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<1コツ目>賃貸住宅管理業法上の従業者証明書の不携帯で前科一犯に?

賃貸住宅管理業法上の従業者証明書の不携帯で前科一犯なるかもしれないと言う話を聞いて、「ええっ!?ホントに?」と思ったので、少し調べてみました。

先に結論から言えば、これは正確な表現では無かったのですが、会社側が従業員にこの証明書を持たせないと会社の代表者が前科一犯になる可能性があると言う意味では「≒(ニアリーイコール)」でした。

以下、昨年(2022年)から入り始めた賃貸住宅管理業法に関する国の立入検査(全国一斉パトロール)の内容を踏まえ、私自身が感じた意外に気付かなかった従業者証明書のポイントを賃貸管理会社向けにいくつかお知らせします。

目次

法律の記載内容と実際の場面

賃貸住宅管理業法は2021年6月の施行開始後、1年のいわゆる準備期間を経て、2022年6月からは本格運用を開始しました。
つまり、2022年6月以降は、この法律をしっかり守っていないと罰則もある訳です。
冒頭の従業者証明書の件もこの法律の第17条に違反した場合の罰則です。

第17条(抜粋)

第17条(証明書の携帯等)

賃貸住宅管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、その業務に従事する使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。

第44条(抜粋)

第44条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

第十七条第一項若しくは第二項又は第十九条の規定に違反したとき。

とあります。

さらに言えば、たとえ30万円以下の罰金刑であっても刑事罰ですから、前科が付き、5年たって法律上の責任が消えても、個人については死ぬまでその記録が残る事になります。

実際の場面としては以下のようなイメージです。

証明書に関する意識の薄い従業員が、クレームで相当お怒りになっているお客様の部屋にお邪魔した際、お客様から「あなた、賃貸管理会社の人なんでしょ、まず従業者証明書を見せなさい!」と言われたとき、「従業者証明書って何ですか?持っていません。」とか言ってしまったら、かなりヤバいと言う訳です。

誰に持たせるか?

国はこの賃貸住宅管理業法の施行にあたって、「解釈・運用の考え方」と言う解説文書を公表しており、この中で従業者証明書に関する部分について以下の記載があります。

「解釈・運用の考え方」(抜粋)

従業者証明書の携帯等について

従業者であることを表示する方法は証明書による方法に統一することとする。この従業者証明書を携帯させるべき者の範囲は、賃貸住宅管理業者の責任の下に、当該賃貸住宅管理業者が営む賃貸住宅管理業に従事する者とする。なお、賃貸住宅管理業者と直接の雇用関係にある者であっても、内部管理事務に限って従事する者は、従業者証明書の携帯の義務はない。また、単に一時的に業務に従事するものに携帯させる証明書の有効期間については、他の者と異なり、業務に従事する期間に限って発行することとする。

この記載についても解釈によっては微妙な部分があり、仮にいつもは内部業務に対応している従業員が業務シフトの関係でたまたま外出して、お客様の物件にお邪魔した際もアブナイかもしれません。

つまり、お客様と直接面談をする可能性のある従業員は全員従業者証明書を携帯した方が良いと思います。

意外に重要なのが、ただ携帯していれば良いだけではなく、関係者から請求があった場合には掲示しなければならない部分です。
この部分についても不携帯と同様の罰則規定となっており、当然の事ですが、業務を行うアルバイトやパートタイマー(携帯義務あり)も含めた従業員には、関係者から請求されたら見せるようにと言う指導も必要となります。

運用実務

以上の事から従業者証明書の管理はしっかりと実施する必要があります。

すでに宅建業を営まれている会社も多くあるかと思います。
基本的にはこの管理と同様になりますが、改めてポイントを確認します。

①宅建業法上の従業者証明書とは内容が異なるので、宅地建物取引士で管理業務にも携わる従業員は従業者証明書も2つ必要になります。

②従業者証明書番号の附番規則があるため、従業員が一定数以上の場合、既存の従業員名簿とは別に附番管理が必要となります。

証明書の有効期間が5年間のため、この期間管理が必要になります。開始日は証明書の作成日となります。

④記載事項や大きさは決まっているため、この規格に合わせたものを作成する必要があります。

従業者証明書の規格はこちら
https://www.ktr.mlit.go.jp/kensan/pdf/21_.pdf

引用:国土交通省関東地方整備局ポータルサイト

まとめ

現在は国として賃貸管理会社が新しい法律を遵守しているかと言う主旨で立入検査を実施しており、まだまだあまく見て頂いている部分があるかと思います。

しかし、油断は禁物です。
管理会社はサービス業ですから、毎日の管理業務の中でお客様にご満足頂けなかった場合、今回取り扱ったような従業者証明書の件をきっかけにして、立入検査が入らないとは限りません。

きっかけは従業者証明書の件であったとしても、おそらく立入検査では法律にのっとって厳しく一通りの確認が行われることになるでしょう。
その検査で罰金刑に処される事になった場合、それがたとえ30万円以下であってもオーナー様や入居者様の信頼を無くし、さらに前科一犯になってしまいます。

賃貸管理会社は多くの方に支えらながら継続していく商売です。
支えられている方々の信頼を裏切らないためにも、こういった小さく見える部分から、しっかり対応していく事が求められていると思います。

【さらに1コツ】

以前、長く勤めていた賃貸管理会社で2年程度、子会社のリフォーム会社に出向していた事があります。
ここではルームクリーニング業務の大部分を外注せずに自分たちで行っていました。

この時に会得(?)したものが「ルームクリーニングは物理+化学である」と言うものです。
ルームクリーニングはざっくり言えば、汚れを落とす仕事です。

汚れの落とし方は2つです。
物理的除去と化学的除去です。
物理的除去は汚れをはぎ取る事、化学的除去は汚れを溶かす事です。
物理的除去はブラシ(刷毛、ほうき)であり、化学的除去は洗剤(溶剤)です。

この事が良く分からずに最初の頃は時間ばかりがかかっていましたが、理解が出来てからは、対象の汚れに合わせて、このどちらか、または両方を使って作業をする事で大きく時間を短縮する事が出来ました。

ここでのコツはブラシと洗剤の選択です。

対象の汚れにちょうど良いものを選択しないと失敗します。
対象の汚れにより強いものを選択すると、下地が傷みます。破壊(変色)します。
対象の汚れにより弱いものを選択すると、時間がかかります。

従って、ルームクリーニングには物理と化学の視点で汚れに対処する事が時間と力の節約につながります。

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