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取材記事Interview

【専門家インタビュー】株式会社東計電算|自社ですべてを解決する時代は閉幕へ。他社と連携して不動産業界にDXを浸透させたい。

小幡氏・澤田氏

今回お話を伺ったのは、株式会社東計電算の不動産賃貸システム営業部 部長 小幡篤司様、同営業部 営業課 主任 澤田大樹様です。同社は業種や業務に合わせ、特化したシステムを開発・提供しているシステムインテグレーター。主力のシステムソリューションを他社サービスと連携させながら利便性を高める中「業界全体のDX推進を図りたい」と語ります。

目次

個別のシステムを構築し、不動産業にも、建設業にも、公共事業にも対応。開発から運用後のサポートまで、業界に精通した社員が担当。

はじめに、御社の主な業務内容についてお聞かせください。

alt="小幡 篤司 氏"

株式会社東計電算は主に企業を対象に、あらゆる業種や業務に特化したシステムを設計・開発し、運用やサポートまで手掛けています。

不動産業や建設関連業はもちろん、物流業、流通業、小売業、公共事業など幅広く対応でき、各分野に精通した担当者がお客様と打ち合わせながらシステムを構築しています。いわゆるシステムソリューションの会社ですね。

東計電算では様々な業種に特化したシステムの提供を行っている。
▲東計電算では様々な業種に特化したシステムの提供を行っている。
引用元:株式会社東計電算

その他、免震装置やセキュリティシステムを備える、IDC(インターネットデータセンター)を活用したアウトソーシングサービス事業や、ネットワークサービスと情報システムの構築および導入、コンサルティング事業なども展開しています。

そのうち不動産関連のシステムについて、御社内での注力度を教えていただけますか?

澤田大樹 氏

株式会社東計電算 不動産賃貸システム営業部 営業課 主任 澤田大樹 氏

不動産業の仕事に携わっているのは、全社員のおよそ1割強ではないでしょうか(ビルメンテナンスや建設業、ゼネコン、リフォーム会社は除く)。

私の部署では主に賃貸住宅の管理システムを扱っていますが、ほかにも「分譲マンションの会計管理」「デベロッパー様や不動産管理会社様向けの不動産販売管理」など住宅や不動産を取り巻くさまざまなシステムが存在し、それぞれにチームが組織されています。  

代表的なシステムは賃貸管理の「J-Rent」とマンション会計の「J-OneNEO」。そして主役は、これらを束ねるトータルソリューション「J-Solution」。

御社が開発した数々の不動産関連システムのうち、看板になるのはどちらでしょうか?

J-Rent
引用元:株式会社東計電算 不動産賃貸システム営業部

代表的なシステムは賃貸管理システム「J-Rentです。賃貸物件のオーナー様、管理会社様、そして入居者様をつなぎ、お金の動きを確実にするべく開発いたしました。

詳細な業務会計機能を標準で搭載し、収入、費用、入出金を仕訳データに変換できます。各種契約の管理はもちろん、入居者様への賃料の請求や仲介手数料の支払いなども反映でき、入金を確認して回収したお金をオーナー様の口座に送ることも可能です。

さらに入居者様からの問い合わせを受け付けたり、アパートやマンションの清掃業務を調整したりと、管理会社様の業務負担を軽減する付帯サービスも用意しています。

▲業務効率化を図れる「J-Rent」の主要機能
引用元:株式会社東計電算 不動産賃貸システム営業部

なお、最新版はメジャーアップデートされた「J-RentV3」で、クラウドタイプの「J-Rent ASP」もあります。  

その他の代表的な不動産関連システムも教えてください。

J-OneNEO
引用元:株式会社東計電算 不動産賃貸システム営業部

マンション会計システム「J-OneNEOはクラウド型で、こちらは分譲マンションの管理会社様向けです。「J-Rent」と同様に、当社の看板になるシステムです。

収納口座や保管口座など財産を分別して管理でき、管理費や修繕積立金といった会計区分ごとに月次の会計帳票を出力できます。また、未納に対する督促にも対応しています。

誰でも簡単に、かつ正確に会計業務を行えるよう開発されており、敷地内の植栽、防火設備、共用部のメンテナンスといった細部に至る費用も集計できます。

ほかにも、当社の不動産関連システムとして、以下があります。

  • 物件情報を管理する「J-Nex
  • 建築から引き渡し後まで建物のライフサイクルにかかるお金を管理する「J-Ress
  • 社宅代行のための「J-Act
J-Solution

引用元:株式会社東計電算 不動産賃貸システム営業部

そして、これら連携させるトータルソリューションの「J-Solution」こそ、まさに当社の主力サービスです。  

その主力商品である「J-Solution」が開発されたきっかけを教えてください。

「J-Solution」のルーツは、分譲マンションの会計管理システム「J-One」(「J-OneNEO」の旧バージョン)にあります。

当初は不動産管理会社様を中心に広まっていきました。その一方でご利用になる企業様の多くは賃貸物件も扱っているため、導入のたびに分譲と賃貸のデータを細かく連携させる必要がありました。ゼロからスクラッチ開発する案件も非常に多かったと認識しています。

そんな中で「これだけニーズがあるのだから、賃貸管理システムを開発して提供したほうが不動産業界に良い効果をもたらすのでは」と思い立ったことが開発のきっかけです。

すべてのデータを一元的に管理できれば、当然ながら業務はより効率的になりますから。ユーザー様の要望を伺い、不動産業界のニーズを把握する中で次々と新しい機能が追加されていき、現在のようにシステムやサービスが充実したトータルソリューションになったのです。

つまり「J-Solution」は不動産管理現場におけるユーザーのニーズから開発され、今も一緒に作り上げているトータルソリューションですね。

そのとおりです。そもそも「J-Solution」は、ユーザー様の声から生まれたようなものとも言えます。管理会社様から最も多かった要望は「うちは分譲マンションも賃貸マンションもアパートも扱っているので、あらゆる情報を全社的に管理・共有できたら助かる」といった声でした。

また「支払いが生じた時にAというシステムに入力しつつ、システムBにもCやDにも同じような作業をするのが面倒で仕方ない」「異なる複数のシステムでお金を管理していると、そもそもの金額自体がわからなくなり統一性がない」という声もよく耳にしていました。

そこで、会計システムや業務システム間で連携させたり、共通のマスターシステムを構築して業務ニーズと照合しながら情報を入力したりして、そんな経緯を経て「J-Solution」が誕生しました。

社内でも「マンションやアパートの事業計画を立てる段階や、建設時からお客様に携わりたい」との意見があったので、タイミングもマッチしたのだと思います。

不動産関連システムの開発において、強いこだわり、どうしても譲れない点などはありますか?

説明する小幡氏

昨今は商品力の高いシステムが販売されるようになり、導入した企業様はそれに合わせて従来の業務を見直すケースが非常に多いです。

ソースコードが管理できて以後のサポート面では魅力的ですが、せっかく他社との差別化を図るために取り組んできた業務そのものを変更するのは非効率です。さらにいうと各社が同じシステムを導入したら、業務が平準化して業界全体が画一化されてしまいます。

この点、当社は「優れたシステムを提供するものの、お客様のオリジナリティは残す」というスタンスです。だから提案も“カスタマイズありき”ですね。ヒアリング能力を磨き、運用からカスタマイズに至るトータルなフィット&ギャップ分析を行って、お客様と一緒に作り上げるスタイルです。これが何よりの強みです。

とはいえコストは抑えられるように“セミオーダー型のパッケージシステム”のような形にして販売しています。消費税率の変動、パソコンのOSのバージョンアップ、システム間の連携も含めて、ベースの部分は次々とアップグレードさせています。 売上原価などの仕訳も自動で連携 ▲売上原価などの仕訳も自動で連携
引用元:株式会社東計電算 不動産賃貸システム営業部

加えて、当社の会長は公認会計士事務所を立ち上げた経験から、各システムやサービスにおいて「お金の管理」を最重視しています。そのため仕訳を非常に細かく設定でき、会計システムに合わせた出入力が可能なので、伝票の手入力によるミスや負担増も考えにくいです。さらに、組織の拡大や再編の際も内部統制を図れます。

この部分では、会長のノウハウなしでは開発できませんでした。会計の仕組みを深く理解していないと作るのは難しいため、当社のサービスは本当に優れていると自信を持って提供できます。  

創立50周年を記念して作られたタンブラー
▲創立50周年を記念して作られたタンブラー

ユーザーへの特徴的なサポートを教えてください。

冒頭でも伝えましたが、当社は免震装置や自社開発のセキュリティシステムを備えたIDC(インターネットデータセンター)を所有しています。お客様に提案する各商品も、このセンターを活用したクラウド管理を基本としているので安心していただけます。万一の際にも、IDCからメンバーにアラートが発令され、迅速な対応が可能です。

加えて、こちらは単なるデータセンターではなく、アウトソーシングサービスも提供できます。内部にある入居者様のデータから住所や名前を照合してラベルに印刷し、封かんまで行えるのです。マンションの総会の案内、総会の議事録、賃料の請求書をはじめ、郵便物の発送業務で負担を減らせますよね。

不動産業界でも少しずつDX化が進み、ペーパーレスが導入されつつありますが、まだ紙文化から抜け切れずにいるのが現状です。しかし、いずれの企業様も「個人情報を扱うのは可能な限り避けたい」というのが本音でしょう。システムに付随するソフトウェアやハードウェア、アウトソーシングも含めて、多角的なサポートができるのも私たちの特長です。

情報を管理・共有しやすいことで支持される賃貸管理システム「J-Rent」。今後の企業間連携を考慮し、API搭載の“V3”へとアップデート。

「J-Rent」は、「J-RentV3」へとメジャーアップデートされました。大きく変わった点をお聞かせください。

「J-RentV3」の主な変更点として、以下が挙げられます。  

  • 画面デザインを刷新し、よりシンプルでわかりやすくなった
  • 工事管理、建物管理、応対管理機能が無償で利用可能に
  • ADMasterや一括募集コンバートサービス

    不動産テックが謳われるなか、当社では企業間連携を必須と考えています。そのため“V3”は、オプションでAPIを搭載できるように開発し、他社のソフトウェアやアプリケーションとの連携が可能です。以前よりも柔軟性が増しているのを実感していただけるのではないでしょうか。

「鳥かご」機能で、部屋や駐車場の配置が登録できる▲「鳥かご」機能で、部屋や駐車場の配置が登録できる
引用元:株式会社東計電算 不動産賃貸システム営業部

さらに「鳥かご」機能も新しい仕組みです。従来は、物件の各情報がモニター上で横一列に表示されていましたが“V3”からはマンションやアパートの外観や構造に合わせて部屋情報が配置されているので、より直感的に操作できるようになりました。

例えば、一般的な集合住宅では101号室の真上は201号室です。しかし、建物が階段状のデザインの場合は101号室の上に部屋が存在せず、102号室の上が201号室だったりしますよね。そんなとき、旧システムの表示方法では正しく部屋を判断するのに時間を要しましたが“V3”なら、効率的にチェックできます。

また「この部屋に申込が入った」「ここは未契約」といった情報もひと目で分かり、クリックすれば詳細が表示されます。物件の担当者が不在だったり、詳細な資料が手元になかったりしても、お客様からの問い合わせにすぐ対応できるので好評をいただいております。

「J-Rent」を導入されたユーザー様の声をお聞かせください。また、どういった点が導入の決め手でしょうか?

「J-Rent」は投資系マンションのデベロッパーと、その管理会社にすごく“刺さる”ようです。

まず、マンションを建設する際の事業計画を立てることができます。さらに、グループ会社間で分譲と賃貸の双方を扱っていても、完成後に各システムに連携させれば全社的な管理が可能になります。投資用なのでオーナー様は居住しませんが、代わりに利用する入居者様の賃料も管理しやすいですね。

お客様にとって決め手になるのは「情報共有のしやすさ」です。社内間の連携が取りやすく、内部統制を図れるため、特にIPO(Initial Public Offering:新規株式公開)を目指す会社様にも導入いただいています。

「金額がズレない。安心できるね」とお褒めいただくことが多いです。さらに、ある程度パッケージ化されているため、コストが抑えられるという点も導入につながっているかと思います。

「GMO賃貸DX」とのシステム連携で、オーナー様、入居者様、不動産管理会社様のメリットが増す。想いは「業界のDX推進を支えたい」。

「GMO賃貸DX」との連携により、ユーザー様にどんな価値を提供できるとお考えですか?

真剣に説明する小幡氏まず、当社の管理システムにある情報を非常に大切に考えています。あくまでもこれをベースに「GMO賃貸DX」と連携させることで、不動産管理会社は今まで以上に顧客満足度の向上につながる“攻めのサービス”を提供できると思います。

「GMO賃貸DX」は“目線”がとても素敵ですよね。オーナー様・入居者様・各業者様をはじめ、その住まいに関連するほとんどの人が登場します。GMOインターネットグループが得意とする電子契約や決済も含めて、戦略的に考えられているアプリだなと感じました。そして、これらのあらゆる機能が不動産関係者のメリットになっていますよね。

私の部署もかつてはアプリの立ち上げを目指しましたが、チャレンジの末に断念しました。だから、私たち自身は管理システムをより満足度の高いものに仕上げることに専念し、アプリの領域では「GMO賃貸DX」と連携させ、不動産業界全体のためにもDXを推進していきたいと思っています。  

自社だけですべてを解決しようとするのは古い。これからは企業間で連携し、同じビジョンの下に「できること」で支え合う時代。

御社では、この先どのような方向を目指すのでしょうか?

自社ですべてを解決する時代は終わったのではないかと思っています。これからは、どれだけ他社と連携できるかが重要でしょう。しかも「特定の企業様の話しか聞きません」といった古いスタンスではなく、柔軟性が鍵になると思います。

「J-Solution」はアパートやマンションを正確に管理するトータルソリューションですが、その一方で“ちょっとお堅い”といった印象を持たれがちです。だからユーザー様目線で何が便利かを考え、今まで以上に他社とつながり、このイメージを和らげていくのが私どものミッションだと思っています。

当社の管理システムありきのユーザーサービスを生み出し、さらなる賃貸管理業界の業務効率やDXを実現していきたいですね。

現在開発中の新しいサービスなどがあれば教えていただけますか?

新しいサービスを説明する澤田氏

「J-Rent」は今、社内の他部署が開発したアプリとコラボレートしています。当社には設備を監視・管理する制御システムの担当者もいて、彼らと組み、電気や水道の検針業務と連携させようというプロジェクトです。

電気や水道のメーターをスマートフォンのカメラで読み込むと、OCR機能で使用量をデータ化し、東計電算のクラウド環境に保存されます。それらをダウンロードし、各社お使いの検針システムに読み込ますこともできます。さらに「J-Rent」をお使いの管理会社様であれば、標準搭載の検針機能に反映することが可能です。

名古屋や関西エリアでは、管理会社様が電気や水道の検針や料金請求を行っているので、当社のシステムを導入している企業の役に立つのではないでしょうか。

賃貸のノウハウと制御のノウハウが融合した目新しい企画ですので、ご期待ください。

これから事業をさらに拡大させていくための、ビジョンやロードマップについてお聞かせください。

まずは他社との連携ですね。世の中はさまざまなサービスであふれているので、ビジョンを同じくする会社を探し出すことに一意専心しています。

その先は、当社のシステムの認知度をさらに高め、ユーザー様を意識した柔軟性を忘れることなく、容易に連携できる仕組みを世に広めていきたいです。

まとめ

澤田氏、小幡氏のツーショット写真

金銭管理や情報共有に優れた自社のシステムソリューションに誇りを持ち、他社サービスと連携させてさらなる高みを目指す株式会社東計電算様。不動産業界全体のDX推進に貢献しようとする姿勢が印象的でした。

GMO賃貸DXもユーザー様により満足いただけるサービスを提供していけるよう、さらなる連携を図っていくのでご期待ください。

本記事取材のインタビュイー様

小幡 篤司氏
株式会社東計電算
不動産賃貸システム部 部長

2008年4月 Web会議システムベンダーに入社。
12年11月 株式会社東計電算 不動産システム営業部に入社。20年12月 不動産システム営業部 部長に就任。
元々Web会議システムのパッケージ販売およびサービス提供。より深くお客様の業務に貢献できる商品、ソリューション、サービスを提供したいという想いいから、ソフト、ハード、アウトソーシングサービスの提供が可能な東計電算に入社。

澤田 大樹氏
株式会社東計電算
不動産賃貸システム営業部 営業課

不動産源泉営業、マンションギャラリー営業等を経て現職に転職、不動産業界を効率化したいとの思いのもと、イベントやセミナー、営業活動に日々励んでいます。
座右の銘は急がば猪突猛進です!

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