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不動産共通IDとは?必要性やルール整備、期待される効果を徹底解説

不動産IDとはと書かれた文字とビルのイラスト

情報の不透明性が問題となっている不動産業界において、不動産IDは新たな発展を促す制度として注目されています。不動産IDが導入されることで、所有者不明の土地などの把握ができるようになると期待されていますが、どのように活用していいのか分からない…という方もいるかと思います。

そこで当記事では不動産IDの詳細と、IDを活用することで得られる効果について解説します。すでに知っている方も、改めて確認してみてください。

目次

    不動産共通IDとは

    パソコンのキーボードを打つ手と住宅や建物のつながりを表すイメージ画像

    不動産共通IDとは、国内にある全ての不動産に付与する共通のIDのことを指します。不動産共通IDは、2020年8月にGeolonia(ジオロニア)が公開した日本全国の住所マスターデータを基に、Geoloniaと不動産テック協会が共同で整備を行ったもので、不動産情報を活用したサービス連携をスムーズにすることを目的に作られました。

    また、不動産共通IDは不動産業界だけでなく、物流業界や行政などの分野でも幅広い活用が期待されています。例えば、不動産共通IDを用いることで物件の種類分けを行い、それらのデータをもとに自社のリストアップに生かしたりすることが考えられます。

    不動産共通IDの必要性

    不動産共通IDが必要とされる背景には『物件情報の不統一』が挙げられます。例えば、マンション名が『ABC Residence』という物件情報を各不動産会社で登録する際、不動産会社によっては『ABC residence』と小文字で登録されていたりして、同一物件の特定が難しくなるという問題が発生します。

    このような問題を解決するために、物件のマイナンバー的な役割をする不動産共通IDを利用することで、データ連携が円滑に行えるように国土交通省(国交省)は働きかけているのです。また、国交省では不動産共通IDを利用することで以下のようなメリットが生まれると考えています。

    不動産共通IDのメリット

    • 不動産市場の透明性が向上し、不動産取引が活性化
    • 不動産取引に必要な情報を入手するためのコストが軽減
    • 消費者の利便性向上が図られる
    • 必要な情報の入手が容易になり、低未利用土地の利活用、所有者不明土地の所有者探索に活用
    • 不動産取引に係るテクノロジーの一層の活用

    不動産共通IDを活用することで、近年問題となっている所有者不明土地などの処理にも役立つとされています。

    不動産共通ID導入の経緯と検討状況

    不動産を識別する方法は、不動産共通IDという名称すら作られていなかったものの、以前から導入の検討はされていました。そして、不動産の識別方法に関する検討が大きく進んだきっかけは、2020年の7月12日に行われた閣議決定です。

    この閣議決定では『データ駆動型社会に向けた情報の整備・連携・オープン化』が掲げられ、不動産共通IDとして『不動産登記簿のIDの活用や、その他不動産関連データベースとの連携』を図ることが決められました。これらを進めるために検討が重ねられ、2021年4月15日付の国交省による公表資料である『不動産共通IDのルール整備について』が取りまとめられました。

    不動産共通IDのルール整備

    パソコンを操作する手元とファイルを選択しているイメージ画像

    不動産共通IDに関するルールを整備するにあたり、最も重要なポイントとして挙げられるのが『何を共通コードとするか』です。ゼロの状態から不動産共通IDオリジナルの識別コードを作成していては、コストと時間が膨大にかかってしまいます。

    そこで、検討されているのが『登記簿の不動産番号』を不動産共通IDとリンクさせる方法です。不動産番号は、登記申請の際に専門家によって確認された上で登録されてきたので、所在地の地番や申請者の正確な情報と紐づけされており、今回の不動産共通IDの制度との親和性が高かいことから検討案として挙がりました。

    ただし不動産番号を活用する案は、不動産番号が物件の種別によっては取引単位である部屋一つ一つに対応していないケースがある点から、全てを明確に分類するためのルール(方法)を作り出さなくてはならない課題があります。そこで国交相は、従来の不動産番号に加えて、枝番で2~3桁の階数番号と、3~4桁の部屋番号を記載する方向で不動産共通IDを作成することを検討しています。

    不動産共通IDの導入で期待される効果

    スーツ姿の男性が空間に浮かぶ時計を触るイメージ画像

    不動産共通IDは個人番号(マイナンバー)と同様に、物件の情報を明確に判別できるようになることから、土地1つ1つを正しく管理できるようになり、以下のような効果を生み出すと期待されています。

    • 業務効率化
    • 不動産データの活用
    • 空き家や土地の検索
    • 取引情報の透明性UP

    オーナー自身で管理をしていたが、管理運営が難しくなり急に放棄してしまった土地などの処理も不動産共通IDが設定されていれば責任の所在も明確になることから、対処がしやすくなるでしょう。

    業務効率化

    不動産共通IDが導入されると、不動産調査が非常に楽になり大幅なコストダウンが見込めます。従来、各不動産会社が登録する情報は表記揺れがあり、同じ不動産に対して複数種類の名称が登録されていることが珍しくありませんでした。しかし、不動産共通IDを導入すれば表記揺れが発生しなくなり、数字だけで管理可能になると期待されているので、業務効率化できるとされています。

    不動産共通IDとは直接関係ありませんが、「業務効率化」に関する記事もありますので参考にしてみてください。

    関連記事:不動産テックによる不動産管理会社の業務効率化とは
    関連記事:不動産会社の業務効率化の手引き|効率化のポイントはノンコア業務の選定とアウトソーシング

    不動産データの活用ができる

    不動産共通IDを導入すると各不動産の管理を一元化することになります。これにより、今まで活用されてこなかった不動産データを使用可能となり、物件情報サイトのAIに組み込まれる情報量が増加し、より精度の高い情報の発信が期待されます。不動産に関する情報の精度が高くなればなれるほど、近年注目されてきている『不動産テック』の進展を促進する効果が生まれると言われています。

    また、不動産共通IDには修繕履歴などの情報も追加できるので、情報を活用することで管理会社の変更の際も修繕箇所などの確認がしやすくなり、修繕計画などに生かせられます。そうすると、安心して暮らせる環境を作ることが実現できるでしょう。

    空き家や土地を見つけられる

    不動産共通IDは全ての不動産に付与されるので、未使用の土地や空き家でも検索できるようになります。年々、都心部へ人口流入が増えている中で、好立地にある低利用・未利用の不動産を探索できるようになれば、新たな開発が進めやすくなり、多くの国民の需要が満たせるようになるでしょう。

    さらに、周辺地域に悪影響を及ぼす空き家などに対しても、不動産共通IDを駆使して所収者が明確化すれば対処が容易になり、不動産周辺の環境が改善するといった期待も見込めます。

    不動産取引の透明性が高まる

    従来、不動産の情報というのは管理する不動産会社の中で共有されてしまうことが多く、貴重な情報はあまり外に出てこなく企業によって差が生じる…という情報の不透明性が問題とされてきていました。しかし、不動産共通IDが導入されれば、情報が一元化されるので不動産市場の透明性も高まり、不動産取引が活発になると期待されています。この点が、不動産共通IDを導入することで、不動産会社が得られる大きなメリットだと言えるでしょう。

    不動産共通ID導入における課題

    スーツ姿の男性がチェックボックスにチェックマークを入れるイメージ画像

    不動産共通IDは不動産の登記簿の不動産番号を利用することが検討されています。しかし、不動産番号は1つの不動産に対して1つの番号しか付与されていないので、アパートの各部屋を判別したりする番号が存在しません。逆に区分マンションでは区分ごとの不動産番号は存在するが、マンション全体の不動産番号は存在しないのです。

    全ての不動産を網羅的に把握することを目的としている不動産共通IDの作成は、このような状態を紐付けるだけでは実現できません。これをどうやって解決していくかが不動産共通IDの今後の課題として検討が続けられています。

    まとめ

    不動産共通IDは国内にある全ての不動産に付与する共通のIDのことを言います。不動産共通IDが導入されることで、不動産情報が一元化するので情報の透明性が高まる重要な施策だと言われています。情報の透明性が高まることでAIを活用したサービスなどの精度が高まるだけでなく、所有者不明土地の対処や好立地の開発が行われるようになり、不動産業界の更なる発展が見込めます。

    不動産共通IDを利用することで、不動産各社が持っている情報を連携しやすくなり、これからの不動産業界におけるDX化には必要な取り組みとも言えます。一つの住所に複数の建物がある場合にどのように識別していくべきかという課題もありますが、これらをクリアにして上手く活用できれば、不動産業界のさらなる業務効率化や公平性が高まるのではないのでしょうか。

    業務効率化を進めるにあたり、ヒントとなる資料を作成していますので、よろしければ下記からダウンロードしてみてください。

    参考資料:不動産管理会社が業務効率化を図るには?

    この記事のポイント

    最後に、この記事のポイントを確認して今後に活かせるようにしておきましょう。

    • 国内にあるすべての不動産に共通IDを付与することで、情報連携がスムーズになる
      不動産を特定するための共通のIDを作ることで、情報入手の時間やコストが削減したり、不動産取引が透明化になったりと、様々な問題が解決されていきます。この記事では不動産IDの必要性や導入の経緯などを説明しているので、改めて理解しておくと便利です。
    • 不動産IDを導入することで様々な効果が得られる
      不動産取引の情報を一括に管理できることで、データがより活用出来たり、空き家や土地を見つけやすくなったりと、様々な効果が得られます。特に、調査の時間やコストを削減できるので業界全体が業務効率化できることは大きな魅力です。
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