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【リーダーインタビュー】後藤 聡志様|デジタル化と多角的な事業展開で長期的な事業基盤を構築。変わりゆく市場の中で、継続的な成長を目指す。

不動産業界はどう変わり、どこへ進んでいくのか?高い視座から業界全体を見渡し、明確なビジョンで業界をけん引しているリーダーに今後の不動産業界が進むべき道を示してもらう企画「リーダーインタビュー」。

今回インタビューを行ったのは、きらめき不動産株式会社の代表取締役である後藤 聡志様です。同社は、利回りの高い投資用不動産の売買仲介を中心に事業を展開し、着実に成長を遂げてきました。また、福祉事業やファンド事業などにも積極的に取り組み、多角化を図っています。後藤様には、会社設立の経緯や経営理念に込められた想い、そしてデジタル化による事業の効率化などについて、詳しくお話しを伺いました。

目次

様々な経験を経て、独立を決意。独立後の失敗を教訓に、長期的な事業基盤構築を目指す。

不動産業界を選ばれたきっかけなど、ご自身の歩まれてきたキャリアについてお聞かせください。

大学を卒業した後、私はサーファーとして生きていくことを夢見てオーストラリアに渡ったのですが、現地のサーフィンレベルの高さに直面し、すぐに挫折してしまいました。オーストラリアには1年ほど滞在しましたが、その後日本に帰国しました。帰国後も海外で働きたいという気持ちは強く残っていたため、米国公認会計士(USCPA)の資格取得を目指し、コンビニでアルバイトをしながら学んでいたのですが、監査法人への就職がメインであることを知り、その道には進まないことを決めたのです。

その後、英語が活かせる仕事として添乗員の職を選び、各地を巡る日々を楽しんでいましたが、長く続ける仕事ではないと思い、再度別の道を模索することにしました。次にコールセンターの派遣社員として働きましたが、サーフィン関連企業で働く機会があり、これをきっかけに湘南へ移住しました。

しかし、私は経済的自由を追求したいという気持ちが強く、営業職に対する興味が湧いてきました。そこで、歯科医院向けのコンピューターソフトの販売や証券会社での仕事を通じて投資の知識を深めましたが、最終的には不動産投資業界に魅力を感じ、この道に進むことを決意しました。いくつかの不動産会社で経験を積んだ後独立を決意し、現在の「きらめき不動産」を創業しました。

非常に多様な経験を積まれて来たのですね。きらめき不動産を創業した後は順調に成長していったのでしょうか。

そんなことはありません。2008年に一人で創業してから最初の10年間は、順調に成長を続けていたため、当時は「上場も夢ではない」と考えていました。その結果、内部統制を整えることよりも、事業の拡大を優先してしまったのです。しかし、その矢先に不動産業界に逆風が吹き始め、適切な内部体制が整っていなかったことも重なり、社員の離職が相次ぎました。この時、ようやく自分の夢物語から目が覚めました。私は、売買や仲介だけでは成長を維持することが難しいという現実を理解していなかったのです。この経験が、私にとって大きな転換点となりました。

その教訓を踏まえ、長期的な事業基盤を築く必要があると強く感じるようになりました。そこで、福祉事業、ファンド事業、そしてFC開発事業を同時に進めることを決意しました。これらの事業はすぐに成果が出るものではなく、4年ほどの時間をかけてようやく安定した基盤が整ってきました。今後も5年、10年という長期の視野で、これらの事業を育てていくつもりです。

「築古物件の管理ノウハウ」「投資家との信頼関係」が強み。自社物件の保有を強化し、更なる事業拡大を図る。

貴社の賃貸管理の特徴や運営体制についてお聞かせください。

当社の賃貸管理は、管理経験が全くない状態から手探りでスタートしました。すべて一から学びながら進めてきたため、他社にはない独自の運営スタイルが特徴だと思います。良い意味でも悪い意味でも、オリジナリティが強く、これがサービスの個性になっていると感じています。

特に、当社が管理する物件の多くは、利回りが高い投資用の築古物件です。こうした物件は築年数が経過しているため、トラブルが発生しやすいのが現実です。しかし、その分、こうしたトラブル対応に非常に慣れており、迅速かつ的確に問題を解決できる体制を整えています。この経験から、築古物件特有の問題にも柔軟に対応し、オーナー様や入居者様にとって安心できるサービスを提供できることが強みです。

他にも貴社特有の強みはありますでしょうか。

きらめき不動産

当社特有の強みとしては、創業時から一貫して投資家を対象としたビジネスを展開してきた点です。投資家との信頼関係が非常に強く、繋がりからご紹介をいただくことも増えています。その結果、利回りの良い良質な投資物件を提供できることが、当社の大きな強みだと感じています。

現在取り組んでいる事業の中で、今後特に力を入れていきたい事業はございますか。

今後特に注力していきたいのは、自社物件の保有です。5年ほど前からこの取り組みを進めており、今では一定の成果が出ています。今後も毎年取得していく計画です。自社の資産をより強固なものにし、さらなる事業拡大を図りたいと考えています。

「寿命」も「不動産の所有権」も有限。所有権が活発に動くことで、各ステークホルダーが幸せに。その先には国への好影響も。

「不動産は諸行無常、所有者を変え、日本を変える」という企業理念を掲げられています。この企業理念に込められた想いについて詳しくお聞かせください。

この企業理念は、私自身が発案したものです。会社のビジョンを作る際に社内公募を行い、様々な意見をまとめてクレドを作成しましたが、このフレーズだけは私の想いが込められています。当社は、投資用不動産のオーナーをターゲットに営業を行っていますが、「投資用不動産のオーナー様は必ずいつか売却する」という信念を持っています。仮に現オーナー様が売却しなかったとしても、相続が発生すれば次のオーナー様が売却を検討する可能性が高いため、常にオーナー様に対して最適な提案活動を続けるべきだと考えています。

さらに、この理念には哲学的な意味合いも込められています。私たちの寿命は有限であり、自分自身の身体ですらこの世にいる間だけの一時的な借り物であると考えています。ましてや、不動産は法的には登記されている間だけ所有者のものであり、その所有権は必ず移転される運命にあります。不動産の所有権が移転することで、売主は出口戦略を成功させ、資産が増加し、買主は不動産投資のスタートとなるわけです。

当社がその仲介役を果たすことで、報酬を得るだけでなく、管理業務を受託する機会も生まれます。つまり、物件の所有権が動くことで、取引に関わる全ての人々に良い影響が生まれるのです。ひとりの所有者が物件を永遠に保有し続けることでは何も発展しません。だからこそ、所有権を動かし続けることで、関係者に価値を提供し、さらには日本全体に良い影響をもたらすという想いが込められているのです。このスローガンは自己満足かもしれませんが、それだけではなく当社の使命感を表しています。

今後、「こういうサービスがあれば便利だ」「こういう付加価値を付けたい」など、貴社の既存サービスのブラッシュアップ構想、また新サービスの構想があればぜひお聞かせください。

不動産事業は、どうしても属人的な要素が大きいと感じています。そのため、新しい仕組みや革新を求めるのではなく、むしろ既存のサービスをしっかりと改善し、より高いレベルでお客様に提供することが重要だと考えています。当たり前のことをきちんと実行し、安定したサービスを提供することが、お客様の信頼を得るための最善の方法だと思っています。

一方で、不動産テック業界が提供する新しい技術やサービスには大いに期待しており、自社に適したものがあれば積極的に取り入れたいと考えています。ただし、新しいサービスを導入する際には、自社のビジネスモデルや顧客層に合ったものを慎重に見極めることが重要です。

契約書の電子化にはいち早く着手。効率化を図るため、業界全体で契約業務、問い合わせ対応のデジタル化に取り組むことが重要。

現在の不動産マーケット全体をどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。

▲インタビュアー:GMO ReTech株式会社 代表取締役社長 鈴木明人

私は20年以上にわたって不動産の相場を見続けてきましたが、現時点では「高い」というのが正直な印象です。このような高い相場は、世界的な経済状況やインフレといった要因による影響も大きいです。特に日本は、海外の投資家からも注目されている市場であり、そうしたグローバルな視点から見ると、今後も緩やかに価格が上昇する可能性は十分に考えられます。

ただし、同時に「相場の天井が近いのではないか」という感覚も持っています。現在の高い水準がいつまで続くかは不確かですが、金利や経済政策の影響によっては、相場が落ち着くタイミングが来るかもしれません。

不動産賃貸管理業務はまだまだアナログが主流かと思います。そんななか、不動産業界もようやくDX化へと進み始めました。後藤様は不動産業界のテック化、DX化について、どのようなお考えをお持ちでしょうか?課題などはございますか?

2022年に不動産取引で電子化が導入されたことは大きな進展でしたが、実は当社では2017年ごろから、売買業務分野の重要ではない書類に関してはすでに電子契約を導入していました。おそらく、日本国内では最初に電子契約を導入した不動産会社の一つだと思っています。このように、売買業務の分野では早い段階から電子化に取り組んでいたため、賃貸管理部が手書きの入居申込書をFaxで受け取り、それを読み取ることに苦労している光景を見ると、デジタル化の必要性を強く感じます。

私は、堀江貴文さんの「ノーテレフォン」という曲の歌詞に共感しており、電話でのやり取りが必ずしも必要でない場面でも、電話をかけてくる人には少し苦手意識があります。だからこそ、電子化の推進にはとても前向きで、DX化がようやく不動産業界にも浸透してきたことには大きな期待を寄せています。しかし、現状でもまだまだ改善の余地はあると感じています。具体的にどのように改善していくかは、今後のテクノロジーの進展にかかっていますが、これからの発展には大いに期待しています。

欧米と比較すると、日本の不動産テック分野は一時期大きく遅れを取っていましたが、最近ではその差が埋まってきたと言われています。不動産業界のDX化は今後ますます進展していくと考えており、業務の効率化と顧客満足度の向上に繋がると信じています​。

不動産の賃貸管理領域において課題解決のために、越えなければいけない障壁とはどのようなものかお聞かせください。

賃貸管理業務において、私が最も強く感じる課題は、問い合わせ対応の非効率性です。オーナー様や入居者様からの問い合わせをすべてメールなどのデジタル化で完結できるようにできれば、時間と労力を大幅に削減できると考えています。現状では、コールセンターのような電話対応が主流ですが、長時間にわたるやり取りが発生することもあり、社員の負担が大きくなっているのが現状です。

IT業界では、問い合わせをメールのみに限定し、返信に時間がかかることも一般的に受け入れられています。このような慣習が不動産業界にも広がることを期待しています。そうなれば、電話対応に費やす時間が大幅に削減され、結果として勤務時間の短縮や人件費の削減にもつながるでしょう。最終的には、社員の負担が軽減され、全体の幸福度が向上するはずです。このようなデジタル化の推進が、賃貸管理業務の効率化に向けた重要な一歩になると考えています。

今後の不動産賃貸管理を見据えた際に、消費者に対して業界としてどのような価値を提供していくべきだとお考えですか?

不動産賃貸管理において、築浅物件と築古物件では仕事の質も量も大きく異なります。築浅物件では、比較的新しい設備や建物のためトラブルも少なく、メンテナンス業務が軽減されますが、築古物件では設備の老朽化や修繕が頻繁に必要となり、管理業務が増える傾向にあります。こうした物件の特性や、立地、道路付け、入居者様の属性などに応じて、サービス内容を柔軟に変えていくことが重要だと考えています。

プロフェッショナルとしての我々の役割は、単にトラブルに対応するだけではなく、物件の特性をいち早く把握し、お客様が気づかない課題やリスクを事前に発見し、それに対する解決策を提案することです。これにより、オーナー様や入居者様に安心感を提供し、より価値あるサービスを提供できると考えています。

何よりも社員の「自主性」を重んじる。社員自らが考え、行動し、経験することが大事。

他社とは違った教育方法や採用方法があれば教えてください。

採用方法に関しては、特別に変わった方法を採用しているわけではありませんが、教育方法については少し独自のアプローチを取っています。

以前は、研修期間を設けて教育を行っていた時期もありましたが、最近ではその考え方を改め、教育を一切行わない方針に変更しました。その理由は、実際に研修で学んだことよりも、現場での実務を通じて覚えることの方が効率的であり、成長のスピードも早いと感じたからです。そのため、現在は仕事をしながら実践的に学び、経験を積むことで成長していくスタンスをとっています。

後藤様はCCIM(事業用不動産投資顧問)、CPM(米国不動産経営管理士)、公認不動産コンサルティングマスターなど数多くの資格を取得されています。従業員の方々にも資格取得を促していらっしゃるのでしょうか。

過去には、会社として積極的に社員に資格取得を推奨していました。特に、CPM(米国不動産経営管理士)の資格取得については会社が費用を負担して、古株の社員から順番に受講させていたこともあり、これまでに累計で約10名に対してサポートをしました。私自身、資格取得を通じて得られる知識やスキルは、個々の業務において非常に役立つものであると感じています。

しかし、最近では方針を変えました。現在、当社は売買営業に対して非常に高い還元率の歩合を提供しており、業界でもトップクラスの報酬体系を整えています。そのため、資格を取得したい社員については、本人の意思に委ねています。資格取得は、個々の成長にとって重要な要素ではありますが、会社としては、社員に自主的な選択を尊重するスタンスを取っています。

後藤様は社員の方々と一緒に働くうえで、何を大切にされていますでしょうか。

現在、私と社員の間には親子ほどの年齢差があるため、若い社員たちとの距離感には気をつけています。私自身、彼らと過度に接することはなく、むしろつかず離れずの関係を保つことを大切にしています。

一緒に食事をする機会もほとんどありません。それは、私が社員と一緒に働くというよりも、社員自身が仲間として強い結びつきを感じ、快適な職場環境を作り上げられるようにすることが、私にとっての最も重要な役割と考えているからです。

社長としての役割を全うし、50周年を目指す。

後藤様、またきらめき不動産株式会社として、今後のビジョンや想いをお聞かせください。

2008年にきらめき不動産を創業し、現在17期目に突入しました。今後のビジョンとしては、会社が50周年を迎えるまでは現役で続けていくことを目指しています。私が現在48歳ですので、残り33年、つまり81歳になるまで、社長として機能し続けることが一つの大きな目標です。そのためには、気力と体力を維持するための自己メンテナンスをしっかりと行い、長期にわたって健康を保つことが必要だと考えています。

50周年に向けて、社員とともに成長し、会社がますます発展していけるよう、取り組んでいくつもりです。新たな挑戦やサービスの提供を通じて、信頼される企業として、これからも成長を続けたいと考えています。

まとめ

創業当初からの挑戦と教訓を活かし、長期的な視野で事業を拡大する姿勢は、きらめき不動産株式会社の持続的な成長を支える基盤となっています。「不動産は諸行無常、所有者を変え、日本を変える」という理念のもと、所有権の移転によって生まれる新たな価値を重視し、オーナーや投資家にとって最適なソリューションを提供することで、社会全体に良い影響を与えたいという想いが感じられました。

また、後藤様は不動産業界の未来を見据え、DX化をはじめとする業務効率化やテクノロジーの活用を積極的に推進するだけでなく、福祉事業やファンド事業といった新たな分野にも挑戦し、多角的な事業展開を進めています。社員一人ひとりの成長を重視しながら、社会に貢献し、投資家やオーナーとの強固な信頼関係を築き上げる姿勢は、同社の今後の成功を確信させるものです。きらめき不動産株式会社の今後の発展が楽しみでなりません。

本記事取材のインタビュイー様

きらめき不動産株式会社 代表取締役
後藤 聡志 氏

大学卒業後、ワーキングビザを取得しオーストラリアで1年間過ごす。帰国後さまざまな業種を経験する。2004年に不動産投資業界へ転身。08年きらめき不動産を創業。著書に『3万円から始める“身の丈"不動産投資』ほかがある。

不動産関連保有資格
★CCIM(事業用不動産投資顧問)★CPM(米国不動産経営管理士)★公認不動産コンサルティングマスター★有効不動産活用士★宅地建物取引士★2級ファイナンシャル・プランニング技能士★賃貸不動産経営管理士★住宅ローンアドバイザー★定借プランナー★古民家鑑定士★損害保険募集人資格★少額短期保険募集人資格

会社紹介

きらめき不動産株式会社
HP:https://kilameki.jp/

きらめき不動産株式会社は、2008年に設立され、主に投資用不動産の売買仲介を中心に事業を展開する企業です。神奈川県横浜市を拠点に、賃貸管理やファンド事業、福祉事業など、多角的なビジネスを展開しており、特に利回りの高い投資物件の提供に強みを持っています。現在、同社は約1,100戸の賃貸物件を管理し、長年にわたり投資家との信頼関係を築いています。

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