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マンション管理費値上げの決議の進め方は?反対されないためのポイントも解説

マンションを管理していくにあたって重要なのが、「管理費」の存在です。入居者にとっても、毎月の管理費がいくらなのかは重要な関心ごとの1つではないでしょうか。状況によっては管理費を値上げする必要もあり、その際には入居者からの賛同を円滑に取ることが求められます。

この記事では、マンション管理費の値上げを進めるための流れや入居者からの理解を得るためのポイントなどについて解説します。

目次

マンション管理費の値上げに妥当性のある理由

マンション管理費の値上げを入居者に認めてもらうことは、妥当性がなければ難しいのが実情です。妥当性があると入居者に思ってもらえる理由として、以下の点が挙げられます。

マンション管理費の値上げに妥当性のある理由

  • 消費税増税
  • 電気代の値上げ
  • 火災保険料の値上げ
  • 管理会社の管理委託費用の値上げ

入居者が納得しやすいのは、増税や電気代の値上げのように、マンション管理者にはどうすることもできない理由です。2022年には大規模な火災保険料の値上げがあり、2024年度からも火災保険料が平均10%程度引き上げられると見られています。

また、管理会社の管理委託費用の値上げが管理費値上げの理由となるケースは非常に多いです。管理会社にマンション管理業務をすべて依頼している場合、管理費の大半が管理会社への費用支払いに回ります。そのため、管理会社から値上げ要請を受けると管理費全体に大きな影響を及ぼすでしょう。

マンション管理費の値上げは総会決議で決定する

マンション管理費の値上げの決定には、以下の国土交通省の標準管理規約に則った総会の決議が必要です。

引用:国土交通省「マンション標準管理規約」

管理規約とは、マンションの維持管理やその他の住民の快適・安全な生活を守るための基本的なルールをまとめたものを指します。「標準管理規約」とは、管理規約の標準モデルとして国土交通省が作成したものです。

総会は、一般的に以下の流れで行います。

  1. 招集の通知
  2. 理事長挨拶
  3. 議事録署名人選出
  4. 議案審議
  5. 閉会の言葉

総会の案内は、総会の日から少なくとも1週間以内に、会議の主な議題を示して各区分所有者に発送しなければなりません。総会の決議には、以下の2種類があります。

  • 普通決議:出席組合員の議決権の過半数が必要
  • 特別決議:組合員総数および議決権総数の4分の3以上の賛成が必要

基本的には、上記のうち「普通決議」で決定します。普通決議のケースでは、議決権総数の半分以上が出席する総会にて出席した組合員の議決権の半分以上の賛成が必要です。ただし、以下のケースでは、特別議決による決定が求められます。

  • 国土交通省が作成している標準管理規約とは異なる取り決めを管理規約にてしている場合
  • 管理規約に管理費の金額が記載されている場合

管理費増額に対して賛成を集められないと、管理やメンテナンスを十分に行えなかったり管理会社との契約が継続できなかったりするなど不利益を被る可能性があるため、注意してください。

マンション管理費の値上げを通知する文書の記載内容

マンション管理費の値上げを進めるにあたっては、まず文書によって入居者に通知する必要があります。特に賃上げが進まない状況では、「食費に加えて家賃まで上がるのか」と反感を買う可能性もあるでしょう。文章を作成するにあたっては、説明を尽くすことが大切です。

マンション管理費の値上げ通知文書の一般的な記載内容は、以下の通りです。

  • 値上げする金額
  • 値上げを実施する日程
  • 値上げが必要となった理由
  • 値上げの決定に至った経緯

ここでは、それぞれについて解説します。

値上げする金額

マンション管理費の値上げ通知文書へ記載すべき内容としてまず挙げられるのが、値上げする金額です。値上げ金額が伝わらなければ、当然ではありますが通知書を作成する目的を果たせません。また、いくら値上げするのかが通知書にてはっきりと認識できなくては、トラブルにつながる恐れがあります。

マンションでは、各入居者の専有面積ごとに管理費の金額が異なります。そのため、記載にあたっては面積や住戸ごとの金額を記載すると理解しやすいでしょう。また、表示があいまいになって誤解を招かないためにも、値上げ前の金額と値上げ後の総額、そして値上げする金額がはっきりと分かるようにする必要があります。

値上げを実施する日程

値上げを実施する日程についても、管理費の値上げ通知書には記載することが大切です。「いつから値上げするのか」が明確でない場合、入居者とのトラブルに発展する恐れがあります。

マンション管理費は、毎月定期的に集金するのが一般的です。徴収方法として口座引き落としを選択しているマンションであれば、値上げの実施日だけでなく引き落とし日についても明記しましょう。「値上げされた金額がいつ引き落とされるのか」をはっきりと伝えることで、トラブルを未然に防ぐことが重要です。

値上げが必要となった理由

値上げの金額とともに明記すべきなのが、値上げを避けられなくなった理由です。「値上げします」とだけ伝えても、入居者からの理解はまず得られません。入居者に納得してもらうためには、値上げを余儀なくされた理由を通知書の段階から手遺影に伝えていくことが重要です。

例えば、「電気代が上がった」、「火災保険料が上がった」、「管理会社から管理委託費の値上げを要請された」など、具体的な理由をわかりやすく説明してください。説明にあたっては、値上げを回避できないかできる限りの検討を行った旨を伝えられると理解を得やすいでしょう。

管理会社からの要請であれば、「他社でも見積もりを取ってみたところ、やはり値上げを行うしかないと判断した」など、どのような検討を行ったのかできる限り丁寧に伝えられると望ましいです。

値上げの決定に至った経緯

値上げが必要となった理由と合わせて伝えたい内容として、値上げの決定に至った経緯も挙げられます。判断に至るまでの過程を記しておくことで、入居者が納得しやすくなるかたです。

具体的な記載内容として想定されるのは、以下の点です。

  • 理事会で話し合った内容
  • 管理会社との交渉内容
  • 上記以外の検討内容

入居者が疑問に思ったり、聞きたいと思ったりする内容を記載することで、入居者からの反発や質問を減らすことが期待できます。また、総会に参加できない入居者にとっても、値上げ判断に至った経緯が書面で分かるようになっていると親切です。

値上げに至るまでのトラブルをできるだけ避けるためには、決議を円滑に進められるよう工夫する必要があります。

マンション管理費の値上げに反対されないためのポイント

マンション管理費の値上げは、入居者から反対・拒否される可能性も十分にあり得ます。入居者からの反対にあって値上げをスムーズに行えないと、マンションの管理やメンテナンスに費用をかけられず、資産価値が減少し入居者の満足度も下がってしまいかねません。また、管理会社から要請を受けている状態だと、話し合いが上手くいかず契約更新ができなくなる恐れも考えられます。

管理費値上げをしなくてはならないと判断したなら、できるだけ速やかに話を進められるよう、反対されないための工夫が欠かせません。入居者から値上げに反対されないためのポイントは、以下の通りです。

マンション管理費の値上げに反対されないためのポイント

  • 値上げは妥当な金額にする
  • 値上げが必要な理由・経緯を明白にする
  • 値上げの見直し交渉に丁寧に対応する

値上げは妥当な金額にする

値上げを組合員である入居者に納得してもらうためには、値上げ額を妥当に設定することが大切です。「なぜ値上げをするのか」、「目的のためには計算上いくら上げる必要がるのか」を踏まえて、入居者に対して説明できる数字にする必要があります。

「〇円まではよい」、「〇%程度が理解してもらいやすい」などの目安があるわけではないため、信頼性の高い情報を参考に「〇〇を捻出するために、○○円必要」と説明できると良いでしょう。理由もなく高額な値上げを断行しようとすれば、当然ながら反発を受けて否決されるリスクが高まります。

値上げが必要な理由・経緯を明白にする

値上げが必要な理由や経緯を明確にすることも、入居者からの反発をできるだけ受けないための大切なポイントです。入居者が疑問に思うであろうポイントを想定し、回答できるように準備しておきましょう。

管理費の値上げを行う前にできることは、以下の通りです。

  • 管理業務の流れを見直す
  • 管理業務の発注先を見直す
  • 委託している業務の一部を自分たちで行う
  • 電力会社を変更する
  • 使用されていない駐車場を貸し出して収益を得る
  • 空きスペースを有効活用する など

上記のような値上げ回避策を事前に行った場合はその内容を、行わなかったならその理由を整理して説明することで、入居者からの理解を得やすくなるでしょう。

値上げの見直し交渉に丁寧に対応する

値上げの見直し交渉に対して丁寧に対応することも、値上げへの反対をできるだけされないために重要なポイントです。交渉に対して丁寧に対応することは、納得感を高めるために欠かせません。交渉もせずに一方的に値上げを通知するようなスタンスでは、いくらやむを得ないことだったとしても反発を受ける可能性が高まるでしょう。

特に管理費が相場よりも高額な場合、値上げの見直しを求められる可能性は高いと考えられます。その場合でも話をしっかりと聞き、なぜ値上げが必要なのか丁寧に説明して、本当に値上げを避けられないのか検討を重ねて交渉することが重要です。

まとめ

マンション管理費は、さまざまな理由から値上げを余儀なくされることもあります。消費税や電気代の値上げなど、社会情勢が原因となって値上げを避けられなくなったり、管理会社からの要請を受けてしまったりするなど、値上げの理由はさまざまです。

本当に値上げが避けられないと判断した場合には、総会を行って必要な手続きを経た上で、一定数の入居者からの賛同を得なければなりません。値上げ通知文書を丁寧に作成して反対を受けないようしっかりと対応し、円滑に入居者に理解してもらえるように進めていきましょう。

この記事のポイント

  • マンション管理費には値上げを避けられないこともあります。増税や火災保険料の増額、管理会社からの増額要請などは、値上げに妥当性があると考えられる理由です。
  • マンション管理費の値上げには総会での決議が必要です。通知書に値上げ金額や理由、経緯などを明記し、できるだけ反発を受けないように工夫しましょう。
  • 値上げが円滑に進まないと多数のリスクが発生します。値上げ額を妥当な額に設定する、値上げが必要な理由や経緯を明確にするなど工夫し、できるだけスムーズに賛同を得ていきましょう。
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