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宅地建物取引士(宅建士)とは|就職・転職に有利?宅建士になるとできる業務内容を分かりやすく解説。

『宅地建物取引士』は、不動産取引時に重要事項説明を行うことができるようになる資格で、不動産事業者で働く方にとっては必ず取得しておくべき資格の1つです。

国家資格ではありますが、司法書士などの他の国家資格と比べると試験の難易度は優しい部類なので、サボらずしっかり勉強すれば1度の試験で合格を目指すことができます。

これから、不動産事業者に就職・転職を希望している、もしくはほかの分野において宅建の知識を身に付けたいと考えている方は、是非当記事の試験概要の解説と勉強方法の解説を参考にしてみてください。

目次

    宅地建物取引士(宅建士)とは

    紙にサインしている写真

    宅地建物取引士(以下、宅建士)は、国家試験である『宅建試験(宅地建物取引士資格試験)』に合格した人が就くことができる国家資格者で、不動産取引の専門家です。

    宅建士になることで、不動産の売買契約・賃貸契約を行う際に、契約内容や土地・物件に関する重要な内容を説明する重要事項説明(重説)を行うことができるようになります。そのため、不動産業に従事する人にとって、ぜひ取得しておきたい資格の一つです。

    また、宅建士の知識は不動産業界だけでなく建築業界や金融業界においても活用されることがあり、不動産の価値を正しく評価する際の有益な知識として役立てられています。

    資格自体は更新不要で一生使える

    宅建士の資格は一度取得すれば、取引士の資格自体を更新する必要がなく、ずっと資格所有者でいることができます。

    ただし、宅建士として不動産取引の仕事をするには、各都道府県で登録作業を行い『宅地建物取引士証』を受け取る必要があるのですが、その取引士証は有効期限が5年なので、5年ごとに更新をしなくてはなりません。

    そのため、資格自体の更新は必要ないですが、仕事として宅建士の資格を利用する場合は、定期的な『宅地建物取引士証』の更新が必要です。

    ちなみに、宅地建物取引士証の登録・更新手数料は以下の通りです。

    • 試験合格後1年以内の方の登録 → 4,500円
    • 試験合格後1年を経過している方の登録・更新 → 16,500円(講習受講料+交付申請手数料)

    企業によっては資格手当がもらえる国家資格

    不動産関係の企業であれば、基本的に宅建士の資格所有は必須と言われるほど重要な資格です。

    そのため、宅建士の有資格者に対して手当を用意している企業も多いです。企業によって異なりますが、資格手当の相場は2~3万円と言われており、年収300万円付近の方にとっては約10%も給与が上がる計算になるため、資格を取得する価値は十分にあると言えるでしょう。

    また、不動産売買を希望するお客様にとっては、資格の有無で信頼できるかどうかを判断する基準の1つになるので、資格の有無は歩合にも大きく影響してきます。資格手当だけでなく、歩合のUPも並行して目指すことで資格を取得する価値がより高まってくることでしょう。

    宅建士になるとできること

    印鑑とプレパブの家

    宅建士になることで不動産取引を1人で行うことができるようになります。とはいっても、内見業務などのように資格がなくてもできる業務もたくさんあります。

    では、宅建士になることで、『宅建士にしかできない業務』はいったいどんなものがあるのでしょうか? 具体的な業務内容は以下です。

    • 重要事項説明(重説)ができる
    • 重要事項説明書面への記名押印
    • 契約内容を記した書面への記名押印

    基本的に不動産取引における重要な部分の説明や押印などは、全て宅建士でないと行うことができません。そのため、宅建士は企業の売買・賃貸業務における重要なポジションを担っていると言えます。それぞれ詳しく解説していきます。

    重要事項説明(重説)ができる

    宅建士の資格を所有していることで、不動産取引における重要事項説明(重説)を行うことができます。

    重要事項説明とは、宅地建物取引において不動産事業者が不動産契約の際に、お客様に対して契約上重要な事項を説明することを言います。

    不動産取引において重要事項説明は、売買契約・賃貸借契約を締結するよりも前に行う必要があり、契約を希望するお客様が本当に契約をするかどうかを判断する最後の時間でもあります。つまり、決して安価な買い物ではない不動産取引の担当者として宅建士は重要なポジションを任せられているのです。

    また、説明をするだけでなく、お客様側から契約などに対する質問が来る場合もあるので、それらの質問に対して適切に応えるのも重要事項説明(重説)に付随する宅建士の業務の一つです。

    重要事項説明書面・契約内容を記した書面への記名押印

    宅建士は、不動産取引における重要な書面である『重要事項説明書(重説)』や『契約内容を記載した書面』に記名押印することができます。

    重要書面は、契約時の内容を書き留めておくことで、後から不動産に関する内容でトラブルになった際に契約内容の確認の証拠として役立ちます。その際に、重要な書類関係の記名・押印が宅建士のものでなければ、正式な書面として効力を発揮しません。

    それほぞ宅建士の記名・押印には知識と信頼の担保が含まれているので、不動産取引における重要な書面関係は宅建士の記名・押印が必要です。

    宅建資格を取ることで役立つこと

    プレハブの家が3つ並んでいる写真

    宅建士の資格を取ることで、不動産取引の重要なポジションを担うことができるのは前述の通りです。ですが、不動産取引における業務以外でも、以下のような場面で宅建士の資格が役に立つことがあります。

    • 就職や転職の場面
    • マイホームの購入・売却の場面
    • その他の業界における業務(金融・建築など)

    資格そのものが有利に働いたり、資格を取得するために手に入れた知識が役に立ったりします。どのように利用するかは人それぞれですが、以下で解説する各場面での宅建士の有用性を確認し、自身で資格や知識を役立てることができるかをぜひ検討してみてください。

    就職や転職に役立つ

    宅建士の資格を所有する人は、不動産事業者からの需要が高いです。なぜなら、宅建業法にある設置義務により不動産事業者は5人に1人の割合で宅建士を雇う必要があるからです。

    もちろん、資格がなくても不動産業界に就職・転職することは可能ですが、多くの場合で入社後に資格取得を推奨されるので、あらかじめ取得しておいて損はありません。また、企業によっては採用の判断基準の一つとしてチェックされるケースもあります。

    もし、不動産分野への就職・転職を考えている場合は、資格を持っておくことで面接時に不動産関係の知識があることをアピールできたり、入社後の業務へスムーズに入ることができたりと、役立つ場面が多くなるので取得しておくことをおすすめします。

    マイホームの購入や売却時に役立つ

    マイホームを購入・売却する際に、宅建士を取得するために得た知識は役立つ場面が多いです。

    例えば、注文住宅で土地やマイホーム購入を検討している場合、建築基準法などの知識があれば、どんなマイホームを建てることができるのか設計&イメージしやすくなります。

    他にも、契約時に行われる重要事項説明(重説)の時には、宅建士の知識を持っていることで、購入時に自身に対して不利な条件がないかなどを詳しく確認することもできます。

    以上のように、宅建士の知識を有すれば、マイホーム購入時などに不動産トラブルを未然に防ぎしつつ、より質の高い物件を建てることに繋げれられるでしょう。

    他の業界でも知識が役立つ

    宅建士の知識は、不動産業界だけにとどまらず、『金融業界』や『建築業界』でも役立てることができます。

    例えば、金融業界であれば融資をする際に、土地や不動産を担保にして貸出しを行うのですが、その土地や不動産の価値を図るのに宅建士の知識が役立つ場合があります。

    また、建築業界においては、宅建士の有資格者を社内に在籍させることで、自社で建築した不動産を売りに出すことも可能です。実際、企業によっては宅建士と建築士両方の資格を有することで、建築〜販売まで行うところもあります。

    宅建試験の概要

    ここまで宅建士という資格がどんな役割を果たすのか説明してきました。ここから先は、国家資格である宅建士の試験概要や難易度などお伝えしていきます。

    どんな試験でも当たり前ですが、必ず試験概要を把握してから資格取得の勉強を始めましょう。相手を知らずして試験に合格することは難しいので、『どんな試験科目なのか?』『いつ頃行われるのか?』『どんな方法で勉強を進めればいいのか?』を詳しく知っておくことで、効率的に試験勉強を進められます。

    宅地建物取引士試験概要

    項目 詳細
    試験日
      毎年1回、10月の第3日曜日に実施。午後1時~3時までの2時間。
    試験地
      原則として、お住いの各都道府県にある試験会場で受験します。
    受験資格
      年齢・性別・学歴などの制約はありません。基本的に誰でも受験可能。
    受験料
      8,200円(2022年度の試験から値上がりされる予定)
    試験内容
      四肢択一式 50問。
      1.土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
      2.土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
      3.土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
      4.宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
      5.宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
      6.宅地及び建物の価格の評定に関すること。
      7.宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。
    合格基準
      毎年合格点に若干の変動はあるが、概ね総合得点の65%~70%あたりを推移している。そのため、最低でも36点は確保したい。
    合格発表
      12月の第1水曜日又は11月の最終水曜日に、都道府県ごとに発表。
    主催団体(お問い合わせ先)

    2016年~2020年までの受験者数と合格率の推移

    実施年 受験者数 合格者数 合格率
    2020年 204,247人 34,337人 16.8%
    2019年 220,797人 37,481人 17%
    2018年 213,993人 33,360人 15.6%
    2017年 209,354人 32,644人 15.6%
    2016年 198,463人 30,589人 15.4%

    2016年からの合格率をみると概ね15%あたりを推移しており、問題数も50問と特別多くないことから、難易度自体はものすごい高いというわけではないので、他の国家資格に比べて取得しやすいと言えるかもしれません。

    しかし、学習する範囲が広い分勉強に費やす時間がそれなりに必要なので、試験日である10月を目標に逆算して、自分のペースに合わせて学習スケジュールを立てる必要があるでしょう。

    宅建試験のおすすめ勉強法と勉強時間の目安

    パソコンのキーボードを打っている写真を横から撮影したもの

    宅建試験を受けるしても、まずビジネスパーソンにとって最大の壁は、働きながら勉強する時間を確保するのがなかなか大変です。

    そのため、まずはどうやって効率的に勉強を進めていくべきかを知り、大まかな予定を立てて計画的に試験対策を進めていく必要があります。

    すでに不動産業界に在籍する人は、ある程度の用語は理解しているかもしれませんが、初めての方は何も知らないゼロからのスタートなので、どんな勉強方法で学習していくべきか、以下の内容を参考に検討してみてください。

    独学

    他の国家試験と比べて優しい部類とはいえ、法律に関する内容もある上に学習範囲はかなり広いです。そのため、甘く見ていていると厳しい結果になってしまうことも…。

    まずはそれ相応の努力が必要なことを理解した上で、独学のスタートを切ることが大切です。

    独学で宅建試験を合格する一つの基準として、約300〜400時間の勉強時間が必要と言われています。もちろん個人差がありますが、試験まで継続して1日2時間の勉強をするとしたら約5ヶ月かかるので、最低でも試験日の半年前にあたる4月には学習を開始しなくてはなりません。

    しかし、社会人の方にとって毎日2時間確保するのは、たやすいとは言い切れないですよね。そのため、300〜350時間をどうやって振り分けていくかを、自身の生活に合わせて学習計画を立てることが重要です。

    また、独学のコツとして参考書は1冊に絞り、最低でも2周することを意識して学習すると覚える効率が高まります。1度で完璧に覚えるのではなく、知識を薄く何層にも塗り重ねていくイメージで勉強するのが独学のコツです。決して、良さそうな参考書があるからといって何冊も買わないようにしましょう。

    そして、参考書選びのポイントとしては、最新の参考書やテキストを購入することを意識してください。法改正などによって、昨年までは正解だった問題が今年は回答が異なる…という状況も考えられるからです。

    通信講座

    通信講座を受講するのも効率的に勉強する方法の一つです。

    通信講座はプロが試行錯誤を繰り返して、最短で合格に導ける学習プログラムを組んであるので、決められた学習内容に沿ってしっかり進めていけば、確実に合格は目指せるでしょう。

    ただし、費用が約2〜7万円とかかってしまうので、お金との相談になってしまうデメリットがあります。さらに、各通信講座には講座が完了するまでの目安期間が設定されているのですが、その時期を過ぎてしまっている状態で受講すると、かなり予定をタイトに詰め込む必要があるので注意が必要です。

    とはいえ、通信講座では『わからないところを質問できる』などのメリットもあるので、深く勉強したい方にとっては有益な勉強方法となります。さらには、自分で意欲的に勉強するのが苦手な方にとっても、教材が送られてくることで『やらなきゃ』と思い立たせてくれるきっかけになるので、勉強する習慣がない方にもおすすめの勉強方法です。

    スクール

    集中できる環境で合格まで目指すことができるのは、通って学ぶスクールのメリットです。仕事帰りに受講できたり、休日にガッツリ集中して取り組むなど自分のスタイルに合わせて勉強を進められます。

    スクールによっては、早めに始める4〜6月頃スタートするコースや、短期集中コースなど種類もあるので、柔軟に選べるのに加えてプロ講師からノウハウを直接学べるのは大きいメリットですよね。

    その一方で、受講料は10万円以上と金銭面の負担は大きいです。それでも、集中して勉強するのが苦手、独学だと試験までどうやって勉強の計画を立てればいいのか不安という人にとっては最適な勉強方法と言えます。

    まとめ

    宅建士は、不動産取引において重要なポジションであるが故に責任も大きくなりますが、資格手当がでたり、歩合のUPに繋がったりと金銭面的なメリットがあるので、資格を取得する価値は十分にあります。

    試験自体も他の国家試験と比べて比較的優しい部類に入りますが、それでも試験範囲が広かったり、法律的な勉強もあったりしてそれなりの努力が必要になります。

    それなりに時間を確保できる人毎日継続的に進められる人は独学で、金銭的に余裕があり、できるだけ効率的に取得したいと考える人は通信講座やスクールを選択するなど、自分の環境に合った勉強方法を選ぶことが合格のポイントです。

    そして、これから資格取得を目指している方は、まずは宅建試験がどんなものかを知り、試験日と自身の生活に合わせた学習計画を組んで少ない時間を効率的に使いながら学習を進めていけるようにしましょう。

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