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【2022年版】IT重説のやり方・導入方法~順守すべきルールと実施サポートアプリ・ツール

IT重説のやり方・導入方法~順守すべきルールと実施サポートアプリ・ツール

2017年より本格運用がスタートしたIT重説。加えて、2022年1月に電子帳簿保存法が施行され、同年5月までには宅建業務改正により完全にオンライン契約が可能になり、電子化がますます進むと予測されています。特にIT重説は不動産事業者・入居予定者ともにメリットなので、積極的に導入する事業者が増えています。一方で、IT重説の導入方法がわからない、操作方法が不安といった理由から、なかなか導入に踏み切れていない事業者もいます。

本記事では、基本に立ち返ってIT重説の概要から導入方法、実施をサポートするツールまで、IT重説の基本的な知識や進め方をわかりやすく解説していきます。

目次

    IT重説とは

    IT重説のやり方

     

    IT重説とは、不動産契約における重要事項説明(重説)を、パソコン・スマートフォン・タブレットなどの機器を利用して実施することを指します。テレビ電話やビデオチャットなどを通じて重要事項説明を行えるほか、入居予定者からの質問にも対応できます。

    IT重説の運用が開始するまでは、どんなに遠方であろうとも重要事項説明は対面で行うことが義務付けられていました。しかし、IT重説であれば不動産事業者と入居予定者が顔を合わせる必要はありません。オンライン環境さえ整っていればどこでも実施できます。

    時と場所を選ばなくなるため重要事項説明のアポイント調整がしやすくなり、不動産会社側は業務の効率化を図ることができます。IT重説を録画・録音して、入居予定者に伝えた内容をエビデンスとして残し、契約後の不要なトラブルを避けられることもIT重説のメリットです。

    関連記事:IT重説とは|対応物件のメリットや導入における課題と注意点

    IT重説のルール

    家と虫眼鏡がある写真

    IT重説の実施には事前登録などは不要であり、すべての宅地建物取引業者・宅地建物取引士が行えます。しかし注意点として、国土交通省発信の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(不動産業課長通知)」では、IT重説は下記の事項をすべて満たしている場合に限って、対面による重要事項説明と同様に取り扱われるとされています。

    (1)宅地建物取引士及び重要事項の説明を受けようとする者が、図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること。(2)宅地建物取引士により記名押印された重要事項説明書及び添付書類を、重要事項の説明を受けようとする者にあらかじめ送付していること。(3)重要事項の説明を受けようとする者が、重要事項説明書及び添付書類を確認しながら説明を受けることができる状態にあること 並びに映像及び音声の状況について、宅地建物取引士が重要事項の説明を開始する前に確認していること。(4)宅地建物取引士が、宅地建物取引士証を提示し、重要事項の説明を受けようとする者が、当該宅地建物取引士証を画面上で視認できたことを確認していること。

    また、IT重説の実施中に映像や音声に支障が生じた場合は、直ちに説明を中断する必要があります説明の再開は、映像や音声の不具合が解消されてからでなければなりません。

    IT重説の導入~必要な準備とやり方・流れ

    男性がパソコンを触っている様子

    IT重説の導入にあたり必要な準備や実際の流れについて、順を追って解説していきます。まずは支障なくIT重説を行うための事前準備を行い、準備が完了次第、下記の6ステップで進行します。

    • ①入居予定者からIT重説に関しての同意を取得する
    • ②入居予定者のIT環境を確認
    • ③接続テストの実施
    • ④重要事項説明書などを送付
    • ⑤IT重説を実施
    • ⑥重要事項説明書などを返送してもらう

    事前準備

    事前準備として、IT重説を実施するための環境を整えます。

    IT機器の準備

    IT重説には、カメラ・マイク・スピーカー機能を搭載した機器が必要です。カメラは、宅地建物取引士証が入居予定者の画面で鮮明に映る程度の十分な性能を有しているか、マイクやスピーカーは音声の内容をしっかりと判別できる性能が備わっているか、などを確認してください。

    ネットワーク環境の整備

    インターネット接続が不安定だったり、通信速度が遅かったりすると、IT重説の最中に映像や音声に支障が出ることがあります。常時安定した接続と十分な通信速度を担保したネットワーク環境を整備しましょう。

    また、Web会議システムなどを利用して行うIT重説では、大量のデータ通信が発生します。データ容量に上限があるWi-Fiや携帯電話回線などで行うと、データ容量オーバーになったり利用料金がかさんでしまったりするため、データ量制限のない回線を準備しましょう。

    Web会議システムの導入

    インターネットを通じて映像・音声のやり取りができるコミュニケーションツール(Web会議システム)を導入します。

    Web会議システムには無料から月額制などの有料まであり、選ぶシステムによって画質や音質はもちろん、セキュリティや機能面も大きく異なります。

    ステップ1:入居予定者からIT重説に関しての同意を取得する

    まずは、入居予定者からIT重説の利用に関しての同意を得ます。

    • 書面の同意書を作成し、郵送して記名押印してもらう
    • 同意書を電子データ化してオンラインで電子署名を行ってもらう

    入居予定者からの同意は、オフラインでもオンラインでも取得可能です。また、事業者が同意書の内容を記載したメールを送信し、そのメールに返信してもらうという方法も問題ありません。

    なお、国土交通省が定めた「IT重説において留意すべき事項」では、入居予定者のみならず、物件の貸主など関係者からの同意も取得することが推奨されています。

    関連記事:オンライン内見とは|メリットとデメリット・実施の流れと注意点

    ステップ2:入居予定者のIT環境を確認する

    入居予定者のIT環境を確認するポイントは以下です。

    • カメラ・マイク・スピーカー機能を搭載したIT機器を有しているか
    • カメラは「宅地建物取引士証」の写真や文字を明確に判別できる程度の性能を備えているか
    • マイクやスピーカーは、音声の内容をしっかりと判別できる性能を備えているか
    • 十分な通信速度で、常時安定した接続ができるネットワーク環境か

    これらの確認に加えて下記の2点もあわせて確認が必要です。

    • 入居予定者のIT環境は、IT重説で利用するWeb会議システムへ対応可能か
    • Web会議システムのアカウントなどを入居予定者が有しているか(必要があれば、アプリなどをダウンロードしてもらう)

    ステップ3:接続テストを実施する

    IT環境の確認後は接続テストの日時を決め、入居予定者のIT機器との接続テストを実施します。接続テストを通して、音声が途切れたり画面が固まったりしないか、画面上で「宅地建物取引士証」の写真や文字をハッキリと判別できるかなどを確認しましょう。

    ステップ4:重要事項説明書などを送付する

    取引士が記名押印した重要事項説明書や、説明に必要な資料を入居予定者へ送付します。この際に契約書類を同時に送付することも可能です。

    重要事項説明書は2部送付し、IT重説実施後に1部返送してもらいます。現時点ではこれらの書類の電子交付は認められていないため、必ず書面で送付してください。

    なお、入居予定者に書類の事前確認をしてもらえるように、IT重説実施日の前日までには届くように送りましょう。

    ステップ5:IT重説を実施する

    ここまでのステップが完了したら、スケジュールを組んでIT重説を実施します。IT重説は、下記の流れで行いましょう。

    • ①通信開始後、音声や映像に乱れがないか確認
    • ②入居予定者の手元に、事前送付した重要事項説明書などがあるか確認
    • ③IT重説における注意点や確認事項を説明する
    • ④入居予定者は本人確認のために身分証明書を画面越しに提示
    • ⑤宅地建物取引士は、説明の相手方の画面に取引士証が映し出されるように、自身のカメラに取引証をかざし、説明の相手方に、取引士証の画像を確認してもらい、顔写真と取引士証の顔が同じこと、取引士の氏名、取引士証の登録番号等を読み上げて確認してもらう<
    • ⑥重要事項説明を実施

    説明中に映像や音声に支障が生じたら直ちに中断し、問題が解消したら説明を再開してください。入居予定者が聞き取りやすいように意識して説明を進めていきましょう。

    ステップ6:重要事項説明書などを返送してもらう

    重要事項説明書や契約書類を、内容確認・記名押印の上で返送してもらいましょう。返送が確認できたら、契約開始日もしくはその前日までに物件の鍵を引き渡します。

    【2022年版】IT重説の実施をサポートするツール・アプリ

    IT重説の実施には、安全なWeb会議システムの導入が欠かせません

    IT重説に役立つWeb会議システム(ツール・アプリ)を紹介します。恐らくリモートワークなどを経験している方は、一度は耳にしたことがあるツールもあると思います。各ツール・アプリの機能や料金、メリットを比較の上で導入の参考にしてみてください。

    ツール・アプリ 主な機能 利用料金 特徴・メリット
    ZOOM ビデオ通話/音声通話/チャット 録画/録音機能 画面共有機能 遠隔操作機能カレンダー機能 無料~月額2,700円(プランによって異なる) 自社の規模に応じてプランを選択できる 入居予定者はアカウント登録不要通信データ量が少なく、安定した通信が可能全ての会議を暗号化でき、セキュリティ面も安心録画/録音など機能が充実している
    Google Meet ビデオ通話/音声通話/チャットカメラ機能スケジュール機能 基本無料 Googleのアカウントを取得している人が多いので、身近に利用できる環境がある
    LINE ビデオ通話/音声通話/チャットカメラ機能スケジュール機能 基本無料 すでにアカウントを取得している利用者が多い手軽に導入できる操作が簡単
    Skype ビデオ通話/音声通話/チャットビデオメッセージ機能画面共有機能ファイル送信機能(容量制限無し) 基本無料 チャット機能が充実すでにアカウントを取得している利用者が多い1対1であれば比較的安定した通信が可能
    V-CUBE ミーティング ビデオ通話/チャット録画機能画面共有機能アンケート機能カスタマイズ機能Office365との連携機能 初期費用:5,500円/ポート月額:11,000円/ポート(国内拠点のみの場合) 24時間365日体制のサポートあり操作が簡単入居予定者は、インストールをせずにブラウザで参加可能映像と音声が安定している通信速度の低下や遅延が起きると、画面上で通知される「ASP/SaaS情報開示制度」に認定されており、セキュリティ対策が充実
    ES × MeetingPlaza ビデオ通話動画ファイルの再生やWord/Excelの表示等、資料共有機能録画/録音機能エコー/ノイズキャンセラー機能 初期費用:30,000円月額:10,000円~(1契約で同時に最大5接続可能) IT重説やweb内見などのweb接客に特化したクラウドサービスITやパスワードを発行せずにメールだけで招待可能入居予定者はインストールやアカウント作成が不要録画/録音など機能が充実しているクリアで安定した音声通信が可能
    スマート重説 ビデオ通話/チャット画面/アプリ共有機能サーバー内での録画/録音機能 要問い合わせ 高画質/高音質24時間365日体制のサポートあり操作が簡単重要事項説明の「シナリオシート」「事前チェックシート」などの各種資料が付属セキュリティ対策が充実

    広がり続ける賃貸契約電子化の対応領域

    会議している様子の写真

    IT重説は、導入・運用ともに決して難しいものではありません。入居予定者・不動産事業者ともにメリットの大きな方法であり、いち早く導入することで競合他社との差別化も図れます。

    また、IT重説が本格運用されたことをきっかけに、不動産業界における電子化はますます広がりをみせています。現在、書面交付の電子化に向けた社会実験が行われており、そう遠くない将来に賃貸契約の完全電子化が実現する見込みです。こうした電子化の流れに対応していくには、適切なアプリ・サービスの活用は欠かせないものになるでしょう。

    関連記事:不動産賃貸借契約の電子化のメリット~社会実験を経て広がる「オンライン化」導入の見通し

    不動産管理会社向けDXプラットフォームGMO賃貸DX オーナーアプリでは、オーナー・入居者それぞれとスムーズに電子契約を結べるのはもちろん、アプリを通じて月次収支報告・リフォーム提案などオーナーとの情報共有も簡単に行えます。ワークフローの管理などもでき、業務効率の大幅アップを図ることが可能です。

    新型コロナウイルスの感染拡大を受け、不動産業界でも急速なIT化・デジタル化が進んでいます。IT重説の導入をはじめとする、さらなる業務効率化のための取り組みをご検討ください。また、参考資料もご用意しましたので、お役立てください。

    参考資料(無料):不動産賃貸経営における電子契約の活用ポイントを解説!

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