騒音注意文の正しい書き方や例文を紹介|騒音トラブルを一刻も早く沈静化させるために知っておくべきポイントとリスク
管理や所有をしているアパートやマンションで騒音に関するクレームが発生してしまったら、管理会社やオーナーは騒音注意文を出すことになります。本記事では、騒音注意文を出すまでの流れや正しい書き方について解説するとともに、そもそもなぜ騒音問題が起きてしまうのかという原因や騒音問題を未然に防ぐための対策についてご紹介します。
- 1騒音注意文を出すまでの流れ
- 1入居者や近隣住民から騒音に関するクレームが来る
- 1騒音問題が発生しているか確認する
- 1入居者へのアンケートなども有効
- 1騒音問題が確認出来たら騒音注意分の作成
- 2騒音注意文の正しい書き方
- 2あくまでもビジネスライクに書くこと
- 2具体的な解決案を入れると良い
- 3騒音注意文を書く時の注意点
- 3犯人は誰かを特定させない
- 3入居者同士が直接対応しないように注意する
- 4騒音注意文の例文
- 5騒音注意文の出し方
- 5掲示板などに貼る
- 5入居者全員にポスティングする
- 6騒音注意文を出すことによって生じるかもしれないリスク
- 6犯人探しの激化
- 6騒音トラブルがあると知って入居者が騒音に過敏になる
- 6騒音トラブルを嫌がり退去者が出る
- 7そもそも騒音問題はなぜ起きるのか
- 8生活騒音と故意の騒音との違い
- 8生活騒音
- 8故意の騒音
- 9騒音問題の基準の定め方
- 10騒音問題を出した人と賃貸借契約を解約・退去させることは難しいが可能な場合もある
- 11騒音トラブル対策で気をつけること
- 12騒音注意文を出さないための事前対策
- 13入居者と密に連絡が取れる「GMO賃貸DX」の活用がおすすめ!
- 14まとめ
騒音注意文を出すまでの流れ
騒音注意文とは、管理・所有している物件で騒音問題が発生した場合に管理会社やオーナーが出す注意喚起の文書のことです。基本的には、騒音に関するクレームがあってすぐ当事者に注意するのではなく、騒音注意文をアパートやマンションの入口など目につく場所に掲示したり入居者全員に配布したりして様子を見ます。
騒音注意文は、以下の流れで出すケースが多いです。
入居者や近隣住民から騒音に関するクレームが来る
管理・所有している賃貸物件の入居者や近隣住民から騒音に関するクレームが来たら、真摯に対応しなければなりません。問題解決のために動く姿勢を示しましょう。
騒音問題が発生しているか確認する
クレームが来たあとは、実際に騒音問題が発生しているのかどうかを確認します。クレームを入れた入居者から、以下の情報を聞き出しましょう。
- 騒音が気になり始めた時期
- 騒音が聞こえる方向
- 騒音の種類、人数などの詳細
- 騒音の頻度や時間帯
入居者へのアンケートなども有効
1人からクレームが来ただけでは情報が足りない場合があるので、入居者全員に対しアンケートを実施するのも良い方法です。上でご紹介した項目をアンケートで聞き出すと、より正確な情報が集まります。
騒音問題が確認出来たら騒音注意分の作成
騒音問題が起こっている事実が確認できたら、騒音注意文を作成しましょう。騒音注意文の書き方は、以下で詳しく解説します。
騒音注意文の正しい書き方
騒音注意文を正しく作成するために、以下の点を意識してみてください。
あくまでもビジネスライクに書くこと
騒音注意文は、あくまでもビジネスライクに書きましょう。騒音に迷惑している住民が多い、騒音の程度がひどいなどの場合はつい感情的な文書を作成してしまいがちですが、感情的になってしまうと暴力沙汰など新たな問題が発生することがあります。
騒音注意文では「どのような騒音に関して苦情が来ているのか」という事実を伝え、騒音問題解消のため協力をお願いするという形を取りましょう。
具体的な解決案を入れると良い
騒音注意文には、具体的な解決案を入れるのがおすすめです。騒音を起こしている当事者は、自身が大きな音を立てていることに気付いていない場合が多いです。そのため、苦情が来ている騒音の種類とともにその対策方法を明確に記載することで、当事者にも改善してもらいやすくなります。
具体的な解決案は、例えば以下のようなものです。
- 深夜の騒音:夜9時以降はなるべく大きな音を出さないようにしてください
- 子どもの足音:小さなお子様のいる家庭では絨毯(じゅうたん)を敷くなど対策にご協力ください
- 楽器の演奏音:深夜や早朝の楽器の演奏はご遠慮ください
- ドアの開閉音:ドアの開閉は静かにするようご協力ください
- テレビの音:深夜や早朝にテレビを見る際は、音量を下げるなどの工夫をお願いします
騒音注意文を書く時の注意点
騒音注意文を書くときは、注意しなければならないポイントがいくつかあります。ぜひ参考にしてみてください。
犯人は誰かを特定させない
騒音の原因が特定できている場合でも、騒音注意文で犯人を特定する書き方をするのはやめましょう。犯人が逆上してさらなる問題を引き起こす可能性があります。「心当たりがある方は、配慮と工夫をお願いします」などとして、特定の人や部屋番号を明記するのは避けるべきです。
入居者同士が直接対応しないように注意する
騒音注意文には、入居者同士が直接対応しないよう、何かあれば管理会社やオーナーに連絡してほしい旨を記載する必要があります。騒音が気になるからと入居者が直接注意してしまうと、口論や暴力など新たな問題を引き起こす可能性があります。その結果、退去者が増えるリスクも考えられるため、騒音注意文を掲示したあとも問題が続く場合に連絡してもらう電話番号などを書いておきましょう。
騒音注意文の例文
騒音注意文の例文をご紹介します。作成する場合は参考にしてみてください。
- 令和○年○月○日
- 〇〇マンション入居者各位
- 〇〇株式会社 管理部 (担当者氏名) オーナーが出す場合はオーナーの氏名
- 件名:生活騒音に関するお願い
- 当マンションのご入居者様および近隣住民の方々から、騒音に関して苦情が出ております。
- 楽器の演奏音:深夜や早朝の楽器の演奏はご遠慮ください
- テレビの音:深夜や早朝にテレビを見る際は、音量を下げるなどの工夫をお願いします
- お心当たりのある方は、必要以上の音を出さないよう配慮と工夫をお願いいたします。また、ご入居者様同士の直接的な対応はトラブルの原因となりますので、お控えいただきますようお願い申し上げます。
- 騒音に関するお問い合わせは、弊社管理部までご連絡ください。
- 今後とも、ご入居者様全員が気持ちよくお過ごしいただけるよう努力して参りますので、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
- 連絡先
騒音注意文の出し方
騒音注意文を出すときは、以下の2つを両方行うことが大切です。
掲示板などに貼る
まず、供用玄関の掲示板など住民の目に留まりやすい場所に騒音注意文を掲示しましょう。共用部分に貼ることで、管理会社やオーナーが騒音問題解決のために動く意思があることを入居者に知らせ、安心してもらうことができます。
入居者全員にポスティングする
共用部分に掲示すると同時に、騒音注意文を入居者全員のポストに入れるポスティングも行いましょう。個別にポスティングすることで、入居者が騒音注意文を目にする可能性が高まります。
騒音注意文を出すことによって生じるかもしれないリスク
騒音注意文を出すことは、アパートやマンションの騒音問題の解決につなげられる有効な手段です。しかし、騒音注意文を出すことによって、以下のようなリスクが生じる可能性があることは覚えておいてください。
犯人探しの激化
騒音注意文を出しても騒音問題が解決しない場合は、犯人探しが激化する恐れがあります。入居者が独自に犯人探しをすると騒音以外のトラブルに発展し、退去者が出てしまうことも考えられます。
退去者が出てしまったり、さらに大きなトラブルに発展した場合、管理会社やオーナーにとっては大きな損失になるため、入居者が犯人探しをしないよう、騒音注意文に管理会社やオーナーの連絡先を書くなどして対応しましょう。
騒音トラブルがあると知って入居者が騒音に過敏になる
これまで騒音を気にしていなかった入居者が騒音注意文を見ることで、騒音に対し過敏になることがあります。人は一度嫌なことが気になると、より敏感になることも。もちろん新たな騒音問題が発生した場合は真摯に対応する必要がありますが、生活音レベルの可能性もあるため、事実を客観的に捉えるようにしましょう。
騒音トラブルを嫌がり退去者が出る
騒音問題があることを騒音注意文で知った入居者が、トラブルを嫌がり退去するリスクも考えられます。退去者が出ることは管理会社やオーナーにとってリスクにもなるので、問題解決のために動いていることを示すなどして退去者が出るのを避けましょう。
関連記事:管理会社へのクレーム事例と対策|スムーズに対策しないと退去してしまう!?
そもそも騒音問題はなぜ起きるのか
そもそも、騒音問題はなぜ起きるのでしょうか。主に騒音の原因となるのは、日常生活によって発生する生活騒音です。生活騒音の感じ方は人それぞれなので、自分が騒音を立てている自覚がなくても加害者になってしまうことがあるのです。
また、アパートやマンションなどでの共同生活に慣れていないなど、騒音に無関心で生活するのが当たり前になっている入居者が騒音問題を引き起こしてしまうこともあります。それとは逆に、騒音に過敏すぎる反応をする入居者もいるため、いくつもの部屋が密集しているアパートやマンションで騒音問題は起きやすいのです。
生活騒音と故意の騒音との違い
騒音には、生活騒音と故意の騒音の2種類があります。アパートやマンションなどの賃貸住宅ではどちらも起こり得るものなので、それぞれの特徴を確認しておきましょう。
生活騒音
生活騒音は、日常生活によって家の中やその周辺で発生する騒音です。基本的に生活するうえで発生する騒音は、法律などによる規制の対象にはなりません。
生活騒音には、家庭用機器の音や家庭用設備・住宅構造面からの音、音響機器の音、自動車やバイクの音、ペットの鳴き声や子どもの声なさまざまなものが該当します。自身が生活騒音を立てていることに気づかない人も多いので、客観的に騒音注意文で注意喚起を図れば問題が解決する可能性が高いです。
故意の騒音
嫌がらせでうるさくしてやろうという意思を持ってわざと騒音を立てている場合は、生活騒音ではなく故意の騒音として扱われます。故意の騒音は当事者がわかっていて出しているので、騒音注意文での解決が難しいです。犯人を特定して直接話し合いの機会を設けるなど、個別の対応が必要になります。
個別に対応する場合でも、客観的な事実の確認を怠ってはいけません。騒音があるとクレームを入れた入居者が騒音の発生源を間違えている可能性もあるため、犯人の特定は慎重に行いましょう。
騒音問題の基準の定め方
騒音問題は大きなトラブルに発展することもあるため、法律や条例などでは、受忍限度を超えた騒音のみが違法であるとされます。受忍限度とは、社会生活を営むうえで我慢するべき限度のことです。
受忍限度は感覚値ではなく、法律や条例で基準が定められていることもあります。騒音問題が起こったときにスムーズに対応するため、受忍限度を確認しておくと良いでしょう。
騒音問題を出した人と賃貸借契約を解約・退去させることは難しいが可能な場合もある
受忍限度を超える騒音があり、何度注意しても改善が見られない場合は、賃貸借契約を解除し強制退去させられる場合もあります。当事者が受忍限度を超える騒音を出し、賃貸人との信頼関係を破壊するに至ったときは、管理会社やオーナーが当事者との信頼関係破壊を理由に賃貸借契約を解除できるのです。ただし、騒音に関するクレームがあったとしても、受忍限度を超えない場合は賃貸借契約を強制的に解除することはできません。
関連記事:騒音の発生主を強制退去させる方法|騒音トラブル対処時の注意点も解説
騒音トラブル対策で気をつけること
管理会社やオーナーが騒音トラブル対策で気を付けなくてはならないのが、まず騒音の原因とされる入居者を決めつけないことです。クレームがあったからといって犯人を決めつけて対処してしまうと、騒音問題が解決しないばかりか善良な入居者が退去してしまうおそれもあります。
また、被害を訴える入居者のフォローも忘れてはいけません。受忍限度を超える騒音がある場合でも生活音に過敏に反応している場合でも、発生している問題にきちんと向き合い解決のために動く姿勢を見せましょう。平等な目線を持ち、騒音問題解決に取り組んでください。
騒音注意文を出さないための事前対策
クレームが来た場合には騒音注意文を出すのが有効ですが、そもそもクレームが発生しなければ、騒音注意文を出す必要はありません。騒音に関するクレームが発生しないようにするためには、契約時や入居前に十分注意喚起しておくことも大切です。特に初めて一人暮らしをする方が多いエリアの物件などでは、騒音問題について詳しく説明するのが良いでしょう。
また、騒音問題は季節によって発生しやすさが変わります。簡単に言えば温度が高くなると音が伝わる速度が速くなるため、気温が高い夏は騒音問題が増えるのです。そのため、夏になる前に入居者へ騒音に気をつけるよう周知するのも有効です。
それでも、騒音問題をゼロにするのは難しいでしょう。そこで、入居者が管理会社に意見を言いやすいような体制を作っておくことをおすすめします。匿名の目安箱を設置したり気軽にメッセージを送れるアプリを導入したりすれば、騒音に悩んだ入居者が退去する前に対策できます。
入居者と密に連絡が取れる「GMO賃貸DX」の活用がおすすめ!
GMO賃貸DXが提供する不動産管理会社向け入居者アプリには、管理会社やオーナーが入居者とコミュニケーションをスムーズに取るための機能が搭載されています。情報伝達が簡単にできるメッセージ機能があり、騒音問題に関する入居者からの相談にも速やかに対応できます。
また、お知らせ掲示板機能を使えば賃貸物件に掲示するお知らせをアプリにも掲載できるため、騒音注意文も入居者全員に対し簡単に通知することが可能です。入居者の不満を速やかに把握し正しく対策するために、不動産管理会社向け入居者アプリを導入してみてはいかがでしょうか。
関連資料:不動産管理会社の入居者アプリ活用術
まとめ
騒音問題に関するクレームが来た場合は、騒音注意文を掲示することになります。騒音注意文を出すときは、入居者全員に向けて冷静に事実を伝える内容にすることを心がけましょう。騒音問題は入居者の不満を蓄積させ退去者発生につながるおそれもあるので、日頃から騒音対策を促す通知をしたり入居者とコミュニケーションを取ったりして、問題が起きるのを防止しましょう。