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賃貸経営の「AI」と「IOT」の違い・関係とは

賃貸経営の「AI」と「IOT」の違い・関係とは
不動産賃貸の業界では、「スマートホーム」という名称でAIやIoTデバイスが導入されるようになってきました。単に住む部屋を提供するのであれば「スマートホーム」は不要です。 しかし、便利な部屋を提供することで差別化を図る点においては、スマートホームは優れた仕組みです。 本記事では、AIやIoTの基本を説明した後、不動産賃貸住宅での活用事例を紹介します。
目次

    AIとは

    AIとは

    近年、AI(人工知能)という単語をニュースやCMで見る機会が増えたことで、映画の中で出てくるようなロボットや高性能な知能をイメージしている人は多いでしょう。

    AIとは、デジタル大辞泉(小学館)には以下のように記述されています。 「コンピューターで、記憶・推論・判断・学習など、人間の知的機能を代行できるようにモデル化されたソフトウエア・システム」
    ※引用:デジタル大辞泉(小学館)

    専門家の間でも何が知能で、何が人間の知的機能なのかの明確な定義づけができていないため、曖昧になっているのが現状です。

    現在のAIは、何かに特化したサービスを提供する限定的な機能がほとんどです。人のように柔軟(汎用性)な対応ができる代物ではなく、AIに話しかけても会話の意味を理解しているわけではありません。

    何か指示をしたり問いかけたりすれば、高確率で意図したレスポンスが返ってくる程度に思っていただければ十分です。

    AIが搭載された製品を挙げると、家庭向けであればAmazon Echo(alexa)Google Homeなどのスマートスピーカーが代表的です。ビジネス向けであればサポートページやFAQページのチャット機能などです。 このように目に見える形の製品ばかりではなく、Googleの検索や翻訳、画像編集ソフトの中にも搭載されています。

    AI活用のメリット

    先にも述べたとおり、AIといっても現在のレベルでは人のような柔軟な処理ができるわけではありません。しかし、単純な指示や問いかけ、情報収集、処理をするなど、「思考の代行」をさせることができる点がメリットです

    たとえば、「翌日の服装を選ぶ際、厚着をすべきか薄着でよいのかを判断する」ことを想像してみてください。従来であれば、スマートフォンを利用して次のようなステップを踏み、明日の天気や気温を調べて判断することになります。

    1. スマートフォンを取り出す
    2. アプリを起動する
    3. 所在地を選択する

    これらの操作を人がすることで、やっと天気の情報を取得して服装を判断することになります。

    一方、AIが搭載されたスマートスピーカーに声で指示した場合、人が「明日の〇〇(目的地)の気温を教えて」などと話しかけるだけで、自分の手を動かすことなくAIが意図した情報を検索して教えてくれます。

    つまり、情報収集のような単純作業をAIに代行させることで、人は人でなければ行えない思考(服の選定)に注力することができ、人的コストを削減できるのです。

    AIができること

    AIが得意とするものとして、画像・テキスト・音声などの認識や解析処理が挙げられます。

    近年、AIがもてはやされるに至ったのは、「ディープラーニング」という学習手法が開発されたことも理由の一つです。従来の機械的な学習手法と違い、ディープラーニングは人間の脳神経細胞の仕組みを模して作られたニュートラルネットワークを用いることで、より精度の高い認識力・学習力を発揮できるようになったのです。

    現在のAIの分野は黎明期のため、利用できる分野はまだ狭いです。しかし、「画像認識」「自然言語処理」「音声認識」であれば、今まで人が判断していた処理をAIに代行させることが可能です。

    画像認識

    AIによる画像認識でよく導入されているものの一つに、防犯カメラがあります。

    たとえば、不審者がフェンスで囲まれた敷地内に不法侵入したとします。

    • 従来の防犯カメラ:侵入時の映像を記録することはできても、侵入を「検知」できない
    • AIが搭載された防犯カメラ:AIが侵入を「検知」し、管理人に通知することができる

    従来の防犯カメラでは、侵入されても管理人がずっとカメラを見ているか、何らかの犯行がなければ、侵入されたことを知る術がありません。

    このように、人が画像を見て判断する作業をAIに代行させることで、管理コストの削減を図ることができます。

    自然言語処理(テキスト解析)

    テキスト解析は、元来インターネット普及時に検索エンジンや迷惑メールの解析に利用するために活用されていた分野ですが、最近ではAIが導入されています。たとえば、TwitterFacebookなどSNSの書き込みから市場動向を分析する際、膨大なデータを扱うことになるため、人が行うには大変な作業になります。

    AIを導入すると、ある程度絞った分析結果から動向を分析することで、データ解析などの作業時間を短縮することができるのです。

    音声認識

    音声認識には、以下の種類があります。

    • 音声入力:発した言葉をテキストに起こしたり、音声から人の感情を認識する
    • 音声操作:AIに指示してアプリケーションや家電を操作する

    「音声入力」は、現在ではAIに文字起こしさせることが実用レベルで利用されています。日本語には他の言語に比べて同音異義語が多いですが、AIに前後の会話を判断させることで適切な漢字が選択されています。

    「音声操作」はスマートスピーカーが代表例です。何か音声で指示すればレスポンスが返ってくる仕組みです。その際に、指示した音声がどのような意味・意図があるのかを読み取る必要があり、その解析をAIが行っています。

    現在のAIは会話を記録できても、会話の意味を「理解」しているわけではありません。単語の羅列から、統計的に人が意図している確率が高いものを抽出して選択しているに過ぎないのです。 そのため、「音声操作」する場合は、なるべく単純な言葉を発してAIが解析しやすいように意識しなければなりません。

    IoTとは

    IoTとは

    IoTとは、Internet of Things(モノのインターネット)と呼ばれ、パソコンやスマートフォンのようなコンピューター以外のモノ(家電や設備等)でもインターネットに接続できる仕組みを指します。

    通信機器やセンサー、カメラ、音声などの入出力装置などが搭載されたモノは、取得したデータをインターネット経由で人やモノに送ることができます。モノから情報を得たり、モノを操作したり、モノ同士が双方向通信を行うことで、今までにない新しいサービスを提供できるようになるのです。

    たとえば、製造業では生産ラインの監視や異常検知、物流分野では適切な在庫管理や配達、農業では気温や湿度など環境に応じた水やり、他にも医療分野や空調設備分野などさまざまな業種で導入されています。

    IoT活用のメリット

    IoTを活用するメリットは、従来人が行ってきた単純な作業をIoTデバイスに代行させることで、人の手間を省くことができる点です。前述したAIを搭載したスマートスピーカーと組み合わせることで、IoTデバイスを音声操作できるようになります。

    私がよく便利さを伝えるための例として挙げる、「料理中にエアコンを作動させたくなった」時の状況で説明します。従来の生活様式では下記のプロセスを経てエアコンを操作します。

    1. 手を洗う
    2. 手を拭く
    3. リモコンのある場所に移動
    4. リモコンでエアコンを作動

    しかし、スマートスピーカーとIoTデバイス利用してエアコンを操作すると、次の2パターンしかありません。

    1. 自動的にエアコンが作動する(人は何もしない)
    2. 音声で操作する(「・・・、エアコンつけて」と言う)

    このように、副次的な目的(エアコンの動作)を果たすために必要なプロセスを大幅に省略することができ、本来の目的(料理)に集中することで、作業効率を向上させることができるのです。

    IoTによって実現できること

    現在、賃貸住宅分野で活用できるIoTは、主に以下に挙げるものです。

    • モノの「遠隔操作」
    • カメラやセンサーを利用した「状況・情報収集」
    • 上記2つを組み合わせた「自動制御」

    AIと違ってIoTは、ハードウェアデバイスありきとなります

    遠隔操作

    IoTデバイスを利用して、スマートスピーカーやスマートフォン経由で家電を遠隔操作することが可能です。たとえば、在室している状況でエアコンや照明などの家電を、リモコンやスイッチがある場所に移動せずとも、スマートスピーカー経由で音声操作することができます。

    外出先から操作する場合は、スマートフォンのアプリ経由で遠隔操作できます。 従来のテレビドアホンであれば、在室していなければ対応できません。しかし、IoT対応製品であればスマートフォンに着信され、子機とスマートフォンでテレビ通話することができます。

    状況・情報収集

    室内にセンサーが搭載されたIoTデバイスを設置することで、室温や湿度、在室確認などのデータを取得でき、その情報を基に家電を遠隔操作することも可能です。 犬を飼っている家庭であれば、温度管理に気遣っているでしょう。エアコンを温度センサーと連動させ、設定温度以上(あるいは以下)の室温になった場合にエアコンが自動で起動して、室温を設定温度に自動調節することができます。

    ほかにも、室内に人感センサーが搭載されたIoTデバイスを設置し、高齢者の生活確認を行うサービスもあります。

    不動産業界におけるAI・IoT活用事例

    不動産業界におけるAI・IoT活用事例

    手前味噌になりますが、私は2019年にAIとIoTを導入した「スマートホームアパート」を新築しました。

    このアパートの特徴は、居室内に設置された設備を室内外から遠隔操作できるように、スマートスピーカーとIoTデバイスの設置を前提に建てたことです。

    新築アパートを建てる際に設置するデバイスを選定することで、デバイス設置場所に配線や電源を確保することができます。そのため、設置したデバイスと部屋が一体感のある違和感のない仕上がりになるのです。

    室内操作事例

    スマートホームアパートには、IoTに対応した「照明」「エアコン」「40インチ液晶テレビ」「追い炊き対応型ガス給湯器」が設置されています。これらを室内から音声で遠隔操作するために、スマートスピーカー(alexa)とスマートリモコンを設置しています。

    スマートリモコンとは、IoTに対応した学習型赤外線リモコンです。液晶テレビ、エアコン、照明のリモコンの信号を学習させることで、スマートフォンやスマートスピーカーと連動させて遠隔操作ができます。

    これにより、入居者は何か作業をしていても、中断することなく家電を音声のみで操作することが可能です。

    屋外操作事例

    入居者が屋外から操作できる室内家電は、「テレビドアホン」「エアコン」「追い炊き対応型ガス給湯器」です。

    これらの家電は、IoTに対応した家電を選定しており、それぞれ対応したアプリから家電を操作することができます。 たとえば、仕事が終わり帰宅する際に、事前にお湯はりをしたり、室内のエアコンを動作させたりすることができます。つまり、入居者が帰宅してから行う作業と待ち時間を削減することができるのです。

    「テレビドアホン」は外出時の来客対応をスマートフォンで音声通話できます。そのため、宅配便が来ても「宅配ボックスに入れて欲しい」「何時に帰宅するからそれ以降に再配達して欲しい」などの対応ができるので、宅配業界の負荷軽減にも役立ちます。

    共用部活用事例

    屋外の共用設備には、「防犯カメラ」と「電動バルブ」があります。

    「防犯カメラ」は入居者のスマートフォンに入れたアプリを利用することでライブ映像を見ることができ、防犯上の安心感を与えています。 「電動バルブ」は、夏場の暑い時期に打ち水をすることで、入居者にかかるエアコンの電気代を削減させる目的で設置しています。

    一部の雪国では、積もった雪を処理するために井戸水で溶かす消雪装置を設置しています。この消雪装置は、通常降雪センサーからの信号を使って電動バルブをON・OFFしているのです。

    消雪装置の配管をバイパスして、気温と時間帯を条件にON・OFFできる専用の電動バルブ(DoValve)を設置することで、夏場の打ち水を実現しています。

    電動バルブはスマートフォン経由で設定することができ、実際の動作履歴もインターネット経由で確認できます。

    まとめ

    AIとIoTについて説明しましたが、最近の製品は内部の仕様を理解しなくても手軽に利用できる製品が発売されるようになってきました。AIについては私も専門家ではありませんが、それでも簡単に利用できます。

    差別化の難しい不動産賃貸業ですが、AIとIoTを導入することで、近未来的な物件を提供できるのではないでしょうか。

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