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大家都合による退去の立ち退き料の相場を紹介|支払わなくてもよいケースや流れ・判例を徹底解説

大家都合で立ち退きをお願いする場合、入居者に退去してもらう代わりに立ち退き料を支払うのが一般的です。 この記事では、大家都合による立ち退き料の相場や費用の内訳を紹介するとともに、入居者に立ち退きをお願いするための交渉方法、トラブルに発展してしまった判例について解説します。
目次

    立ち退き料の支払いには法律的な決まりはない

    立ち退き料の支払いには法律的な決まりはない

    立ち退き料の支払いは、法律によって決められているものではありません。しかし、入居者に対して転居などの負担を強いることになるため、大家都合で退去を依頼する場合は立ち退き料を支払うのが一般的です。

    大家都合による退去の立ち退き料の相場とは

    大家都合による退去の立ち退き料の相場とは

    大家都合による退去を依頼する場合、入居者の負担を軽減するために立ち退き料を支払う場合が多いです。立ち退き料の金額は、退去時に発生する経済的な損失を考慮して決めます。

    相場は家賃の6~12ヶ月分程度

    立ち退き料には、家賃の6〜12ヶ月程度を支払うのが一般的です。しかし、これはあくまでも相場です。提示金額をめぐって入居者と交渉になるケースも想定しておきましょう。

    立ち退き料の内訳

    上記家賃のほか、立ち退き料に含まれることがある費用として、以下のようなものが挙げられます。

    • 引っ越し費用
    • 新居の初期費用
    • 移転費用
    • 慰謝料、迷惑料

    立ち退き料には、引っ越しにかかる費用、新居の初期費用(新居にかかる敷金や礼金、仲介手数料)、移転費用(火災保険や地震保険、インターネットや電話回線などを移転するためにかかる費用)を含めるのが一般的です。

    また、状況によっては、転居に伴う肉体的や精神的な負担を考慮して慰謝料や迷惑料も発生する場合もあります。

    これらを考慮した上で、立ち退き料を決定していきます。

    立ち退き料にかかる税金

    アパートやマンションの入居者を大家都合で退去させる場合、立ち退き料は不動産経営上の必要経費となります。したがって、立ち退き料の支払いは、課税所得を圧縮する方向に働きます

    一方、入居者が受け取る立ち退き料は、部屋の明け渡しによって賃借権が消滅する対価として受け取る場合や、移転費用・休業補償の性格を持つものとして支払われる場合は、課税対象になりません。ただし、賃借権売買の対価として支払われる立ち退き料は課税対象となります。

    立ち退き料を支払わなくてもよいケース

    立ち退き料を支払わなくてもよいケース

    大家都合で入居者に退去を依頼する場合は基本的に立ち退き料を支払う必要がありますが、もちろん支払わなくてもよいケースもあります。

    入居者が契約違反をしている場合

    立ち退き交渉は、契約違反にならないために行うものです。そのため、入居者が契約違反をしている場合は、それを理由に退去通知ができます。家賃を滞納している、大家の許可を得ずに改築やリフォームをしているなどの契約違反が認められる場合、大家が立ち退き料を支払う必要はありません。退去を求めても入居者が応じないときは、遅延損害金を請求可能です。

    賃貸契約期間を定めていた場合

    契約を締結した時点で賃貸契約期間を定めていた場合は、期間満了という正当な理由があるため立ち退き料を支払わずに退去を求められます。契約書に明確な期間を定め、契約完了後は速やかに退去すると明記することが大切です。

    ただし、自動更新となっている賃貸契約は実質の契約期間が定められているとは言い難く、更新時期がきたことを理由に退去を求める場合は基本的に立ち退き料の支払いが必要です。

    大家・オーナーが変わった場合

    建物を所有する大家やオーナーが変わった場合も、立ち退き料を支払う必要がありません。新たな所有者が物件の権利を持つと、入居者に対し不動産の明け渡しを強制執行できるからです。法的な効力があるので、入居者は決められた期日までに退去しなければならないのです。

    入居者に立ち退きをお願いするための方法・流れ

    入居者に立ち退きをお願いするための方法・流れ

    日本の法律では、賃貸借契約の賃借人の立場が強いため、大家の意向で入居者を強制的に退去させることができません。そのため、大家の都合で退去を依頼する場合、入居者には事前に立ち退きの相談をする必要があります。

    入居者には、立ち退き理由を明確に説明しなければなりません。なぜ立ち退きしなければいけないのか、いつまでに退去をお願いするか、そのために支払う立ち退き料はいくらかといった内容を、入居者に通知する必要があります。立ち退き要求の通知は、遅くとも半年前にはしておくとよいでしょう。

    続いて、立ち退き料の交渉です。現在、移転先の住居の6ヶ月分の賃料と引っ越し代を合計した額が立ち退き料の一般的な相場といわれています。トラブル回避のため、「期日までに退去した場合に立ち退き料を支払う」などと取り決めておくとよいでしょう。

    トラブルに発展しないための立ち退き交渉方法

    トラブルに発展しないための立ち退き交渉方法

    大家都合で入居者に退去を依頼する際は、なるべくトラブルに発展しないように交渉を進めたいものです。大家側が心がけたい立ち退き交渉のポイントとして、以下の3つが挙げられます。

    • きちんとした理由の提示
    • 入居者側のことも考える
    • 交渉内容は書面で残す

    きちんとした理由の提示

    立ち退きを要求する場合は、なぜ退去してもらわなければならないのかという理由をきちんと提示する必要があります。入居者は正当事由がない限り立ち退き請求の応じる必要がなく、大家は強制的に立ち退かせることができないのです。そのため、突然の退去依頼も前向きに検討してもらうため、きちんとした理由を提示しましょう。

    入居者側のことも考える

    大家都合で退去を要求する場合は、突然引っ越しを余儀なくされた入居者のことをしっかりと考える必要があります。常識的な範囲内で立ち退き料の価格交渉に応じるだけでなく、立ち退きを要求する通知をなるべく早めに送るなど、できるだけ迷惑をかけないようサポートを徹底しましょう。

    交渉内容は書面で残す

    立ち退き料などを交渉によって決める場合は、交渉内容を書面で残すようにしてください。口頭で話し合った上で手続きを進めることになりますが、口約束のままでは「言った」「言わない」の不毛な争いに発展することもあります。スムーズな退去を促すためにも、交渉内容は書面で残しましょう。

    実際にあった立ち退きトラブルの判例

    実際にあった立ち退きトラブルの判例

    退去拒否や高額な立ち退き料請求などで立ち退き交渉が上手くいかない場合は、裁判に発展することもあります。

    たとえば、平成28年7月14日東京地方裁判所判決の事例では、貸主は高齢で介護が必要なことから、長男夫婦と同居するため貸していた建物を自身が利用する必要があると主張し、退去を請求しました。

    一方、入居者はがんの治療中であり転居に大きな負担を伴うことや近隣の同程度の物件に転居するためには高額な家賃が必要であることを理由として、高額な立ち退き料を請求しました。

    結果的に裁判所は、引っ越しに要する額に2年程度の賃料分を加え退き料200万円の支払いを受けることと引き換えに入居者が退去するよう命じています。

    大家側の「介護を受ける必要がある」という事情は立ち退きが認められるのに有利な要素として、一方で入居者側の「がん治療中である」「転居に高額な家賃が必要となる」という事情は立ち退きを求める大家側に不利にはたらく要素でした。

    このように、立ち退き料は、裁判では大家や入居者それぞれの事情を比較衡量して決定されます。

    入居者に立ち退きを拒否された場合の対処法

    入居者に立ち退きを拒否された場合の対処法

    大家都合による立ち退きを求める場合、強制ではないため入居者に退去を拒否されることも考えられます。しかし、大家側もやむを得ない事情があって立ち退きを要求するため、どうしても退去してもらわなければなりません。

    考えられる有効な方法は、まず立ち退き料の上乗せを検討することです。交渉が長期間になったり裁判に発展したりするデメリットを考えると、高額な立ち退き料でも応じた方が良い場合もあります。

    しかし、根拠のない高額請求に必ず応じなければならないわけではありません。話し合いでの解決が見込めない場合、相応の時間はかかるものの、上述のように裁判を経て適正な金額の立ち退き料を支払うことも可能です。

    不動産トラブルの相談先

    不動産トラブルの相談先

    不動産トラブルについては、まず管理業務を委託している管理会社に相談してみましょう。しかし、法的に管理会社ではトラブル対応が難しいこともありえます。

    管理会社で対応してもらうのが難しい場合に頼りになるのが弁護士です。万が一の場合に備え、入居者に立ち退きを依頼する前に弁護士への相談も検討するとよいでしょう。

    まとめ

    大家都合で入居者に退去をお願いする場合は、立ち退き料を支払う必要があります。立ち退き交渉でトラブルになることを防ぐには、入居者の立場になって考えるとともに、きちんと理由を示しながら余裕を持って期日を伝え、金額交渉にもある程度応じることがポイントになります。それでもなお交渉が長期化しそうな場合は、弁護士に依頼するなどして解決につなげましょう。

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