【専門家インタビュー】松木 健人様|不動産事業者の「楽」を叶える、業務支援システムの進化
不動産会社の業務効率・生産性アップのキモとなる「業務支援システム」。年々その数は増えていますが、業務支援システムの進化はどこまで進んでいるのでしょうか。今回は、業界で高いシェアを誇る業務支援システム「いえらぶCLOUD」を提供している、「株式会社いえらぶGROUP」の松木 健人様にお話を伺いました。
- 1不動産業界のDX化に貢献する「いえらぶGROUP」
- 1Q.まずは、自己紹介をお願いします。
- 2昨今の不動産業界について
- 2Q.昨今の不動産業界をどのように見ていますか?
- 2Q.不動産業界の課題についてはいかがでしょうか。
- 2Q.サービスの提供にあたりどんな点にこだわっているのですか?
- 3「いえらぶCLOUD」について
- 3Q.貴社のサービス「いえらぶ CLOUD」について教えてください。
- 3Q.業務支援システムというと特定の機能に特化しているイメージがありましたが、「いえらぶ」さんはここまで網羅されているのですね。
- 3Q.「オールインワン」と「使いやすさ」が他社システムとの差別化に繋がっているのでしょうか?
- 3Q. お客様へのサポート体制はいかがでしょうか?
- 3Q.「いえらぶ CLOUD」を導入されたお客様の事例を教えてください。
- 3Q.導入の決め手は、どんな声が多いのですか?
- 4「いえらぶGROUP」の新たな施策
- 4Q.貴社が新たに取り組んでいる施策を教えてください。
- 5GMO賃貸DXとのAPI連携がもたらす価値とは
- 5Q.GMO賃貸DXとのAPI連携が実現した場合、管理会社様やオーナー・入居者様へどんな価値をご提供できると思われますか?
- 5Q.今までは吸い上げられなかったデータも拾えるようになるのですね。
- 6不動産テックの課題と今後期待すること
- 6Q.不動産テックの課題としてどのようなことがあると思いますか。
- 6Q.最後に、今後の不動産テックに期待することを教えてください。
- 7まとめ
- 8本記事取材のインタビュイー様
不動産業界のDX化に貢献する「いえらぶGROUP」
Q.まずは、自己紹介をお願いします。
現在私は「いえらぶGROUP」の執行役員を務めており、主に新規事業の立ち上げや、商品企画から開発を行う組織のマネジメントに従事しています。
私が当社に新卒入社したのは2013年。当初は不動産会社様を回り、WEB集客による売上アップ・業務効率化に向けたコンサルを行っていました。2014年にグループ会社「いえらぶコミュニケーションズ」の設立。その後も、いえらぶGROUPの新サービス企画に携わり、現在のポジションに至ります。
当社は、業務支援システム「いえらぶCLOUD」を基軸としたさまざまなサービスを展開しています。2019年には、使い勝手の良い賃貸管理システム「らくらく賃貸管理」を新たにリリースしたほか、「いえらぶCLOUD」の新機能として定型業務を自動化できる「RPA」サービスも追加しました。
おかげさまで現在、「いえらぶCLOUD」は全国1万2,000社以上の導入実績があります。なお、今年2021年からは当社のPRキャラクターに「後藤真希さん」を起用することになりました。今後も不動産業界のDXに貢献できるよう、邁進していきたいと考えています。
昨今の不動産業界について
Q.昨今の不動産業界をどのように見ていますか?
不動産業界は、年々DXへの関心が高まってきているように思います。コロナ禍以降は特にそうですよね。 その一方で、業界全体のDX実現にはまだ時間が掛かるのではないでしょうか。これまでも、一気に進むというよりは少しずつ着実に進んできた印象です。
DXは、単純に“不動産テックサービスを導入すればOK”というモノではありません。慣れ親しんだ業務フローが変わることによる現場ストレス・数種類のツールの使い分けなど、不動産会社様は導入に伴ってさまざまな課題に直面されます。また、そもそも「どこからDXを始めるべきかわからない」という会社様も少なくありません。だからこそ、当社は不動産会社様と二人三脚で、現場に寄り添いながらサポートしていくことを大切にしているのですよ。
また、事業所数が非常に多いほか、ITに頼らなくても仕事自体はできてしまう点も、不動産業界のDXが緩やかな理由に挙げられます。やはり何かきっかけがないと、DX化はなかなか加速しないのではないでしょうか。実は、当社のPRキャラクターに圧倒的な知名度を誇る「後藤真希さん」を起用したのも、きっかけ作りになればというのが理由の一つです。
引用元:いえらぶCLOUD
不動産事業において「マンパワーではITに勝てない」という状況になれば、そこがDXの大きな転換期になる気もするので、そういった意味でも頑張って良いサービスを作り出していかなければと考えています。
Q.不動産業界の課題についてはいかがでしょうか。
やはり、業務効率の悪さは大きな課題であると思います。煩雑な事務作業などに手間を取られてしまい、肝心のお客様への対応業務に時間を割けていない会社様も多いのではないでしょうか。
ここは、ITの力で解決を図れるはずです。当社のサービスも、まさにこの効率化の部分に大きく寄与できます。「しごとまきまき!」(笑)です。
Q.サービスの提供にあたりどんな点にこだわっているのですか?
「機能性」はもちろんのこと、「導入のしやすさ」と「使い勝手の良さ」も大切にしています。昨年リリースした「らくらく賃貸管理」もそうですね。例えば、UIデザインを工夫して目的のページにすぐ辿り着けるようにしています。
初めて導入するシステムが使いにくいと、不動産会社様は「やはりうちにはDXは無理か」と早々に諦めてしまいがちです。逆に、「これなら大丈夫そうだ」と思っていただけたら、それが自信に繋がり次のサービスの導入にも踏み切っていただけます。DX化の最初のハードルを下げることは、非常に大切ですよね。
「いえらぶCLOUD」について
Q.貴社のサービス「いえらぶ CLOUD」について教えてください。
「いえらぶCLOUD」の特徴は、まず「オールインワン」であることです。 賃貸/売買の仲介・管理すべてに対応しており、仲介業務は物件登録~データ分析まで、管理業務は募集・空室対策~更新・解約まで一元管理ができます。また、集客を強化できるホームページの作成も請け負っています。まさに、不動産業務のすべてを楽にできるシステムです。
例えば「賃貸管理」における機能でいうと、リーシングでは各種ポータルサイトへの出稿や物件確認の自動応答・WEB内見予約・WEB申し込みなど、管理では物件管理はもちろん契約管理・入居者/オーナー管理・家賃の入出金管理・クレーム管理・リフォーム管理などの機能をご活用いただけます。
そして「売買管理」でいうと、ポータルサイトの反響があったら自動で顧客登録されたり、各顧客に提案する物件が自動で選定・配信されたり、と手厚い顧客管理が可能です。さらに反響データの分析や、チラシ作成なども行っていただけます。
今まで複数のシステムを利用されていた不動産会社様は、「システムが一つにまとまり楽になった!」と非常に喜ばれていますよ。
Q.業務支援システムというと特定の機能に特化しているイメージがありましたが、「いえらぶ」さんはここまで網羅されているのですね。
そうですね、当社の大きな強みだと思います。また、先ほどお話した「使い勝手の良さ」もメリットのひとつです。
例えば、物件情報の入力も簡単です。 物件情報の入力時、画像をアップロードする際は通常「外観」「間取り」などの画像カテゴリーを選択する必要があります。しかし、「いえらぶ CLOUD」の場合は、画像をアップロードすればAIが自動で画像カテゴリーを判別してくれるのですよ。
また、各物件のコメントも、設備情報や住所情報をもとに自動で作成されます。例えば、設備情報欄に“宅配BOX”付きであると入力し、住所欄も入れておけば「宅配の受け取りが簡単!近隣に小学校があります」のようなコメントが作られるのです。特に、住所を入れるだけで近隣情報が表示されるのは、非常に便利だと思います。
あとは、ポータルサイトへの出稿時に不備をチェックできる「物件掲載テスト」機能も好評です。入力漏れや不適切な日本語などが自動検知されるので、スムーズかつ正確に出稿できるのですよ。この機能は、現在特許申請中です。
Q.「オールインワン」と「使いやすさ」が他社システムとの差別化に繋がっているのでしょうか?
おっしゃるとおりです。また、大規模な開発体制もそうですね。当社では100名以上のエンジニアがシステム開発に携わり、お客様の声をもとに毎週システムのバージョンアップを行っています。
さまざまな不動産テックサービスが生まれている中で、やはり「どれだけスピーディーにお客様の要望を叶えられるか」は重要です。使い勝手を日に日に改善できるよう努めています。
Q. お客様へのサポート体制はいかがでしょうか?
導入前はもちろん、導入後のサポート体制もしっかり整えています。「いえらぶ CLOUD」はサイトのトップに電話番号が載っており、いつでも気軽にお問合せいただくことが可能です。また、テレビ会議によるコンサルも定期的に実施しています。
このようなお客様対応のために、日本全国に総勢100名を超える専属チームが控えているのです。また、これらのサービスは「いえらぶ CLOUD」の利用料に含まれているので、何度でも安心してご利用いただけます。
Q.「いえらぶ CLOUD」を導入されたお客様の事例を教えてください。
例えば「株式会社 日本財託管理サービス」様の場合、「いえらぶ CLOUD」の導入前は情報の紙管理に限界を感じていたそうです。また、1日中電話が鳴り響き、重要な業務に時間を割けないことにもお悩みでした。
そこで「いえらぶ CLOUD」を導入していただいたところ、まず紙→データ管理に切り替わりFAXを使わなくなったことで、8,000枚/月の紙の節約を実現されました。さらに、WEB上で物件確認・内見予約・申込受付の対応が可能になったことにより仲介会社からの電話は約1/10に。仲介会社とのやり取りがスムーズになったので、利用される仲介会社数は4ヶ月で約3倍にも伸びたとのことでした。
そのほかの会社様からも、内見予約電話が80%減った、チラシ作成などの募集業務が1物件あたり10分減った=年間約33時間生産性を向上できた、申し込み後の仲介会社とのやり取りが40%程削減できた、などお喜びの声をたくさんいただいています。
Q.導入の決め手は、どんな声が多いのですか?
「使い勝手の良さ」「WEB集客で売上UPできそうだから」「営業担当の対応が信頼できたから」などさまざまなお声がありますが、やはり「システムを一つにまとめられる」という部分が大きいようです。
なお、導入時には「仲介会社向けプラン」「管理会社向けプラン」「全部プラン」など数種類のプランから、ご希望に合わせてお選びいただいています。あとは、一部の機能だけを選び、低コストでご利用いただくことも可能です。例えば顧客管理機能のみ、各ポータルサイトへの連動機能のみ、のような形ですね。
「いえらぶGROUP」の新たな施策
Q.貴社が新たに取り組んでいる施策を教えてください。
大きく分けると、「電子契約サービス」「GOTO不動産キャンペーン」「オールインワンの賃貸管理機能」の3つです。
まず「電子契約サービス」は、新規契約・更新契約ともにインターネット上で締結できるサービスです。「いえらぶCLOUD」の新機能としてリリース予定であり、契約管理を一気通貫で行えるようになるため、より大幅な業務効率化を実現できます。現在すでにプロトタイプは完成しており、テスト期間中です。セキュリティ面を十分に担保したうえでご提供できるよう、ブラッシュアップに力を入れています。
「GOTO不動産キャンペーン」は、全国の不動産会社様の集客を支援するキャンペーンです。このキャンペーンのPRキャラクターも、後藤真希さんに務めていただいています。内容としては、このキャンペーンに参画された不動産会社様でユーザーが物件契約を結んだ場合、ユーザーは後藤真希さんのクリアファイルをもらえる、というもの。また、ツイッターでお部屋探しに関する写真を「#GOTO不動産」というハッシュタグをつけて投稿すると、抽選でギフト券なども当たります。
そして「オールインワンの賃貸管理機能」は、先ほどお話したとおり一気通貫の賃貸管理を叶える「いえらぶCLOUD」の機能です。これまで「いえらぶCLOUD」は仲介会社様のご利用が多い印象があったかと思いますが、ここ数年で管理機能を大きく強化し、以前とは比べものにならないほどの使いやすさを実現しました。引き続き、ここは注力していく予定です。また、今後はGMO賃貸DXさんの「オーナー・入居者向けアプリ」とのAPI連携も実現することになりそうですね。
GMO賃貸DXとのAPI連携がもたらす価値とは
Q.GMO賃貸DXとのAPI連携が実現した場合、管理会社様やオーナー・入居者様へどんな価値をご提供できると思われますか?
GMO賃貸DXさんと当社が連携することで、DX化は管理会社様にとどまらずオーナー様・入居者様まで進みます。管理会社様とオーナー様・入居者様の情報伝達がスムーズになるのは、オーナー様・入居者様にとってもメリットですよね。また、オーナー様・入居者様は欲しい情報に24時間365日アクセスできるようになるので、高い満足度に繋がるはずです。
一方で、管理会社様からするとオフラインで手間がかかっていた業務もオンラインに切り替えることで楽になるのはもちろん、郵送作業が削減されることによるコストメリットあります。また、有益なデータが溜まっていくというメリットも大きいと思います。「オーナー様・入居者様が、いつどんな行動をしていたのか」というデータですね。このデータを解析・分析すれば新たな提案の機会を見出せるため、売上アップも図れるのではないでしょうか。
Q.今までは吸い上げられなかったデータも拾えるようになるのですね。
はい。それでいうと、オーナー様・入居者様の率直なご意見やご要望も集めやすくなります。オンラインは、言いにくい内容でも気軽に伝えられる傾向にありますから。このことは、「いえらぶ CLOUD」がご提供している「内見後アンケート」機能のアンケート結果からも実感しています。
現在、不動産管理会社とオーナー様・入居者様の連絡手段はアナログです。今後この「オーナー・入居者向けアプリ」がスタンダードとして広まっていけば利便性は大きく向上すると思うので、楽しみにしています。
不動産テックの課題と今後期待すること
Q.不動産テックの課題としてどのようなことがあると思いますか。
不動産テックは注目度が高まっていることもあり、新しいサービスが続々と誕生しています。しかし、極端な言い方をしてしまうとどんなに良いサービスが生まれても、ユーザーに使われないと意味がありません。ここが、課題になってくるのではないでしょうか。
サービスを実際に使ってもらうには、「いかにユーザー目線のサービス開発ができるか」、「いかにユーザーをフォローできるか」が大切です。つまり、不動産テック企業側に、不動産会社様と一緒になってDXを進めていく姿勢が求められます。
最初にお話したとおり、この姿勢は当社が非常に大切にしているところ。当社のサービスは、今後も不動産会社様に寄り添いながらバージョンアップを重ねていく予定です。年々進化し続けるシステムを、ぜひ一度見て触っていただきたいなと思います。
Q.最後に、今後の不動産テックに期待することを教えてください。
不動産テックは、不動産会社様の業務効率化に大きく寄与します。しかしそれと同時に、ユーザーにも非常に大きな価値を提供できます。
いえらぶGROUPが掲げているビジョンは、『住業界にイノベーションを起こし、誰もが安心した住まい選び「いい家、選ぶ」を実現できる明日をつくります。』というもの。不動産テックによって「いい家、選ぶ」が実現する日が一日でも早く訪れることを期待していますし、そのために当社も全力を尽くしていこうと考えています。
まとめ
網羅性の高いコンテンツと使いやすさが評価されている「いえらぶCLOUD」。 さまざまな業務支援システムが存在するぶん何を選ぶべきか迷ってしまいがちですが、今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ自社の目的や希望に合ったシステムを選んでみてください。
本記事取材のインタビュイー様
株式会社いえらぶGROUP
執行役員 商品開発本部管掌
いえらぶCLOUDの企画責任者
具体的には業界のニーズに合うサービスの企画、部署横断的なマーケティングの責任者、マーケティング面のマネジャー教育等を管掌している。