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【リーダーインタビュー】菅沼 勇基様|三光ソフラングループで描く、神奈川一番店への挑戦と多角化戦略

不動産業界の変化と将来性について、業界全体を幅広い視点で捉え、明確な方向性を持って業界を牽引するトップリーダーたちが、今後の不動産業界の進路を語る特別企画「リーダーインタビュー」。

今回お話を伺ったのは、神奈川県を拠点に不動産投資事業を展開する横濱コーポレーション株式会社の菅沼社長です。27歳での起業から三光ソフラングループ入り、そして管理戸数10,000戸を誇るまでの成長軌跡。高橋誠一会長のもとでの経営から、今後の多角化戦略まで、詳しくお話を伺いました。

目次

    創業から三光ソフラングループ入りまでの軌跡

    まずはご自身の経歴と横濱コーポレーションを立ち上げた背景について教えてください。

    ▲横濱コーポレーション株式会社 代表取締役社長 菅沼 勇基 氏

    地元、神奈川県横浜市出身で、横浜市立大学を卒業してから住友不動産株式会社に入社し、27歳の時に横浜市のランドマークタワーで起業しました。現在40歳で、創業から13期を終えて、9月より14期目に入りました。

    創業期に苦労されたエピソードについて詳しくお聞かせください。

    創業時、サラリーマン時代に貯めた600万円を元手に始めたのですが、敷金や不動産の供託金等のお金が掛かり、運転資金は400万円程度でのスタートでした。苦労したのは、2012年12月に創業してから約半年間、売上が全く立たなかったことです。

    人脈も全くなく、前職からの仕込みも一切ありませんでした。最初はブログを書いて、集客していましたし、ホームページが完成したのも創業から2ヶ月後の2月頃。最初は仲介事業から始め、物件は不動産ポータルサイトのレインズやFAXDMを使って探していました。ランドマークタワーという立地から、「良い条件で売買してもらえそう」というイメージがあり、そのおかげでお問い合わせをいただけたこともありました。

    三光ソフラングループ入りした背景はどのようなものだったのでしょうか。

    仲介事業から、新築木造アパートの不動産投資事業へ拡大し、創業から6年で新築アパートを60棟程度建築し、神奈川県内では1、2番を争う実績になっていました。しかしかぼちゃの馬車事件をきっかけに、アパートローンの融資がストップしてしまったのです。

    その当時、20〜30棟もの在庫を抱えており、間接金融への依存度の高さや、資本規模がまだ5億円程度と小さいことから、金融機関に対する交渉力の弱さを痛感しました。

    そんな中で、ある会社からのご紹介で三光ソフラングループとの話が進みました。他の上場企業ともデューデリジェンスを行っていましたが、高橋会長は面談1時間程度で「一緒にやろう」と決断していただき、実行まで至りました。

    高橋会長との出会いと経営哲学

    高橋誠一会長との出会いから買収決定までのスピード感について詳しく聞かせてください。

    高橋会長とは9月中旬頃にお会いして、9月30日にはもう実行していました。10日程度という驚異的なスピードでしたね。

    通常の上場企業でしたら、取締役会にかけて役員や執行役員の承認を得て、月1回の取締役会を経て決定するため2ヶ月程度かかります。しかし高橋会長は非上場のオーナーとして、その場で即決されました。

    私自身も当時33歳で、ある程度の資金を得られれば、いずれ再び自分で事業を始められると考えていたため、過度な条件は求めませんでした。そんな中、高橋会長の圧倒的な決断力を目の当たりにし、「この方のもとで働いてみたい」と強く感じたことが、最終的な決め手となりました。

    グループ入り後も6年間続けられた理由はなぜでしょうか。

    通常のアーンアウトは3年程度ですが、私は約6年間続けています。それは高橋会長がいるからです。高橋会長がいなかったら3年程度でやめていたと思います。

    3年経った時に一度やめることも考えましたが、高橋会長と面談した際に「神奈川を全部任せたいから全部やってほしい」と言われ、株式会社アップル神奈川も当社で買い取ることになりました。

    高橋会長は単に社長を任せるだけでなく、「株式もすべて取得して、資本を持ったうえで経営にあたってほしい」という方針でした。

    高橋会長の経営者としての魅力について詳しく聞かせてください。

    外から見ると怖い印象を持たれがちですが、実際に一緒に働くと、その精神力の強さは尋常ではありません。苦境や逆境に直面しても、普通であれば耐えられないような状況でも、人前では決して弱みを見せません。

    高橋会長はさまざまな事業で先陣を切り、失敗も経験されています。ライザップ事業では、2、3店舗を展開したものの赤字で撤退し、24時間ジムも先駆けて始めたものの撤退しました。それでも失敗に対して「しょうがない、次に進もう」と受け止められる度量があります。

    高橋会長から悩みや困りごとを相談された際には私も一緒に考え、「こうすれば実現できます」「この方法を組み合わせれば可能です」と具体的な解決策を提案できる関係を築いています。

    神奈川県内での事業戦略と成長実績

    現在の事業内容と注力エリアについて教えてください。

    とくに注力しているのは、横浜市瀬谷区の「2027年国際園芸博覧会」開催エリアです。三光ソフランホールディングス株式会社は、株式会社サカタのタネ、清水建設株式会社、三菱地所株式会社などと並び、メインスポンサー7社のうちの一社として参画しています。

    瀬谷エリアは博覧会開催後の地価上昇を見据え、相鉄線・小田急線沿線の土地を積極的に取得中です。周辺では再開発や交通インフラの整備も進んでおり、将来的な資産価値向上が期待されています。

    また、大船と藤沢の間には新駅が設置される予定で、周辺の土地は現在比較的安価なため、アパート建築を進めています。さらに相模原エリアも注力しており、相模原駅北口にあった米軍基地の接収が完了したことで、東京ドーム36個分の広大な敷地で再開発が進むことが決定しています。

    建築実績についてお聞かせください。目標はどのように設定されていますか?

    今年は年間100棟を目標にしています。前期が70棟程度で売上114億48百万円でしたから、100棟だと163億円程度になる見込みです。平均的な物件は土地が5,000万から6,000万円程度で、1棟あたりの販売価格は1億円から1億1,000万円程度です。

    特に重視しているのは「どこでも建てるわけではない」という点です。すべての物件を私自身が毎週木曜日に現地へ足を運び、立地や周辺環境を確認しています。間取りから部屋の仕様もすべて自分で決定し、品質と収益性の両立を図っています。

    また、「駅徒歩10分以内の物件しか手がけない」という明確な基準を設けています。徒歩11分以上の立地は一切扱いません。インフレや新駅開業、地価上昇が見込めるエリアに限定して仕入れを行い、その将来性をオーナー様に丁寧にご説明したうえでご購入いただいています。

    神奈川県内に限定した事業展開をされているのはなぜでしょうか?

    神奈川県に根ざした事業を展開したいという強い想いがあるからです。そのため、県外への店舗拡大は現時点では考えていません。

    神奈川県は人口約1,000万人という大きなマーケットを持ち、その中から投資対象として魅力のあるエリアを厳選しています。小田原まで手がけることもありますが、基本的には「ここなら大丈夫」と自信を持てる一等地しか扱いません。

    不動産投資における最大のリスクは空室であり、その背景にあるのが人口減少です。したがって人口動態を見極めながら、リスクを最小限に抑えることが重要だと考えています。実際、川崎市では昨年約6,000人、横浜市でも約2,000人の人口増加が見られ、神奈川県全体としても比較的安定したエリアといえます。

    DX推進と独自の投資支援システム

    現在取り組まれているDX施策はどのようなものでしょうか。

     

    会社員や経営者の方が本当に安心して不動産投資に取り組める市場をつくりたいという想いから、現在のDX推進に力をいれています。

    たとえば相模原駅周辺の物件に投資した場合、当社が過去に手がけた同エリアの物件が「何日で空室が埋まったのか」といった実績データ(トラックレコード)をAIに学習させ、「あなたが購入したエリアでは、◯◯丁目単位で平均◯日で空室が決まっています」といった、精度の高い情報を提供できるようにしたいと考えています。

    一般的な投資シミュレーションでは「空室率5%」といった根拠の乏しい数値が使われがちですが、当社には創業13年で管理戸数10,000戸、新築建築700棟超という確かな実績があります。これらのリアルなデータをDXによって活用し、投資判断に“信頼できる根拠”を提供していくことを目指しています。

    AIを活用した投資シミュレーションシステムについて詳しく教えてください。

    たとえば橋本駅で物件を購入する場合、通常の投資会社では「地価が上がります」「コンビニがあります」程度の説明ですが、当社は賃貸管理を通じて実際の空室期間データを蓄積しています。

    20平米、25平米、30平米など、様々な条件を含む要素をしっかりと読み取らせて、より精度の高い投資判断材料を提供できると考えています。

    さらに、当社が手がける物件は駅徒歩10分以内の新築物件のみであるため、築10年程度の比較的均質なデータが蓄積されています。また、株式会社アップル神奈川の10年間の顧客情報や賃貸成約事例も保有しており、ある程度のビッグデータとして活用可能だと考えています。

    人材育成と組織運営への想い

    組織運営や人材育成で大切にされていることについて教えてください。

    教育については正直、自由主義です。ノルマもそれほど厳しくありません。目標は自分で決めてもらい、それをどう達成するかも本人次第です。

    たとえば年間100棟の土地仕入れ目標があった場合、仕入れ営業担当者が15人いるとして、「私は10棟」「私は5棟」といった形で、自分たちで割り振りを決めてもらいます。社長が「お前は10棟やれ」というような指示は出しません。

    意識の高い人もいれば、そうでない人もいて、年間10棟やりたい人もいれば2棟でいいという人もいます。2棟の人はそれに見合った給与や休みで満足しているなら、それでもいいと考えています。

    目標設定やインセンティブ制度はどのように導入されていますか?

    目標は全て自己申告制としています。ただし申告した内容は必ず査定には紐付く仕組みになっており、実際に達成した分だけが評価に反映されます。インセンティブ制度も導入しているため、少なく申告した方が得になるということはありません。

    また、それぞれの社員に合わせた働き方を認めており、こうした柔軟な制度は一般的な不動産会社とは大きく異なる点だと思います。

    今後の展望と多角化戦略

    今後注力していきたい事業領域について教えてください。

    今年はRCマンション建築に着手しています。RC建築から始めて、そこからホテル事業もやってみたいと考えています。アパート建築で1番(※)を取ったので、今度はRCの土地売りやRC建築をどんどんやっていきたいですね。ゼロから創業するような気持ちで、RC専門の新会社を今年立ち上げ、キーマンを採用して1から3棟程度建築する予定です。

    (※)『全国賃貸住宅新聞』(2025年6月23日発行)で発表された「関東エリア年間完工数ランキング」において、神奈川県に本社を置く企業として1位(https://www.yokohamacorp.jp/info/page_1241.html

    RC建築やホテル事業への展開について詳しくお聞かせください。

    まず自社で3棟から10棟、20棟とやっていくために、M&Aも検討しています。これが1、2年後の計画です。

    ホテル事業については、民泊から練習して、ホスピタリティについて一度学んでみたいと考えています。「ホテルをやりたい」というより、トレンドに乗って、それを法人に売却して資金を得て、また新たな事業に投資するというサイクルを考えています。
    RC建築ができるようになれば、大手デベロッパーの下請けでマンション建設に参入することも可能になります。そうして得た資金をもとに、さらにさまざまな分野への買収や事業展開にも挑戦していきたいと考えています。

    売上目標120億、150億、200億といった数値目標ではなく、いろいろなことにチャレンジしてみたいと思っています。

    まとめ

    27歳での起業から三光ソフラングループ入りを経て、神奈川県で管理戸数が10,000戸を超えるまでに成長した横濱コーポレーション。菅沼社長のお話からは、高橋誠一会長という経営者との出会いが人生を大きく変えた経験と、地域に根ざした事業展開への強い想いが伝わってきました。

    かぼちゃの馬車事件という業界の転換点での決断、そして6年間にわたるグループでの経営経験を通じて培われた事業観。駅徒歩10分以内限定、神奈川県内限定という明確な事業方針のもと、AIを活用した投資支援システムの開発や、自由主義的な人材育成など、独自の取り組みが印象的でした。

    今後のRC建築やホテル事業への多角化展開についても、単なる規模拡大ではなく「面白いことにチャレンジしたい」という経営者としての探求心が表れており、神奈川県の不動産業界における同社の更なる発展が期待されます。

    本記事取材のインタビュイー様

    横濱コーポレーション株式会社
    代表取締役社長 菅沼 勇基 氏

    神奈川県横浜市出身。横浜市立大学卒業後、住友不動産株式会社に入社し、武蔵コーポレーション株式会社等を経て27歳で横濱コーポレーション株式会社を創業。2019年に三光ソフラングループ入りし、現在に至る。駅徒歩10分以内限定の明確な事業方針で「関東エリア年間完工数ランキング」にて神奈川エリアでNO.1となる。AIを活用した投資支援システムの開発やRC建築・ホテル事業への多角化を進める。

    会社紹介

    横濱コーポレーション株式会社
    https://www.yokohamacorp.jp/

    横濱コーポレーション株式会社は神奈川県を拠点とする不動産投資・建築会社です。三光ソフラングループの一員として、駅徒歩10分以内の立地限定で新築アパートの企画・建築・販売を手がけています。年間100棟の建築実績を目指して、グループ会社の株式会社アップル神奈川のアパマンショップ13店舗と連携した賃貸仲介、横濱コーポレーションの開発による建築まで、ワンストップでのサービス提供を実現。AIを活用した投資シミュレーションシステムの開発やRC建築・ホテル事業への展開を進め、神奈川県内での更なる成長を目指しています。

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