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【リーダーインタビュー】アーバン企画開発 三戸部 正治様|競合4,000社の激戦区を勝ち抜く、独自の経営戦略。1万戸達成で目指す「子育て支援」の新展開

不動産業界はどう変わり、どこへ進んでいくのか?高い視座から業界全体を見渡し、明確なビジョンで業界をけん引しているリーダーに今後の不動産業界が進むべき道を示してもらう企画「リーダーインタビュー」。

今回お話を伺ったのは、神奈川県内で37年間不動産管理業を営む、株式会社アーバン企画開発の代表取締役社長 三戸部 正治様です。横浜エリアという人口増加地域で、4,000社を超える競合ひしめく激戦区において着実に成長を続け、現在7,300戸を管理する同社。「2030年までに管理戸数1万戸達成」という明確な目標を掲げ、その先の社会貢献にも視野を向ける経営戦略について詳しく伺いました。

目次

    26年の軌跡と父から受け継いだ企業理念

    まずはご自身のご経歴と、現在のお仕事に至った経緯について教えてください。

    ▲株式会社アーバン企画開発 代表取締役社長 三戸部 正治 氏

    大学で建築学科を卒業後、ゼネコンに就職して現場監督をしていました。建築は敷地の中での設計ですが、不動産はもっと広い地域全体で物事を考える視点に興味を持ちました。宅建士や建築士、施工管理技士の資格を取得し、不動産業界への転身を考えていた頃、ちょうど父が株式会社アーバン企画開発を経営して10年目を迎えた時期でした。

    父から会社の事業内容について説明を受け、「2、3年やってみて、また転職を考えよう」という軽い気持ちで入社したのですが、会社に長男が入社した!ということでオーナー様から期待していただき、気がつけば26年が経っています。

    お父様が創業された背景についても教えてください。

    父は大和ハウス工業株式会社を退職後、独立して当社を設立しました。私が入社した当時は社員10人程度の小さな会社でしたが、企画開発系の仕事を中心としており、単純な売買や賃貸仲介ではない事業展開をしていました。私が入社したことで、管理業務により一層力を入れることになったのです。

    弟さんと一緒に経営されているとのことですが、どのような経緯と分業体制でしょうか?

    弟は積水ハウス株式会社に勤めていたのですが、父が体調を崩した際に入社しました。私より7歳年下で、兄弟喧嘩をした記憶もないほど年齢差がありましたが、父は「兄弟だから絶対喧嘩する」という前提で、あえて業務を分離する体制を作りました。

    現在は私が管理業務全般、弟が、リニューアル事業部の新規設立やサブリース事業やオーナー業を担当し、お互いがやりたい領域を担当する形で分業しています。2019年12月に私が社長に就任して以降は、対外的な業務が増え、協会活動などを含めるとおよそ4割の時間を会社外で過ごしています。

    組織運営で大切にしている価値観はありますか?

    「究極の教育は自分がいなくなること」だと考えています。各部署の部長を役員に昇格させ、週1回の役員会議で全ての重要事項を決める体制を構築しました。私が現場から離れても回る組織作りを心がけており、任せる文化を重視しています。また、属人化を防ぐため、定期的な人事異動も実施しています。

    競合4,000社が集結する激戦区での戦略

    事業エリアについて詳しく教えてください。

    事業エリアは、横浜線から多摩川までのエリアを中心としており、川崎市全域と横浜市3区程度の範囲です。このエリアだけで不動産会社が4,000社以上が存在する激戦区なんです。しかし、国土交通省の国土グランドデザインによると、2050年まで人口が増加し続ける地域として位置づけられており、あえてエリアを広げる必要はないと判断しています。

    4,000社超の競合がいる中で、どのような差別化戦略を取られていますか?

    地域密着型の戦略が最も重要です。地主系のオーナーが多く、税理士や金融機関からの紹介で「困った時はアーバン企画開発」という認知を獲得しています。エリア内での知名度が高く、紹介いただいた際に「見たことがある」「親戚が取引している」という状況になっています。

    大手不動産管理会社は当然に参入しており、地元の強者同士の競争も激しいのが実情です。そのため組織力やインターネット活用、提案力で差別化を図る必要があります。

    98%超の入居率を維持する地域密着の強み

    現在の空室率と入居促進の取り組みについて教えてください。

    全体で98%以上の入居率を維持しており、エリアによっては99%に達することもあります。自社ホームページとポータルサイトに掲載するだけで予約が入る状況なので、一部を除き以前のようなステージングや写真加工は不要になりました。

    コロナ禍での変化はありましたか?

    2019年12月の社長就任時からDX推進を計画していましたが、コロナ禍で一気に加速しました。ノートパソコン100台近くを購入し、ハイブリッドワーク体制を整備。現在は9割は出社ですが、承認業務のデジタル化など、コロナ禍で得た技術は継続活用しています。

    オーナーとの関係構築はどのように行っていますか?

    月1回以上は必ず何らかのアクションを取ることを徹底しています。営業拠点から20分以内にオーナーの物件があるため、すぐに駆けつけることができます。オーナーの8割は地元在住で、地域に根ざした関係を築いています。

    2030年までに「管理戸数1万戸・売上100億円」への成長戦略

    現在の事業規模と成長戦略について教えてください。

    現在の管理戸数は7,300戸で、2030年までに1万戸達成を目標としています。年間500戸ずつ増やせばこの目標は達成可能で、過去の実績からも実現性は高いと考えています。

    1万戸達成により売上100億円、社員250人規模の会社を目指しています。管理戸数とサブリース事業の組み合わせで、オーナー約1,000人との取引となり、様々な事業展開が可能になります。

    管理移管が年間500件というのは相当な数字ではないでしょうか。

    前の不動産会社の対応に不満があったり、代替わりでサービスが変わってしまったりしたケースが多いですね。とくに古い不動産会社は電話・FAX中心で、提案もなく、DXやIT化に対応できていないところが多く、そこに移管の機会があります。

    積水ハウス不動産ネットワークに加盟して2,700戸ほど受託しているため、積水ハウス品質との比較で古い不動産管理会社からの移管相談も多く寄せられます。

    DX推進と人材教育への投資

    DXの取り組み状況について詳しく聞かせてください。

    現在は各部署でバラバラに導入していたツールを、kintoneを中心として統合を進めています。一つのシステムに全て統合してダウンすると全業務が停止するリスクがあるため、適度に分散しながらも連携できる体制を構築中です。

    オンライン内見・契約は80%を目標に取り組んでおり、現在72〜74%程度を達成しています。入居者とのやり取りもLINEが中心となり、効率化が進んでいます。

    社員教育にも力を入れられているとのことですが、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?

    父が退職後に研修専門会社を立ち上げ、そこに業務委託する形で中堅層の教育を強化しています。また、株式会社クラスココンサルファームの教育システムも導入し、新卒13人を目標とした採用拡大に対応しています。

    前期は22人の中途採用も実施しており、急速な人員拡大に対応するため、オンライン教育システムを活用した効率的な人材育成ができるように整備中です。

    AIツールの導入状況についてはいかがですか?

    各ベンダーがAI機能を競って開発していますが、2~3年待てばより良いソリューションが出てくると予想しているため、現在は様子見の状況です。1万戸達成に向けて必要なものから優先的に投資し、AI関連は最後の段階で本格導入を検討しています。

    目指すビジョン:1万戸達成後の子育て支援事業

    1万戸達成後の事業展開について教えてください。

    管理戸数1万戸を達成すれば年間数千万円規模の社会貢献事業が可能になります。外国人支援、高齢者支援、生活保護者支援など様々な分野がありますが、私は「子育て支援」に舵を切りたいと考えています。

    シングルマザー支援なども含め、子育て世代が安心して住める環境づくりにチャレンジしたいですね。ただし、1万戸達成が大前提ですので、まずは本業での目標達成に集中しています。

    最後に、オーナーの方へメッセージをお願いします。

    不動産会社に不満をお持ちのオーナー様には、セカンドオピニオン的な使い方をしていただいても構いません。1戸からでも管理可能ですので、まずはお試しで気軽にお声がけいただければと思います。

    競合が多い激戦区だからこそ、オーナーにとって真に価値のあるサービス提供を心がけています。地域密着の強みを活かし、2030年までに1万戸達成、そしてその先の社会貢献に向けて着実に歩んでまいります。

    まとめ

    4,000社を超える競合がひしめく神奈川県内で着実に成長を続けるアーバン企画開発。三戸部社長の経営手法は、明確な数値目標と地域密着戦略、そして「1万戸達成後の社会貢献」という長期ビジョンが印象的でした。

    競合過多の激戦区という厳しい環境を、むしろ成長のチャンスと捉える発想の転換。人口増加エリアという地の利を最大限活用しながら、組織力とDX推進で差別化を図る戦略。そして利益追求にとどまらず、1万戸達成後の子育て支援という社会貢献への展望。地方不動産管理会社の新たなモデルケースとして、同社の今後の展開に注目していきたいと思います。

    本記事取材のインタビュイー様

    株式会社アーバン企画開発
    代表取締役社長 三戸部 正治 氏

    大学で建築学を学び、ゼネコンでの現場監督を経て不動産業界へ転身。父が創業した株式会社アーバン企画開発に入社し、26年間にわたり同社の成長を牽引。地域密着型の経営により7,300戸の管理実績を築き、2030年までに1万戸達成を目指す。組織運営では「究極の教育は自分がいなくなること」をモットーに、人材育成と社会貢献に向けた長期ビジョンを描く経営者。

    会社紹介

    株式会社アーバン企画開発
    https://www.urbankk.co.jp/

    神奈川県内で37年の実績を誇る不動産管理会社。横浜エリアを中心とした地域密着型の経営により、4,000社超の競合がひしめく激戦区において7,300戸の管理実績を築いています。98%超の高い入居率を維持し、地主系オーナーとの強固な信頼関係を構築。2030年までに管理戸数1万戸達成を目標とし、その先の子育て支援事業への展開を見据えた成長戦略を推進しています。

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