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<13コツ目>空室対策9|反響対応や内見、入居審査を通じた空室対策

賃貸管理会社の空室対策について、8回に渡り、そのポイントをご紹介してきました。
基本的にリーシング業務の流れに沿ってこのテーマを取り扱ってきましたが、前回は一度脱線して、リフォーム工事について考えました。

今回は流れを元に戻して、入居者募集時の賃貸仲介会社からの反響対応、そして内見(内覧)、入居審査について考えていきたいと思います。

目次

    反響対応

    空室対策としての反響対応ですから、当然、一番重要な要素はスピードになります。
    1日でも早く成約になれば、その分、空室にかかる家賃負担が減る訳ですから、反響に対して迅速に対応する事が大きなポイントとなります。
    また、反響対応の品質についても、その空室が成約になるかどうかの成否に大きく関わります。品質が悪ければ、そもそも問い合わせ自体、して頂けなくなるので、空室はいつまで経っても減りません。

    具体的には以下の点を確認してみましょう。

    【反響対応のポイント】

    ①対応時間帯

    当然ですが、365日(+24時間)の対応が出来れば、賃貸仲介会社からの満足度は向上し、他の管理会社との差別化も図れるのではないかと思います。
    ちなみに週1回を休日にして、反響対応をしていない管理会社がありますが、単純計算でこれらの管理会社には年間で以下の影響がある可能性があります。

    [前提条件]
    ・管理戸数1000戸、空室率3%、平均家賃60,000円
    ・1ヶ月の平均日数が30.4日
    ・問い合わせ数が曜日に関係なく一定である

    → 1,000戸 × 3% × 60,000円 ÷ 30.4日 × 1日(休み)/7日(1週間)× 365日

    = 3,087,406円(空室損)
    = 0.42%(空室率) → 3%の空室率が3.42%に悪化

    ②受電率

    受電率はコールセンターでよく使われる基準で、問い合わせがあった電話に対して、オペレーターが応答できた比率の事です。
    電話が集中する時間帯があったりするので、なかなか100%とはいきません。
    90%以上応答できれば一般的には優秀とされています。

    この応答率が8割を下回ってくると、満足度も下がってくるようですが、さらに下がってくると、「あの管理会社に電話してもつながらない」と言う事になり、受電率が低くなる以上に、そもそもお電話をしてもらえないような悪影響が生じる事になります。

    ③問い合わせ返答率

    お問い合わせを頂いて電話を受ける事が出来ても、受けたその電話で質問に応えられなければ賃貸仲介会社の満足度は下がります。
    これらのケースで良くあるパターンは電話のたらい回しや折り返しです。
    お問い合わせをして頂いている賃貸仲介会社はその店頭で、お客様を目の前にした状態でお電話を頂く事も多くありますので、そのお問い合わせにすぐに応えられなければ、お申込み頂けません。このため、お問い合わせ頂いた質問にいかにスピードを持って応えられるかは、重要な要素です。

    以上がそのポイントですが、これらのポイントに対して完全に対応していくとなると相当な費用がかかってきます。
    そこでこれらのポイントの費用対効果も見なければなりません。
    つまり、これらの課題をいかに低価格で解決できるかも重要な要素になります。

    【反響対応の対策】

    ①対応時間帯

    これを解決する方法としては、いくつかあります。

    ・コールセンターへの一部、または全部の外注
    反響対応について、24時間365日の一部、または全部をコールセンターに委託する方法です。最近ではリーシングの反響対応に特化したコールセンターも出てきており、彼らのオペレーターへの教育により、その品質も賃貸管理会社が自ら受電したものに匹敵するレベルになってきています。
    賃貸管理会社が、社内でオペレーターを教育した上で、しかも時間帯によってオペレーターに残業代を支払いながら深夜も含めシフトを組むよりも、大幅にコストを抑えられるのではないでしょうか。

    ・メディアの選択肢の提供
    賃貸仲介会社からの反響を受けるメディアについて、電話以外に選択肢を広げる事により、賃貸管理会社の通常の営業時間を超えて対応が可能になります。
    具体的にはLINEやSMS、専用システムや専用アプリへの誘導により、結果的に翌日対応となったとしても、当日中に受付までは可能になります。
    これらのメディアは、1人のオペレーターで同時に複数の案件に対応できるため、コストダウンにもつながります。

    ・自動応答
    以前よりチャットボットのような自動応答システムはありましたが、これらはあまり実用的とは言えなかったと思います。
    それが生成AIの登場により、一気に実用化の可能性が見えてきました。賃貸管理会社の反響対応は生成AIでと言う時も近いかもしれません。

    ②受電率

    受電率を上げるために必要な要素は、電話の集中する時間帯にいかに多くの電話に対応できるかとなります。この対策についても、基本的には①の対応時間帯の対策
    と同様になります。
    つまり、コールセンターには元々多くのオペレーターが待機している上に、受電率の向上は彼らの至上命題ともなっており、コールセンターの選択を誤らなければ受電率の向上は期待できるのではないでしょうか。
    また、LINEやSMS、専用システムや専用アプリは元々24時間対応が可能です。
    さらに生成AIも対応時間を問いません。

    ③問い合わせ返答率

    これにも複数の対策が考えられます。

    ・教育
    リーシングの反響対応には専門用語、業界用語や独特の慣習が存在します。
    これらを効率的に教育できる仕組みが必要になります。
    単に質問に答えるだけでなく、成約に結びつくような営業力も付けなければなりません。
    実態としては、経験の長い方が有利なため、オペレーターにいかに長く働いて頂くかにも力を入れた方が良いと思います。

    ・マニュアルの整備
    すべての質問の回答をオペレーターが記憶する事は現実的ではないので、マニュアルの整備もポイントになります。
    さらにそのマニュアルは常に最新の状態にしておかなければ、返答率が下がったり、誤った回答をする事になりますので、書面と言うよりクラウド型の電子マニュアルが必要になります。クラウド型の電子マニュアルは最新情報を追加した瞬間にすべてのオペレーターにその情報が共有できるため、品質の維持向上が期待できます。

    ・ツールの活用
    お問い合わせの内容によって、適切なオペレーターを自動選択させるシステムや、賃貸仲介会社に必要な情報をすぐに探せるシステムを用意して、自身で探してもらうような流れが進んでいます。

    内見対応

    空室対策としての内見で賃貸管理会社が対応したいポイントは、賃貸仲介会社や、直接お申込み頂くお客様からの様々なニーズに応える事だと思います。

    一般の内見は、賃貸仲介会社から、「お客様にお見せしたいので内見したい」と言う連絡が賃貸管理会社にあり、何らかの方法で鍵をお渡しし、賃貸仲介会社とお客様で空室を内見すると言う流れになります。

    ただ、最近ではセルフ内見(信頼できるお客様だと言う確認をした上で、電子錠等を開錠し、お客様が単独で空室を内見する)と言うスタイルも出てきており、賃貸管理会社自身が案内する方法も含め、内見の多用化が進んでいます。

    セルフ内見が出現している背景は、単に賃貸管理会社や賃貸仲介会社の業務の効率化と言う側面だけでなく、そもそもお客様だけでゆっくりと部屋を見たいと言うようなニーズが増えてきていると言う面もあります。

    これらいくつかの内見方法はどれが一番良いと言う訳ではなく、その時その時のお客様の利用したい内見方法をお客様ご自身が選択できると言う状況が空室対策的には良いのだと思います。
    実際には、立地やタイプによって、それぞれニーズの高い内見方法が決まってくると思いますので、賃貸管理会社としては物件に応じて、このニーズに合わせていく事が出来れば、空室対策になるのではないかと思います。

    ただ、最近、特殊詐欺グループや麻薬の密輸グループが空室を犯罪に利用するケースが増えてきているようですので、空室時の鍵の取り扱いには充分注意する必要があります。

    入居審査

    賃貸仲介会社はお客様と内見したあと、お部屋が気に入って頂ければ入居申込書を賃貸管理会社に送る流れとなりますが、その後の入居審査にも空室対策として考えなければならないポイントがあります。

    ①審査時間

    審査時間をいかに短縮できるかは空室対策として大きな要素になります。
    なぜなら、審査時間が長いほどお客様のキャンセル率が高まるからです。
    以前、審査に1週間以上かかる管理物件があると聞いた事があります。
    この物件のご紹介をしている賃貸仲介会社が、お申込み前にお客様に対して、審査に1週間かかりますと言った時点で、申し込みをあきらめるお客様もいると思われます。このため実際には目に見えないキャンセルも発生していると思います。

    また賃貸仲介会社自身もこういった物件を選択しない傾向があると思います。

    ②審査基準

    誤解を恐れずに言えば、いかに審査の通過率を上げるかも空室対策になります。
    これは単に審査基準を下げると言う事ではありません。

    私がこれまで様々な賃貸管理会社に聞いた経験では、各社とも表面的な事項(形式的な基準)についてのみ、審査をしている傾向が強いようです。
    もともと、入居審査の目的はいろいろあると思いますが、大きなポイントは家賃を滞納しない事と、周りの入居者や大家さんに迷惑をかけない事の2点ではないでしょうか。

    この目的に沿って考えると、表面的な事項だけでは把握しきれないと思います。
    審査基準は公開できない事もあり、なかなか簡単にはいかないとは思いますが、賃貸管理会社として、可能であれば目的に沿った基準がどうあるべきかを考える機会を持つべきだと思います。

    まとめ

    今回は、空室の募集を開始した後の反響対応、内見対応、そして入居審査について、空室対策としてどうあるべきかを考えてきました。

    すでにご説明したとおり、単純にこれらに必要な人員を配置すれば相当なコストがかかってきます。
    管理戸数が10万戸以上あるような大手であれば、スケールメリットでこれらのコストを吸収できるかもしれませんが、大多数の中小管理会社だと、そうはいきません。

    したがって中小の管理会社は、いかに外注化やIT化、そしてこれらの仕組化を使って業務フローを構築し、効率的に業務を流していくかが、反響対応・内見対応・入居審査の鍵になってくるのではないでしょうか。
    以上

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