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オーナーから居住者に賃貸契約解除通知を出せる条件とは|通知書の書式や例文とともに通知から退去の流れを紹介!

賃貸契約を解除する場合、オーナーや管理会社は入居者に対し賃貸契約解除通知を送らなければなりません。この記事では、主にオーナーや管理会社から賃貸契約を解除するための条件や必要な手続き、賃貸契約解除通知の書き方などについて解説します。また、賃貸契約解除通知を送らなければならない事態に発展させないため、事前にできる対策についてもご紹介します。

目次

賃貸契約の「解除」と「解約」の違い

賃貸契約の「解除」と「解約」の違い賃貸契約は、契約期間の満了に合わせて終了することが多いです。しかし、それ以外に賃貸契約をを「解除」や「解約」するケースもあります。

賃貸契約の「解除」とは、貸主であるオーナーまたは管理会社や、借主である入居者の意思により、契約を最初からなかったものとすることです。過去に遡って契約をなかったものとすることは法律上認められていませんが、契約解除のタイミングでその後の契約は終了します。基本的にどちらかが重大な契約違反をしたときに、他方が契約を解除できます。

一方、賃貸契約の「解約」は、オーナーや管理会社または入居者からの申し出により、結んでいる契約を途中で終了させることです。最初から存在しなかったものとして扱う解除と異なり、将来に向かってのみ効力を消滅させます。解約は当事者間の話し合いで契約を終了させる際に用いられる言葉で、入居者が契約期間中に止むを得ず引っ越しをしなければならない場合などに使われます。

オーナーから契約解除するには正当な事由が必要!

オーナーから契約解除するには正当な事由が必要!日本では入居者を守るため、正当な事由がない限りオーナーや管理会社から賃貸契約を解除することができません。正当事由を判断する要因は以下のようなもので、これらを総合的に考慮して賃貸契約の解除が可能かどうか判断されます。

  • (1)建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情
  • (2)建物の賃貸借に関する従前の経過
  • (3)建物の利用状況
  • (4)建物の現況
  • (5)建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出

建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情

正当事由を判断する上記の要因1〜5のうち、1は主たる要因、2〜5は従たる要因と分類されます。まずはオーナーや管理会社が物件の使用を必要とする事情と、入居者が物件の使用を必要とする事情を比較し(1)、それらでは判断できない場合にほかの要因(2〜5)も加えて正当事由があるかどうかを判断します。

オーナーや管理会社など賃貸人側の事情としては、賃貸人の居住や営業の必要性のほか、建て替えや再開発の必要性などがあります。一方、賃借人側である入居者の事情としては、賃借人の居住や営業の必要性などがあります。

  • 建物の賃貸借に関する従前の経過

「建物の賃貸借に関する従前の経過」では、借家関係設定の事情や賃料額、当事者間の信頼関係などが考慮されます。

  • 建物の利用状況

「建物の利用状況」は、入居者が契約目的に従って建物を利用しているかどうかです。

  • 建物の現況

「建物の現況」は、物件自体の物理的状況を指します。

  • 建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出

「建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出」は、一般的に立ち退き料の提供を指します。立ち退き料も従たる要因のひとつでしかなく、オーナーや管理会社が入居者に立ち退き料を支払えば正当事由が必ず認められるというわけではありません。

オーナーから契約解除できる具体的な条件

オーナーから契約解除できる具体的な条件オーナーや管理会社から賃貸契約を解除するための具体的な条件として、信頼関係の破壊が挙げられます。

貸主(賃貸人)と借主(賃借人)の信頼関係が壊れたことを裁判で認められた場合

入居者が賃貸契約違反を行い改善されなかった場合には、お互いの信頼関係が壊れたと認められます。

信頼関係が壊れた具体的な事例

信頼関係破壊の具体例として、多く見られるケースは「入居者の家賃滞納」。家賃の滞納は入居者の債務不履行なので、1回でも滞納があれば契約解除が可能になると考えられがちです。しかし、実際には家賃の滞納があっても当事者間の信頼関係を破壊しない特段の事情がある場合には、契約解除は認められないという理論が確立しています。

一般的に、滞納している家賃の金額が大きくなったり滞納期間が長期化すると、信頼関係が壊れたと認定されやすくなります。明確な滞納金額や期間は決まっていませんが、目安は3カ月ほどです。また、入居者が音信不通になった、家賃を支払う意思が見られない…などのケースも信頼関係が壊れたと認められやすいです。

その他にも、ペット禁止の物件で隠れてペットを飼っていた、他の入居者と頻繁にトラブルを起こしているなどのケースでも、信頼関係が壊れたと判断されることがあります。

関連記事:家賃滞納とは?家賃を滞納した賃借人への対処法から退去の流れまで

賃貸契約解除通知書の書式や例文

賃貸契約解除通知書の書式や例文オーナーや管理会社が賃貸契約を解除するときは、賃貸契約解除通知書を入居者に送る必要があります。

定番の書式

賃貸契約解除通知書に記入する項目です。

  • 通知日
  • 宛先
  • オーナー氏名または管理会社の担当者名
  • タイトル
  • 契約解除の理由
  • 契約期間の満了日
  • 賃貸契約を解除する物件名や部屋番号
  • 入居者氏名

例文

例えば、「家賃滞納」が理由で賃貸借契約を解除する場合は、以下のように賃貸契約解除通知を作成します。

  1. 令和○年○月○日(通知日)
  2. 〇〇マンション○号室 〇〇殿(入居者氏名)
  3. 〇〇株式会社 管理部 〇〇(オーナーまたは担当者氏名)
  4. 家賃滞納を理由とする賃貸借契約の解除通知(タイトル)
  5. 弊社は貴殿に対し、以下記載条件において下記建物の一室(○号室)を賃貸しておりますが、貴殿は令和○年○月から○月まで家賃支払いを滞納しています。
  6. 令和○年○月○日付内容証明郵便により、滞納家賃全額を同内容証明郵便到達後○日以内にお支払いいただくよう請求しましたが、令和○年○月○日に至るまでお支払いがありません。
  7. つきましては、直ちに下記建物の一室(○号室)を明け渡すとともに、明け渡し時までの滞納家賃全額をお支払いいただくよう、ご請求申し上げます。(契約解除の理由)
  8. 賃貸物件名、住所
  9. 入居者氏名
  10. 滞納金額
  11. 滞納家賃支払い期日

賃貸契約解除通知から退去までの流れ

賃貸契約解除通知から退去までの流れ賃貸契約解除通知を送って入居者に退去してもらうためには、以下のステップを踏む必要があります。

  •  ①電話などで連絡

家賃滞納などを理由として賃貸契約の解除をしたい場合でも、いきなり賃貸契約解除通知を送るのは良案とは言えません。まずは電話などで入居者に確認し、家賃の支払いを促しましょう。

入居者に連絡しても家賃が支払われない場合は、連帯保証人へ督促の連絡をします。それでも家賃支払いに応じなかった場合に、次のステップに移りましょう。

  • ②賃貸契約解除通知を内容証明郵便で送る

連絡しても入居者が家賃を払わない場合などは、賃貸契約解除通知を内容証明郵便で送ります。内容証明郵便は、いつ・誰に・どのような内容を送ったのかを公的に証明するためのものです。特別な法的効力はないものの、万一訴訟に発展した場合に有効な証拠となります。

  • ③同意する場合は、契約解除を行い明け渡し

入居者の同意を得ることができたら、契約解除を行います。入居者は建物を明け渡すだけでなく、滞納している家賃も支払わなくてはなりません。

  • ④同意しない場合は訴訟(不動産明渡請求訴訟)

入居者が契約解除に同意しない場合は、不動産明渡請求訴訟が行われます。建物の明け渡し請求とともに、滞納賃料の支払いも訴えを提起します。判決が出る前でも、和解が成立すれば明け渡しを求めることが可能です。

  • ⑤強制執行による強制退去

判決が出たり和解が成立したりしても、すぐに明け渡しを強制できるわけではありません。建物の明け渡しを強制できるのは「強制執行」です。強制執行日までに入居者が立ち退かなかった場合は、執行官立ち会いのもとで家財などが強制的に運び出されます。

賃貸解約通知書は必ず内容証明郵便で送る理由

先にも触れたとおり、内容証明郵便は、いつ・誰に・どのような内容を送ったのかを公的に証明できます。もし訴訟に発展した場合に有効な証拠となるため、賃貸解約通知書は内容証明郵便で送付するようにしましょう。

賃貸契約解除通知での引っ越し代金・原状回復費用は借主が負担する

賃貸契約解除通知での引っ越し代金・原状回復費用は借主が負担する
オーナーや管理会社など賃貸人が賃借人である入居者の賃貸契約を解除する場合、賃貸契約解除通知の送付や訴訟、強制執行をするのに費用がかかります。強制執行に要する費用は債務者である賃借人が負担するのが原則ですが、家賃を滞納している入居者から費用を回収できる可能性は低いでしょう。

そのため、オーナーや管理会社は、できるだけ強制執行という最終手段を行う前に物件の明け渡しを目指すのが望ましいです。

可能ならば合意解除がおすすめ!

可能ならば合意解除がおすすめ!賃貸借契約を解除する方法として、合意解除(合意解約)があります。賃貸人であるオーナーや管理会社と、賃借人である入居者の間で契約を解除するという合意をすれば、契約の解除が当事者の意思に反するものにはなりません。

合意解除は当事者間で退去を前提とした話し合いが行われた結果、合意に至るものなので、入居者は合意に従い任意に退去することになります。つまり、裁判や強制執行などの手続きを取る必要がないので、オーナーや管理会社が多額の費用を負担する必要もありません。可能であれば、強制執行などに発展する前に合意解除を目指しましょう。

期間満了の1年前~6カ月前までの間に更新拒絶の通知をするのもアリ!

普通借家契約の場合は、賃貸人から更新を拒絶するのは限りなく不可能に近いです。しかし、定期借家契約において賃貸人から契約を終了させたい場合には、契約期間満了の1年前〜6カ月前までの間に賃貸人に対して契約解約の通知を行うことで契約を終了されられます。

賃貸人の都合での退去は立ち退き料を支払うことが多い

賃貸人の都合での退去は立ち退き料を支払うことが多いここまで賃借人である入居者に問題があるケースを中心に賃貸契約を解除する方法をご紹介してきましたが、 なかには賃貸人であるオーナーや管理会社の都合で入居者に契約解除を依頼するケースもあるでしょう。

賃貸人の都合で退去をお願いする場合は、基本的には入居者に立ち退き料を支払います。

立ち退き料の相場

立ち退き料は、明確に金額が決まっているわけではありません。ケースバイケースなので、オーナーや管理会社が決定する必要があります。一応の目安とされているのは、家賃半年分〜1年分程度です。立ち退き料の金額に迷ったら、この範囲で定めてみましょう。

立ち退きの流れ

賃貸人であるオーナーや管理会社は、期間の定めがある賃貸借契約をしている場合、終了させるために期間満了の1年前〜6カ月前までに入居者に更新しない旨を通知しなければなりません。通知を出し、話し合いの場を設けて賃貸人都合による立ち退きを依頼しましょう。話し合いの場で転居を打診し必要であれば代替物件を紹介して、最終的な立ち退き費用の算出を行います。

転居の打診

入居者に立ち退きを依頼した後は、話し合いの場を設けます。立ち退きに応じてもらう場合は入居者が転居しなければいけないので、退去に納得してもらうため真摯に説明をしましょう。

代替物件の打診

入居者が求める場合は、転居先を紹介しましょう。希望を考慮し、適切な転居先を紹介する必要があります。

立ち退き料の算出

立ち退き料には、立ち退く際にかかる引っ越し費用やその後の生活にかかるコストなどが含まれます。必要な費用は人によって異なるので、入居者の希望をある程度考慮するのが望ましいです。ただし、法外な請求を受け入れるべきというわけではありません。相場がわからない場合は、専門家に交渉を依頼しても良いでしょう。

日常から居住者の信頼関係を築いていれば賃貸契約解除通知を避けることも可能!

日常から居住者の信頼関係を築いていれば賃貸契約解除通知を避けることも可能!
賃貸解約解除に関わる入居者との交渉を進めるためには、オーナーや管理会社が日頃から入居者とコミュニケーションを図るのが大切です。GMO賃貸DXが提供する不動産管理会社向けのGMO賃貸DX入居者アプリを使えば、入居者と密なコミュニケーションを手軽に行えます。

メッセージ機能を活用してオーナーや管理会社と入居者が速やかにやり取りできるようにすることで、入居者が抱える不満や問題点にいち早く気づけます。その結果、家賃滞納や他の入居者とのトラブルなどを防ぐことができ、賃貸契約解除通知を送ったり訴訟を起こしたりしなければならない事態に発展するのを避けられます。こちらの資料も参考にしてみてください。

<無料でダウンロード:不動産管理会社の入居者アプリ活用術

また、不動産管理会社が原状回復に関連する業務負担を軽減するには「業者さんアプリ for 原状回復」の利用をオススメします。立ち会い〜請求書作成までのフローを可視化し、不動産管理会社の業務負担を軽減することも可能です。

まとめ

賃貸人が賃貸契約を解除したいときは、賃借人に賃貸契約解除通知を送る必要があります。オーナーや管理会社が賃貸契約を解除するためには正当な事由が必要であり、さらに正しい手続きを踏まなければなりません。

賃貸契約解除通知を送らなければならないような事態に発展させないために、オーナーや管理会社は日頃から入居者とスムーズなコミュニケーションを図れると望ましいですね。よってGMO賃貸DXが提供するアプリを活用して、入居者と手軽に連絡を取れるよう工夫することをオススメします。

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