の受付や管理を行います。また、駐車場や駐輪場など利用者が固定される場所の受付・管理も管理人の業務です。
他にも、外部からの来客(ヘルパーや宅配など)に対する窓口も行うことで不審者の侵入を防いだり、住人からのクレームを受け付けて管理会社へ報告も行います。つまり、窓口的な役割をするのが管理人で、その受付業務は住人・業者などマンションに関わる全ての人を対象に行われます。
報告業務
上記で解説した『点検・立ち合い・清掃』などの業務は、終了後に経過報告として管理会社へ報告しなくてはなりません。また管理会社への報告だけでなく、住人へのお知らせ事項や緊急連絡なども報告業務の一環となっています。
さらに、報告業務において必要となる書類の作成や日常業務を記録した日誌の作成なども管理人の仕事となっており、記録を文字に残す能力がある程度は必要となるでしょう。
管理補助業務
管理人が行う管理補助というのは、管理会社の業務や管理組合の業務をマンションの住人に展開したりするような業務のことを言います。
例えば、管理組合や管理会社からのお知らせを掲示板に掲示したり、各部屋へ書類のポスティングをしたりする業務などです。他にも、理事会の会議内容を資料にまとめたりアンケートの集計を取ったりなども管理人の仕事となっており、双方の意見をまとめてマンション運営に関係する内容を展開する重要な役割を担っています。
管理人と住民間で発生しやすいトラブル
管理人と住人間で発生しやすいトラブルを知っておくことで、管理会社としても管理人に対してあらかじめ対応策を伝えておくことが出来たり、予防線を張っておけたりするのでしっかりおさえておきましょう
【管理人と住人間で発生しやすいトラブル】
- 管理人の掃除が手抜き
- 管理人の態度が悪い
- 来客者(外部の人)に対して無礼な態度をとる
- 管理人室での喫煙
- 管理人室での睡眠
- 管理人が個人情報を周囲に漏らす
- 管理人がポストのチラシを勝手に抜く
- 管理人が嫌がらせをしてくる
基本的に管理人と住人間によるトラブルの原因のほとんどは『管理人の私的な行動』によるものです。人間である以上私的感情は生まれるものですが、業務にその感情を用いてはいけません。
管理人とは集合住宅の管理を任されている人なので、マンションの住人すべてに対して平等に接することが大切です。そのため、管理会社は管理人に対して業務以外の部分においての行動規範や公平性をしっかり教育してから管理を任せなくてはなりません。
管理人の教育は、管理組合から管理を任されている管理会社の責務であると言えるでしょう。
管理会社が直面する管理人に対する課題
マンションの環境を維持するためには管理人が必要です。なぜなら、管理会社の社員は常にマンションの状態を把握できるわけではないからです。そのため、管理会社にとっても管理人はマンション管理において重要なポジションを担う存在となっています。
ですがそれゆえに、既存の管理人が退任してしまった際に『新しく募集をかけても人材が見つからない』『既存の管理人の業務を任せられるほどの人材が見つからない』といった課題が浮き彫りになる管理会社も実際に出てきているのが現状です。
まずは、そういった課題があることを把握することで、今後どういった対策を立てるべきか検討できるようにしましょう。
新しい管理人が見つからない
管理人はマンション1棟につき一人は必要とされており、実際に常勤している人も基本的には一人の場合が多いです。そのため、もし管理人が退職希望を出した場合は代わりを務める人がいないので、新しく管理人を募集しなくてはなりません。
しかし、管理会社の課題の一つに『新しく募集しても管理人が見つからない』というものがあります。この課題が発生してしまう原因としては以下の2つが挙げられます。
- 規模が大きいマンションだと業務内容がハード
- 住人が支払う管理費から給与を払うため大体が最低賃金になる場合が多い
組合から徴収した管理費を使用して給与を支払うため、管理人を2人以上雇うのが難しいです。なので、管理人一人に対する業務の負担が大きくなってしまい、募集をかけてもすぐに辞めてしまったり、そもそも募集しても見つからなかったりという状況になってしまう…という現状があります。
そもそもマンションの管理組合って入る必要があるの…? という方はこちらの記事を参考にしてみてください。
参考:マンションの管理組合の業務内容とは|組合に入らない方法は存在するのか?
まとめ
マンションの管理人は、マンションの管理業務を行いつつ、住人とのコミュニケーションを図る重要なポジションでもあります。
そのため立場的に管理会社と住人の間に位置する業務となり、難しい立場であるがゆえにトラブルが発生しやすい職業です。また、管理会社としても業務をしっかりこなす管理人であれば良いですが、怠慢な態度を取る管理人がいると住人とのトラブルに発展するのが高くなるので注意が必要です。