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貯水槽清掃を怠るとオーナーは法律違反で罰せられる!業者への依頼の流れや料金相場を知って対策を取ろう

ビルやマンション、アパートに設置された貯水槽は定期的な点検と清掃が欠かせません。特に設置から15年以上が経過している貯水槽の場合、貯水槽本体の交換が必要になるケースもあります。定期的に貯水槽を清掃するのはコストがかかりすぎると考えてしまうかもしれませんが、管理を怠ると思わぬトラブルにつながりかねません。そこで不動産のオーナーや管理会社が知っておきたい、貯水槽の基本について解説します。

目次

    貯水槽が果たしている役割

    貯水槽が果たしている役割

    貯水槽とは、水を貯めておく設備や施設のことです。ビルやマンション、アパートの地上部分や1階部分などに設置されています。

    戸建て住宅では、水道局が設置した配水管から直接蛇口まで水が届けられています。しかしビルやマンションなど、一度に大量の水を使う可能性がある施設や建物では、配水管から直接送られる水量では供給量が不足してしまいます。さらに高さのあるビルでは水圧も不足してしまいます。

    貯水槽は、一度に大量の水を使用できるように、「いったん大量の水をストックしておく」ための設備です。飲料用はもちろん、防災用や工業用の貯水槽もあります。

    マンションやアパートなど、賃貸住宅で使用する貯水槽の場合、生活用水だけでなく飲料水として利用する水を貯めています。そのため、安全で衛生的な水を入居者に届けられるよう、賃貸住宅のオーナーや管理会社は適切な管理と定期的な点検を行う必要があります。

    貯水槽清掃を怠った場合に発生するトラブル

    貯水槽清掃を怠った場合に発生するトラブル

    不動産オーナーや管理会社が物件の貯水槽清掃を怠った場合、次のようなトラブルが発生する可能性があります。

     
    ・罰則を受ける

    マンションやアパートに設置する貯水槽には、水道法や建築物衛生法、地方自治体の条例によって管理が義務付けられています。この義務を怠ると、罰則や罰金が科せられてしまう可能性があるため注意しましょう。

    ・異臭・変色が起こる

    貯水槽の管理を怠ると、その貯水槽を使用している建物内の水道から異臭のある水が出るようになったり、濁りや赤い色をした水が出たりするようになります。

    これは貯水槽の清掃が十分でない場合に起こるトラブルです。安全ではない水を建物内に供給しないよう、定期的な点検と清掃が必要です。また、しばらく清掃を実施していなかった貯水槽を清掃することで、一時的に赤い水が出てしまうこともあります。

    ・居住者からのクレーム発生

    毎日使用する水に異変が起これば、居住者はみな不安を覚えます。異変によって水が飲めなくなってしまった、洗濯物に匂いが移ってしまったといった事態が起これば、居住者からクレームが発生してしまうこともあるでしょう。

    クレームだけでは済まず、安全性を疑問視して退去されるケースも考えられます。

    ・余計なコストがかかる

    定期的な点検と清掃を行わずに放置していると、貯水槽の汚れがこびりついて清掃の際に余計にコストがかかる場合もあります。老朽化した貯水槽で汚れが取れない場合は、貯水槽自体を交換しなければなりません。

    クレーム対応や罰則によって費用の発生も考えられます。定期的な点検と清掃は、これらのトラブルを避けるためにも必要です。

    オーナー・管理会社の貯水槽清掃に関する法的義務

    オーナー・管理会社の貯水槽清掃に関する法的義務

    「貯水槽の管理を怠ると罰則を受ける」、これはオーナーや管理会社は貯水槽の清掃に関する法的義務を負っているためです。

    どのような法律があるのか、また法律で定められた義務について詳しく見ていきましょう。

    貯水槽は規模によって義務内容が変わる

    貯水槽に対する法的義務の内容は、貯水槽の大きさによって変わります。

    「受水槽の有効容量が10立方メートル超」の貯水槽を簡易専用水道と呼びます。10立方メートルはリットルに換算すると1万リットルです。牛乳パック約1万本分の水を貯めておける貯水槽が簡易専用水道です。それ以下の規模の貯水槽は小規模貯水水道と呼ばれます。

    簡易専用水道と小規模貯水水道では適用される法律と義務の内容が異なる点に注意しましょう。

    貯水槽清掃に関する法的義務

    簡易専用水道に対しては、年に1回以上の定期的な清掃と点検が水道法によって義務付けられています。また、水道法施行規則によって、有害物や汚水によって水が汚染されるのを防止するために点検を行うこと、水に異常が見られる場合は水質検査を行うこと、水質に異常があった場合には給水を停止して関係者に内容を周知することを義務付けています。

    小規模貯水水道の場合、各地自体の条例で管理基準が定められています。多くの自治体では、小規模貯水水道についても簡易専用水道に準ずる指導がなされるため、年1回以上の定期的な清掃と点検が必要です。

    また、建物の総面積が3,000平方メートル以上のビルにおいては、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管法)施行規則」建築物環境衛生管理基準によって年1回の清掃が義務付けられています。

    貯水槽清掃を怠ったときの主な罰則

    貯水槽清掃を怠ったときの主な罰則

    簡易専用水道では、法的に義務づけられている貯水槽の清掃を怠った場合、懲役または100万円以下の罰金を科せられることがあります。これは物件のオーナーや翰林者に科せられるものです。

    年に1回の貯水槽清掃を行わず水道法に違反したと認められた際には、最大で100万円の罰金刑となる可能性があることを物件のオーナーや管理者は覚えておきましょう。

    小規模貯水水道については、市町村の条例に即した管理が求められますが基本的に罰則はありません。

    貯水槽清掃を業者に依頼する際のオーナー・管理会社の流れ

    貯水槽清掃を業者に依頼時のオーナー・管理会社の

    居住者の衛生環境と法を守るためにも、物件のオーナーと管理会社は定期的に貯水槽の清掃を行う必要があります。実際にどのような流れで清掃を行うのか見ていきましょう。

    貯水槽の大きさや前回の清掃の時期などを確認

    まずは貯水槽の大きさを確認しましょう。貯水槽の大きさによって、清掃料金が変わります。前回の清掃時期から1年以上経過しないように清掃を依頼するために、前回の清掃時期を確認することも大切です。

    清掃業者の選定

    次に、清掃業者を選定します。貯水槽の清掃作業は、厚生労働大臣の登録を受けた有資格者しか行えません。業者を選定する際には、次の点に気を付けてください。

    ・建築物飲料水貯水槽清掃業の登録の有無

    建物の貯水槽の清掃を行う事業者として、都道府県知事の登録を受けている業者を選定しましょう。都道府県知事による登録を受けた業者は、都道府県知事が設けた複数の登録基準を満たしていることを示しています。

    ・実績がある

    業者を選ぶうえで、実績数は重要な指標となります。年間何件の貯水槽を清掃しているのか、これまでどれだけの貯水槽を清掃しているのか確認しましょう。

    ホームページ等で実績数を確認できない場合は、直接業者に問い合わせてみましょう。

    ・設備や機材の充実

    使用する設備や機材が少ない業者では対応できる業務も限られているため、なるべく多くの機材と設備を有する業者を選定しましょう。

    形状や設置場所、汚れの具合は個々に差があります。どのような状況でもしっかりと清掃できる業者を選ぶために、設備や機材もチェックしてください。

    ・準備段階のサポート内容

    清掃業務は意外とリスクの高い仕事です。多くの機材や薬剤を使用するため、清掃の準備段階から居住者や周辺の方々に対して配慮を行う業者を選定しましょう。

    業者ごとに、「準備の際にはどのような対応を行うのか」「居住者への説明はどうするのか」など確認しましょう。また、スタッフの衛生管理はもちろん、養生を行う、コーン・パイロンを置いて注意喚起を行うなどの細やかな気遣いがある業者だと安心です。

    ・保証等アフターサービスの充実

    清掃終了後まもなくの不具合に対応してくれるのか、保証が設けられているのか確認しましょう。アフターサービスの内容と対応可能時間の確認も大切です。

    ・費用

    業者を選定する際には、費用面の比較も忘れてはいけません。業者によって清掃料金が異なります。一見安い業者でも、追加料金等が発生する可能性を考えて、見積もりは細かく確認します。

    見積書が大まかで詳細まで分かりづらい場合は、業者に直接聞いてみると良いでしょう。

    ・自社施工かどうか

    規模の大きい会社では、施工を外注に依頼するケースがあります。下請けや孫請け業者のスタッフでは教育が行き届いておらず、トラブルを招いてしまう可能性も否定できません。

    しっかりとした品質で作業してもらいたいのなら、自社施工率の高い業者を選びましょう。

    ・貯水槽外部や加圧給水装置の点検・清掃もしてくれるのか

    貯水槽だけでなく、その周辺装置の点検や清掃もしてくれる業者だと安心です。居住者が困ることがないよう、加圧給水装置の点検・清掃も行いましょう。

    居住者への清掃・断水の告知

    貯水槽の清掃を実施する前に、居住者に必ず清掃と断水の告知を行います。1ヶ月前と1週間前など、1回だけでなく数回告知して居住者とのトラブルにならないよう配慮します。業者によっては告知も請け負っている場合があるので、事前に確認しておきましょう。

    清掃当日立ち会い

    清掃当日は、不動産のオーナーや管理会社が清掃に立ち会います。はじめから終わりまで絶えず立ち会う必要はありません。ただし清掃終了後の水質検査の際の確認や、終了の確認は必要です。

    報告書の確認・保管

    清掃終了後、水質検査の確認とともに業者から作業の報告書が送付されます。問題がなかったか、必ず内容を確認してください。この報告者と清掃の記録は5年間保管します。

    もし不具合があった場合には、管理者として対応しなければなりません。水質に異常があったときには、すぐに断水して居住者に知らせるほか、保健所に連絡をして支持を仰ぎます。

    オーナー・管理会社も知っておきたい貯水槽清掃の流れ

    オーナー・管理会社も知っておきたい貯水槽清掃の

    ここからは、貯水槽清掃の一般的な当日の流れについて見ていきましょう(もちろん異なる方法で作業する業者もいますので参考程度にしてください)。

    ・構内の点検

    貯水槽の内部を点検して、どの程度汚れているのか、補修が必要かを確認し、使用するものを用意します。

    ・使用器具の消毒

    バケツなどに消毒液を入れて、使用する器具を浸すなどして消毒します。

    ・水質検査の実施

    著水素内部の水に異常がないか、色や味、臭気、濁りをチェックするとともに、残留塩素を測定します。

    ・断水・排水

    清掃中は、建物内の水道を断水させ、貯水槽内の水を配水します。

    ・槽内清掃

    洗剤は使用せずに、消毒したデッキブラシやたわしを用いて水洗いします。清掃後には、水槽内に残った水をふき取ります。

    ・消毒

    次亜塩酸ナトリウム溶液を水槽の内部に塗布します。しばらく放置した後に水洗いを行い、残った水をふき取り再度消毒します。

    ・水張

    清掃後に貯水槽に残った水を完全に配水した後、貯水槽に水を張ります。

    ・水質検査の実施

    貯水槽内の水に消毒残水がないことを確認したのち、残留塩素を測定します。同時に、水の色や味、臭気、濁りを確認します。

    ・断水の復旧・給水開始

    清掃が完了したら、断水を解除して給水を開始します。

    貯水槽清掃業者の料金相場とおすすめの時期

    貯水槽清掃業者の料金相場とおすすめの時期

    貯水槽業者を選定する際には、料金が相場から大きく外れていないか確認しましょう。

    料金相場


    有効容量 金額
    〜10立方メートルまで 5万円
    20立方メートル~30立方メートル 10万円

    ▲有効容量に対する料金相場の目安

    貯水槽の清掃料金は貯水槽の有効容量によって変わります。小規模貯水水道にあたる、10立方メートル未満のものについては5万円程度の料金としている業者が多くあります。

    ホームページ等で料金を明示していない業者については、個別に問い合わせて確認してみましょう。

    料金を抑えるコツ

    貯水槽清掃を値引きするのは難しいかもしれません。安全面を考慮すると、相場よりも大幅に安い料金を提示する業者にも不安があります。

    なるべく料金を抑えたいのなら、出張料金が加算されない近くの業者に依頼する、相見積もりで料金を比較して安い業者に依頼するなどの方法があります。

    おすすめの時期

    貯水槽の清掃時期は、梅雨から夏までの間が適しているといわれています。清掃依頼が殺到する梅雨から夏を外して依頼することで、料金を減額してもらえるかもしれません。業者に相談してみましょう。

    貯水槽清掃に関して想定されるトラブル

    貯水槽清掃に関して想定されるトラブル

    貯水槽清掃の依頼から完了までの間には、次のようなトラブルが発生する可能性があります。

    悪徳業者で手抜きをされる

    業者の評判や作業内容を確認せずに契約してしまうと、悪徳業者にあたってしまうことがあります。悪徳業者であっても手抜きがないように、清掃当日には立ち合い、作業内容を確認しましょう。次の5つの点に注視して立ち合いを行うことをおすすめします。

    ・貯水槽周辺の清掃状態

    貯水槽のなかだけでなく、貯水槽周辺もきちんと清掃できているか確認しましょう。

    ・貯水槽本体の状態

    作業中や作業完了後、貯水槽本体が清掃前よりも悪い状態になっていないか、汚れや傷がついていないかチェックします。

    ・貯水槽外壁の状態

    貯水槽の外壁に修復が必要なのに行われていない、かえって汚れがついてしまっているということがないよう確認します。

    ・貯水槽本体の壁面の状態

    貯水槽本体内部の壁面の汚れがきちんときれいに落ちているか、目視でチェックしましょう。

    ・貯水槽からの漏れがないか

    作業完了後、水張後に水漏れがないか確認してください。

    断水のお知らせが居住者に行き届かない

    断水のお知らせを忘れてしまう可能性もあります。さらに、一部の居住者にしか通知が届かなかったり、紙で通知したものの、居住者が確認していなかったりしてクレームが起きないよう注意しましょう。

    告知は早めに実施する、1度だけでなく2度以上行うなどして対策を取りましょう。

    貯水槽にネズミが入っていたなどの噂で入居率ダウン

    貯水槽の清掃時にネズミが入っていた……ということもあり得ます。点検と清掃をしっかり行っていれば防げる事態です。清掃時にネズミが入っていたことが居住者に知られてしまうと、退去や入居率の低下につながります。

    貯水槽の清掃を定期的に行い、衛生面でも安心できる物件であることを居住者にアピールしましょう。

    居住者への断水のお知らせなどは「GMO賃貸DX」アプリで漏れなく告知が可能

    貯水槽の清掃のための断水の告知漏れによるトラブルを防ぐために、断水の告知は確実に行える方法をとりたいものです。

    断水のお知らせをポストに投函する、掲示場に貼りつけ提示するといった方法では居住者が見逃す可能性もあるでしょう。そこで利用したいのが、オーナーや管理会社が居住者にお知らせを通知できるアプリです。

    GMO賃貸DXは、オーナーや管理会社からの情報を居住者のスマホに簡単に送信できるアプリです。誰もがスマホを所有している今、ポストや掲示板を通して伝えるよりも確実に情報を伝達できます。

    オーナー・管理者側も、複数の居住者とのやり取りを簡単に記録・管理できるようになり、大切なお知らせを通知し忘れてしまう事態を防げます。

    15年以上経っているものは貯水槽本体の劣化もチェック

    15年以上経っているものは貯水槽本体の劣化もチェック

    経年劣化によって貯水槽にトラブルが起こらないように、設置から15年以上経過した貯水槽は清掃の際に本体の劣化具合も確認しましょう。

    ・貯水槽本体の粉拭きやひび割れ

    貯水槽本体に直接触れてみてください。手にざらざらとした粉が付いたなら要注意です。貯水槽が地上にある場合、紫外線によって樹脂が劣化分解され、粉を拭いた状態になります。また、全体をくまなくチェックし、ひび割れがないか確認しましょう。

    ・架台の錆びなど劣化

    貯水槽を支える架台に錆が付いている状態も要注意です。深刻な錆が見られる場合、鉄が腐食しもろくなっている可能性があります。架台が損壊し貯水槽が倒れてしまうかもしれません。

    ・天井板の錆びなど劣化

    貯水槽の天板が劣化すると、穴が開き天板が落ちてしまうことがあります。天板は他の部分よりも日光にさらされており、劣化スピードの速い箇所です。高く見づらい部分もしっかりチェックしましょう。

    貯水槽の交換費用目安

    劣化状態が深刻な場合、貯水槽ごと交換しなければなりません。10トンの貯水槽では200万円以上のコストがかかります。場合によっては、500万円以上かかるケースもあるようです。

    修繕費の項目に入れておき居住者からのクレーム回避

    「貯水槽は交換するもの」であることを念頭に置き、あらかじめ交換の計画を立てておくことをおすすめします。契約書の修繕費の項目に、貯水槽の交換についても入れて置き、居住者からのクレームを回避しましょう。

    まとめ

    不動産を所有するオーナーや管理会社は、建物の内部だけでなく貯水槽にも気を配る必要があります。居住者が安心して暮らせるように、またトラブルを避けるためにも定期的な点検と清掃を実施しましょう。

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