2025.10.02 RELEASE
地域密着の賃貸管理会社が選んだDXのかたち|導入4ヶ月で「GMO賃貸DX」がオーナー様との新たなつながりを生む
- オーナーアプリ
「地域に根差し、時代に合わせて進化し続ける」。そんな姿勢を体現するのが、1972年創業の株式会社サンエース。同社は大阪府枚方市を拠点に、不動産の開発・建築・管理から葬祭事業までを手がけ、地域住民の暮らしに寄り添ってきました。2024年には、業務効率化に加え「つながりを未来へ残す」という明確な目的を掲げ、『GMO賃貸DX オーナーアプリ』を導入しました。
地域に根ざし、暮らしを支える――サンエースの事業とは
貴社の事業概要について教えてください。

▲株式会社サンエース 管理部 部長 菊水 修 氏
当社は1972年に設立いたしました。創業当初はレンタカー事業から始まり、その後建築業に移行しました。本社がある春日元町周辺を中心に不動産開発事業を開始し、地主様から土地をお借りして分譲事業を行い、その売上でマンション建設を手がけるようになったことが、不動産管理事業の始まりです。
この地域には耕作困難な土地や跡取り問題を抱えた土地が多くありました。当社はそうした土地を駐車場に転用したり、立地条件の良い物件にはコンビニエンスストアやスーパーマーケットを誘致したりするなど、地域のニーズに応じた開発を進めてまいりました。現在は、不動産開発、建築、管理を三本柱で事業展開しています。
約20年前には葬祭事業にも参入いたしました。これは長年お世話になった地域の方々を最後まで見送りたいという現会長の想いから始まったものです。高齢化が進む中で、もともと本社があった場所を葬祭式場「パルティ」として葬祭事業を開始いたしました。不動産会社が葬祭事業を手がけることは珍しいケースでしたが、地域密着という理念のもと、住宅という「衣食住」の一部を担う企業として、人生の最終段階でもお手伝いができるよう事業を拡大してまいりました。
現在、当社は54期を迎え、不動産事業と葬祭事業の両輪で地域に根ざした活動を続けています。
地域に密着した事業で暮らしを豊かにする―という理念を日々の業務でどのように実現しているのでしょうか?
当社では毎年6月に「さんさん祭り」という地域のお祭りを主催しております。このお祭りには約1,000名を超える方々にご来場いただき、従業員が運営する出店や豪華景品が当たる抽選会を用意しました。年々規模が大きくなり、今年は安全面を考慮して広報媒体を減らしたほどです。
来年はさらに地域の皆様に喜んでいただけるイベントにしたいと考えています。地域の方々との絆を深め、真の意味で地域密着した事業を通じて、皆様の暮らしをより豊かにしていくことが当社の使命だと考えています。
当社主催のお祭りだけでなく、地元で開催される他のお祭りや地域事業にも積極的に参加し、仕事を超えた地域の一員として貢献できるよう努めています。
社員一体となって地域貢献に向けて取り組まれているのですね
当社の全社員が地域に対してアンテナを張り、「地域にとって何が大事なのか」を常に考えながら業務に取り組んでいます。昔のようなお祭りが少なくなっている中で、地域を盛り上げる役割を担い、企画から運営まで一丸となって取り組んでいます。
自社開催のイベントだけでなく、地域で行われる他の催しや事業にも積極的に参加し、仕事を超えて地域の一員として貢献しております。全社員が「地域にとって何が大切か」を常に考えながら業務に取り組み、コンビニエンスストア・スーパーマーケット・コインパーキングの誘致や、老人ホームなど高齢者向け施設の開発を通じて、多世代の暮らし向上に寄与しています。
また、共働き世帯の増加に対応するため、空きテナントを活用したコインランドリー事業も10店舗展開しています。「あったら便利」という地域の声を形にすることが当社の使命です。
アナログ業務の限界と、次世代オーナーとの接点不足
アプリの導入前はどのような課題を抱えていましたか?

オーナー様200名に対する報告書や各種書類のやり取りをすべて紙ベースで行っていました。これは業務効率の面で大きな課題となっていました。
人によってはシステム会社で勤務経験があるなどの背景から「DX」という言葉に対してそれほど抵抗がないメンバーもいますが、社内にはアプリ導入後の現在でさえも、まだまだ抵抗感を持つメンバーがいるのが現実です。
当社が管理する物件のオーナー様は高齢の方が多く、デジタルツールの導入に対して相当な抵抗があることが予想されました。東京のような都市部ではなく、地方圏に位置しているため、デジタル化に対する壁がより高いのかもしれません。地域的な特性として、新しい技術やシステムに対する抵抗感が強いオーナー様も多くいらっしゃったのは事実です。
これらの課題を抱えながらも、業務効率化とオーナー様へのサービス向上を目指し、アプリ導入に踏み切ることになりました。
『GMO賃貸DX オーナーアプリ』を検討したきっかけについて教えてください
時代の流れとして、DX導入は必要不可欠になってきていました。特に次世代オーナーとのつながりが重要になると感じていました。現在のオーナー様だけでなく、その2代目、3代目といった若い世代のオーナー様とのつながりを考慮し、若い方々が使いやすいデジタルツールの導入は社会の流れで必要だと感じていました。
最初にGMO ReTechさんから提案を受けた際は導入を見送りましたが、他社を含めて比較検討を続け、機能改善と価格面で優位性があった『GMO賃貸DXオーナーアプリ』の導入を決定しました。
アプリ導入時の懸念点や障壁はありましたか?
アプリ導入時の最大の懸念点は、オーナー様の年齢層を踏まえた浸透度でした。高齢のオーナー様が多い中で、デジタルツールがどこまで受け入れられるかが最大の障壁でした。この点は現在も継続的に取り組んでいる課題です。
社内でもデジタルツールの得手不得手があり、不得意な社員は積極的とは言えませんでした。こうした抵抗感も、導入時の大きな障壁の一つでした。
また、稟議を上げる際には、郵送費用など現状コストを明確に提示し、導入後の費用対効果を示すことで、承認に向けた道筋を整えました。
懸念点を解消するために取り組まれたことは何かありますか?
『GMO賃貸DX オーナーアプリ』について、最初にお話を伺ったのは菊水部長でした。電子申込システムなども早期に導入しており、仲介会社から「それは何ですか?」とお問い合わせをいただくこともありました。導入当初は「なぜ紙の申込ではいけないのか」と戸惑いの声もありましたが、将来的な標準化を見据え、確信を持って移行を進めました。
菊水部長は新しい取り組みに前向きで、「まず一度話を聞く」という姿勢を徹底しており、この姿勢が意思決定のスピードを高め、導入を早期に進めることにつながりました。さらに、採用に限らず、まずは身近な業務から小さく始めて定着を図る運用を行い、そこにITリテラシーの高い若手の参画が後押しとなって、組織全体の雰囲気が前向きに変化しました。
部長の承認後は上層部の理解も得られやすく、稟議から運用開始までを円滑に進めることができました。こうした「まず試す」文化が、アプリ導入時の障壁を乗り越える大きな要因になったと思います。
導入の決め手は“使いやすさ”と“人の支援”
数あるアプリの中からGMO ReTechを選んだ決め手は何だったのでしょうか?

GMO ReTechさんのは使いやすさが際立っていました。特にオーナー様側の画面が使いやすく、勉強会で説明した際も、ほとんどのオーナー様から「難しい」と言われることがありませんでした。むしろ、勉強会の反応は非常に良く、「これから紙でのやり取りは不要で、全部これで送ってほしい」と言われるオーナー様もいらっしゃいました。
他社のシステムは投資家向けの機能が多く、投資用不動産を頻繁に売買するオーナー様向けの設計になっていました。しかし、当社のオーナー様は一般的な管理をお任せいただいている方が多いため、そうした投資家向けの機能は必要ありませんでした。『GMO賃貸DX オーナーアプリ』は、まさに不動産賃貸管理会社とオーナー様の関係に最適化されています。
GMO ReTechのカスタマーサクセス担当者のサポートで「助かったこと」「今後期待したいこと」があれば教えてください
導入前のサポート体制が非常に評価が高かったです。機能の使い方については、営業担当者ではなく、専門のサポートスタッフに繋いでいただき、細かな説明を受けました。その際のサポートがわかりやすく、丁寧だったことが印象的でした。
管理ソフトを導入する際、サポート体制は極めて重要です。さまざまなサポートセンターとやり取りした経験から、対応の質によって業務効率が大きく変わることを実感しており、GMO ReTechさんのサポート体制は他社と比較して優れていると判断しました。
アプリ導入の裏側と現場のリアル
導入から約4ヶ月が経過し、オーナー様からの反応はいかがでしょうか

現在、60名を超えるオーナー様にアプリをインストールしていただいている段階ですが、正直なところ、まだ十分に活用しきれていない状況です。それでも、オーナー様からの反応は非常に良好です。
当初懸念していた年配のオーナー様からも、予想以上に良い反応をいただいています。勉強会を実施した際の参加者の反応も素晴らしく、2回目の勉強会が終わった時点で「もう紙は要らない」と言っていただけるオーナー様もいらっしゃいました。
Web版についても、それほど難しくない操作性となっており、オーナー様からの評価は良好です。年配の方でも使いやすいという声をいただいています。
また、オーナー様からは「もっと早く更新してほしい」という要望も出てきています。特に入居状況のデータについて、入居が決まった報告をしているにも関わらず、アプリ上に反映されていない状況があり、ご指摘をいただきました。現在は月1回程度の更新ですが、来月からは更新頻度を上げる予定です。オーナー様から「月何回更新されるのか」という質問もあり、「3回程度」とお答えしている状況です。
改善してほしい点や課題を感じている点などはありますか?
一方で、当社側の運用面では課題があります。現在使用している賃貸管理システムとの連動ができないため、データの転送作業が手動となっており、この作業負担が大きな問題となっています。
データを吐き出して他のツールを使って加工し、アップロードするという手順が必要で、この作業にまだ慣れていないこともあり、業務負荷が高い状況です。この問題を解決するための計画も立ててはいますが、現場に出る業務もあるため、クレーム対応などが入ると、どうしてもアプリ関連の作業が後回しになってしまうという課題があります。
過去にも複数回管理システムを変更した経験があり、その都度大きな労力を要したため、できる限り現在のシステムでスムーズな連携が実現されることを期待しています。
アプリでよく使われている機能やお気に入りの機能があれば教えてください
最も活用している機能は収支報告機能です。月次の報告をアプリ上で確認できるため、タイムリーな共有とコミュニケーションにつながっています。
また、気に入っているのは外部リンク機能です。アプリ下部に当社のホームページやInstagramへのリンクを設置しており、特にInstagramのクリック数が最も多くなっています。オーナー様は通常、当社のホームページを頻繁にご覧になるわけではございませんが、毎月収支報告をご確認いただく際に「ついでに」リンクを見ていただけます。これにより「サンエースもこんな建物を建てているのか」と認識していただき、将来的な営業機会につながる可能性があります。
当社ではInstagramの運用に月額契約で投資しているため、確実にオーナー様の目に触れる場所にリンクを配置できるのは大きなメリットです。賃貸オーナー様は必ず収支報告をご覧になるため、このアプリは確実にオーナー様の注意を引ける有力な導線として、伝えたい情報を効果的に届けられる強力なタッチポイントになると考えています。
また、会社からのお知らせを全オーナー様に一斉送信できる機能も魅力的です。さんさん祭りのお知らせなどにも活用を検討しています。将来的には営業システムとの連携により、より良い提案ができるようになることも期待しています。運用開始から日が浅いため、コスト削減や時間削減の効果はこれから測定していく予定です。
今後使っていきたい機能は何かありますか?
今後はチャット機能とワークフロー機能を積極的に活用したいと考えています。特に年齢の高いオーナー様とのやり取りでは「言った・言わない」のトラブルが起こりがちですが、アプリ上で承認ボタンや既読の記録があることで、責任の所在を明確にできる点が非常に有効です。
『GMO賃貸DX オーナーアプリ』活用で業務も関係性もアップデート
導入後に実感したアプリの意外なメリットなどはありますか?

意外だったメリットは、勉強会を通じて次世代のオーナー様と自然に接点を持てることでした。通常であれば、こちらから営業に行って「息子さんに挨拶させてください」とお願いするところですが、アプリの勉強会には親子で参加してくださるケースが多く、非常にありがたい状況です。
二代目の方は別のお仕事をされていて、わざわざ時間を作ってくれることは少ないのですが、「自分だけではできない」という理由で一緒に参加してくださいます。これにより、将来的に相続が起きた際に「アプリを通じて引き継げばいい」という認識を持っていただけるため、次の展開に向けた重要なつながりを築けています。
アプリを見ていただくことで、現在家賃管理をしていないオーナー様でも、「入金管理をサンエースさんに変えようか」と言ってくださるオーナー様が出てきました。これは予期していなかった効果で、業務の効率化にもつながる大きなメリットです。
他にもアプリ導入後に感じた変化があれば教えてください
当初は「高齢のオーナー様には難しいだろう」という不安が大きかったのですが、実際に勉強会で説明してみると、予想以上に良い反応をいただけました。思っていた以上に世の中のデジタル化が進んでおり、皆さんスマホを使っていることで、パソコンよりもスマホの方がその壁を下げている要因だと感じています。スマホは生活の一部になっているため、アプリという形での提供が功を奏しているのでしょう。
基本的な機能だけでなく、一斉送信機能を使って情報を送ることで、管理業務以外のコミュニケーションツールとしても活用できることがわかりました。これにより、オーナー様との関係性をより深めることができると期待しています。これらのメリットは、機能そのものよりも、アプリを通じたコミュニケーションの変化から生まれているものが多く、導入前には予想していなかった効果です。
また、アプリ導入により、今後は契約書のペーパーレス化にもつながりやすくなると考えています。「明細も紙がなくなったのだから、契約書もそうよね」という流れが自然に生まれており、これが最終的な目標への重要なステップとなっています。
「GMO賃貸DX」で描く、これからの賃貸管理
アプリ導入を検討されている同業者へのアドバイスをお願いします

当社は比較的新しいものの導入が早い方だと思いますが、この業界も数年で大きく変化し、多様化が進んでいます。この時代の流れについていくためには、DXやシステム導入は避けて通れません。日本の人口が減少し、労働力も減っていく中で、物件数は増え続けています。少人数でいいサービスを提供するには、こうしたツールを使わなければ対応が難しくなるでしょう。実際に、アプリの有無で作業時間は大きく変わります。
今後、AIがシステムに組み込まれていくことで、人間が考えるより遥かに早く資料作成なども可能になります。無料で使えるAIツールも増えており、使えるものは積極的に使っていくべきです。人材の取り合いになる時代では、人件費は高くなる一方なので、システム投資の方が結果的に安上がりになります。
皆さん導入前は抵抗感を感じますが、一度使い始めると便利で離れられなくなります。まずは試してみることをおすすめします。
正直なところ、あまりアドバイスしたくない気持ちもあります。先にやっておかないと競争に勝てないからです。でも、これが時代の流れなので、導入を検討されている方は速度感を持って取り組んでください。
今後、アプリを通じてどのような不動産賃貸管理を実現していきたいとお考えでしょうか?
最終的には紙を完全になくし、いつでも・どこでもオーナー様が情報を見れるような環境を実現したいと考えています。これにより、連絡の行き違いやタイムラグを減らし、オーナー様の満足度向上につなげていきます。
賃貸管理業務の基盤業務が安定して機能する状態が整えば、このアプリは情報提供と提案を一体化できる営業支援ツールとして活用できます。生産性を高めつつ、収益の改善を図り、既存のオーナー様との関係を継続的に深めていくことが重要です。
当社が地域密着にこだわるのは、主要エリアに軸を置き、つながりを深めていくことを重視しているからです。アプリを通して、地域とのつながりを可視化・強化し、地域に根ざした賃貸管理の価値を高めていきたいと考えております。
会社紹介
1972年に自動車貸渡業からスタートした株式会社サンエースは、大阪府枚方市を拠点に、共用住宅・福祉施設・公共・店舗などの建設工事から、土地活用・不動産開発、賃貸・駐車場管理、リフォーム、葬祭事業、保険代理業まで、多面的な不動産・建設サービスを展開しています。創業当初の「レンタルリース」に由来する社章を大切にし、経営理念に「地域に住まう人たちの暮らしを豊かにし、人と人のつながりを大切にする」を掲げ、時代の変化にも柔軟に対応しながら、地元に必要とされる企業を目指しています。
■会社名
株式会社サンエース
https://www.sar.co.jp/
■所在地
〒573-0135
大阪府枚方市春日元町1丁目38-20

