老舗不動産会社が実践する“人に頼らない”賃貸管理の革命「GMO賃貸DX」で見えた変化

茨城県神栖市を拠点に、マンスリーマンション運営から賃貸管理、不動産売買まで幅広く事業展開する株式会社泉ハウジンググループ。1991年に「マンスリーマンション」という名称とその概念を生み出し、30年以上にわたり業界をリードしてきました。
同社はコロナ禍を契機に、「人に頼らないシステム作り」を掲げ、全社的なDXに着手。「ミスタービジネス」サイトの全面リニューアルや、新システム「ステイコネクト」の導入をはじめ、次世代に向けた変革を加速させています。その一環として、オーナー・入居者の双方に向けて『GMO賃貸DX』を導入。今回は、代表取締役の今泉政直氏に、導入の背景や効果、そして今後のビジョンについてお話を伺いました。
一気通貫のDXシステム「ステイコネクト」で業界の常識を覆す
「ミスタービジネス」について詳しく教えてください。
▲株式会社泉ハウジンググループ 代表取締役 今泉 政直氏
今泉様:ミスタービジネスは、おかげさまで創業30周年を迎えました。平成6年に立ち上げたマンスリーマンション事業において、当社は業界の「元祖」として知られております。このたび30周年という節目にあたり、「元祖の逆襲プロジェクト」を発足し、マンスリーマンション業界を次のステージへと進化させるための新たなシステムを構築いたしました。創業当初、まだ「マンスリーマンション」という言葉すら一般には知られていない時代に、当社は理念・サービス・商品をすべて本部で統一し、フランチャイズ形式で事業を展開してまいりました。しかし、現在ではこの言葉も広く浸透し、市場も成熟してきたことから、フランチャイズではなく、より柔軟な「パートナーシップ形式」への移行を決断いたしました。
その一例として、たとえば、会社勤めを続けながらマンションを購入し、副業としてマンスリーマンション運営に取り組む個人の方々や、すでにマンスリーマンション事業を展開している不動産会社など、幅広い層が参入しやすくなるよう、新たなパートナー制度を整備いたしました。

株式会社泉ハウジング ミスタービジネス事業本部の運営するウィークリー・マンスリーマンション情報予約サイト
新システム「ステイコネクト」についてお聞かせください。
今泉様:「ステイコネクト」は、マンスリーマンション業界が抱えるさまざまな課題を解決するために開発された新しいシステムです。
これまで、マンスリーマンションの予約プロセスは非常に煩雑で、問い合わせ後に物件資料をFAXで送付し、来店案内、申込書への記入、審査対応、結果の通知、見積書・請求書の送付、入金確認を経て、ようやく契約が成立するという手間のかかる流れが一般的でした。
さらに、マンスリーマンション専用のシステムはごくわずかしか存在せず、多くの事業者は独自に作成したExcelシートや手書きの帳票で管理を行っていました。中には、ホワイトボードの裏に線を引いて予約を管理するといった、アナログな方法に頼っているケースも見受けられるのが現状です。
こうした課題を解決するために誕生したのが「ステイコネクト」です。本システムは、すべての物件情報や予約情報を一元管理できるように設計されています。
「ステイコネクト」という名称には、「住まい・滞在に関するあらゆるサービスをつなげていく」「つながりを保つ」といった意味が込められており、マンスリーマンションの運営を包括的に支援することを目的としています。
現在、契約・予約・決済に関わる各機能についても順次開発を進めており、今年中に段階的なリリースを予定しています。これにより、煩雑だった業務フローをすべてオンラインで完結できる環境を実現していきます。
さらに今後は、AIを活用したベストプライシング機能や、物件・予約情報のデータ分析など、さまざまな機能を順次提供していく予定です。
また、管理機能にとどまらず、集客面の支援にも力を入れています。マンスリーマンション検索サイト「ミスタービジネス」も全面的にリニューアルを実施し、管理システムと連動して物件情報を即時に掲載できる仕組みを整えました。さらに、キャンペーン機能や料金シミュレーターの搭載、入居者向けのポイントサービスの提供など、幅広い集客支援施策を展開しています。
従来の集客サイトでは、掲載課金型が一般的であり、閑散期・繁忙期を問わず一律の費用が発生するため、顧客獲得単価が割高になりやすいという課題がありました。
私たちは、不動産会社様と「成約を獲得する」という共通の目的を持ってサイト運営を行うため、掲載料は無料、問い合わせ段階でも費用は一切かかりません。そして、申込に至った場合のみ費用が発生する「申込課金型」の仕組みを採用しています。
これにより、無駄なコストを抑えながら、効率的に顧客を獲得できる料金体系を実現しています。
私たちは、これまでの30年の歩みの中で培ってきた経験と現場の声をもとに、マンスリーマンション業界をより身近なものにしていきたいと考えています。
今後も「ステイコネクト」や「ミスタービジネス」を通じて、不動産会社の皆さまがスムーズに業務を進められ、しっかり集客できる仕組みを整えていきます。
これからも、業界全体がより良い方向へ進んでいけるよう、一緒に成長していける存在を目指してまいります。

高齢オーナーも納得。DXを支える手厚いサポート体制
『GMO賃貸DX 入居者アプリ』を導入した経緯をお聞かせください。

今泉様:これまで入居者様へのお知らせは、紙の書類を作成してポストに投函するという、非常に手間とコストのかかる方法で行っていました。
特に、24時間対応が必要な場合、電話での問い合わせ対応にコストがかかっており、年間を通じて大きな負担となっていました。そんな中で、導入を決めたのが『GMO賃貸DX 入居者アプリ』です。他社のアプリも試してみましたが、メールアドレスや電話番号の取得が主目的であり、業務の効率化にはつながりませんでした。一方で、『GMO賃貸DX 入居者アプリ』はFAQの活用が可能で、入電数の削減にも効果が見込めると確信できたことが、導入の決め手となりました。
導入当初は、高齢の入居者様に使っていただけるか不安もありましたが、実際には若い世代を中心にスムーズに登録が進み、アプリの利便性が予想以上に評価されました。チャット機能や掲示板などを通じて、問い合わせ内容が記録に残る点も、大きなメリットです。
現在では、問い合わせ対応の質が向上し、軽微なクレーム(ソフトクレーム)の段階で早期解決できる体制が整いつつあります。重要なのは、軽微なクレーム(ソフトクレーム)を早めに対応し、深刻なクレーム(ハードクレーム)に発展させないことです。ハードクレームになる前に、ソフトクレームを適切に対応することで、良好な関係を築き、入居者様に長く住んでいただける環境作りにつながっています。
その後、『GMO賃貸DX オーナーアプリ』も導入いただいております。選んでいただいた理由をお聞かせいただけますか?
今泉様:『GMO賃貸DX 入居者アプリ』の導入によって、業務の効率化とコスト削減の効果を実感できたことが、『GMO賃貸DX オーナーアプリ』導入の後押しとなりました。
もともとオーナー様とのやり取りは電話が中心で、連絡がつかないことや情報共有のタイミングがずれることも多く、業務上の課題となっていました。
『GMO賃貸DX オーナーアプリ』は、チャット機能や収支明細の自動送付、工事写真や見積書の添付など、情報共有を迅速かつ的確に行える点が非常に魅力的でした。また、『GMO賃貸DX 入居者アプリ』同様に、業界最大手という安心感に加えて、FAQの充実やご担当者様のきめ細やかなアフターフォローが導入の決め手となりました。
とくに印象的だったのは、ITに不慣れな高齢のオーナー様からも「便利で分かりやすい」といった声が多く寄せられたことです。収支明細が毎月自動で届くようになったことで、「これまで紙で届いても見なかったけど、これは見やすい」といった反応もありました。新たなパイプづくりや信頼構築にもつながっており、導入して本当に良かったと感じています。
『GMO賃貸DX』に際して、懸念材料などはございましたか?

今泉様:懸念材料はいくつかありました。とくに『GMO賃貸DX オーナーアプリ』については初めての取り組みであり、不安を感じる部分もありました。高齢のオーナー様が多いため、アプリの理解や初期登録が行えるかが、一番の懸念点でした。デジタル機器に不慣れな方々にどのように説明をし、導入を進めていくかは大きな課題でした。
『GMO賃貸DX 入居者アプリ』についても、以前に他社のアプリを導入していた経緯はあったものの、今回は基幹システムとの連携という新たな取り組みでしたので、入居者様への理解促進や初期登録のスムーズな実施についても懸念がありました。
しかし、カスタマーサクセス担当者様のアフターフォローが非常に手厚かったことにより、こうした懸念は徐々に解消されていきました。特に当社の社員に対する教育面でのサポートが手厚く、問い合わせにも迅速かつ丁寧に対応していただけたので、スムーズに導入を進めることができました。
結果的には、高齢のオーナー様も含めて「これは便利だ」といった声が多数寄せられ、当初の不安は杞憂に終わりました。むしろ、予想以上に利用率が高く、写真や資料共有といった機能の便利さを実感していただけているようです。
実際に『GMO賃貸DX』をご導入いただいて、改善できた点など、効果はございましたか?
今泉様:導入後、さまざまな面で効果を実感しています。
まず『GMO賃貸DX 入居者アプリ』については、入居者様とのコミュニケーションが格段にスムーズになりました。チャット機能を活用することで、必要書類や写真のやり取りが簡単になり、郵送や来店の手間が省けるようになりました。掲示板機能も活用して、工事や点検の案内などを効率的に周知できるようになった点も大きな改善です。
『GMO賃貸DX オーナーアプリ』についても、画像や動画、見積り書の添付が可能になったことで、現地の情報を迅速に共有できるようになりました。特に、工事写真のビフォーアフターを掲載することで、オーナー様の理解も得やすくなり、意思決定の迅速化につながっています。
なかでも、修繕工事に関しては収益の向上を実感しています。状況が可視化されたことで、オーナー様の理解を得やすくなり、工事の進行がスムーズになりました。従来であれば、写真を撮影し、説明するまでに3日かかっていた工程が、今では現地からその場で写真を送り、翌日には承認が完了するようになりました。
人に頼らない未来へ。泉ハウジングが描く完全自動化の賃貸管理
今後の事業展開についてお伺いします。『GMO賃貸DX』でどのような賃貸管理やオーナー様の資産管理を実現していきたいとお考えですか?

今泉様:『GMO賃貸DX 入居者アプリ』については、加入率をさらに高め、完全なペーパーレスを実現したいと考えています。
現在は、若い入居者様を中心に利用が進んでいますが、高齢入居者様にもご利用いただけるよう、『GMO賃貸DX』には、らくらくフォン(高齢者向けのスマホ)への対応を進めていただきたいですね。
また、マンスリーマンション事業との連携も強化していきたいと考えています。当社では、社宅や寮の管理も多く手がけており、企業の総務課との連携ができるようなシステムの拡張も視野に入れています。たとえば、法人向けアプリで収支報告書を送信できる機能などがあると理想的です。
コロナ禍をきっかけに、「ロックダウンしても動く会社を作ろう」と決意のもと、DXを推進してきました。電話対応を減らし、基幹システムとの連携を強化することで、人に頼らない自動化されたシステム作りを目指しています。
現在では、申し込み書1枚で各種商材を一括申し込みができるようなデータ連携まで実現しており、基幹システム内で請求処理が自動化されることで、業務効率が大幅に向上しています。
さらに、「東関東賃貸住宅オーナー共済会」という共済の仕組みや、オーナー向けリース、賃貸住宅修繕共済など、さまざまな付加価値サービスも展開しています。これらをDXと連携させることで、より効率的な運営を目指しています。
最終的な目標は、人手に依存しない完全自動化されたシステム構築体制の確立です。基幹システムに連動可能なツールを選定し、一貫したデータフローを実現することで、業務効率の最大化を図っていきたいと考えています。
『GMO賃貸DX』のような不動産プラットフォームの導入を考えている皆様へ一言をいただけますか?

今泉様:まず大前提として、導入を検討する際は「自社の基幹システムときちんと連動できるか」を必ず確認すべきだと思います。どれだけ優れたシステムでも、既存の業務フローと連携していなければ、十分な効果は発揮できません。
もう一点は「導入後のアフターフォローが万全かどうか」です。
どんなに優れた不動産プラットフォームでも、現場のスタッフが戸惑う場面や、利用者からの質問にも即時対応する必要性は必ず出てきます。その点、『GMO賃貸DX』はFAQの整備や専任担当者によるサポートが非常に手厚く、安心して導入することができました。
実際、導入前は「うちのオーナーは高齢の方が多いから難しいのでは」といった不安もありました。しかし、導入してみると「便利で見やすい」という声が多数寄せられ、想定以上にスムーズな運用が実現できました。使ってみて初めて分かる利便性の高さがあると思いますので、ぜひ一歩踏み出してみてほしいですね。信頼できるパートナーと組んで進めれば、必ず業務の質もスピードも大きく改善されるはずです。
会社紹介
株式会社泉ハウジンググループは、茨城県神栖市を拠点に、1991年に「マンスリーマンション」という賃貸形態を初めて全国展開したパイオニア企業です。創業から30年以上にわたり、「ミスタービジネス」というマンスリーマンションネットワークを運営し、現在は賃貸管理から不動産売買、マンスリーマンション運営、ホテル事業まで幅広く展開しています。2018年1月より開始したホテル事業「トータルステイ」では、リーズナブルながら客室には洗濯機から電子レンジまで必要不可欠な家電が整っており、モジュール建築を活かした機能的な客室と長期滞在向けプランでビジネスパーソンから観光客まで多様なニーズに対応し、「人に頼らない」運営を実現しています。「三方一両の得」の理念のもと、入居者・オーナー・業者それぞれが潤う事業モデルを追求し、2025年には新システム「ステイコネクト」を導入。「人に頼らないシステム作り」をテーマに全社的なDXを推進し、『GMO賃貸DX』を導入することで、業務効率化と顧客満足度の向上を実現しています。
■会社名
株式会社泉ハウジンググループ
https://www.kih.jp/
■グループ会社
ホテル・TOTAL STAY inn KAMISU
https://total-stay.com/
■所在地
〒314-0127
茨城県神栖市木崎2398番地24
■電話番号
0299-92-9191(代)