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<8コツ目>空室対策4|どうやったら長く住む人に入居してもらえるか?

今回はテナントリテンション(入居者の保持)の最終回です。
これらを実現できれば、入居者の入れ替えが減り、結果として空室率が下がります。
部屋が空いてからいかに早く入居者を見つけるかと言うより、そもそも部屋を空かないようにする訳ですから、私は最強の空室対策だと考えています。

このコラムではテナントリテンションの1回目に、どのような条件で入居者の居住期間が左右されるのか。あるいはどんな入居者が長く住むのかをデータでご紹介しました。
2回目はデータやその他の情報を基に、長く住む人とはどのようなタイプの入居者かを考えてみました。

3回目の今回はテナントリテンションの具体的な活用策です。
方法は3つあると考えています。

長く住んで頂くためにサービスを充実させる方法、これと裏腹に居住期間の短い入居者に制限をかける方法、そして、そもそも長く住むタイプの入居者に入居して頂く方法です。

目次

    長く住んで頂くためにサービスを充実させる方法

    現在、居住中の入居者に少しでも長く住んでもらうために、設備を新しくしたり、壁紙を張り替えたりする・・・・一見、効果があるように思え、実施されている大家さんを見かける事もあります。

    確かに入居者の満足度は上がると思いますが、私はこの施策がそれほどテナントリテンションの効果があるとは思えません。 なぜなら、この施策が入居者の転居をあきらめさせるほど強力ではないからです。 以下はある管理会社の入居者の解約理由です。

    住まい以外の要因(転職、転勤、結婚、入院、社宅入居、住宅購入等) 75%
    住まいの環境を変えたい(ポジティブな要因:気分転換等) 14%
    住まいの環境を変えたい(ネガティブな要因:近隣トラブル等) 3%
    大家・管理会社への不満(家賃が高い等を含む) 2%
    物件要因(セキュリティ、部屋の広さ、ペット、グレード等) 6%

    ※上記には家賃滞納による強制解約や管理物件そのものの解約は含みません。

    つまり、入居中に大家さんがせっかく設備や壁紙を交換しても、解約理由のほとんどが別の理由であるので、効果的な対策とはならないからです。

    ちょっとやそっとの設備くらいでは、長く住んで頂けません。

    もちろん、効果はまったく無い訳ではなく、例えば3点ユニットバスをバス・トイレ別に替えたり、古いタイプの間取りを人気の間取りに変更すれば、効果は上がるのではないかと思います。しかし、このレベルの仕様の変更を入居者の居住中に実施するのは大変かと思います。 従って、入居者が居住中の物件に対策を施して長く住んで頂く方法は、例えば外部収納を追加するとか、監視カメラや防犯性の高い鍵(シリンダー)を取り付けてセキュリティ効果を上げる等、ある程度、手段が限られるのではないかと思います。

    居住期間の短い入居者に制限をかける方法

    入居者の居住期間を長くする対策だけではなく、居住期間の短い入居者を減らす事によって、結果として入居者全体の平均居住期間を延ばす事が出来ます。

    ①短期解約者に違約金(家賃1ヶ月分等)を課す方法
    1年以内に解約した場合には違約金がかかることを、入居者の募集時や契約時に周知してから契約します。 短期間で解約する見込みが最初から分かっている方は、そもそも契約しませんから、 抑止力となり、結果として短期間の契約者が減ると言う方法です。

    一般に入居者の募集には多額の費用がかかります。 せっかく入居してもらったのに、すぐに解約されてしまっては大変です。 実際、この方法を導入している管理会社も多いのではないでしょうか?

    ②追加のサービスや商品に違約を付ける方法
    入居者に対して何らかのサービスや商品を提供する代わりにこれを短期で解約すると違約を課すと言う方法です。この方法は携帯電話の購入でありましたね。
    個人的にはこの方法はあまりお勧めしません。

    ③契約更新に関わる方法
    賃貸借契約の期間は一般的に2年が多いですが、実はこのタイミング(契約更新)でお部屋を解約されてしまうケースが多くあります。
    そうであれば、更新料を下げたり、場合によっては契約更新そのものを無くして、解約のきっかけを無くしてしまおうと言う方法です。

    以前、勤めていた会社で、更新料を頂くどころか、更新料を無くした上で更新ごとに少しずつ家賃を下げる試みをした事がありました。
    この方法は、長期的に供給過多になって価格が下がる市場には非常に理にかなっていると思います。 実施しては効果がありましたが、その当時はそれほどお部屋の募集に困っていなかった時期でもあり、普及しませんでした。 ただ、今後人口減少が進む中でこう言った方法は増加するのではないでしょうか?

    これ以外にも方法はあるかと思いますが、入居者の反感を買うような方法は次の募集に悪影響を及ぼす事になりますから、避けた方が良いかと思います。

    長く住むタイプの入居者に入居して頂く方法

    この方法が個人的にはこの効果が一番高いと思っています。

    一般に現在の募集対策(=空室対策)は、入居者に申し込みをして頂くための対策になってしまっているので、管理会社にとって、申し込んだ人が長く住むかどうかの意識はあまり無いのではないでしょうか?
    申し込みをして頂くための対策ですから、設備や内装はどちらかと言えば申し込みをしたい人から見た、見栄えや聞こえの良いものが中心であると思います。

    また、入居審査も単に年収が多い方が通過しやすく、低い方は通過しにくい傾向にあるように思います。
    しかし、年収が高くても、さらに年収が上がっていく方は、以前のデータにもあったように居住期間が短い傾向があります。
    言い換えると、テナントリテンション的には年収がどんどん上がっていく方よりも、年収が低くても安定している方がありがたい(長く住む)入居者と言う事になります。

    それではどうやったら長く住む人に入居して頂けるでしょうか?

    この方法も私は3つあると思います。

    基本的には過去2回のコラムを基にしたものなので、理由はその中にあります。

    ①長く住む人に有効な設備
    ・ガスコンロ
    ・網戸
    ・屋根付き駐輪場

    ②長く住む人に有効なサービス
    ・共用部分の清掃品質
    ・管理会社の丁寧な応対
    ・ポイントサービス

    ③長く住む人に有効なメディアで募集
    ・ガテン系メディア
    ・お役所仕事系メディア
    ・新卒者が目にするメディア(春季限定)

    最強の施策「コミュニティ」

    さて、テナントリテンションも最終かつ最強の施策をご紹介したいと思います。

    それはコミュニティのある賃貸住宅です。 なぜ最強かと言うと「住まい」そのものが目的になるからです。 まず、コミュニティの分類から始めたいと思います。

    ①趣味
    これは分かりやすいかと思います。
    ペット、自転車、自動車、鉄道模型、料理、習い事他、いろんなものがあるかと思います。
    埼玉には同じサッカーチームのファン同士が入居するマンションもあるそうです。

    ②ポリシー(?)
    LGBTQや宗教みたいなところから、ライフスタイルまで、考え方の似ている方々のコミュニティです。

    ③相互補完
    母子家庭、高齢者、外国人と日本人等、互いに助け合って住む事で成り立つため、簡単には引っ越せなくなります。

    以上、分類をしましたが、上記の複合的な目的のコミュニティも存在します。 こういった分類のコミュニティを形成して入居者を囲い込む事がテナントリテンションにつながります。

    トキワ荘をご存じでしょうか?
    東京都豊島区にあった木造二階建てのアパートで、手塚治虫や藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら多くの漫画家が居住していたことで有名になりました。正確に言えば、トキワ荘がこの項の最初にあった「住まい」そのものが目的になった入居者で占められていた訳ではありません。しかし、マンガと言う趣味(と言うよりは仕事ですが)を共通点にして、共感した者たちが集まり、老朽化により取り壊されるまでの約30年間、常に満室経営だったようです。

    現代版の「トキワ荘」を創る事が、テナントリテンションのゴールではないかと思います。

    私自身もこれまでに2つのコミュニティ賃貸を経験しました。

    1つ目はハラッパ団地・草加と言う物件です。 築年数は40年を軽く超えた団地でしたが、1800坪と言う広い敷地を活かして、リノベーションを実施し、敷地内に保育園、農園、ドッグラン、コミュニティルーム等を設置して、人気物件となりました。

    2つ目は、コラムの3回目にご紹介したノビシロハウス亀井野です。 高齢者と若者の同居と言う今までに無かったタイプのコミュニティ賃貸として、大きな反響を呼びました。

    数は少ないですが、この違ったタイプの2つのコミュニティ賃貸住宅を経験する中で、コミュニティを形成するいくつか「コツ」のようなものを得たような気がします。

    ①ファシリテーター
    会議で言うファシリテーターのような存在が必要です。 この役割の人材を見つける事が意外に大変です。 そのコミュニティに対する強い「思い」のある方でなければならないからです。

    ②仕掛けとしての設備
    事前準備しないよりも、そのコミュニティに応じた装置を用意する方がコミュニティの構築が早く可能となります。「装置」は単にコミュニティの利便性を良くするだけでなく、入居者のモチベーションを上げる効果もあるからです。

    ③全員がコミュニケーションをする訳ではない
    コミュニティに参加している全員が、そのコミュニティに心酔して活発にコミュニケーションしている訳ではありません。 コミュニティそのものは中心人物とその周辺の方たちがコントロールしており、その周りの多くの人たちは、コミュニティに参加していると言う満足感や安心感みたいなものでつながっているように思います。

    コミュニティ賃貸住宅が最強である所以(ゆえん)は、テナントリテンションの施策のうちの2つ(長く住んで頂くためにサービスを充実させる方法と長く住むタイプの入居者に入居して頂く方法)を効果的に実現している点です。コミュニティ賃貸住宅には、長く住んで頂くための装置(ハードとしての装置だけではなく、すでに居住している魅力的な入居者)が備わっています。 また、そういった賃貸住宅は珍しいため、評判(口コミ)を呼び、長く住むタイプの人が入居しやすくなり、結果として好循環となっていきます。

    新築である必要が無く、豪華な設備も不要で、さらに言えば十分な専有面積が無くても、そこに住む入居者は、他に同じコミュニティが無いため、引っ越したくても引っ越せなくなります。
    これが最強のテナントリテンションの施策なのではないでしょうか?

    まとめ

    3回に分けてテナントリテンションについて考えてきました。

    テナントリテンションは、会社の社員の離職率低下対策に似ているような気がします。会社でも単に社員の満足度を上げただけでは、一時的な施策にしか過ぎないように思います。

    必要な事は、会社で言えば経営者と社員や社員間がコミュニケーションを取って、信頼関係を高め、会社を離れられない理由を作ったり、他に同じような会社がないようにする事ではないかと思います。

    以上

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