取材記事Interview

【リーダーインタビュー】三木克志 様|「想い」も「資産」も叶える、賃貸経営のベストパートナーであるために―変化にも挑戦し続ける柔軟性

不動産業界はどう変わり、どこへ進んでいくのか?高い視座から業界全体を見渡し、明確なビジョンで業界をけん引しているリーダーに今後の不動産業界が進むべき道を示してもらう企画「リーダーインタビュー」。今回お話いただいたのは、東急住宅リース株式会社 代表取締役社長の三木克志 様です。管理戸数10万戸を超える実績のある同社が大切にされている想いや展望、そしてDXに向けた取り組みなどを、弊社代表の鈴木よりお聞きしました。
目次

    従業員は、同じ船の乗組員。同じ方向を向いて進んでいきたい。

    初めての賃貸管理業界なんですね。

    私は、東急住宅リース株式会社の代表取締役社長を務めています。東急不動産ホールディングスグループの企業に勤め、約40年になります。

    もともとはビル・商業施設の都市開発に興味があったため、新卒で「東急不動産」に入社しました。ただ、振り返ってみると都市開発の仕事にはほぼ関わらず、「東急リバブル」の売買仲介の現場等で長く過ごしてきました。「東急住宅リース」の社長に就任したのは、いまから約2年前。私にとって初めての賃貸管理業界です。

    売買から賃貸管理の業界に移られて、どのような印象をもたれましたか?

    やはりこの業界は、売買の世界とは大きく異なるなと感じましたね。まず何よりも、売買と比較して賃貸管理は非常に安定した事業構造であり、何が起こるにしても長期的なトレンドの中で変化していきます。

    また、現在日本の住宅ストック数は総世帯を上回っており、量的には充足しています。そのため、住宅施策のポイントは今後「量の確保」から「質の向上」へと転換していくと考えられますので、賃貸管理業においても、さらなる「質の向上」への対応が必要だと感じています。

    これまで三木社長に最も影響を与えた「人」は、どのような方ですか?

    従業員は、同じ船の乗組員。同じ方向を向いて進んでいきたい。

    多くの方々の影響を受けながら今に至っております。最近で言いますと「東急リバブル」時代の上司である、当時の社長ですね。

    大人数が同じ方向に向かって歩んでいくための「舵の取り方」。そして、時にはリスクをとる覚悟・決断力。また、不測の事態が生じたときの冷静な対応力。

    このような、組織の代表に求められる多くのことを、背中で教えていただきました。今、同じように私ができているかは社長本人に聞いてみないとわかりませんが、当時教えていただいたことが現在の私を形成しています。

    三木社長の「現場に裁量を与えつつも責任は自らが取る」という姿勢も、当時の社長から学ばれたことなのでしょうか。

    そうですね。従業員が現場で力を最大限に発揮できる環境を整えることは、非常に大切だと考えます。

    弊社の従業員は、一人ひとり役割は違えども“同じ船の乗組員”です。この想いを全従業員が共有しながら働けるように、そして上司・部下・会社が信頼し合える関係を構築できるように、今後も邁進していきたいと思っています。

    「想いも資産も叶える」、東急住宅リース。

    改めて、御社の事業概要をお聞かせいただけますか?

    「想いも資産も叶える」、東急住宅リース。 引用元:東急住宅リース株式会社

    東急住宅リースの設立は2014年。「東急コミュニティー」「東急リバブル」「東急リロケーション」の3社の賃貸住宅管理事業を統合し、2015年より営業をスタートしました。

    事業内容は、マンションや戸建て等の賃貸住宅の管理・運営がメインです。オーナー様の“資産運用のパートナー”として、リフォーム・リノベーションのご提案や資産相続サポートなども含めた多彩なサービスをご提供しています。

    当社の強みは、統合前の各社が何十年と培ってきた経験やノウハウ、そして豊富なネットワークです。お客様一人ひとりのニーズに合わせながら、“資産価値の最大化”を実現するためのトータルなご提案を行っています。

    「東急住宅リースらしさ」として、御社が大切にされていることをお聞かせください。

    お客様の「想いも資産も叶えていく」ことです。これは当社のブランドタグラインであり、使命でもあります。

    引用元:東急住宅リース公式チャンネル

    お客様の「想い」というのは、オーナー様なら「安定的な稼働で収益を最大化したい」「資産価値を高めたい」、入居者様なら「快適に暮らしたい」など、人によってさまざま。そんな中で当社は、単に“賃貸管理を行う”のではなく、一人ひとりの想いを汲み、幸せな未来をともに創りあげるために日々取り組んでいますし、今後もお客様に徹底して寄り添う企業であり続けたいと思います。

    これからの管理会社に求められるのは”情報提供力”。

    新型コロナウイルスは、不動産業界にも少なからず影響を与えたかと思います。御社はどのように対応されたのでしょうか?

    これからの管理会社に求められるのは、情報提供力。

    昨年の4月、いわゆる感染拡大の第一波においては、まずテレワークの推進を始めました。しかし、紙・ハンコ・電話・FAXといったアナログな要素が妨げとなり、上からの掛け声だけではなかなかうまく実施できなかったのです。

    そのため、以下に挙げたような設備面の整備をいち早く進め、テレワークがしやすい環境作りに注力してきました。

    • 業務におけるペーパーレス化促進・押印作業の削減
    • 社内の固定電話を携帯電話でも受電できるようにし、自宅でも対応可能にする
    • 自宅でストレスなくPCが使えるようにインターネット回線を増強する

    また、社内の基幹システムを自宅から使えるようにするため、セキュリティ面の確保には非常に神経を使いました。万が一にも問題が発生しないよう、社内・グループ内で幾度となくチェックをしながら推し進めました。

    コロナ禍においては、都心離れが進むなど“住まいに対するニーズ”にも変化がありましたよね。

    そうですね。コロナ禍で「郊外の戸建てに住みたい」という需要が増えましたので、業界全体の傾向として、戸建ての売上が非常に好調である一方、都心部のワンルーム・1Kは比較的厳しい状況にあります。

    今後もニーズを注視していく必要はありますが、仮に新型コロナウィルス感染症によってマーケットが変化したのであれば、当社がお預かりしているワンルーム・1Kの賃貸マンションでもニーズに沿った価値の付加=適切なリノベーションのご提案等が必要だと思っています。物件の場所は変えられませんが、その他の要素で“選ばれる物件”にしていかねばなりません。

    変化で言うと、今年はいよいよ「賃貸住宅管理業法」が施行されます。この影響による変化も少なからずありそうです。

    これからの管理会社に求められるのは、情報提供力。

    GMO ReTech株式会社 代表取締役社長 鈴木明人

    おっしゃるとおりです。法整備により、今後は“質”の高い賃貸管理業者だけがオーナー様に選ばれるようになっていくと思っています。そのため、物理的な管理業務だけではなく「不動産という資産運用をサポートする」姿勢が、これまで以上に求められるのではないでしょうか。

    管理会社にとっては、戦略的な資産運用を叶える“情報提供力”が非常に重要になってくるはずです。

    例えば、建物の状態・募集状況・管理運営状況・賃貸住宅マーケットを取り巻く外部環境。これらの情報はもちろん、オーナー様にとって有益=賃貸経営に役立つ情報をご提供し、また、それを基に最適な戦略を立てオーナー様と共に実現していく。

    当社としては、今後さらにこのような情報提供力や提案力を強化してまいります。

    DX化には「現場の視点」と「俯瞰的な視点」の両方が不可欠。

    御社では、どのような不動産テックを導入されていますか?

    引用元:東急住宅リース株式会社

    基本的には入居者様・オーナー様の利便性向上につながるサービス、そして社内の業務効率化を図るサービスを積極的に導入しています。

    入居者様向けのサービスは、次の2種類です。

    • 入居者様向けサービス提供サイト「かなえていくリーブル」
    • WEB入居申し込みサービス「Conomy」「スマート申し込み」

    「かなえていくリーブル」は、マイページ機能・各種優待サービス等を備えた賃貸生活をトータルサポートするwebサイト・アプリです。建物に関するお知らせの閲覧や解約申請等のお手続きができるほか、家具の購入・お掃除などの“暮らしに役立つサービス”を優待価格で利用可能です。

    また、IT重説に関しても当社では既に取り組んでおりますが、法改正により不動産取引においても2022年からは契約の完全オンライン化が可能となります。こちらにもいち早く取り組んでいきたいと考えています。  

    御社がデジタル化において目指すものは何でしょうか?

    弊社がデジタル化において目指すところは次の3点です。

    • オーナー様・入居者様の利便性を向上すること
    • 従業員の業務負荷を軽減すること
    • データの蓄積・活用によって新たなステージに向かうこと

    これらの大目標に向かって進めていますが、基本的に「どのように形にしていくか」といった具体的なことは、デジタル化を担う専門部署や現場に近い人材に委ねています。

    これまでは「IT推進部」という部署が社内のデジタル化・DX化を担っていましたが、今年の4月からは新たに「DX推進室」という組織を編成しました。「DX推進室」では、社内で抽出した課題解決のためにデジタル化を推進しています。

    DX推進室では、どういった方法でDX化を推進していくのでしょうか?

    もちろん「DX推進室」は各現場の声に耳を傾け、対話しながら進めています。

    ただ、DXの推進においてネックとなるのが、現場における従来の業務の進め方が“デジタル化に馴染まない”ケースもあるということ。また、細かな業務の進め方は各々異なりますよね。

    これらを踏まえると、単にデジタル化をするのではなく「デジタル化とともに新たな業務フローを確立する」くらいの変革を起こさないと、なかなか本質的なDXの実現は難しいように思います。

    実を言いますと、弊社もこれまでは、従来のやり方をそのままデジタル化しようと取り組んできました。ただ、この方法だと少し効率化できた程度で完結してしまい、大きな進化は望めないと気づいたのです。

    現場だけの目線では見えにくい、全体を俯瞰しているからこそ見えてくる問題点というものもあります。そのため、さまざまな視点からベストの方法を考えながら、デジタル環境を整えていければと考えています。

    今後、業界でどのようなサービスの登場を期待されていますか?

    DX化には、「現場の視点」と「俯瞰的な視点」の両方が不可欠。

    先ほどお話した“情報提供力”を高められるサービス、つまりお客様に出すべき情報をリアルタイムで高精度に出せるようなサービスが必要ですね。

    また、部屋探しにおいては、すでに「インターネット上の情報を取捨選択しながら物件を決め、オンラインで入居手続きを進める」時代が到来していますから、この入居までのフローをより高クオリティで行えるサービスが出てくれば良いなと思います。

    さらに、入居中の困りごとに寄り添えるサービスも開発されると良いですね。例えば、設備の故障などをセンサーで感知して、何か起こる前に管理会社が対策を講じることができるようになるモノです。

    もちろん、さまざまな手続きにおける管理会社の業務負担を軽減し、労働集約的な産業からの脱却を叶えるサービスの登場にも大いに期待しています。

    「ヒューマン力」と「デジタル力」の両輪で、サービスの進化を図る。

    御社の展望をお聞かせください。

    将来的には事業領域の拡大が必要であるものの、まずは本業である賃貸管理業を強化していこうと考えています。それには管理戸数を増やすだけではなく、オーナー様・入居者様から高く評価いただけるようなサービス・商品の創出に注力しなければなりません。

    また、少子高齢化が進む国内のマーケットをメインとするのであれば、今後競争は激化していくでしょう。それに伴い賃貸住宅の賃料とクオリティのバランスも変化していくはずですので、その中で優位性を確立するための戦略も必要です。

    さらに、「量」的な需要を少しでも増やすために、グローバルな人の行き来に対応していく必要性も感じています。

    最近は経済合理性の観点ではなく、「住みやすさ」「暮らしやすさ」などを重視して郊外・地方へ移り住む方も増えてきています。このような“住まい方の多様化”にも、柔軟に、かつ素早く対応していきたいですね。

    他社との差別化は、どのように図っていかれるご予定ですか?

    「ヒューマンの力」と「デジタルの力」の両輪で、サービスの進化を図りたい。

    まずは、オーナー様のメリットを追求していくところからですね。

    具体的には、先ほどお話したように、オーナー様にとって有益な情報を、ご提供する。そして、その情報の価値や活用方法をオーナー様にきちんと伝えるためには「ヒューマン(人間)」の力も不可欠ですから、「ヒューマン」の力も高めていく。これが当社のサービスのレベルアップ、ひいては競争力の強化に繋がると思っています。

    この「ヒューマン」の力というのは、オーナー様一人ひとりに寄り添える力・提案力。そしてこれを高めるには、“提案力を磨くための時間”が欠かせません。ですから、その時間を作り出すためにも、現場の負担軽減に向けた取り組みをいち早く進めていく予定です。

    もちろん同時に、オーナー様とのコミュニケーションを重視し、関係性の強化にも注力していこうと考えています。

    最後に、記事をご覧になっている方に一言お願いできますでしょうか。

    賃貸経営管理士が国家資格化されるなど、いま賃貸管理業界は新たな時代を迎えようとしています。このような不動産業界全体の信頼度を高めていくような動きは、今後ますます活発化していくのではないでしょうか。

    そんな中で当社は、サービスのレベル・価値の向上を図れるように、そして業界の発展に貢献できるように邁進していく所存です。業界の皆様と手を取り合い、互いに大きな進化を遂げていければと思っておりますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。

    まとめ

    社会や顧客の変化が進み、賃貸管理会社としての真価が問われるようになってきた今。自社の強みや価値を極めながらも、変化に向き合う柔軟さ、そして“イノベーションを起こせる組織作り”が、さらなる成長と発展の要となりそうです。 三木克志様とGMO ReTech株式会社 代表取締役社長鈴木明人氏

    インタビュアー:GMO ReTech株式会社 代表取締役社長 鈴木明人(写真右)

     

    本記事取材のインタビュイー様

    三木克志 氏
    東急住宅リース株式会社 代表取締役社長
    1959年生まれ。1982年早稲田大学を卒業、東急不動産株式会社に入社。 東急リバブル株式会社に出向後、同社の関西支社事業推進部長、 ソリューション事業本部事業統括部長、 流通事業本部事業統括部長取締役副社長執行役員を歴任し、現職。 ITを駆使したサービスの創出に力を入れるなど、時代のニーズに合ったサービス・商品の創出に挑戦している。

     

    • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
    CONTACT

    GMO ReTechでは、賃貸運営を楽にする
    をミッションにしております。
    賃貸業務でのDX(デジタルトランスフォーメーション)に関して
    お気軽にご相談下さい。

    キーワードKeywords

    ReTechSummit2021