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デジタル化に振り切らないと不動産賃貸業界の未来はない!?

賃貸仲介業界の現状と未来をみなさまにお届けする連載企画「徹底調査!賃貸仲介の『イマ』」。
第二回目は「デジタル化に振り切らないと不動産賃貸業界の未来はない!?」です。

今回は、賃貸仲介業界の現場の業務内容を踏まえ、どの業務を効率化するべきなのか?効率化していかないとどうなってしまうのか?という観点でお話いただきました。今回も不動産賃貸業界に関わるすべての方々にとって、必読の内容です。ぜひ、最後までご覧ください。

目次

賃貸仲介業界の現場の業務内容

賃貸仲介業界の現場での主な業務内容についてお教えください。

賃貸仲介業界の業務は主に5つあります。それぞれは以下の通りです。

1.お客様からお問合せを増やすために物件を掲載する「広告業務」
2.お問合せを受けた内容の確認や返信をする「反響対応」
3.ご来店いただき、ご希望条件の確認や物件のご提案などを行う「フロント営業」
4.実際に物件のご案内をする「物件案内」
5.物件の申込や契約を行う「申込・契約業務」

それぞれの業務を1件の契約を獲得するまでの時間に換算すると、一番時間が掛かっているのは、お客様との信頼関係を築くために重要な「フロント営業」です。「広告業務」「案内対応」「申込・契約業務」はだいたい同じくらいの時間が掛かりますね。一番時間が掛かっていないものは「反響対応」です。

昔と比較すると業務負担は減っているのでしょうか。

負担は減っていないですね。むしろ、全体的に増えているかもしれません。背景としては全体的に業務が複雑化されているのが大きいです。例えば、「広告業務」は昔と比べて、不動産会社1社あたりが、不動産ポータルサイトなどに掲載する物件数は増えていますし、1物件あたりの写真や設備項目などの情報量も非常に増えています。現在は1週間に一度の頻度で、掲載している物件情報の確認・更新作業をしています。より新鮮な物件情報をお客様に提供したいのですが、これ以上「広告業務」の負担が増えてしまうと、ビジネスモデル自体が難しくなってきてしまうと感じています。

「反響対応」に掛かる時間も昔と比較すると増加していると思います。前回もお話した通り、不動産ポータルサイトなどからの問い合わせは増加していますが、問い合わせからの成約でみると確率が落ちてきています。お客様と連絡を取るツールが多様化しているのも影響しています。

業務の中で一番複雑化しているのは、「申込・契約業務」です。なぜかというと、現在はアナログからデジタルへの変わり目で、アナログとデジタルの両方が混在している状態だからです。デジタル(電子契約)に移行した管理会社もあれば、アナログ(紙での契約)のままの管理会社もいます。そのため、「申込・契約業務」ではFAXでのやり取り、押印、郵送対応、電子契約も全てに対応しなくてはいけません。こうなってしまうと、デジタルとアナログの両方に対応するフローを構築する必要があります。極端ですが、全てがアナログのままの方が、様々な管理会社のフローを考慮しなくて良いので、仲介会社の生産性は高いかもしれません。

デジタル化の必要性

業務の中で効率化を進めたいものは何でしょうか。

先ほどお話させていただいた「広告業務」と「申込・契約業務」ですね。両方ともデジタル化を進めることによって効率化することが可能です。

「広告業務」は管理会社と物件情報の自動連携を行うことです。既に一部の大手仲介会社では、取り組みが始まっています。「申込・契約業務」もデジタル化をより一層進めることで、FAXでのやり取り、押印、郵送対応などの作業を無くすことができます。

過去と比べても、現在は不動産賃貸業界全体として、一番業務コストが掛かっているのではないでしょうか。業務の効率化に向けて、業界全体で連携し解決すべきだと思っています。

業務の効率化をしていくために必要なのはデジタル化でしょうか。

やはり、軸はデジタル化です。不動産賃貸業界全体でデジタル化に振り切ってやっていく必要があると思っています。まずは、「申込書・契約書」をデジタル化していくことが優先順位は高いと考えています。なぜかというと、「申込・契約業務」は他の業務と違い、管理会社も仲介会社も、全ての不動産会社が行っている業務であるため、一番効果が見えやすいからです。

S-FITでは、「案内対応」をデジタル化しようとVRを取り入れたことがあるのですが、物件ごとにVRを提供するには膨大なデータ量が必要になりますし、お客様も、最終的には「実際に物件を見たい」と希望するケースが多く、「案内対応」をデジタル化することは実現出来ませんでした。このように、今できるものとできないものの優先順位が重要です。

不動産賃貸業界が目指すべき未来

なぜ、デジタル化に取り組んでいかないと「未来がない」とお考えですか。

このままでは、不動産賃貸業界全体が衰退してしまうという危機感があるからです。なぜ、衰退してしまうと考えているかというと、前回もお話しましたが、あらゆるコストが上がっているという点と、情報の非対称性が減少している点の2点です。他の業界であればコストを価格に転嫁することは出来ますが、不動産賃貸業界は仲介手数料や管理料に価格転嫁をするのはなかなか出来ないため、利益を上げることが難しくなってきています。

そのような状態であるため、デジタル化を一層進め、業界全体で業務の効率化を図り、コスト削減を行う必要があるのです。今のままでは、不動産賃貸業界に関わっている皆さんの、収入を上げることは出来ません。収入を上げることが出来なければ、業界に必要な人材の確保が出来ず、衰退していってしまうのです。不動産賃貸住宅市場は家賃収入も含めた売上が約10兆円あります。この売上を変えず、デジタル化で業務を効率化し、より少人数で行えるように出来れば、一人当たりの収入を増やすことが出来ます。

私個人の話ですが、最近、あるサービスを契約しました。契約の際に担当の営業マンから、「契約書を郵送して良いか」と言われたので、メールで送って欲しい旨を伝えたところ、「メールアドレスを登録する書類を郵送する」と言われました。二度手間になるので、メールで送ってもらうことは諦めて、契約書を郵送してもらったのですが、我々賃貸仲介業界も、お客様にそういう体験を提供してしまっているのではないか。と、不安に感じました。

デジタル化の実現に向けて

どのようにすればデジタル化を実現できるとお考えですか。

1社で出来ることは、限界が来てしまっています。そのため、不動産賃貸業界全体で取り組んでいく必要があるのです。具体的には、業界団体や大手不動産会社が率先して取り組んでいくべきだと思います。

S-FITでも「賃貸管理業」を行っているため、やるべきだとお話した、「申込書・契約書」のデジタル化はせず、紙のままでも、管理会社からすると不便に感じない部分は多いと思います。ですが、仲介会社目線で見てみると、仲介会社は様々な管理会社のフローに合わせなくてはいけませんし、お客様との連絡ツールも多様化していますので、仲介会社の現場は混乱してしまいます。結果的に、業界全体に悪影響を及ぼしているのではないでしょうか。

業界全体で取り組んでいくというのは簡単ではないですが、私自身もこの課題に対して、様々な業界関係者に継続的に訴えていくつもりです。

「申込書・契約書」のデジタル化は管理会社にメリットはないのでしょうか。

もちろんメリットはあります。契約時の必要書類や、更新書類の郵送作業もなくなりますし、受け取った書類の処理や保管もなくなります。記載間違いのやり取りも減らせますね。具体的にどのぐらいの時間を削減出来るかは、試算をしている最中になるのですが、デジタル化することによって、契約に関わる管理は格段にスムーズになるはずです。

デジタル化が進むとどのようになるとお考えですか。

デジタル化が進み業務が効率化されれば、お客様やオーナー様に新しい付加価値を提供することが出来ます。効率化が進めば、フロント営業に割く時間を増やすことが出来るため、それぞれのお客様に合った提案や対応を、今まで以上に行うことが可能です。「申込・契約業務」のデジタル化だけでなく、フォーマットの統一化もされていけば、説明する不動産会社も説明されるお客様も負担が減り、契約に掛かる時間を減らすことが出来ます。例えばですが、敷金・礼金がない物件で契約手続きが簡単であれば、短期滞在での利用なども広がるかもしれません。

人口の減少に伴い、入居者も減少してしまい、賃貸経営が厳しくなる。ではなく、賃貸物件に新しい付加価値を付けることが出来れば、不動産賃貸業界の未来も明るいと思います。

まとめ

多くの方が、現状の業務の在り方に疑問を持っていると感じます。「この仕事はあと何年続けられるのだろうか」「将来どうなってしまうのか」という話しを良く耳にします。このままの状態では、魅力的な業界にはなりません。みなさんが「働きたい!」と思える業界にしていかなくはいけないのです。

デジタル化の道は簡単ではありませんが、未来を見据えて早急に取り組んでいく必要があります。より良い未来を築くために、業界全体で協力していきましょう。

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