不動産管理会社のバーチャル口座活用術
クレジットカード決済が普及した現在でも根強い人気を誇る決済方法が銀行振込です。一方で、銀行振込は入金の照合作業が必要となる手間のかかる決済方法であり、照合時に人的ミスが起こりやすい問題があります。何百世帯を管理する不動産管理会社にとっては、1世帯ごとの入金状況を確認するのは大変な作業ともいえます。
そこで今回は入居者のニーズとして根強い銀行振込を維持したまま、経理担当者の入金照合作業を省略するバーチャル口座の導入について解説していきます。
新サービスの導入は何かと面倒なことが付きものですが、バーチャル口座の導入費用は0円であることが多く、月額費用も1,000円程度と手頃な料金形態となっています。バーチャル口座は大きくシステムを変えることなく、既存サービスの改善を図りたい不動産管理会社におすすめです。
バーチャル口座とは
バーチャル口座とは、注文ごとや入居者ごとに発行する仮想の口座番号のことを指します。事業主の法人口座と紐付いたバーチャル口座は振込専用の口座番号で、入金データから取引先をすぐに特定することが可能です。
従来のインターネット決済方法である銀行振込は注文確定から入金確認までタイムラグが発生していたため、経理担当者が入金の照合作業を行うのに手間がかかっていました。バーチャル口座では注文情報に入金情報が自動で紐付くため、経理担当者の入金照合作業を簡略化、またはすべて省略することが可能となるのです。
バーチャル口座を利用するメリット
バーチャル口座を利用するメリットは主に以下の3つとなります。
- 入金の照合作業が必要ない
- 口座開設の手間がかからない
- ニーズの高い銀行振込に対応可能
バーチャル口座の利用は、入居者からのニーズが依然として高い「銀行振込」のデメリットを解消する手段として注目を集めているのです。
入金の照合作業が必要ない
不動産管理会社の経理担当者は「新規・既存入居者の支払い確認」を行う際に入金の照合作業を実施しますが、通常の銀行振込の場合には、入居者ごとに請求情報を記録した日付と振込時期がお客様ごとでずれることによって照合作業に大変な手間がかかります。一方、バーチャル口座を利用すると、請求情報に入金データが自動で紐付くため入金の照合作業が必要なくなるのです。
口座開設の手間がかからない
バーチャル口座は事業主の法人口座に紐付いた仮想の振込専用口座です。決済ごとに仮想の口座番号を発行するため、新規で口座開設を行う手間がかかりません。
ニーズの高い銀行振込に対応可能
決済方法としてニーズの高い銀行振込は、請求確定から入金確認までにタイムラグが発生します。また、正しく入金が行われたかどうかの照合作業は、数百世帯を管理する不動産管理会社には大変な作業の1つです。
入居者のニーズに応えながら経理担当者の負担を軽減する方法として、バーチャル口座の利用が検討されています。
バーチャル口座を利用するデメリット
人気の決済方法である銀行振込を維持しつつ、経理担当者の負担も軽減するバーチャル口座ですが、一方でデメリットが存在します。それが月額の固定費用に加えて、取引1回あたりの手数料が発生することです。
取引1回あたりの手数料は20円程度と大きな金額ではありませんが、仮に1,000件の銀行振込があった場合には2万円の手数料となります。月額固定費用と合わせると月々21,000円の運用コストがかかってしまうのです。
したがって、バーチャル口座を利用する際には既存の銀行振込件数が何件あるのかを把握し、運用時に発生する毎月のコストと、削減できる時間の費用対効果を試算しておくことが重要です。
バーチャル口座を使った銀行振込の流れ
バーチャル口座を使った銀行振込の流れは以下の通りです。
- 入居者が加盟店HPで注文
- 決済画面にてバーチャル口座の口座番号などの情報を確認
- 入居者が支払いを実行
入居者からの入金は毎月定額を振り込んでもらうことが多いため、自動引き落としなどの設定からインターネット決済を経由したバーチャル口座への入金に変更してもらう必要があります。入居者の負担がなるべく少ない方法でバーチャル口座の導入を考えるのが肝となるでしょう。
バーチャル口座の入金サイクル
バーチャル口座では、サービスを提供している会社によって入金サイクルに多少の違いがあるため、ここではモデルケースを紹介します。入金サイクルとしては、まず入居者からの入金が確認できた月の翌月10日に「バーチャル口座月額利用料」と「決済手数料」を差し引いた額が「支払い明細報告書」としてバーチャル口座提供会社から通知されます。その後、事業主の法人口座への振込があるため、入金までにかかる期間としては20日前後が目安となります。
まとめ
バーチャル口座を導入することで、不動産管理会社の経理担当者が行う入金照合作業の手間は削減されますが、システムの導入に当たっては新規・既存入居者から理解を得る必要があります。バーチャル口座の導入を検討してはいかがでしょうか。