【アンケート調査】不動産オーナーが注目する!新たに取り組みたい物件バリューアップ施策
不動産オーナーにとって、物件の価値を維持・向上させることは重要な経営課題です。特に築年数が経過した物件では、時代のニーズに合わせた設備の更新や、居住環境の改善が欠かせません。また新築物件との競争が激化する中、既存物件の差別化を図るためには、戦略的なバリューアップ施策が必須です。
近年では入居者のライフスタイルの変化や環境配慮、デジタル化への対応など、物件に求められる要素も多様化しています。
今回は、「物件バリューアップのために効果的だった施策」について、全国の不動産オーナーを対象に実施したアンケート調査の結果をランキング形式でご紹介します。施策の具体的な内容や効果、そして成功につながるポイントについても詳しく解説していきます。
物件バリューアップさせるために効果的だった施策

出典:GMO賃貸DX WEBメディア編集部独自調べ(N=100)
物件バリューアップさせるために効果的だった施策をアンケート調査した結果は次のようになりました。
第1位:セキュリティ強化
第2位:省エネ設備の導入
第3位:収納スペースの拡充
第4位:バリアフリー化
第5位:共用部のグレードアップ
第6位:設備のスマート化
第7位:環境対応設備の導入
第8位:スマートホーム化
第9位:ワークスペース対応
以下では、アンケート結果の理由について具体例を交えて解説していきます。
第1位:セキュリティ強化
セキュリティ強化が1位となった背景には、現代社会における防犯意識の高まりが影響していると考えられます。
主な施策は次の通りです。
- 防犯カメラの増設
- オートロックシステムの導入
特に単身者向けの物件において、セキュリティ設備の充実は入居を検討する際の重要な判断材料です。
昨今ではスマートフォンと連動したインターホン(外出時にも訪問者を確認)や、顔認証によるオートロック解除など、より高度なセキュリティシステムの導入も進んでいます。
防犯設備の設置は、初期費用は必要となるものの、物件の競争力強化という観点から見ても優先度の高い施策と認識されていると考えられます。
第2位:省エネ設備の導入
省エネ設備の導入が上位にランクインした背景には、光熱費の値上げによる負担と、環境配慮への意識向上が挙げられます。
主な施策は次の通りです。
- 省エネ給湯器への交換
- LED照明の設置
この他にも、断熱性能の向上や複層ガラスの採用なども、省エネ効果の高い施策として注目されています。
光熱費の削減という実利的なメリットと、環境配慮という社会的な価値の両面から、省エネ設備の導入は物件バリューアップの大切な要素となっているのです。
第3位:収納スペースの拡充
収納スペースの拡充が上位に入った理由として、居住ニーズの変化が考えられます。
収納スペースの充実は、居室スペースの有効活用につながるだけでなく、整理整頓のしやすさという観点からも、入居者満足度を高めるポイントになり得ます。
特に都市部の物件では広さが限られていることが多いため、収納スペースの充実は快適な生活を送るために欠かせません。
最近では、ウォークインクローゼットの設置や、天井高を活かした収納スペースの確保といった工夫もなされています。
また、共用部にトランクルームを設置することで、オフシーズンの衣類や趣味の道具など、使用頻度が低いアイテムの保管場所として活用できます。
第4位:バリアフリー化
バリアフリー化への取り組みは高齢化が進む中で重視されていると考えられます。
主な施策は次の通りです。
- エントランスや廊下の段差解消
- 手すりの設置
- 浴室の安全性向上
またユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、高齢者に限らず誰もが使いやすい設備や動線の確保も進んでいます。例えば玄関の引き戸化や車いすでも移動しやすい廊下幅の確保なども、バリアフリー化の一環です。
こうした対応は、将来的な入居者層の拡大につながるだけでなく、長期的な視点での物件バリューアップにも寄与する取り組みとして注目されています。
第5位:共用部のグレードアップ
共用部のグレードアップは、物件の第一印象を決めるため評価されたと考えられます。
エントランスや廊下といったデザイン面だけでなく、宅配ボックスや駐輪場、EV車用の充電設備などの機能面も含めて評価されるでしょう。
特に築年数が経過した物件において、共用部のグレードアップは物件バリューアップに貢献するので重要な選択肢として挙げられます。
第6位:設備のスマート化
キャッシュレス決済への対応など、入居者と不動産オーナーの手間を減らすようなスマート化も効果的な施策に挙げられます。
特に家賃支払いや共益費の決済において、クレジットカードやスマートフォン決済への対応は、入居者の利便性を大きく向上させる要因です。
また、自動販売機や洗濯機などの共用設備においても、電子マネーやQRコード決済への対応が進んでいます。
第7位:環境対応設備の導入
環境対応設備の導入は、持続可能な社会への貢献と、長期的なランニングコスト削減を両立させる取り組みとして注目されています。
主な施策は次の通りです。
- 太陽光パネルの設置
- EV充電設備の導入
特に環境配慮型の物件であることは、企業の社宅利用や環境意識の高い入居者層からの支持を集められるでしょう。
初期投資は大きくなりますが、各種補助金の活用により、長期的な収益改善につながる可能性があります。
第8位:スマートホーム化
スマートホーム化は、テクノロジーの進化により実現可能となった新しい住まいの形として注目されています。
主な施策は次の通りです。
- スマートロックの導入
- IoT家電の設置
こうした設備は、新しいテクノロジーへの関心が高い層からの支持を得ており、物件の先進性をアピールするポイントです。また、遠隔での設備管理が可能となることでセキュリティ面の安心感も向上します。
ただし、導入にあたってはセキュリティ面での配慮や利用者への丁寧なサポートが必要です。
第9位:ワークスペース対応
コロナ禍をきっかけとしたテレワークの普及により、住居内でのワークスペース対応の需要が高まっています。
主な施策は次の通りです。
- 専用デスクの設置
- 高速インターネット回線の整備
特に高速インターネット回線の整備は、オンライン会議やデータ送受信の増加に対応するうえで欠かせない要素です。
また、一部の物件では共用のコワーキングスペースを設置するなど、新しい働き方に対応した施設の導入も進んでいます。
効果的な対策を行うためのポイント

出典:GMO賃貸DX WEBメディア編集部独自調べ(N=100)
効果的な対策を行うためのポイントをアンケート調査した結果は次のようになりました。
第1位:維持管理体制の整備
第2位:投資対効果を重視した計画立案
第3位:入居者ニーズの事前調査
第4位:効果的な情報発信
第5位:工事時期と範囲の最適化
それぞれの内容について解説します。
第1位:維持管理体制の整備
バリューアップ施策の効果を長期的にわたって維持するためには、適切な維持管理体制の整備が欠かせません。
新たに導入した設備については、定期的な点検や清掃を実施することで性能を維持し、不具合の早期発見にもつながるでしょう。
特に防犯カメラやオートロックシステムなどのセキュリティ設備については、故障時のスピーディな対応体制を確保しておく必要があります。
また、信頼できる管理会社や専門業者と連携することも、維持管理の質を確保するうえで重要なポイントです。
第2位:投資対効果を重視した計画立案
改修工事には相応のコストが発生するため、想定される収益増加額と費用を比較して検討しなければなりません。
具体的には、ライバル物件の家賃相場や設備状況をリサーチし、「どの程度の家賃アップが見込めるか」を慎重に見極める必要があります。
また、工事の優先順位を明確にし、複数年度にわたる段階的な実施スケジュールを策定することで、資金繰りの面でも無理のない改修を進めることが可能です。
第3位:入居者ニーズの事前調査
効果的な物件バリューアップを実現するためには、実際の入居者ニーズを正しく把握することが大切です。
地域性や入居者層によって求められる設備や仕様は大きく異なるため、ありきたりな改修では十分な効果が得られないかもしれません。
既存入居者の声をよく聞きましょう。また、内見者からの物件に対する評価やフィードバックも、改修計画を検討するうえで欠かせません。
第4位:効果的な情報発信
物件バリューアップの効果を最大限に引き出すために、効果的な情報発信を行うことも大切です。
例えばセキュリティ強化や省エネ設備の導入については、入居者のメリットを具体的な数値やイメージで分かりやすく伝えることが求められます。
写真や動画を活用した物件紹介や、SNSなどを通じた情報発信も効果的でしょう。
第5位:工事時期と範囲の最適化
工事を実施する際には、入居者の生活への影響を最小限に抑えることが大切です。
長期間にわたる工事は入居者の不満につながる可能性があるため、工程管理の徹底が求められます。計画段階から入居者への十分な説明と理解を得ることも、円滑な工事実施のためには欠かせません。
また、外構工事など気候の影響を受けやすい工事については、シーズンを考慮した時期選定が必要です。
複数の工事を同時に実施することでコストダウンが図れる場合もあるため、工事の範囲と時期については総合的な判断が求められます。
まとめ
物件バリューアップは、短期的な設備の交換に留まらず、中長期的な視点での戦略的な取り組みとして捉える必要があります。
入居者ニーズの把握、投資対効果を重視した計画立案、実施後の維持管理まで、一連の流れを総合的にマネジメントすることが重要です。
近年では、環境配慮やデジタル化への対応など、時代の変化を反映した新たなニーズも生まれています。
これらの動向を注視しながら、物件の特性や地域性を踏まえた効果的なバリューアップ施策を選択・実施することで、持続的な資産価値の向上を図ることができるでしょう。




