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家賃滞納とは?家賃を滞納した賃借人への対処法から退去の流れまで

家賃滞納とは
家賃の滞納は、物件のオーナーや不動産管理会社のほとんどが遭遇するトラブルといえるでしょう。 滞納が発生した際に、すぐに入居者に催告することで簡単に解決すればよいものですが、一度滞納が長期化すると、回収がより一層困難になることがあります。 法的知識が足りないことで、滞納された家賃が回収できないだけでなく、トラブルを増幅させてしまう恐れもあります。 ここでは、家賃滞納の問題を円滑に解決するための対処法について解説します。
目次

    家賃滞納とは?

    家賃の滞納とは、支払期限までに家賃が支払われないことをいいます。

    一般的に物件の家賃は前払いですが、家賃の滞納が続くと、未払いで入居が続く状態となってしまいます。

    一方で、借地借家法などの不動産の賃貸借に関する法律では、賃借人側が有利なものが多く、滞納があればすぐに契約を解除して退去を要求するということはできません。

    契約上は貸借人との「信頼関係の破綻」が認められれば、退去命令が可能になりますが、過去の裁判では3ヶ月以上の滞納が「破綻」の目安となっており、そこからさらに明け渡しを求めるためにも、裁判所への申し立てが必要となるのです。

    また、民法169条では、家賃の支払いは定期給付債権に該当することから、支払いには時効があり、5年を過ぎると支払いの義務が消滅すると定められています。

    貸主が家賃の未払いを放置して5年が過ぎると、借主への請求ができないことになっているのです。

    家賃の滞納は、事前と月次の確認を徹底することで予防することはできますが、賃借人の事情や意思によっては回収が難しい場合もあります。

    どのような理由で家賃が滞納されるのか、ケースごとに分けてみてみましょう。

    • 忘れていた
    • 旅行など出かけていて支払えなかった
    • お金がない
    • 急な病気や怪我
    • 行方不明・音信不通
    • 支払う気がない

    一般的に、家賃の入金は月末を指定日とすることが多いです。

    月末は給与や他の支払いなどを含めて入出金のやりとりが多く発生し、仕事も忙しいことが多い時期です。

    そのため、入金を忘れてしまうことで支払いができないことや、自動で振り込みの設定をしていたにも関わらず、銀行の残高が足りずに支払いができないということもありえます。

    ちょうど旅行などで一時的に不在にしていることで、支払いができなかったということもあるでしょう。

    滞納が不注意によるものや一時的なものの場合で故意でない場合には、すぐに入金してもらうことで解決できる可能性が高いです。

    しかし、入居者の収支が悪化している場合や、お金がなくなってしまっている場合には、回収が困難になる可能性が高まります。

    もともと安定した収入がない場合や職を失ってしまった場合、急病や怪我で支払いができない状態になってしまった場合などです。

    これらの場合には、支払いの意思があるのであれば、支払いの時期を調整することで滞納された家賃を回収できる可能性はあります。

    一方で、滞納された家賃を支払う意思がない場合には、回収がさらに困難になることでしょう。

    夜逃げ同然で音信不通になったり、行方不明になったりとなると、さらに手間や時間もかかります。

    家賃滞納した賃借人への対処法

    家賃を滞納された場合には、法的な対応をする方法もありますが、弁護士や専門家などへの依頼には時間がかかり、費用の負担も増えてしまうことから、まずは滞納から日が経たないうちから入居者に直接連絡を取ることをおすすめします。

    そのためにできることをいくつかご紹介します。

    • 賃借人本人へ催告する
    • 連帯保証人や家賃保証会社に連絡する
    • 内容証明郵便で督促状を賃借人に送る

    それぞれの方法について順に見ていきましょう。

    賃借人本人へ催告する

    まずは家賃を滞納している賃借人本人に対して、家賃の支払いを催告する方法です。一度の催告ですぐに支払いがあるかを見極めます。

    支払いがない場合でも、滞納の理由や支払時期の目処を教えてもらえる場合があります。

    滞納された家賃の支払いの催告では、滞納の理由を必ず確認しましょう。

    この段階で、支払う意思があるのかを見極めるのです。

    賃借人本人へ催告する手段については、基本的には次の3つになるでしょう。

    • 電話
    • 訪問
    • 書面

    電話での催告は、最も手軽な手段です。単に支払いを忘れていた場合や、明確な滞納の事情があり支払いの目処が立っている場合には、すぐに支払いに応じてもらえる可能性があります。

    一方で、電話に出ない場合や、何度も支払いの意思を見せる一方で滞納が続く場合などには、訪問を検討するのがよいでしょう。

    実際に滞納者の自宅に訪問することは時間や手間がかかりますが、物件や入居者の状況を把握するためにも有効な手段です。

    実際に訪問することより、それだけでプレッシャーを与えることができますが、現地を確認することで、家賃が滞納されている理由がみえてくるからです。

    例えば、電話をしてもつながらなかった賃借人が部屋の中で倒れている可能性があります。

    他にも夜逃げや失踪している場合もあります。現地の状況を確認することで、家賃の滞納が発生する理由がつかめるのです。

    しかし、電話や訪問であっても、執拗な督促や早朝や深夜の取り立て、勤務先や学校などへの督促などは、暴行罪や脅迫罪、名誉毀損罪や業務妨害罪などで訴えられてしまう可能性もあるため、その対応には十分に気をつけましょう。

    電話や訪問で滞納者から支払いの意思がみられない場合には、書面での通知を検討しましょう。電話や訪問では、会話の内容が記録に残しづらいことから、裁判に向けた証拠として残すために内容証明郵便を送るのです。

    家賃を滞納する賃借人と連絡が取れた際には、必ず家賃を支払う能力があるかを確認しましょう。

    もしも支払いの能力がないようであれば、例えば支払いの時期を調整したり、分割払いを可能にしたり、収入に見合った物件を紹介したりすることで、問題が早期に解決する場合があります。

    賃借人本人に対して滞納された家賃の回収が難しい場合には、連帯保証人に連絡することになります。

    連帯保証人に、滞納の内容を伝え支払いを求めるのです。

    連帯保証人への連絡は滞納者本人にとっては関係者との信頼関係を毀損する恐れがあることから、催告の段階から連帯保証人へ連絡する旨を伝えておきましょう

    連帯保証人や家賃保証会社に連絡する

    家賃の滞納者本人に支払い能力がない場合や、支払う意思がないと判明した場合でも、すぐにその場で物件の明け渡しを迫ることは現実的ではありません。

    滞納が続く中で居住を続けられることで、さらに滞納する金額が増え、さらに回収が困難になる可能性があります。

    そのため、滞納の通知をした後に、本人からの支払いが早い段階で見られないようであれば、すぐに連帯保証人や家賃保証会社に連絡することをおすすめします。

    連帯保証人は、こうした場合に代わりに家賃の支払い義務を負いますが、連帯保証人に対しても早めに連絡しておくのがよいでしょう。

    なお、連帯保証人に対しては、家賃滞納者の賃料や遅延損害金の請求、原状回復義務の履行の請求をすることはできますが、貸借人本人の建物明け渡しの義務を連帯して負わせることはできません

    また、近年は賃貸借契約の際に、連帯保証人を立てるかわりに家賃保証会社を利用する場合も増えてきています。

    家賃保証会社を利用している場合には、家賃保証会社に滞納分を代位弁済してもらうことができ、滞納者本人への手続きにも対応してもらえます。

    ただし、家賃保証会社を利用するにあたっては、入居時に利用料を支払うことから賃借人の初期費用が増えてしまうことや、保証会社が倒産することで希望する保証が受けられなくなるリスクもあることを念頭に入れておく必要があります。

    他にも、連帯保証人については、2020年の民法改正により、保証の「極度額」として負担する上限金額の明示が必要となりました。

    その金額次第により、連帯保証人を断られやすくなることも想定しておきましょう。

    内容証明郵便で督促状を賃借人に送る

    滞納者本人も連帯保証人も支払いに応じない場合には、督促状を内容証明郵便で賃借人へ送付します。

    このとき、再三の催告にも応じない旨を記載し、改めて支払いの催告をした上で、応じなければ法的措置に出ることを明記します。

    いわば、法的手段に出るための予告となるのです。

    内容証明郵便は、いつどこでだれが郵便を受け取ったかを確認できるだけでなく、記載内容と受け取りの情報を郵便局が法的に証明する証拠となります。

    滞納され家賃の支払いを求める内容を賃借人または連帯保証人が受け取れば、それを証明することができるのです。

    なお、内容文書を謄写した書面は郵便局で5年間保存されるため、差出日から5年以内であれば、差出郵便局にて証明を受けることができます。

    内容証明郵便に対応しているのは、集配郵便局または支社が指定した郵便局です。

    料金は、基本料金に加えて、一般書留にするための加算料金、さらに内容証明の加算料金をあわせて440円となります。

    記載事項は、文書の表題、通知内容、日付、相手の住所氏名、自社の住所社名、代表取締役名が基本です。

    通知書画像

    家賃滞納の場合は、通知内容に滞納金額、支払期限、振込先、そして「期限までに支払われなければ法的措置をとる」ことを明記しておきましょう。

    【法的措置】家賃滞納した賃借人への対処法

    内容証明郵便を送付しても家賃の支払いに応じてもらえない場合には、いよいよ法的措置に出ることになります。

    訴訟はできるかぎり避けたいところではありますが、賃貸借契約の場合には借地借家法の正当事由制度により一方的な契約解除が認められないことから、法的な措置が必要になるのです。

    家賃滞納における法的措置には主に以下の3種類があります。

    • 支払督促手続をする
    • 少額訴訟をする
    • 民事訴訟をする

    以下でそれぞれの内容や手続き方法について詳しく解説していきます。

    支払督促手続をする

    支払督促は、物件のオーナーや不動産管理会社が簡易裁判所に申し立てをすることで、裁判所から滞納者に対して書面で支払いを命じてもらうというものです。

    詳細な証拠集めが不要で、裁判を開かず書類審査のみで済むという簡便さがなによりのメリットといえます。簡便で迅速な解決を求めるのであれば、時間と労力の両面でみて、支払督促手続がおすすめです。

    支払督促を受けた相手は受領後2週間以内に異議申し立てをすることが可能です。

    異議申し立てをする場合には民事訴訟へと移行するため、結果的に手間や費用がかかることになる可能性があります。

    家賃滞納で明らかに相手方に非がある場合でも、異議申し立てをされる可能性があるため、そのようなリスクは考慮しておく必要があります。

    賃借人から異義が出なければ、通常は1ヶ月半程度で終わります。

    必要な費用は、支払督促の申し立てにかかる手数料と書類の郵送料です。

    手数料は、請求額によって金額が変わります。

    10万円までは500円。100万円までは10万円増えるごとに500円の手数料が加算されます。

    たとえば300万円の申し立てであれば、手数料は1万円となります。

    少額訴訟をする

    少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り利用することができる訴訟手続です。

    金額に制限がある一方で、証拠書類や証人を利用することができます。

    審理は原則として一回に限るため、素早く決着がつくことが期待できます。

    ただし、少額訴訟でも、相手が民事訴訟で審理することを求める場合には、民事訴訟に移行します。

    そのため、支払督促手続と同様に、結果的に手間や費用がかかることになる可能性があります。

    少額訴訟には、基本的に申立手数料と切手代の費用がかかりますが、勝訴すれば訴訟費用を相手負担として請求することができます。

    切手代は、裁判所とのやりとりに必要で、その回数によって変わりますが、5,000円前後が目安です。

    印紙手数料は、請求額に応じて金額が変わります。請求金額が10万円までは1,000円で、以降60万円まで、10万円増えるごとに1,000円の手数料が加算されます。

    民事訴訟をする

    少額訴訟では滞納された家賃の支払いを請求することができますが、物件からの立ち退きまでを請求することはできません。

    一方で民事訴訟では、家賃の回収のみでなく、物件の明け渡しまでを求めることができます

    しかし、一方で時間や費用がかかるデメリットがあります。

    まず、証拠書類や証人をしっかりと揃える必要があります。

    また、専門的知識が求められる場面もあるため、弁護士に依頼するのが望ましいでしょう。

    明け渡し訴訟の場合には、決着までに目安として2年程度がかかります。

    心身をすり減らすことになるので、できれば民事訴訟に至る前に解決しておきたいところです。

    費用については、明渡請求訴訟の場合は、印紙手数用と予納金の基本額6万5,000円、予納郵便切手が約6,000円、その他に弁護士費用などがかかります。

    弁護士費用は100万円程度がかかる覚悟が必要です。

    さらに、強制退去にかかる費用も30万円程度が目安となります。

    家賃滞納訴訟で勝訴した後の流れ

    家賃滞納の訴訟では、判決が下り、賃貸人が勝訴するだけで、すぐに解決というわけではありません

    それでも「お金がない」「支払う気がない」などの理由で、滞納していた家賃が支払われないケースがあるのです。

    裁判上で支払いが認められたにもかかわらず、まだ入居が続いているようであれば明け渡しを請求し、強制執行により財産等から家賃を回収することになります。

    裁判所による立ち退きの催告

    訴訟で勝訴または和解したにもかかわらず、そのとおりに滞納した家賃が支払われない場合でも、貸借人にすぐに退去してもらうことはできません

    また、明け渡しを求めるあまり、勝手に貸家に入り込み借主の私物を運び出そうとすることは、器物損壊や住居侵入の罪に問われる恐れがあります。

    物件の明け渡しを求める際には、まず裁判所による立ち退きの勧告が必要になるのです。

    それが行われて初めて、立ち退きを進めることができるようになります。

    強制執行

    強制執行手続は、勝訴判決を得たまたは和解が成立したにも関わらず、お金の支払いや物件の明渡しをしてもらえなかった場合に、裁判所に請求権を求めることで強制的に実現する手続です。

    期日までに所定の対応が行われなければ、家賃滞納者へ送付した内容証明に基づき、賃貸借契約を解除し、明け渡し請求の訴訟提起を行います。

    これに勝訴すると、裁判所の執行官が入居者を強制的に退去させることになります。

    強制執行の際に、賃貸人は執行官に予納金を支払っておく必要があります。

    予納金は基本額が6万5,000円となりますが、その全額が徴収されるわけではなく、執行手数料を差し引いて残金があれば後日返納されます。

    強制執行では、家財道具の一式を運び出し、部屋を空にします。運び出した荷物は差し押さえとして倉庫に保管されます。それにより、家賃滞納者の資産の処分を防ぐのです。

    当然ですが、荷物を運び出す際にかかる費用や、倉庫での保管の費用などが発生します。

    これらは賃貸人が支払わなければなりません。訴訟のための弁護士費用等もあり、強制執行に関連する経費が高額になることをあらかじめ心得ておきましょう。

    強制退去といっても、強引過ぎるやり方では住居侵入罪に問われる可能性があります。

    家財道具を運び出す際も、取り扱いがひどい場合には器物損壊の罪に問われる恐れがあるため、注意が必要です。

    起訴から強制退去までは5ヶ月程度の時間がかかることも念頭に入れておきましょう。

    滞納者にはできるだけ早く退去してもらいたいでしょうが、強制退去には手間もお金もかかり、大きな負担となるのです。

    なお、滞納者側に支払いの意思がある場合や、賃貸人の強制退去のやり方次第では、裁判所から強制執行を認められない場合もあります。

    こんなときどうする?家賃滞納者の状況ごとの対処法

    家賃滞納といってもその理由は様々です。

    理由によってはすぐに解決することもあります。

    早い段階である程度の譲歩をおこない折り合いをつけておけばよかったものを、内容証明郵便を送ることや、強制的に訴訟に持ち込むことで、逆にこじれてしまう恐れもあります

    その見極めが、家賃滞納をすぐに解決できるか、長期化させるかの分岐点といえます。

    ここでは、以下の場合の対処法について解説します。

    • 賃借人から家賃を支払うから待ってほしいと頼まれた
    • 賃借人の家賃支払い能力がなかった
    • 夜逃げされた
    • 家賃滞納の時効が過ぎた

    賃借人から家賃を支払うから待ってほしいと頼まれた

    • 賃借人が家賃支払いの催告を受けた、督促状を受け取った時点

    この段階では、家賃を払えない理由をしっかりと確認し、内容によっては融通を利かせてあげるのもよいでしょう。

    ただし、あらかじめ期限を設定し、それを守れなければ厳しい措置に出ることを伝えておきましょう。

    • 支払督促手続によって賃借人の家賃支払いが確定した時点

    支払いが確定しているとはいうものの、本人の意思とは別のため、この段階であっても滞納者に支払う意思があるのか、支払える見込みがあるのかをしっかりと確認しましょう。

    連帯保証人とも連絡を取り、賃借人へ支払いを依頼してもらうのもよいでしょう。これらの反応次第では、法的措置に出ることも伝えましょう。

    • 少額訴訟や民事訴訟前の時点

    あくまで滞納された家賃を回収することがゴールですから、訴訟前の段階ではそれを支払う意思があるかを確認することが重要です。

    支払いを待って欲しい理由が現時点でお金がないからなのであれば、いつになればお金を工面できるのかを確認しましょう。

    • 少額訴訟や民事訴訟後の時点

    この段階で滞納された家賃を支払えなければ、強制執行に進むことになります。

    しかし、支払う意思があるのであれば、裁判所の判断で強制執行ができない可能性があります。改めて期限を設け、猶予を与えてもいいかもしれません。

    退去を速やかに行うために、一部の支払いに限り和解するのも、迅速な解決を望むのであれば、ひとつの解決手段となるかもしれません。

    賃借人の家賃支払い能力がなかった

    • リストラなどで収入がなくなり、復職や転職ができない状態
    • 病気などで収入が途絶えている状態

    上記のように支払う意思はあるものの、支払いの能力がない場合には、まず、いつどのようになれば支払えるのかを確認することが大切です。

    分割払いや補助金の活用、生活保護の申請のあっせんなど、支払いを支援することで支払いができるようになるのであれば、その方法をいくつか提示し、可能な範囲で支払えるようにサポートしてあげるのが理想といえます。

    しかし、どうしても払えないとなれば、最終的にはこれまで述べてきたような手順を踏み、強制執行による退去ということになります。

    夜逃げされた

    夜逃げされたことが判明した場合には、まずは連帯保証人に連絡を取ることになります。

    この段階で連帯保証人から支払いの意思が確認できれば家賃の回収は一段落です。

    貸借人や連帯保証人、その家族とも連絡がつかなければ、部屋の残置物の処分をするための手続きを踏む必要が生じます。所有権は賃借人に残ったままになっているためです。

    連絡がつかない事実を申し立てた上で、賃貸借契約の解除、明け渡し請求への手順を踏み、退去の手続きを進めることになります。

    夜逃げされた後の強制執行の場合でも、慎重に進めていく必要があります。

    所有権はまだ賃借人にあるため、対応の仕方次第では住居侵入や器物損壊の罪に問われる恐れがあるからです。

    家賃滞納の時効が過ぎた

    民法169条により、滞納家賃の支払いの時効は5年とされています。金額の多寡に関係なく、家賃滞納の時効が過ぎると賃借人に対して滞納された家賃の請求ができなくなります。

    ただし、家賃の消滅時効の目安である5年間請求をせず放置した場合の話ですから、催告を続けていればこうした事態になることはないはずです。

    消滅時効を防ぐには、2つの方法があります。ひとつは消滅時効を(1)一時的に止める、もうひとつは(2)完全に止める方法です。

    (1)は内容証明郵便で催告をすることにより、最大で6ヶ月間の猶予期間を得ることができます。この期間内に裁判で請求することになります。

    (2)は、裁判における請求や支払督促、強制執行などによるものですが、最も正統なのは賃借人に家賃滞納の事実を認めさせることです。

    事実を認めてもらい、一部でも支払ってもらうことができれば、支払う意思があるものとして、債務を承認したと解釈されます。

    家賃滞納をした人は生活に影響する?

    家賃を滞納している側にとっては、支払いの対応に追われ心身をすり減らすだけでなく、最悪の場合、借りている物件から退去しなければなりません。

    それだけでなく、日常の生活にも大きな支障をきたす恐れがあります。

    信用情報への影響

    家賃保証会社を利用している場合には、家賃の未払い情報は信用情報に記載されます。

    いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれるものです。これにより、新たにクレジットカードを作れなくなってしまったり、その後の5年間ほど、他の家の入居の審査や、ローンの借り入れの審査などに通らなくなってしまったりと、日常のいろいろな場面で支障が出てくることになります。

    信用情報が関係する主なものを以下で紹介します。

    • クレジットカード
    • ローン
    • 全国銀行個人信用情報センター
    • CIC
    • JICC
    • ブラックリスト

    クレジットカードや住宅ローン、ショッピングローンなどの各種ローンにおいては、その支払い情報や利用残高が信用情報として照会されています。

    このとき、保証会社から「ブラックリスト」に登録されていると、返済能力が低いとみなされ、カードの発行やキャッシングの審査に通りづらくなってしまいます。

    全国銀行個人信用情報センターでは、銀行取引における情報等が集められています。ブラックリストに載ることで金融機関のローンなどの審査で通りづらくなってしまいます。

    主に割賦販売や消費者ローン等のクレジット事業を営む企業を会員とする信用情報機関であるCIC、貸金業系の信用情報機関JICCなどでも信用情報を管理しています。

    このような信用情報機関に加盟する多様な業種との取引きにも支障をきたすことがあります。

    遅延損害金の支払い

    家賃が期日までに支払われなければ、賃貸人は遅延損害金を請求することができます。

    遅延損害金の上限は年14.6%と高額ですが、記載がない場合は法定利率として年6%が適用されます。

    実際には日数が小さいうちは金額も微小であることから、遅延損害金が請求されるケースはあまりないようです。

    家賃滞納をさせない対策

    家賃を滞納させないために重要なことは、支払い能力の見極めです。

    入居にあたっては事前に審査をしますが、仕事内容や勤務先の情報もしっかりと確認することが重要です。

    あわせて連帯保証人の支払い能力も確認しておくことが重要です。勤務先や年収などの情報を、契約時に記入してもらうようにしましょう。

    月毎の入金確認を確実に行う

    毎月の入金確認を軽視すると、家賃滞納のリスクを高めてしまいます。

    ある程度、家賃の支払いが続けられていれば、チェックが甘くなりがちですが、突然、入金が途絶えることもありえます。

    毎月の確認を心がけましょう。銀行で記帳をしなくても、手軽に入金情報を確認できるアプリなどもあります。

    連帯保証人の経済状況を確認してから賃貸契約を結ぶ

    連帯保証人は家賃滞納が発生した際に、賃借人に代わり支払いをする人となります。

    賃貸借契約を結ぶ際には滞納まで気が回らないことが多いことから、意外と連帯保証人の確認を漏らしてしまいがちです。

    親や親類の場合でも、勤務先や年収などの情報を取得しておくとよいでしょう。

    入金方法を変える

    入金方法を工夫することで、家賃滞納のリスクを下げる方法を考えてみましょう。

    まずは、賃借人の給与口座から自動引き落としをするという方法です。

    引き落としが自動で行われることで家賃の振り込みを忘れる心配がなくなり、また口座の残高が少なくなった場合でも、振込日に優先して支払いが行われるようになります。

    クレジットカード払いも同様に、家賃滞納を防止する有効な入金方法といえます。

    手数料がかかるため、管理会社も導入にはあまり積極的ではありませんでしたが、近年では利用する管理会社も増えてきています。

    家賃滞納をさせない新対策:不動産テックがおすすめ

    これまで、家賃滞納のリスクを下げるために、契約前には賃借人の情報を確認しておくことと、契約後には月次の入金状況の確認をすることをおすすめしてきました。

    一方で、多くの物件を抱えているメガオーナーや管理会社などでは、管理する物件の戸数によって、業務負荷が大きくなることや、作業漏れが発生するリスクが高まります。

    こうした作業をテクノロジーの力を活用し大幅に軽減することで、抜けや漏れをなくし、さらに余裕をもって業務に取り組むことで生産性を高める、いわゆる業務のテック化の波が不動産業界にも及んでいます。

    GMO賃貸DXは、管理会社のための入居者管理アプリで、賃貸運営を大幅に楽にするものです。

    入居者への情報伝達やメッセージ機能でやり取りを一元管理でき、アナログ対応の煩雑さから解放してくれます。

    オプション機能のバーチャル口座を使えば、面倒な入金確認だけでなく、未入金の場合は、アプリを通じて自動で連絡がいきます。入金確認を怠ると家賃滞納につながるケースが多いことを考えても、未払い対策に大きく貢献することは間違いないツールといえるでしょう。

    まとめ

    管理会社にとって、家賃滞納はできるだけ避けたいトラブルです。

    一方でそのためにはマメな管理が重要になります。

    もしも未払いが発生しても、できるだけ早期に対処する。それが、長期化させないためのポイントです。

    そのためには法律的な知識もしっかり身につけ、便利なツールを活用することなどが、有用です。

    滞納家賃の回収は決して簡単なことではありません。幅広くアンテナを張り、問題が発生したら最適な方法で対処できるようにしておくことが肝要です。

    オーナーや不動産管理会社にとって、不動産経営に直接関わる家賃の滞納や、それに伴う入居者とのやりとりはできるだけ避けたいものです。

    家賃滞納のトラブルでは、できるだけ早めに気づき、早めに対処することが非常に重要です。

    家賃滞納で困らないためには、事前に法律的な知識をしっかり身につけ、日頃から便利なツールを活用することが重要な対策だといえます。滞納家賃の回収は決して簡単なことではありません。

    幅広くアンテナを張り、問題が発生したら最適な方法で対応できるように備えておきましょう。

     

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