【アンケート調査】賃貸経営で賃料アップや新規入居者呼び込みにつながった修繕ランキング
不動産賃貸を経営する際には、老朽化した建物を修繕することで、賃料アップや新規入居者の呼び込みにつなげることが可能です。しかし、マンションのどの部分を修繕するかで迷う不動産オーナーの方も多いのではないでしょうか。
今回は、賃料アップや新規入居者呼び込みにつながった修繕について、全国100名の不動産オーナーにWebアンケートを実施しました。どのような修繕が効果的かを把握するために、ぜひ役立ててください。
賃料アップや新規入居者呼び込みにつながった修繕
出典:GMO賃貸DX WEBメディア編集部独自調べ(N=300)
賃料アップや新規入居者呼び込みにつながった修繕内容について、アンケート調査した結果は、以下の通りです。
第1位:外壁塗装/外壁タイル貼替・補修(13.5%)
第2位:インターネット回線工事(13.4%)
第3位:防犯カメラ設置(11.7%)
第4位:外構工事(11.4%)
第5位:宅配ボックス設置(11.3%)
上位5位がいずれも11〜13%程度とバランスよく分かれているので、特筆して高い修繕内容はないといえるでしょう。物件の状況に応じた修繕を行うことをおすすめします。
以下では、アンケート結果の理由について具体例を交えて解説しますので、今後の修繕内容を検討する際の参考にしてください。
第1位:外壁塗装/外壁タイル貼替・補修
トップとなったのは「外壁塗装/外壁タイルの貼替・補修」です。
マンションの経年劣化で外壁の塗装が剥げたり、外壁タイルが損傷したりすると、入居者にマイナスの印象を与えかねません。建物の外観を一新することで、建物の印象をガラリと変えることが可能です。
建物の外観を改善することで、入居者にプラスの印象を与えるだけでなく、定期的な外壁のメンテナンスで、長期にわたって建物を保護し、将来的な修繕コストを節約できます。美観性が向上することで、賃料アップも狙えるでしょう。
次のポイントを押さえておくと、選択の幅が広がります。
- 断熱・遮熱塗料の採用
- デザインタイルの導入(モザイクタイルやリタイルなど)
断熱性・遮熱性のある塗料を使用することで省エネ住宅にし、内部の温度管理をより快適にできます。オシャレなデザインタイルを導入して他の物件とは異なる印象を与えることも可能です。
外壁塗装/外壁タイル張替・補修を行う際には、塗装する時期を選ぶことも大切です。例えば、台風や梅雨の時期には工期が伸びる可能性があります。また、製品パンフレットと実際の仕上がりでは、色の印象が少し異なる場合もあるかもしれません。
第2位:インターネット回線工事
第2位にランクインしたのは「インターネット回線工事」です。
昨今のコロナ禍を経てテレワークが浸透し、ネット上に豊富にアップされている動画コンテンツを娯楽にするなど、自宅でインターネットを必要とする入居者が増えています。
通信回線の速いインターネット環境は、物件選びの重要なポイントです。各部屋はもちろん、共有スペースで使えるWi-Fiがあると、入居者の利便性がより高まるでしょう。
一方、インターネット回線をまだ導入していない物件の場合、プロバイダ契約に加え、入居者への事前通知や工事への協力依頼を行わなければなりません。
また、同じインターネット回線にアクセスが集中すると、通信速度が遅くなる点も配慮する必要があります。
第3位:防犯カメラ設置
第3位には、セキュリティ面の強化として「防犯カメラの設置」がランクインしました。防犯カメラの設置により得られるメリットは少なくありません。
まず、入居者が安心して生活できる環境を整えられ、セキュリティ意識の強い女性の一人暮らしや子どものいる家庭の入居を期待できます。また、物件管理の面でも「共有スペースに私物を置く」「契約者以外が住み込む」などの問題の証拠を見つけやすく、抑止力としても機能するでしょう。
次のような場所に防犯カメラを設置すると効果的です。
- 出入り口
- エレベーター
- 駐車場
- 共用スペース
一時的に密室となるエレベーターでも、犯罪を防ぐために設置する必要があるでしょう。また、駐車場は車上荒らしや車両盗難を防ぐために、廊下や階段など共有スペースは不審者の侵入や利用者のトラブルを防ぐために大切です。
防犯カメラ設置の注意点は、入居者のプライバシーに配慮し、カメラの角度や位置を慎重に選ぶことです。また、設置に関する法律や条例を遵守し、正しい手続きを行わなければなりません。
第4位:外構工事
第4位は「外構工事」でした。
外構(エクステリア)工事とは、建物周りの工事全般のことです。植栽、駐車場・駐輪場、排水溝・排水枡、フェンス・塀などの工事も含まれます。外構工事はマンションの美観を高める他、生活の利便性を高めることが可能です。
一般的に外構(エクステリア)の耐用年数は、以下の通りです。
- アスファルト舗装:15年
- 塀(コンクリート):15年
- 駐輪場:10年
- 排水溝:15年
外構が経年劣化すると、コンクリートがヒビ割れたり、鉄部が錆びたり、排水溝から水が漏れたりするなどのトラブルが起こりかねません。外構工事はどのタイミングで行うか、前もって計画を立てておく必要があります。
第5位:宅配ボックス設置
続いて第5位にランクインしたのが「宅配ボックス」です。
近年、オンラインショッピングの利用増加に伴い、宅配ボックスの設置を求める入居者も増えてきました。入居者は不在時でも荷物を受け取れ、仕事が忙しい一人暮らしの社会人や、共働きの夫婦などにも喜ばれるでしょう。
また、オンラインショッピングの配達方法として、玄関前に荷物を届ける「置き配」を選ぶこともできますが、これを窃盗する事件も相次いでいます。その点、宅配ボックスなら盗まれる心配がなく安心です。
宅配ボックスを設置する際には、以下のポイントを考慮してください。
- 設置場所
- サイズと容量
- 台数
- セキュリティ機能
設置場所は、配達員が届けられるよう郵便受けの近くやエントランスに設置するのが一般的です。さまざまな大きさの荷物が収容できるよう、複数のサイズを選択するといいでしょう。
加えて、物件の入居者数に対して宅配ボックスの設置台数が少なすぎると、「常に他の住人が使っているので自分が使えない」というトラブルが発生しかねません。そのため、適切な台数を設置する必要があります。
さらに、荷物の安全を保証するため、鍵やセキュリティコードなどの安全機能を備えた宅配ボックスを選ぶことも大切です。
マンションの修繕を行うメリット
マンションの修繕を行うメリットについて解説します。
- 資産価値の維持・向上
- 安全性・利便性の向上
- 入居希望者増加、空室率低下
資産価値の維持・向上
マンションの定期的な修繕により、建物は長持ちし、外観の美しさも保たれます。結果として、物件の魅力が高まり、賃料アップや新規入居者呼び込みにもつなげられるでしょう。
一方で、修繕を怠ると、建物の老朽化が進み、修繕コストが高騰するだけでなく、資産価値自体が下がるリスクもあります。
安全性・利便性の向上
防犯カメラや宅配ボックスの設置などは、セキュリティ面の強化に役立ちます。例えば、金品目的で宅配業者になりすまし、マンション内に侵入しようとする事件も起こっていますが、そうした場合に宅配ボックスを利用すれば安心です。
また、インターネット環境が整っていれば、自宅でのリモートワークや娯楽にも便利で、居心地の良いマンションとなるでしょう。
このような安全で、心地の良い物件は入居者にとって魅力的です。そのため、空室率を低下させたり、賃料アップにつなげたりとさまざまな効果を期待できます。
入居希望者の増加と空室率低下
上記でも触れたように、マンション修繕を行った物件は、入居者にとってメリットが大きいです。
すべてが真新しくなくても部分的な修繕を続けていれば、「きちんとメンテナンスされている物件だ」と思ってもらえるでしょう。中にはメンテナンスを怠っている物件もあるので、それらとの差別化も図れます。
入居希望者の増加と空室率低下は、安定した賃貸不動産経営をもたらし、次のマンション購入の足がかりとなるかもしれません。
まとめ
新規入居者を集め、賃料アップにつなげるためにマンションの修繕は非常に効果的です。今回紹介した修繕工事以外にも、屋上防水工事やエントランス改修、ホームセキュリティ設置、バリアフリー化などがアンケートで選ばれていました。
さまざまな選択肢がある中で、どの修繕工事を行うかは物件の状況に応じて選ぶことが重要です。また、工事を依頼する業者には相見積もりを取り、「費用対効果の高い」修繕を進めるといいでしょう。