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<9コツ目>空室対策5|場当たり的な空室対策ではいつまでも苦労する

空室対策について、過去4回に渡って取り扱ってきました。
特にここ3回は、テナントリテンションに絞ってお伝えしてきました。
今回からは定番のリーシングについて、お伝えしていきたいと思います。

リーシングの空室対策について、いろんな管理会社に話をお聞きしていて気になるのは、硬直的な対応や場当たり的な対応です。

誤解を恐れずに言えば、部屋が空いたら有名ポータルに載せて、しばらく経って反響が無ければ、オーナー様に設備の追加を提案し、承諾してもらえなければ家賃を下げさせて頂いて募集すると言う事の繰り返しです。

確かに空いた部屋ごとに細かく募集内容を変える事になれば、賃貸管理会社の業務効率は大幅に悪くなり、そのスピードが落ちる事で、かえって空室が増える可能性があります。

そうは言っても、オーナー様から見れば、賃貸管理会社はリーシングのプロです。
少しでも満足度を高めて頂くよう一緒に考えていきましょう。

目次

    基本戦略

    まずはリーシングの基本的な部分から確認します。
    お部屋探しをする方の3大ポイントは立地とスペック(仕様)と家賃です。
    これに対して、スペックはある程度変更できる要素はありますが、立地を変える事は出来ません。

    このため最初にご説明したように、スペックを変えられなければ、家賃を下げると言う事になってしまう訳です。
    もう少し正確に言えば、家賃をはじめとした金銭で調整すると言う意味になります。

    具体的には
    ①家賃を下げる
    ②礼金や敷金を下げる
    ③入居者の方にフリーレント(契約当初の無料家賃期間)を長く付ける
    ④広告費を上げる

    と言うあたりでしょうか。

    決してこの方法を否定している訳ではなく、これが基本戦略となります。
    ただし、この方法には工夫がないので、賃貸管理会社としての付加価値が存在しません。
    別の賃貸管理会社がやっても同じ結果となるため、別の管理会社に切り替えられてしまうリスクが高まります。

    従って、そうならないために、このあとリーシングに関わる一連のプロセスごとに個別の戦術を整理して確認していきたいと思います。

    お部屋の解約連絡

    リーシングの空室対策は、入居者の方からお住まいになっていたお部屋の解約連絡が来た時点より始まります。

    ①居住期間の延長交渉

    解約連絡を受けたら、解約の理由をお聞きしながら、解約のキャンセルまたは延期が出来ないか、交渉をします。
    入居者の中には、気分転換で解約する方もいます。
    交渉の結果、解約が中止になる可能性は高くはありませんが交渉する価値はあると思います。

    特に夏場くらいに部屋が空いてしまうと、オフシーズンのため、募集に大変苦労します。
    例え解約を申し出た方の家賃を少し下げてでも、解約の時期を次のオンシーズン(春)まで延長して頂ければ、結果的に空室損が減ると思います。

    ②事前通告期間

    賃貸借契約上の解約の通告期間を長めに取る方法もあります。
    通常の解約通知は解約の1ヶ月前ですが、例えばこれを2ヶ月とする方法です。
    これにより、募集やリフォームの段取りについて余裕を持って進められるため、結果的に空室期間を短く出来ます。

    ③現入居者に次の入居者の紹介依頼

    入居者の方から解約連絡が来てからこの事をお伝えしても間に合いませんが、入居中からこのサービス(次の入居者をご紹介頂いたら紹介料をお支払いする)をお伝えしておけば、ご利用になる方が少しは期待できます。

    このサービスのメリットは募集期間が短くなることで空室期間の短縮が見込めるだけではなく、原状回復費用の削減にもつながる可能性があります。
    さらに言えば、入居者の方の無断転貸のリスクも軽減されるのではないかと思います。

    情報収集・募集条件決定

    募集についての情報を正確、かつ詳細に集めることが出来れば、しっかりした募集につながり、空室の成約機会の向上が期待できます。

    ①オフライン情報(現地)

    ・物件情報
    リーシングについて、現状ではその多くがSUUMOやホームズと言う不動産ポータルサイトを通じて成約している以上、これらポータルサイトのこだわり検索やこだわり条件に該当する部分が無いかを確認することは重要です。
    例えば、バス・トイレ別やロフト付き、宅配ボックスと言うような、分かりやすいものだけでなく、ポータルサイトでは床下収納やシューズボックス、出窓のような、一見、決定力に欠けるような項目もチェックを入れられるようになっています。

    このあたりをコツコツと入力しておくことで、ひょっとしたらその設備が最後の決め手になってお申込み頂けるかもしれません。
    ぜひ、ポータルサイトのこだわり項目は定期的にチェックして、物件調査の項目として反映したいものです。

    ・周辺環境
    自社の管理物件の多いエリアの場合、解約発生のたびに周辺環境を確認する必要はありません。ただ、自社から離れており、かつ、周りに自社の管理物件があまり無いようなエリアの場合には、確認頻度が低い事で周辺の様子が変わっている場合があります。
    近くにコンビニが出来た事を入れていなかったばかりに、内見候補から外れると言う事も普通にあるかと思います。

    ②オンライン情報

    ・周辺環境
    オンラインでもかなりのレベルで周辺環境を調査する事が出来ます。
    物件の近くのユニークな施設なんかを探す事が出来れば、アピールの一つになるかもしれません。例えば、おしゃれなカフェや、有名なラーメン屋と言うようなものから、スーパー銭湯やオタクの御用達のお店などをアピールしてもいいかもしれません。
    不動産ポータルの方でも「〇〇施設まで〇〇m」と言うものが自動表示されるようですが、もう少し掘り下げた内容や写真があるとアピールできます。

    ・相場情報
    家賃相場をしっかりと把握する事は、次の項目でご紹介する募集条件を決める際の大きな要素になります。
    募集賃料と成約賃料では当然、成約賃料の方が安くなります。
    レインズとSUUMOやホームズでは、だいぶ違った相場結果が出ます。
    春の繁忙期と夏の閑散期では、同じ部屋でも家賃が数千円変わる事があります。
    自社の管理物件と同じ最寄りの駅になる新築マンションが出来るだけで、相場が下がります。

    こういった事を考慮しつつ、可能な限り妥当な家賃を把握したいものです。

    ③募集条件決定

    ・家賃(賃料)
    これを強気で行くか弱気で行くかは空室管理の立場から見れば大きなポイントになります。
    この見極めは需要をどう見るかと言う事だと思いますが、一番分かりやすいのは繁忙期か閑散期です。繁忙期は需要が多いから忙しくなるのでこのシーズンは当然の事ながら強気です。

    では閑散期はどうでしょうか?
    閑散期の需要を比較的簡単に調べる方法として、私は以下の方法をご紹介しています。
    SUUMOやホームズにはこだわり項目の中に「即入居可」と言うチェックボックスがあります。
    空室全体のうち、この即入居可の割合で需要を測ることが出来ます。

    どういう事かと言うと、即入居可の比率が高ければ、広告掲載してもなかなか申し込みが入らないため、供給過多気味と考えられ、逆に即入居可の比率が低ければ、広告掲載してもどんどん申し込みが入るため、需要過多だと考えられるからです。

    【例】(件数は検索結果の空室の件数)
    ◇山手線 目黒駅 マンション 20~25㎡ 徒歩15分以内 → 200件
    ◇同じ条件で即入許可                   →  90件
    90件÷200件=45%

    ◇山手線 目黒駅 マンション 40~50㎡ 徒歩15分以内 → 190件
    ◇同じ条件で即入許可                   → 130件
    130件÷190件=68%

    ◇山手線 五反田駅 マンション 20~25㎡ 徒歩15分以内 → 320件
    ◇同じ条件で即入許可                      → 160件
    160件÷320件=50%

    上記より、あくまでも簡易ではありますが、目黒駅の単身者向け(20~25㎡)の需要は同じ駅のファミリータイプ(40~50㎡)よりもかなり需要が多く、五反田駅の単身者向けよりも少し需要が多いと言えます。

    この方法を使って、強気で行くか弱気で行くかと言う見極めだけではなく、時期をずらして同じ条件で比較したり、設備の有無で比較する事でオーナー様への設備の設置提案に使ったり、空室期間の予測に役立てたりする訳です。

    ・礼金、敷金
    これはまず相場に左右されます。
    周りの募集物件がすべて礼0敷0の地域で礼1敷2とかで募集すると単純にお部屋探しの選択肢から外されてしまう可能性が高まりますし、逆に礼1が相場のエリアに礼0で募集をすれば、多少なりとも有利になります。

    ただ、一般論としてテナントリテンション(長期入居)の考え方から言えば、礼金を高くして家賃を安くした方が、礼金を0にして家賃を高くするよりも長く住んで頂ける可能性が高まります。

    ・その他の初期費用
    近年では火災保険料に加え、家賃保証会社の初回保証料が標準的になってきました。これらに加え、シリンダー交換費用、各種清掃費用他、様々な費用が設定されている物件がありますが、これらも礼金、敷金と同様に周辺相場に左右されます。当然、少ないに越したことはありません。

    ・その他の条件
    空室対策的に見れば、ここをどうするかも一つのポイントになります。
    よくあるケースに単身者限定があります。

    狭いワンルームならともかく、充分に2人以上住めるスペックなのに、これまでの慣例で単身者限定として募集してしまうケースです。
    空室募集で困っていなければかまいませんが、長期空室でオーナー様も了承するような物件にも関わらず、そのまま募集するのはもったいない話です。

    外国人や高齢者に関してもそうです。
    私も長い間、管理会社に勤めていたので事情は分かりますが、実際にこういった方々に入居して頂いていて、そこまで困ったケースはほとんどありませんでした。
    むしろ私は高齢者の入居については推進していました。

    高齢者は上階よりも人気の無い1階に入って頂けますし、周りの方に迷惑をかけるような騒音も出しません。
    そして、何よりも長く住んで頂ける優良入居者だからです。

    まとめ

    リーシング第1回目の今回については、解約受付から募集条件決定までの、初動部分について、ご紹介してきました。

    一般的にリーシング業務のイメージは、この初動部分よりあとの、図面作成をしたり、賃貸仲介業者や入居候補者への営業のイメージが強いのではないでしょうか?
    しかし、今回ご紹介したような一見地味に見える部分に手間をかけていけば、必ず長期的な効果が出てくると思います。
    今後はこのあたりにも注目して頂ければと思います。

    次回はメディアの選択やコンテンツ作成等のステップに進みたいと思います。
    ぜひご購読下さい。

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