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不動産業界の今後と現状の課題|不動産テックの活用事例から見る不動産業界の未来

不動産業界の今後と現状の課題|不動産テックは未来に何をもたらすのか?

不動産業界でも『不動産テック』が浸透し始めていますが、不動産業界にはいくつかの課題や商習慣があるため、なかなかテック化が進みづらいと言われています。

本記事では不動産業界の現状や課題と今後求められる動き、不動産テックの活用12事例を知って「不動産テック」が未来に何をもたらすのかを見ていきましょう。

目次

    不動産業界の現状

    財務省の『法人企業統計調査』によりますと、2019年の不動産業の市場規模は39兆円でした。

    2020年1~3月期は売上高の増加率は前年比+17.6%となっており、非製造業の中で増収2位の業種となっていました。しかし今後の不動産業界には、コロナ禍や少子高齢化の影響など決して明るい話題ばかりではありません。

    不動産業界の課題を解消する技術として不動産テックが注目されているものの、未だ浸透していないが現状です。

    不動産業界が抱える課題

    不動産業界が抱えている課題は大きく分けて4つあります。

    • 人口減少問題
    • 生産緑地問題
    • 人材不足
    • IT化への遅れ

    以下で詳しく見ていきましょう。

    人口減少問題

    国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本の総人口は2008年にピークを迎え、2030年には1億1,900万人に減少すると予測されています。

    また、都市部に人口が集中する一方で、地方の人口が減少する「人口の2極化」が進んでいる現状です。

    昨今、社会問題となっている少子高齢化や未婚化も相まって、今後は世帯数の減少により「新築物件の需要が減る」「空き家が増える」といった状況が進行するものと予想されます。

    ひいては、不動産業界の縮小が懸念されるのです。

    生産緑地問題

    現在、税制優遇を受ける代わりに、農地・緑地として維持することを定められている「生産緑地」は、2022年に生産緑地指定の期限を迎えます。

    期限を迎えた生産緑地は税制優遇の対象から外れるため、土地の所有者たちは税負担を免れるため、農地・緑地を一斉に手放す可能性が考えられます。

    そのため、2022年以降は土地の供給過剰による地価の下落が心配されています。

    人材不足

    不動産業界では長年、人材不足が解消されないままの状況が続いています。

    • 長時間労働
    • 有給休暇を取得しにくい
    • 月次売上ノルマ至上主義
    • 体育会系気質の営業

    上記のような過酷な労働環境が、若者に敬遠されてしまっている原因となっています。

    IT化への遅れ

    不動産業界は少しずつデジタル化が進みつつありますが、未だにアナログが主流の会社がで多いかと思います。書類のやり取りはインターネットを介さずに電話やFAX、郵送が主流となっています。

    NTTデータ経営研究所の『第2回企業における不動産テックへの取り組み動向調査』によると、不動産テックの認知度は3.9%、不動産テックの様な新たな動向に対して危機感を感じるという企業は約7割に達しました。

    国土交通省は2017年より非対面での重要事項説明を可能にする『IT重説』の運用をスタートさせましたが、IT化はあまり進んでいないのが現状です。

    不動産業界に求められる今後の動き

    不動産業界に求められる今後の動き

    2020年現在、不動産業界には「東京オリンピックは開催されるのか、開催後の不動産価格はどうなるのか」といった問題をはじめ、人口減少や空き家増加など多くの問題を抱えています。

    このような問題の対策について、不動産業界では以下を中心とした動きが必要となってきます。

    • リノベーション
    • 不動産テック

    以下で詳しく見ていきましょう。

    リノベーション

    リノベーションは、空き家や空室を減らす手段の1つです。

    空き家・空室問題はリノベーションを上手く行う事によって解消する事ができます。

    以下にリノベーションの成功例をいくつか挙げてみたいと思います。

    リノベーション成功例①【賃貸マンションのリノベーション】

    バストイレ同室からバストイレ別への変更やキッチンのリニューアル、洗濯機置き場の屋外から屋内への変更等、費用や工期は掛かりますが、築年数の古い物件でも現代風の間取りや最新の設備に変更する事ができます。

    効果としては空室対策や賃料アップが期待できます。

    成功へのコツは『入居者ターゲット層』やそれに合った『部屋のコンセプト』を明確にする事が必須です。『入居者ターゲット層』の例としては、以下があります。

    • 1人暮らしの女性・・・ウォークインクローゼット・TVモニターフォン・2重ロック・ブーツの入るシューズボックス・独立洗面台・オートロック・2口キッチン
    • 高齢者・・・トイレや浴室の手すり設置・滑りにくい床材・引き戸への変更・洋間への変更・段差をなくす
    • 小さなお子様のいるファミリー・・・ベビーカーのおける広い玄関・子供の手の届かない高さにあるコンセント部分

    また、『部屋のコンセプト』の例としては、以下のようなものがあります。

    • ナチュラル系
    • サーフィン好きの方向け
    • 西海岸風
    • 自転車好きの方向け
    • バリ風
    • バイク好きの方向け

    各コンセプトに合わせた壁紙や床材等を選びます。

    趣味に合わせたコンセプトでは、サーフボードが置ける・自転車を室内に飾って整備もできる等の事例もあります。

    いずれにしても、事前に賃貸オーナーと不動産賃貸管理会社との綿密な打合せが必要です。

    リノベーション成功例②【古民家リノベーション】

    昔ながらの日本家屋様式を利用して、現代のライフスタイルに合わせた改修をして快適な住まい作りの実現を目指すケースもあります。

    例としては、築50年の天井にある太い梁や床柱、使える建具等を利用した古民家リノベーションなどがあります。

    床や段差をバリアフリーに変更、最新のシステムキッチン、浴室へ交換、モダンな照明に交換等をすれば三世代で一緒に住む事も可能です。

    また、用途は住居だけでなく「古民家カフェ」、「古民家レストラン」、「古民家を利用したモダンな宿」など、店舗等にも利用され、事業者に賃貸オーナーとして貸し出したり、自分が事業主となって経営をしたりという方法があります。

    カテゴリー別不動産テックの活用12事例

    不動産テックの導入

    これまでの不動産業界が抱えている課題は不動産テックを導入する事によって業務効率化が図れ、解消していく事が可能となります。

    ここでは、大きく12領域のサービス事業から成り立つ、不動産テックの詳細について見ていきましょう。

    そもそも「不動産テック」とは? という疑問については、下記の記事で基本的な内容を詳しく解説していますので、併せてご確認ください。

    関連記事:不動産テックとは?管理会社のDXや今後の展望について分かりやすく解説

    事例① VR・AR

    VR(仮想現実)やAR(拡張現実)と呼ばれる技術を用いることで、以下のようなサービスの提供が可能となります。

    • VR内見・・・VR技術・ゴーグル等を使って現地に行かずに店舗や自宅で部屋の見学ができるサービス
    • VR、ARホームステージング・・・VRやAR技術を用いた家具・家財レイアウト・リフォームなどのシミュレーション

    こういったサービスを利用することで、実際に物件に赴くことなく「内見」や「暮らしをイメージ」することができます。

    事例② IoT

    IoTは「Internet of Things」を略した言葉です。モノのインターネットと訳されることが多く、スマートフォン等のインターネット経由で自宅にあるエアコンや照明を操作することができる技術のことです。

    代表的なものがスマートロックです。スマートフォンのアプリを使って自宅やオフィスの鍵を開閉する事が可能です。最近は民泊でも導入が進んでいます

    また、これまで案内時にお客様と同行して鍵を開け閉めしていた賃貸仲介業者が同行不要となり、一人で物件を見学する事が可能になります。

    事例③ 不動産情報

    不動産情報の分野では、以下のようなサービスが登場しています。

    • 物件情報を除いた、不動産に関連するデータを提供・分析するサービス
    • 不動産登記情報の取得代行やデータベース化
    • 空き物件情報の更新漏れや不正検知

    こういったサービスを利用する事で「情報獲得のためのコスト削減」「類似情報の効率的な活用」といったメリットがあります。

    事例④ 仲介業務支援

    仲介業務支援

    不動産売買仲介や賃貸仲介業務を支援する目的で、以下のようなサービス・ツールが登場しています。

    • 不動産取引の電子化(IT重説や契約書類の電子化)
    • 賃貸サイトや自社HPへの物件情報の一括掲載
    • 業者から来た物件確認への自動応対
    • 顧客管理情報の一元化
    • 複数業者との一般媒介契約のオンライン化

    このサービス、ツールを利用することで「郵送の手間と経費の削減」「物件空き確認に対しての電話応対業務等の削減」「複数入力の手間とミスの削減」といった効果が挙げられます。

    事例⑤ 管理業務支援

    プロパティマネジメント業務を支援するサービス・ツールも登場しています。

    管理業務支援ツールで支援できる業務には以下が挙げられます。

    • 入居者からの問い合わせやクレーム管理
    • 物件情報の管理
    • 家賃入金・督促情報の管理
    • 顧客の契約情報の管理
    • 物件オーナー契約情報の管理
    • IT重説の支援ツール
    • 各種工事・メンテナンス情報の管理

    事例⑥ ローン・保証

    不動産テックの一部として、住宅ローンや保証サービスの比較、融資支援業務のサポートや借り換えシミュレーションなどを提供するサービスも登場しています。

    このサービスを利用する効果として、以下が挙げられます。

    • 不動産業者への住宅ローン融資支援業務サポート
    • 各銀行の融資経費削減と集客力の向上

    事例⑦ クラウドファンディング

    クラウドファンディングは、インターネットを通じて不動産や不動産関連事業への出資を募り、資金調達を行うサービスです。

    クラウドファンディングを利用すれば、幅広い投資家から資金を集めることができ、資金調達の手段が格段に増加します。

    事例⑧ 価格の可視化・査定

    AIの解析技術やビッグデータの活用により、不動産データや価格の可視化、売買価格査定や賃料査定を可能とするサービスが登場しています。

    このサービスを利用する効果としては、以下が挙げられます。

    • 日本の不動産業界で課題となっていた価格の不透明さがなくなる
    • 豊富なデータを数値化した提案資料を作成する事が可能になる

    事例⑨ マッチング

    マッチング

    「個人」や「企業同士」をマッチングさせることで、需給の最適化を行う取り組みも進んでいます。

    従来に比べてマッチングが効率化されて、よりマッチ度の高い取引を可能にすることが期待されます。

    事例⑩ 物件情報・メディア

    不動産に関する『売る』『買う』『借りる』など、住まいに関する様々な情報を掲載する物件情報・メディアの領域では、多くの企業が有益な情報を用意して、住まいに関連するニーズに応える取り組みがなされています。

    物件メディアでは、以下にまつわる情報が豊富に掲載され、専門家視点の情報が多く手に入ります。

    • 売る
    • 買う
    • 借りる
    • 建てる
    • 専門家へのQ&A
    • インテリア

    物件情報・メディアの領域が発展することにより、不動産に関連する正確な最新情報の流通が実現しつつあります。

    事例⑪ シェアリング

    不動産分野でのシェアリングである『スペースシェアリング』は、インターネットを経由してオフィスや住居などの物件・空きスペースを短期・中期でシェアするサービス、またはそのマッチングができるサービスです。

    具体的にシェアできる対象としては、以下が挙げられます。

    • 会議室
    • イベントスペース
    • 駐車場
    • 民泊

    シェアリングサービスを利用することで「稼働していない不動産の削減」「スペースを有効活用して新たな事業機会の創出」といった効果をあげることができます。

    事例⑫ リフォーム・リノベーション

    空き家問題解消の一助として、リフォーム業者を探せるマッチングサービスがあります。

    「リフォーム業者の選定」「買い手を見つける」といった不動産テックサービスを利用することで中古住宅の流動性を高めることが可能です。

    まとめ

    これまでの不動産業界は従来の慣習にとらわれてきた為、デジタル化が遅れているといわれてきました。

    しかし、最新テクノロジーの『不動産テック』を導入する事によって作業が効率化され、これまで不透明であった不動産業界の情報も透明性が高まっていく事が予想されます。

    不動産業界は明るい未来を迎える為に、今後さらに『不動産テック』の活用が必要となってくることでしょう。

    不動産テックに関する資料もご用意しておりますので、参考にしてみてください(無料でダウンロードできます)。

    関連資料:不動産テックで変革する!これからの不動産管理会社のビジネスモデルとは?

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