【アンケート調査】不動産オーナーが12年以上経った自己物件を修繕した目的・きっかけ
不動産オーナーが物件の修繕を検討する目安は12年と言われていますが、具体的にどのような目的・きっかけで修繕しているのでしょうか。今回は、12年以上経った自己物件を修繕したか、その目的・きっかけについて、全国100名の不動産オーナーにWebアンケートを実施しました。修繕を考える際のヒントを、一緒に確認していきましょう。
12年以上経った自己物件を修繕する予定はある?
出典:GMO賃貸DX WEBメディア編集部独自調べ(N=200)
12年以上経った自己物件の修繕予定についてアンケート調査した結果は、以下の通りです。
- ある(0%)
- ない(0%)
36%の不動産オーナーが自己物件の修繕を予定しています。一方、7割近い不動産オーナーが修繕を予定していません。ただ、多数が修繕していないからといって、自己物件も修繕が不要とは限らないでしょう。
また、一般的な修繕内容は以下の通りです。
- 外壁塗装/外壁タイル貼替・補修
- インターネット回線工事
- 防犯カメラ設置
- 外構工事
- 宅配ボックス設置
など
次に、修繕の目的やきっかけについてアンケート結果を見ていきます。
修繕の目的やきっかけ5選
出典:GMO賃貸DX WEBメディア編集部独自調べ(N=200)
修繕予定が「ある」と回答した不動産オーナーに、修繕の目的やきっかけについてアンケート調査した結果は、以下の通りです。
第1位:資産価値向上のため(28.4%)
第2位:管理会社からの提案(20.3%)
第3位:賃料アップのため(18.9%)
第4位:建物の老朽化、設備の劣化対策(17.6%)
第5位:新規入居者獲得・空室対策(14.9%)
「資産価値向上」が最多を占め、「管理会社からの提案」や「賃料アップのため」が続きました。
以下では、それぞれについて具体的に解説します。
第1位:資産価値向上のため
ランキングトップは「資産価値向上のため」です。
不動産物件は、12年間という長期にわたる使用や経年変化により、その資産価値を失いがちです。物件を修繕することで、物件の価値を回復させ、賃貸市場での競争力を高められるでしょう。
また、修繕によって物件の寿命が延ばし、将来的な修繕コストを削減することも可能です。
ただし、資産価値向上を目的とした自己物件の修繕には、慎重に取り組む必要があります。修繕内容に費用対効果を見込めるか、入居希望者のニーズに合っているかなどの観点から検討しましょう。
第2位:管理会社からの提案
不動産オーナーの5人に1人は、「管理会社からの提案」によって修繕を決めています。
管理会社によっては、不動産業界のプロとして物件の状態や市場の動向をふまえ、利益最大化を目指すための修繕を提案してくれます。最適な修繕内容を選ぶことができ、資産価値の向上や賃料アップにも貢献するでしょう。
管理会社からの提案は、オーナー自身が物件のポテンシャルや市場の動向を見極めるのが難しい場合に有効です。
ただし、管理会社からの提案を鵜呑みにすることはリスクも伴います。管理会社もまた、業務手数料による利益を狙っている側面もあるので、場合によっては必要以上の修繕を提案されるかもしれません。
提案された修繕については、第三者に意見を求めたり、修繕工事の相見積もりを取ったりするといいでしょう。
第3位:賃料アップのため
第3位にランクインしたのは「賃料アップのため」でした。
自己物件からの利益を最大化するために、賃料アップは欠かせません。修繕によって物件の魅力や価値を高めることで、賃料を上げても入居希望者を集められるでしょう。
また、物件の状態が改善されることで、長期的な空室リスクの低減も期待できます。
ただし、修繕したからといって確実に賃料アップできるとは限らない点に注意してください。周辺の賃料相場を細かく分析し、「修繕後の状態で、賃料アップしても問題ないか」を慎重に判断することが大切です。
加えて、過度な投資は回収に時間がかかる可能性がある点も理解しておきましょう。
第4位:建物の老朽化、設備の劣化対策
第4位は「建物の老朽化、設備の劣化対策」です。
当然ですが、物件は時間の経過とともに設備が老朽化、劣化します。12年以上経過した物件の場合、外壁塗装の剥がれやヒビ割れ、内装のシミ・汚れ、時代遅れの設備(インターフォンやシャワーなど)といった点が悪目立ちするようになるでしょう。
これらを一新し、老朽化、劣化対策をすることで、物件の利便性や安全性を高められます。これにより入居希望者を惹きつけ、空室率の上昇を回避することも可能です。
注意点として、修繕工事が今いる入居者の生活に与える影響をできる限り抑えなければなりません。工事中に発生する騒音やホコリに不満を溜める入居者もいるので、前もって通知したり、工期を短くしたりするなどの配慮が必要です。
第5位:新規入居者獲得・空室対策
第5位は「新規入居者獲得・空室対策」でした。
これまで解説した通り、建物や設備が古くなると入居希望者や現在の入居者に敬遠されるため、適切な修繕を行うことで、新規入居者を惹きつけ、空室率を減少させることができます。
具体的な修繕内容としては、外観や内装をモダンに変えたり、スマートホーム化の設備を採り入れたりといったアプローチを考えられるでしょう。
12年を目安に修繕を行うべき理由
12年を目安に修繕を行うべき主な理由は、次の5つです。
- 住宅性能の維持
- 節税効果
- 建て替えより費用対効果が高い
- 周辺物件に対する競争力向上
- 融資を受ける際に有利
以下では、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
住宅性能の維持
12年というタイミングでの修繕は、住宅性能の維持のために非常に重要です。一般的に、この時期は建物や設備が老朽化、劣化し始める頃合いと言えるでしょう。
物件の状態によるので一概には言えませんが、次のような老朽化、劣化のサインが見られます。
- 外壁塗装の剥がれ
- 鉄筋の露出
- 内装のシミ・汚れ
- 漏水・雨漏り
- 排水管の詰まり
これらの問題を放置すると、建物の快適性や安全性が低下します。12年を目安にこれらの問題を早期発見することで、住宅性能を維持し、資産価値の減少を防ぐことを期待できるでしょう。
節税効果
物件を修繕することで、節税効果を期待できます。
修繕工事の費用は、「資本的支出」か「修繕費」の2種類に分けられます。
資本的支出は物件の価値や性能をアップグレードさせるための工事で、耐用年数に応じて減価償却されます。一方、修繕費は物件を元の状態に戻す費用で、発生した年に経費として一括計上することが可能です。
「性能をアップグレードする」とは、例えば断熱性や耐水性を高めたりするなど、性能に付加価値をもたらすことです。
ただし、修繕工事の費用がどちらに該当するかは一概に判断できません。そのため、税理士などの専門家に相談すると安心でしょう。
いずれにせよ、修繕工事の費用を経費処理することで、物件にかかる税金を抑えられます。
建て替えより費用対効果が高い
12年ごとの修繕には、建て替えと比較して費用対効果が高いというメリットがあります。
建て替えには多額の投資が必要であり、工期も数年間と長期にわたる可能性があります。一方、修繕の場合、建て替えに比べて低コスト、短期間で物件の性能や価値を維持・向上させることが可能です。
一般的にマンションの建て替え時期は、築40年が目安と言われています。「耐震基準など法的要件を満たせない」、「修繕費と建て替え費が同じくらい」という場合に、マンションの寿命と判断されるようです。
それに比べると築12年の物件はまだまだ新しく、建て替えまでは必要ないと考えられるでしょう。
周辺物件に対する競争力向上
修繕を検討する際には、周辺物件を調査する必要があります。周辺物件に新しい物件が登場すると、既存の物件は古く見えてしまいがちです。
築年数だけでなく賃料や設備、アクセスなどの条件もふまえ、競争力で劣っていないか判断しなければなりません。場合によっては、修繕で競争力を高める必要があります。
特に設備や外観・内装は、入居希望者の目に直接触れる部分で、物件の印象を左右します。これらを重点的に修繕することで、競争力強化を期待できるでしょう。
融資を受ける際に有利
修繕で物件の資産価値を向上させることで、金融機関からの融資を受ける際にも有利に働きます。
金融機関は融資の際、物件の資産価値や将来性をふまえて可否を判断するのが一般的です。修繕で物件を良好な状態に保てていれば、融資条件が有利になる可能性もあるでしょう。
まとめ
不動産オーナーが物件の修繕を検討する目安は12年と言われています。修繕の目的やきっかけとして、「資産価値向上のため」や「管理会社からの提案」、「賃料アップのため」などが上位にランクインしました。
12年を目安に修繕すべき理由としては、「住宅性能の維持」や「節税効果」、「建て替えより費用対効果が高い」ことなどが挙げられます。12年という節目を迎える中で、今回の結果を、修繕を検討するヒントにしてみてはいかがでしょうか。