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<14コツ目>空室対策10|空室対策ロジックツリーとは?

賃貸管理会社の空室対策について、9回に渡りそのポイントをご紹介してきました。
今回はこの空室対策の最終回として、全体に関わる部分や派生する部分について取り扱いたいと思います。

空室対策の総括としてご覧下さい。

目次

    空室対策ロジックツリー

    過去9回に渡りお伝えしてきたとおり、空室対策とは言っても、物件ごと、季節ごと、エリアごと、賃貸管理会社全体等、様々な方法があります。
    どうやったら空室が減るかと言う事を、個々の募集図面をじっと見ても空室は減るものではありません。

    個々の空室対策も重要ですが、まずは俯瞰して空室対策をとらえる事も重要です。
    このため、これまでにご紹介してきた内容を、空室対策ロジックツリーとして項目ごとに整理してまとめてみました。

    ご覧頂いたとおり、まず最初にデータドリブンとこの後にご紹介する管理会社のブランディングを挙げさせて頂いています。
    さらにその下に大きな分類として、リーシングとテナントリテンションの二つに分けています。
    こうやってみると、一般的に空室対策のイメージが強い「募集するために何か設備をつけてみる」が全体の一部に過ぎない事が分かります。

    それぞれの項目の詳細については、関連するコラムNoでご確認頂けます。
    賃貸管理会社の皆さんはまずこれらの項目をチェックシートとして一通りご確認頂き、不十分な項目をピックアップして、対策を立てられる事をお勧めいたします。

    空室対策は複層的に

    すでにこれまでのコラムでもご説明していますが、上記に挙げた空室対策の項目を単体で実施してもその効果は限定的になります。

    例えば、需要もあり、費用対効果もあるリノベーションをいくらうまく実施しても、それに見合った募集メディアを選択できなければ、効果はありません。
    また、社宅の解約等により、一度に多くの解約が出た場合に、すべての部屋を同一条件で家賃を下げて募集するより、いろんな空室対策を活用して募集した方が、成約機会は広がります。

    つまり重要な事は単体の空室対策を決定した後、それにより他のどの項目にこの対策が影響を及ぼすのかを確認する事が重要です。

    さらに、賃貸住宅(=不動産)は大量消費財とは異なり、それぞれの部屋が世の中に1つしかありません。
    また、一人で何室も空室を借りてもらう事は出来ません。
    賃貸管理会社のビジネスは数多くの空室を取り扱う一方で、賃貸住宅と言う高額商品を1対1でマッチングするサービスでもあります。
    それぞれの空室にマッチする入居者を探し出して、この空室の希少性を理解して頂いた上で購入(賃借)して頂くと言う奥の深いサービスでもあるので、そう言った意味でも、対策は単体ではなく、複層的に行うべきではないでしょうか。

    新築の賃貸住宅への反映

    これまでに様々な空室対策をご紹介してきましたが、そのほとんどは「事後対応」でした。
    つまり、新築か中古かは別にして、いずれも「既に存在している」賃貸住宅に対する対応策でした。

    しかし、よく考えてみると毎年多くの新築の賃貸住宅が誕生しており、これらがそもそも竣工する前に空室対策を施す事は出来ないのでしょうか?

    答えはNOです。

    新築住宅の企画段階(つまり、建築前)から、空室対策として出来る事は数多くあります。

    ①需給バランスの調査

    賃貸住宅の企画の場面でよく聞かれる話は、住宅を建築する予定の土地にいかに多くの居室を入れ込むかと言うテーマです。
    あるいは、その土地の容積率や建ぺい率を最大限活用した企画が優秀とされる風潮もあります。

    果たして、これらが最上の企画でしょうか?
    私はこれらの要素よりも優先順位の高い要素として、需給バランス、それも企画対象となる賃貸住宅が将来解体になるまでの長い期間についての需給予測ではないかと思います。

    いくらその土地に目一杯の戸数と専有面積を使った企画をしても、その間取りや設備やデザインが、需要に見合ったもので無ければ、想定した家賃を下げて募集しなければ成約は出来なくなります。
    つまり、当初の目論見が外れる訳です。

    そう言った意味で、企画する立地の需給予測は非常に重要な要素であり、この予測は賃貸管理を実際に行っている人たちが一番良く知っているのではないかと思います。

    ②テナントリテンション対策

    一度、竣工してしまうと、間取りの変更や大きな設備の設置は費用がかかるため、なかなか簡単にはいきません。
    そう言った意味で、賃貸住宅の企画の段階でいかに長く住んで頂けるものを建築するかは大きなポイントとなります。

    ここで重要な要素は「使い勝手」ではないかと思います。
    毎日利用する住宅ですから、見た目のインパクトよりも使い勝手(ユーザビリティ)が良い事は、長く住んで頂くためには重要です。
    また、この事は賃貸管理会社が日々、入居者との会話の中で得られるものではないかと思います。

    ③入居者募集時期

    いかに早く入居者の募集が開始できるかは空室対策に重要な要素です。
    これは既存の賃貸住宅だけではなく、当然、新築の賃貸住宅でも同様です。

    場合によっては、まだ建築する前の段階でニーズを吸い上げる事で、より需要に合った賃貸住宅に企画を変更する事もできるので、リーシング効果だけではなく、テナントリテンション効果も期待できます。

    もちろん、青田売り(実際の住宅が無い状態で先に募集・販売する)は、法令上の制限もありますから、誇大広告にならないように、充分注意して募集する必要があります。

    賃貸管理会社のブランディング

    空室対策の最後は、賃貸管理会社のブランディングについてです。
    ブランディングは一般に自社のサービス(商品)を「独自のもの」として、顧客に認識して頂き、これを選択して頂くための取り組みです。

    ホテルや航空会社を想像して頂ければ分かりやすいと思います。
    ブランディングがうまくいくと多少価格が高くても選択され、売上や利益の向上、また、人材の採用にも有利に働き、好循環が生まれやすくなります。

    私たちの賃貸管理業は、まだ業としての歴史が浅いため、このブランディングはまだまだ成功している業界とは言えません。
    裏返せば、ブランディングによる事業成功の余地はまだまだあると言えます。

    賃貸管理業でブランディングがうまく行った場合、空室の募集に限らず、管理物件の仕入れにも有利に働くため、ホテルなどの業種よりも、より短期間で売上向上の効果が出るのではないでしょうか?

    とは言っても、ブランディングには元々時間もかかるため、簡単ではない事も確かです。
    では、何から取り掛かればいいでしょうか?

    大前提として、必要不可欠な要素はサービスの品質ではないでしょうか?
    入居者の方が望む最低限のサービスが満足に出来なければ、いくらロゴやキャラクターを作って、コマーシャルをしてもブランディングの効果は出ないのではないでしょうか?

    さらに、ホテルにあって賃貸住宅に足りないものとして、ホスピタリティが挙げられるのではないかと思います。
    賃貸管理業に務めていらっしゃる方の中で、自社の管理物件に入居されているお客様に対して、心から感謝して、日々対応されている従業員の方はまだまだ少数派ではないかと思います。

    もし、心から感謝していれば、そう言った気持ちは当然態度にも表れますから、その賃貸管理会社は自然と評判を呼ぶのではないでしょうか?
    ロゴやキャラクターが無くても、現在はインターネットで口コミが広がる世の中ですから、ホスピタリティの向上は一番のブランディングではないかと思います。

    まとめ

    賃貸管理会社の空室対策について、今回を含めて10回に渡りお届けしてきました。
    いかがでしたでしょうか?

    私自身もこの課題を考えながら、当初考えていたよりも奥の深さを実感しました。
    賃貸住宅の運営は家賃と言う売上が無ければ、そもそも成り立ちません。
    空室対策は賃貸住宅の運営にとって最大のテーマであり、空室率をいかに下げるかは永遠のテーマとも言えるのではないでしょうか?

    さて、次回からは建物(賃貸住宅)をテーマにしたいと思います。
    このテーマも奥が深く、また、どこまでが賃貸管理業の領域か、はっきりしていないところもあります。
    建物の保守管理や修繕、長期修繕計画、原状回復工事、入居者へ設備の取り扱いについての情報提供等、数多くのテーマがあります。
    これらについて、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
    よろしくお願いいたします。

    以上

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