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取材記事Interview

【専門家インタビュー】𠮷村 心太郎様|伝統的木造建築を塗料で守ってきた父。流れをくみ、賃貸マンションの修繕工事とオーナーの支援に努める。

大阪、東京、名古屋、福岡の大都市圏を中心に、大規模修繕工事やリフォームを手掛ける株式会社ホープハウスシステム。社寺仏閣の再生工事を手掛けてきた会社にルーツを持ち、様々な機能性を持たせた賃貸物件に特化した塗料を自社開発しているのが特長です。自社の強みやオーナー様との関わり方、今後の展望などについて、代表取締役の𠮷村 心太郎様に伺いました。

目次

    ルーツは社寺仏閣を守る塗装に特化した父の会社。ナノテクノロジーを用いた塗料はロングセラーの一つ

    貴社が設立された背景をお聞かせください。

    弊社は2023年で創業22年目を迎えます。ルーツは、父が経営する社寺仏閣の再生工事を専門とした塗装会社で、私も気付けばローラーやはけを手に、この会社で働いていました。

    父は他にも官公庁の依頼で高速道路の仕事をしたり、大手ゼネコンの下請けを任されたりしました。併せて賃貸マンションの新築工事にも携わっていましたね。

    私は職人からキャリアをスタートし、現場監督や営業担当を経て、やがて父に「もっと民間企業や元請けの仕事を増やし、住宅やマンションの仕事に注力して、より大きな市場を目指しましょう」と提案しました。すると「だったら自分でやってみなさい」と言われ、27歳の時に30万円の退職金を受け取って起業することになりました。

    独立後、まずは個人事業主になり、次に有限会社を作って、その後2001年12月に「株式会社ホープハウスシステム」を立ち上げました。ちょうど30歳の頃で、最初は机を2つ並べただけの事務所でしたね。

    当時は賃貸マンションの新築工事と共に、一般住宅のリフォームも手掛けていました。社名に「ハウス」が付くのはそんな理由からです。そして間もなく、賃貸マンションの仕事に特化していきました。

    現在は主にどのような事業を手掛けているのでしょうか?

    引用:株式会社ホープハウスシステム 公式サイト

    メインは賃貸マンションの大規模修繕工事で、中でも塗装や防水の領域を強みとしています。父の会社は社寺などの木造建築物が腐食しないよう塗料で保護し、塗料自体も作ってきたので、その豊富な知識や技術を引き継いでいるのが特長です。

    実際、賃貸マンションに特化した塗料を自社で企画・開発・製造しているので、弊社の社名を聞いた方が最初に思い浮かべるのは塗料メーカーではないでしょうか。

    また、賃貸マンションは塗り替え回数が少ないことから、商品開発では「高い耐久性」「発色が良い」「健康配慮型」といった点に力を入れています。お客様の困り事にヒントを得てチャンスに変え、他の大手塗料メーカーなどとタッグを組んで商品化する傾向にありますね。

    中でも「エコナノベーション」はヒット商品ですね。


    ▲ナノテクノロジーを駆使した超微粒子未来型塗料
    引用:株式会社ホープハウスシステム 公式サイト

    「毛髪の直径の10万分の1」という超微粒子の塗料で、土やほこりが付着しにくく、セルフクリーニング機能によって雨が降るたびに汚れが流れ落ちていきます。ボディビルダーとしても知られるお笑い芸人をイメージキャラクターに起用したこともあり、長く問い合わせが絶えない主力商品ですね。

    不動産経営やプライベートの課題をトータルサポートすべく新会社を設立。イベント開催やマガジンの発行で接点を持つ

    グループ企業の「つなぐ-en-システム株式会社」について教えてください。

    これまで父の代から30年以上にわたり、賃貸マンションのオーナー様と出会ってきました。しかし、私たちの仕事が完璧過ぎて塗装も長持ちするため(笑)、次にお会いするまで10年以上も空いてしまいます。

    一方でオーナー様からは、不動産経営だけでなくライフスタイルについてもよく悩みや疑問を伺っていました。その解決の助けになる企業や病院、お孫さんのための進学塾などを個人的に紹介してきましたが、オーナー様の人数が増えて課題も多様化したため、組織として支えるべく2015年に立ち上げたのが「つなぐ-en-システム株式会社」です。

    コロナ禍前は数千人のオーナー様と共に大規模イベントを開いていましたが、現在は人数を制限し、代わりに頻度を増やして全国各地で開催しています。加えて、この会社は『TsuNaGu8(つなぐエイト)』というフリーマガジンも発行していて、読者であるオーナー様と各企業をつなげる催事も開いています。

    「イベントに行けばつながりが生まれる」と、オーナー様から信頼されているのですね。

    マンション経営は、銀行、不動産会社、建設会社、税理士、弁護士など、地元との関係があれば成立します。そして賃貸マンションは2つも3つも並んでいるのに、隣の物件について、所有者が誰なのかも分からないオーナー様がほとんどです。それほど外部との接触が限られたビジネスだと思います。

    だから「多くの企業と話したい。学びたい」というニーズが高く、さらに私たちが支えるオーナー様の間では世代交代が進み、今や40代や50代の次世代オーナー様が増えつつあります。皆さん、相続した物件に対する興味が薄い傾向にありますが、それでも財産を守るために何か始めようと、弊社のイベントに来て勉強されていますね。

    次世代のオーナー様にとっても貴重な機会を提供されていると思います。

    つなぐ-en-システムには約4.5万人のオーナー様が会員にいらっしゃいます。自主管理を続けてきた方も多く、その負担を少しでも減らそうと、弊社から管理会社様を紹介しています。

    なぜなら次世代オーナー様は、他に本業のある方がほとんどです。そのため自主管理ではスムーズに物件を引き継げず、結局は「誰かに管理を任せる」「借り上げにする」「売却する」という三択になります。さすがに親からの財産を手放すのには抵抗があるので、管理会社様に引き合わせると喜ばれるのです。

    顧客も従業員も今後は若い世代が主役。営業スタイルを変え、お客様が自然と集まるビジネスを構築

    経営者として、従業員に伝えたいことは何ですか?

    弊社のビジョンは「課題を感動に」です。オーナー様や管理会社様の悩みや疑問を解決し、多くの「ありがとう」を頂く中で感動が生まれていくと考えています。この感動は、オーナー様にも管理会社様にも、そして弊社の従業員にも共通するものです。

    確かに、課題を正確に把握するのは難しく、初対面から相手の懐に入るのもハードルが高いですよね。営業担当者は自社の製品やサービスに自信があるから売り込みますが、一方でお客様は即時に購入するつもりはありません。この状況で相手の課題を見つけて距離を縮められるかすぐに取引が始まらなくても次の展開を思い描けるか、こうした意識を持つことが大切です。

    若手の採用で意識していることはございますか?

    私たちの業界はオーナー様と直接会うビジネスなので、従来は電話をかけたり、自宅に訪問したりしてきました。しかし今の時代、若い人材にとって電話や飛び込み営業はハードルが高く、相手から嫌がられることもあり、実に非効率的です。

    そこで私は、営業スタイルやお客様との接点の築き方について見直し、何年も前からイベントという形にしてきました。オーナー様に会いに行くのではなく、来ていただくということです。そして会場に集まった方々に、弊社から、あるいは各企業がお悩みを伺う形でニーズに沿ったご提案をしていくのです。

    私は訪問販売そのものを悪く思っていませんが、現代社会では難しい手法だと捉えています。だからこそ、弊社のイベントのように「集まるビジネス」が有効ではないでしょうか。

    コロナ禍ではどのような変化を迎えたのでしょうか?

    マンション経営自体はあまり影響を受けていません。逆にテレワークが浸透し「住む部屋」から「働く部屋」になって、家賃も変化しませんでした。

    しかし同時に「これからの社会で不動産経営は難しい」と考えて物件を売却する方や、子どもにビジネスを任せる世代交代の動きが見られました。特に後者は顕著でしたね。

    イベントでオーナー様を集めてきた私たちのビジネスも少し内容を変え、次世代のオーナー様を意識するようになりました。先ほども話した通り、それぞれが「売るか、借り上げを選ぶか、管理会社に任せるか」と考える中で、若いオーナー様に直接営業しても意味が無いと判断しました。

    だから弊社は、この3、4年で建物を通じたサポートでの管理会社様との関係性構築に注力してきました。ビジネスもBtoCからBtoB・Cに切り替えました。この流れでGMO ReTechに出合ったわけです。

    「GMO賃貸DX オーナーアプリ」の「建物診断レポート機能」を監修。定期点検でリスクを減らせるのが素晴らしい

    不動産業界のDX化について、どのような印象をお持ちでしょうか?

    不動産賃貸市場のDX化は遅れに遅れていて、中でも仲介会社とオーナー様との間では、まだFAXでのやり取りが主流です。しかし、このビジネスモデルは先が見えていますよね。

    だから私たちは、オーナー様の世代交代が進むにあたり、提案時にZoomを組み合わせたり、資料をメールで送ったりしています。また、動画を活用することもありますね。

    マンション経営の現状をいかがお考えですか?

    まず、改修工事に携わる会社だから伝えなければならないのは、多くのオーナー様がマンション経営で利益を得ていないということです。家賃保証や銀行のサポート、税理士の手助けがあるのに、ほとんどの方が苦しい思いをされています。

    それでも何とかやり繰りして、ようやく利益が出た10年目や15年目の時に、今度は次の15年間などを見据えて改修工事が行われます。またマイナス収支になるわけですね。これではまるで、改修に追われるマンション経営になってしまいます。

    私たちはお金を頂く側ですが、そうあってほしくないと願っています。改修工事はオーナー様を苦しめるものではなく、満室経営や資産価値の向上を目指し、ハッピーになってもらうためにあるはずです。

    管理会社様も同様で、家賃に応じた手数料が入るものの、それが決して正しい評価とは限らないと思います。実際に3%や5%の手数料で、本当に管理できるのでしょうか。

    私が思う正しい評価とは、オーナー様が得た利益の中から「頑張ってくれたので、これだけどうぞ」と手数料を頂ける仕組みです。
    オーナー様も管理会社様も、誰もがハッピーになるマンション経営の仕組みを作りたいと考えています。

    「GMO賃貸DX オーナーアプリ」では、𠮷村様の監修で「建物診断レポート機能」が加わりました。管理会社様からもオーナー様からも好評ですが、勝算はどこにあるのでしょうか?

    「GMO賃貸DX」が素晴らしいのは、建物を定期的に点検することで改修工事を予測できることです。例えば、雨漏りで1,000万円の工事費が発生する前に、600万円で事前対応できたら最高ですよね。

    診断して改修プランを組めるという点で、本当に価値ある、オーナー様が大きな興味を持つ機能の一つだと思います。何かが起きてからではなく、何かが起きないよう毎月の点検が必要だと認識していただけるのではないでしょうか。

    現在の人件費高騰や拡充し続けるサービスに加え、これから日本は人口減少に突き進みます。空室が生まれて管理戸数も減る一方、建物自体は小さくならないので対応は従来と変わりません。

    つまり、手数料の3%や5%という数字を変えなければならない時代を迎えたのです。

    𠮷村様、あるいは株式会社ホープハウスシステムとして、今後のビジョンや想いをお聞かせください。また、ご自身でチャレンジしたいことはございますか?

    弊社は東名阪という大都市を中心に、2022年からは九州にも展開しています。直近では京都と千葉に進出する予定で、最終的には全ての都道府県に店舗を出し、より多くのオーナー様と管理会社様の力になりたいです。

    また、私たちは2025大阪・関西万博のPRパートナー企業です。開催1000日前から動き出したカウントダウンクロックの下にもホープハウスシステムの名前が刻まれていて、それが全国の県庁などに設置されているのです。せっかくGMO ReTechと知り合ったので、これからも一緒に日本中に新しい風を吹かせられるような最先端を行く会社にしたいですね。

    そして、次なるチャレンジは世界です。日本の塗料はドイツと並び世界1位、2位を争う高いレベルにあります。塗料の質と塗装力を武器に海外展開し、世界中の建物をハッピーにしたいですね。

    まとめ

    宮大工の塗装技術を受け継ぎ、賃貸マンションを守る塗料の開発で世界をリードしようと考える同社。オーナー様の世代交代が進む中でビジネススタイルを変化させ、その一環として「GMO賃貸DXオーナーアプリ」を導入し、管理会社への評価さえも見直そうとしています。人口減少が進みつつある今、不動産賃貸の分野にどのような一石を投じるのか……今後の動向に注目です。

    本記事のインタビュイー様

    株式会社ホープハウスシステム 代表取締役社長
    𠮷村 心太郎 様

    平成13年12月、自社PB商品による責任施工で塗装をはじめとした総合リフォーム業の株式会社ホープハウスシステムを設立。数多くのマンションオーナーに、賃貸マンションリフォームの仕事を通して構築した、マンション経営を成功させるためのノウハウ、経営手法を公開することで、マンションオーナーだけでなく、賃貸業界ともWIN WINの関係を築くことに注力している。

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