騒音の発生主を強制退去させる方法|騒音トラブル対処時の注意点も解説
賃貸物件の経営をしていると入居者からのクレーム対応をすることが多いのではないでしょうか?
特に騒音トラブルは放置すると騒音元の住人以外の入居者が退去してしまうこともあるため、きちんと対応しておきたいものです。
今回の記事では、騒音を止めない入居者を強制退去させる方法や騒音トラブルの対処方法について解説します。
大家さん・管理会社は騒音トラブルの対処をしなければならない
大家さんや管理会社は騒音トラブルの対処をする責任があります。家賃の対価として入居者に良好な住環境を提供するのが義務だからです。
なお、大家さんが賃貸物件の管理を管理会社に委託している場合は不動産管理会社の責任となります。誰の責任がなるのか、責任の所在をはっきりさせておきましょう。
騒音トラブルはわりと多い
騒音トラブルは、賃貸物件のトラブルで最も多い問題と言われています。騒音の原因は、大声・大音量の音楽・ペットの鳴き声などがあります。
大家さんや管理会社が騒音元の住人に対して口頭か書面にて注意喚起して素直に従えばよいのですが、何度注意しても騒音が止まない場合は、他の入居者のケアも重要で、強制退去させるかどうか検討する必要があります。
関連記事:強制退去させることができる理由|大家が賃貸トラブルに備えておくべきこと
対応を怠ると損害賠償を請求される可能性がある
騒音トラブルで近隣の住民から苦情が出ているにもかかわらず対応を怠った場合、被害者から良好な住環境を奪われたことを理由に損害賠償や引っ越し費用を請求されるかもしれません。
そのため、苦情を受けたら放置せずに即座に適切な対応をすることが求められます。
関連記事:管理会社へのクレーム事例と対策|スムーズに対策しないと退去してしまう!?
騒音の苦情があった場合にすべきこと
大家さん・管理会社が騒音の苦情があった場合にすべきことは以下の手順です。
- 現状把握・証拠を収集する
- 入居者への周知
- 入居者からヒアリング
- 騒音元の住人に改善を求める
- クレーム元の住人に報告
上記の手順を間違えずに慎重に行いましょう。
①現状把握・証拠を収集する
現状把握や証拠の収集は、本当に騒音問題が起こっているのかどうかを判断する材料となります。収集方法は騒音計で音量を測定したり、共用部の防犯カメラで録画・録音することです。
騒音計や防犯カメラの実態とこの後で行う入居者へのヒアリング結果で、騒音元の住人へ注意喚起するかどうかを判断します。
②入居者への周知
賃貸物件の中にある掲示板やポストへ手紙投函などで、騒音問題があることや被害を受けている入居者がいることを伝えて周知します。
入居者全員と情報共有できると、これまで苦情があっても言い出せなかった入居者が意見を伝えやすくなります。
関連記事:騒音注意文の正しい書き方や例文を紹介|騒音トラブルを一刻も早く沈静化させるために知っておくべきポイントとリスク
③入居者からヒアリング
クレーム元の入居者と近隣の入居者からのヒアリングは、騒音元の住人を追及する際に必要になるのでしっかり行いましょう。なお、情報は時系列で取りまとめ、以下のようなポイントを盛り込むとよいです。
- いつから騒音が聞こえ出したのか・気づいたのか(昨日から/3日前から)
- どんな騒音か(人の奇声/足音/何かをたたく音)
- 騒音の頻度や時間帯(数日前から毎日/毎週月曜の朝だけ)
- 騒音が聞こえる部屋(真上の部屋、隣の部屋)
なお、クレーム元の入居者が一人で過剰反応している場合もあるので、ヒアリングの際は常にフラットな気持ちで実施しましょう。
④騒音元の住人に改善を求める
ここまで集めた情報をもとに騒音元の住人へ改善を求めに行きます。ただし、苦情を言っている入居者の名前は伝えてはいけません。
もし伝えてしまったら、騒音元の住人がクレーム元の入居者を逆恨みして、さらなるトラブルに発展しかねないので、あくまでも「周囲から騒音の話が出ている」とだけ伝えましょう。
⑤クレーム元の住人に報告
クレーム元の住人に騒音元の住人への対応の経緯を必ず報告しましょう。時間が経つにつれてクレームが感情論に代わってしまうかもしれないので、報告はできるだけ早めに行いましょう。
また、アプリなどを使って入居者へ気軽に連絡することもできます。無料でダウンロードできますので、参考にしてみてください。
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騒音の発生主の契約解除が可能になる条件
騒音の発生主の契約解除が可能になる条件は以下のケースに分けられます。
- 賃貸借契約に騒音に関する記載がある場合
- 騒音トラブルを認めている場合
騒音元の住人に退去を求めるには「賃貸借契約書の契約解除に関する規定」が重要なポイントです。賃貸借契約書に禁止事項として、騒音に関する文言が書いてあれば、違反した場合は契約解除できます。
また、騒音トラブルを追求し、騒音元の住人が素直に認めればそのまま契約解除の手続きを進めて構いません。
賃貸借契約に騒音に関する記載がある場合
賃貸借契約に「近隣及び居住者に迷惑を及ぼしてはならない」といった禁止事項が記載されていれば、違反した場合は契約解除できることになります。
また、貸借人には「用法遵守義務(民法616条、594条1項)」が適用されます。これは賃貸借契約で定められた用法に従って、目的物を使用しなければならいという内容です。騒音で他の入居者へ迷惑をかけた場合、「用法順守義務違反」に該当する可能性も考えられます。
関連記事:オーナーから居住者に賃貸契約解除通知を出せる条件とは|通知書の書式や例文とともに通知から退去の流れを紹介!
騒音トラブルを認めている場合
騒音元の住人がトラブルを認めなければ、一方的な退去要求はできません。対して、騒音トラブルを認めれば、騒音が立証できたことになるので契約解除することができます。
なお、何度も注意喚起しても騒音を出すのを止めず、またトラブルを認めない場合は、賃借人と貸借人の信頼関係が壊れたということがわかる証拠を提示して退去要求することができます。騒音元の住人がどうしても過ちを認めない場合は、裁判で争うことになります。
騒音の発生主を強制退去させる流れ
騒音元の住人に強制退去を求めるには、以下の流れになります。
- 注意および勧告
張り紙などで賃貸物件のルールを徹底し、入居者全体に周知する。それでもルールを守らない人には口頭と書面で複数回の注意を喚起する。 - 内容証明郵便による勧告
注意と勧告を行ってもトラブルが解消しない場合は内容証明で「○年○月○日までにトラブル解消に協力してもらえない場合は賃貸借契約の解除を行う」といった内容を記した書面を送付する。 - 契約解除
内容証明郵便を送付後に勧告に応じてもらえず、期日までにトラブル解消に至らない場合には、賃貸借契約解除の法的効果が生じる。 - 明渡請求訴訟
賃貸借契約の解除を行った後、明け渡し請求の訴訟提起を行う。(※裁判が始まる前に和解調停ができ、和解成立しない場合は裁判による判決が下りる。)
明け渡し請求訴訟で入居者の強制退去が認められた場合、裁判所によって入居者を強制退去できる。
騒音トラブル対処時の注意点
騒音トラブル対処時の注意点は以下の通りです。
- 環境基準を超えていない騒音の場合もある
- クレーム元の住人が退去する場合がある
- すぐに契約解除・強制退去させない
騒音トラブルでは、騒音レベルや強制退去の条件など知っておいた方がよいことがいくつかあります。
環境基準を超えていない騒音の場合もある
騒音となる環境基準(40~60デシベル)を超えない場合は、退去の要求が難しいと考えられます。様々な生活シーン別の生活音のデシベルの基準は以下の通りです。
出典:日本騒音調査(ソーチョー)から作成
クレーム元の住人が退去する場合がある
騒音が改善されないままだと、クレーム元の住人は騒音被害を受け続けることになります。住んでいて住人に退去されてしまうと賃貸住宅の運営にも影響がでてきます。
賃貸物件は共同住宅の割合が多いため、騒音問題は避けられないものです。しかしながら、善良は住民が引っ越すのは本来的ではありません。
すぐに契約解除・強制退去させることをしない
賃貸物件が大家さんの所有物であっても、入居者は居住権があるため、借地借家法で保護されています。もしトラブルが発生しても、気に入らないから直ちに強制退去させることはできません。
もし大家さんが鍵を交換して部屋に入れなくしたり、勝手に家財などを処分してしまえば、大家さんが訴追されてしまうので気を付けましょう。
強制退去をさせるにはどんな手続きが必要なのか気になる…という方はこちらの記事をチェックしてみてください。
まとめ
賃貸物件ではさまざまなトラブルが発生します。その中でも騒音問題は頻繁に起こるトラブル事例です。騒音が長期化すると入居者全体の生活に影響を及ぼします。騒音元の住人の対応だけでなくその他の入居者が安心して暮らせる環境を整備するのも大家さんや管理会社の役目です。
トラブルを未然に防ぐためにも入居者の日頃からの悩みや相談事を受ける環境作りなど今一度考えてみるとよいのではないでしょうか?
騒音を出し続ける入居者に対応するためにも、GMO賃貸DXの「メッセージ機能」「アンケート機能」「お知らせ掲示板」などの機能が役立ち、他の入居者からも現状を聴くこともできます。
不動産テックを活用した最先端の不動産取引をご希望の方は、GMO賃貸DXまでご相談ください。