【アンケート調査】不動産オーナーに聞く「2025年問題」で心配な点は?解決方法も紹介
不動産の2025年問題とは、約800万人いる団塊の世代が75歳以上(後期高齢者)となり、人口減少と高齢者増加によって不動産市場にも影響をもたらすとされる問題です。
今回は、不動産の2025年問題の心配な点と対策について、全国100名の不動産オーナーにWebアンケートを実施しました。2025年問題の解決方法についても解説しますので、ぜひ確認しておきましょう。
不動産の2025年問題で心配な点
出典:GMO賃貸DX WEBメディア編集部独自調べ(N=200)
不動産の2025年問題で心配な点について、アンケート調査した結果は、以下の通りです。
第1位:空き家・空室の増加(46.6%)
第2位:医療費や介護費などの増大(21.2%)
第3位:相続の増加(16.4%)
第4位:立地適正化計画の推進による不動産価格の下落(13.0%)
約半数が「空き家・空室の増加」と回答しました。その他、相続や不動産価格についても影響を懸念する声が挙がっています。
以下では、アンケート結果の理由について解説します。
第1位:空き家・空室の増加
第1位は、「空き家・空室の増加」でした。
75歳以上の高齢者が増えると、介護施設に入居したり、家族と同居したり、あるいは亡くなったりことで現在住んでいる住居から退去する人が増えていく可能性が高いです。
空き家・空室が増加するため、家賃収入の減少を心配している不動産オーナーが2人に1人という結果になりました。
特に、高齢者の多いエリアで賃貸マンションやアパートを経営するオーナーにとって注意が必要です。
第2位:医療費や介護費などの増大
第2位には、「医療費や介護費などの増大」が続きました。
社会保障である程度は抑えられているものの、高齢者が支払う医療費や介護費が増えれば、生活費用を圧迫し、住宅に関する支出を減らそうとするかもしれません。
その結果、現在よりも低価格の賃貸マンション・アパートに引っ越す人が増え、高価格帯の高齢者向けマンション・アパートに不利に働く可能性があります。
第3位:相続の増加
第3位には「相続の増加」がランクインしてます。
相続が増加すると、不動産をどのように扱うかという問題が生じます。
「新たに賃貸マンション・アパートを建てる」という方法を選ぶ相続人が増えれば、空き家・空室の増加と相まって、不動産市場の競争は激しさを増すでしょう。
第4位:立地適正化計画の推進による不動産価格の下落
第4位には「立地適正化計画の推進による不動産価格の下落」がランクインしました。
立地適正化計画とは、人口減少や高齢化に伴う「コンパクトシティー」を実現するためのマスタープランです。市町村が必要に応じて策定する計画で、居住や医療、福祉、商業、公共交通などさまざまな都市機能を人口構造に合わせて適正化します。
この立地適正化計画によって、不動産の価格が下がる可能性があるでしょう。
同計画で指定される「居住誘導区域外」のエリアは住宅地化が抑制され、ゴミ収集や公共交通の確保が難しくなったりすることで、長期的には資産価値が下がってしまいます。
逆に、「居住誘導区域」のエリアは都市機能が集約され、より便利で安全な地域へと進化するため、不動産の価格は上昇する可能性が高いです。
2025年問題に今後対策しようと考えている?
出典:GMO賃貸DX WEBメディア編集部独自調べ(N=200)
2025年問題の対策予定について、アンケート調査した結果は、以下の通りです。
- ある(30.0%)
- ない(70.0%)
2025年が迫る中でも、ほとんどの不動産オーナーは具体的な対策を描けていないのが現状のようです。
2025年問題で考える対策5選
出典:GMO賃貸DX WEBメディア編集部独自調べ(N=200)
前述の質問で「ある」と答えた人に、2025年問題で考える対策についてアンケート調査した結果は、以下の通りです。
第1位:空室対策(入居率アップ)(32.1%)
第2位:家賃値上げ(23.2%)
第3位:ランドセット(購入した土地に賃貸マンションを建築する)の検討(17.9%)
第4位:遊休不動産の活用(16.1%)
第5位:賃貸マンション建築費の費用計上(10.7%)
以下では、それぞれ具体的に解説します。2025年問題の対策として参考にしてみてください。
第1位:空室対策(入居率アップ)
第1位は、「空室対策(入居率アップ)」でした。最も懸念されている空室の増加について、対策を考えている不動産オーナーが多いことが分かります。
空室対策として、以下のような方法が考えられます。
- マンション・アパートの修繕
- 高齢者向けサービスの強化
- 「シェアハウス」や「家具付き物件」などのオプション
- デジタルマーケティングの活用
住宅でケアサービスを提供する「ケアマンション」や、バリアフリー設備や安否確認の見守りがある「シニア向け分譲マンション」で、高齢者向けサービスを強化できます。
また、シェアハウスや家具付き物件などのオプションで多様なニーズに応えることも可能です。昨今では、高齢者同士が住むシェアハウスも登場しています。
若年層に向けた戦略としてSNSなどを通じたデジタルマーケティングを活用することも選択肢の一つです。
第2位:家賃値上げ
第2位には、「家賃値上げ」が続きました。
付加価値のある賃貸マンション・アパートにすることで、厳しい不動産市場の中でも家賃値上げに踏み切ることもできます。
古くなった建物や設備をリノベーションしたり、前述のような高齢者向けサービスを強化したりすることで、家賃値上げを検討できるでしょう。
また、立地適正化計画で指定された「居住誘導区域」の物件であれば、長期的に人気が高まっていくため、値上げできるかもしれません。
第3位:ランドセットの検討
第3位には「ランドセットの検討」がランクインしています。
ランドセットとは、土地と建物をセットで購入し、金融機関から融資を受ける手法です。相続の増加などで売却された土地を買い取り、新たな収入源を確保できるでしょう。
すでに不動産オーナーとしての経験がある方なら、人口減少や高齢化の中でも収益を期待できる土地を見つけ、ランドセットを検討することも可能です。
ただし、通常の建物だけの購入費に、土地購入費が加わるため、十分な利回りを確保するのが難しい点には注意してください。
第4位:遊休不動産の活用
第4位は、「遊休不動産の活用」です。
遊休不動産とは、現在使用されていない、または十分に活用されていない「遊休地」を再開発、再活用することです。
遊休不動産を賃貸経営に活用するメリットは、固定資産税などの節税効果を見込めること、新たな収入源を確保できることです。一方で、初期費用がかかり、ローン返済リスクがあることも理解しておくべきでしょう。
第5位:賃貸マンション建築費の費用計上
第5位には「賃貸マンション建築費の費用計上」がランクインしました。
賃貸マンションの経営では、固定資産税や都市計画税など、さまざまな税金を納付する必要があります。賃貸マンションにかかる建築費を費用として計上することで、売上を抑え、節税効果を狙えるでしょう。詳しい節税方法は物件の状況により異なるため、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。
不動産の2025年問題の解決方法
不動産2025年問題を解決するためには、上記以外にも「不動産テックの活用」や「DXの活用」の検討も視野に入ります。
不動産テックの活用では、例えば、AI査定などの活用で不動産価格を即時に把握することが可能です。新たな土地・建物購入を判断したり、所有中の不動産の資産価値を確認したりする際に役立つでしょう。
DXを活用した空き家対策も進んでいます。例えば、「TOKYO Data Highway」など5GやAIといった最先端技術を活用して、空き家対策を促進する内容です。
東京都は採択事業として「TOKYO Data Highway等を活用した先端技術を駆使した空き家対策」を行っています。
これらの不動産テックやDXの活用によって、効率的なオーナー業務につなげることも有効だと言えるでしょう。
参照:東京都 TOKYO Data Highway等を活用した先端技術を駆使した空き家対策
まとめ
不動産の2025年問題は、高齢化や人口減少によって不動産市場にさまざまな影響をもたらす問題です。空室率・空き家や相続の増加も心配されていますが、まだ具体的な対策を考えられていない不動産オーナーも少なくありません。
2025年問題の対策として、空室対策や家賃値上げ、ランドセットの検討、遊休不動産の活用などが考えられます。また、不動産テックやDXの活用によって効率的なオーナー業務につなげることも効果的だと言えるでしょう。