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【リーダーインタビュー】末永照雄様|人口も不動産も二極化の時代。分析力と決断力で、オーナー様の資産を守り抜いていく。

不動産業界はどう変わり、どこへ進んでいくのか?高い視座から業界全体を見渡し、明確なビジョンで業界をけん引しているリーダーに今後の不動産業界が進むべき道を示してもらう企画「リーダーインタビュー」。今回お話を伺ったのは、「株式会社アミックス」の代表取締役社長である末永照雄様です。弊社代表の鈴木より、空室率1 %以下を継続されているポイントや人口減少社会における不動産投資の在り方など、さまざまなお話をお聞きしました。

目次

「関連商品で利益を生み出す」手法が、成功の鍵に。

どのような経緯で株式会社アミックスを設立されたのでしょうか?

弊社の原点は、私の学生時代にまで遡ります。もともと私の父は、目白で“街の不動産屋”を営んでいました。従業員2、3人の小さな不動産屋でしたから、私も大学に通いながら手伝っていました。この頃に、弊社の主力商品である「ワンルーム物件」の構想がスタートしたのです。

目白は学生街でしたから、“5万円位の風呂付アパート”を探している学生さんがほとんど。しかし、当時は目白近辺で風呂付だと安くても“6坪6万円”が主流でした。つまり、市場の商品とニーズにギャップがあったのです。

そこで私は「6坪6万円が相場なら、5坪5万円の部屋を作れないだろうか」と考え、建て替えの相談に来た大家さんたちへ積極的にご提案していました。しかし、当時私は学生ですからなかなか信用してもらえず、実現には至らなかったわけです。

卒業後、私はそのまま父の会社に就職。そして翌年、たまたま目白に割安のアパート用地が売りに出ていたので、父に保証人になってもらい購入しました。そして、一部屋4坪半程度のアパートを建てたのです。これが、最初に作ったワンルーム物件です。  

当時の常識を超えたアパートを建てたわけですね。入居はすぐ決まったのですか?

「関連商品で利益を生み出す」手法が、成功の鍵に。

もともとニーズがあったため、トントン拍子で入居が決まりました。

そこで、「この企画は行けるぞ」と感じた私は、コンサルタント会社を設立し、企業として改めて地主さんたちにワンルーム物件を提案しました。しかし、この時はなかなか上手くいきませんでしたね。

当時は「企画に対してお金を払う」文化がありませんでしたし、地主さんはやはり慎重なんですよね。結果的にこの企画は他社に模倣されてしまい、非常に悔しい思いをしました。

ただこの時、先輩に「企画は良くても、売り方がまずかったのでは?」と大変ありがたいアドバイスを貰いました。教えてもらったのが、マクドナルドのビジネスモデルです。「マクドナルドで利益率が最も高いのはコーラやポテトで、逆に最も低いのがハンバーガーだ。これが、“商売”というものだよ」と。  

要は、主力商品で儲けなくても良い。主力商品で客を集め、利益率の高い関連商品を一緒に売れば良いということですね。

素晴らしいアドバイスですね。

まさに、目からうろこが落ちました。「自分の企画はハンバーガーだったのだ」と。そして「どれがコーラだろう?」と考えて思い当たったのが、建築でした。

そこで、ビジネスモデルを大幅に変えました。まず工務店と提携し、地主様にワンルーム物件の企画を説明するとともに「この物件を建てられる工務店を紹介します」と提案する。そして、工務店から紹介料をもらうというわけです。企画料は、当初の金額からずいぶん下げました。  

すると、順調に利益を出せるようになったのです。そこで、次に「建築も自分でやろう」と考え、内装業を営んでいた知人と一緒に工務店を設立。私が営業担当、知人が造る担当として、お互いの強みを活かした形でスタートしました。

「関連商品で利益を生み出す」手法が、成功の鍵に。 引用元:株式会社アミックス  

この工務店も順調に伸びたので、いくつかあったお互いの会社をまとめて株式会社アミックスを設立したわけです。これが1987年の話ですね。

どんなきっかけで「三光ソフラングループ」に加入されたのですか?

一緒に「アミックス」を立ち上げたパートナーが、病に倒れてしまいまして。今は元気になりましたが。「病身で経営は続けられないから、会社の株を売却したい」と。  

株は彼と私で半分ずつ所有していたため、私が彼の株をすべて買い取る選択肢もありました。しかし、やはり30年間苦難を共にしてきたわけですから。彼に「一緒に始めたんだから、一緒に売ろうか」と伝え、引退する覚悟で売却先を探すことにしました。  

そしてすぐに思い浮かんだのが、三光ソフランホールディングスさんだったのです。もともと高橋会長とはお付き合いがあり、オーナー様を非常に大切にされていることを存じ上げていたので。さっそく高橋会長に申し入れ、2011年にグループ入りを果たしました。  

そして、アミックスは後任に託したわけですが、その後すぐに後任の社長が体調不良で退社してしまったのです。社長が誰もいなくなってしまったと。そこで、高橋会長からお声がけいただき、“雇われ社長”として戻ってきたわけです。気づいたら、そこから10年も経ってしまいました(笑)。

40年間満室のサブリース管理を実現。

改めて、株式会社アミックスの事業概要をお聞かせください。

オーナー様の大切な資産を活かすためのトータルコンサルティングを行う企業です。事業内容は次のように幅広く、社内外の多様なネットワークでオーナー様をサポートしています。  

  • 自社設計・施工のアパート建築
  • サブリース管理
  • リフォーム・リノベーション工事
  • 資産の組み換え

なかでも「サブリース管理」に関しては、他社に先駆ける形で始めました。現在、オーナー様の95%はサブリースでご契約いただいています。  

いつ頃から「サブリース」をスタートされたのですか?

40年間満室のサブリース管理を実現。

ワンルーム物件を地主さんにご提案し始めた頃からです。当時は非常に珍しい物件でしたから、ご決断いただくために「家賃保証をするので建ててください」とご提案していました。  

そもそもの始まりをお話すると、実は最初から「サブリースをやろう」と考えて作り上げた仕組みではありません。ある時、私が最初に建てた目白のワンルーム物件を売却することになったのですが、その物件を所有するための会社を設立していたので、物件を売ると会社だけが残ってしまうと。そこで、会社を活かすために買主様と“借上契約“を結びました。これが、弊社のサブリースの始まりなのです。  

そう考えると、すべてはこのワンルーム物件から始まったと言えるかもしれません。この物件は築40年が経ちましたが、現在も弊社が管理し、満室経営をしています。  

弊社は現在「50年サブリース」プランをご提供していますが、これは決してハッタリではありません。実際に40年間満室でサブリース管理を続けてきたからこそ、「50年は現役で持たせられる」確信があるのです。  

ニーズを掴んだ戦略で、高い競争力を実現。

御社は、6年連続で空室率1 %以下を継続されています。このポイントはどこにあるのでしょうか?

弊社がカバーするエリアは下町中心で、木造ワンルーム物件が多いため家賃が良心的です。また、何十年という実績がありますから、仲介会社様には「6万円以下のワンルーム・設備が充実・都心へ好アクセス=アミックスの物件」とご認識いただいており、安定的なご紹介に繋がっています。  

下町は、家賃が安くてもアクセスは良い。また、限られた収入の中で部屋を探すとなると、5~6万円は妥当な家賃だと思います。  

言うなれば、暮らしやすい住まいを適正価格でご提供できている、というのがポイントでしょうか。このこだわりは、不動産業を始めたばかりの頃と変わりません。  

御社は、社員の資格取得支援にも注力されていますよね。このあたりも高い競争力に繋がっていそうです。

そうですね。弊社は高いレベルの不動産管理を目指しており、社を挙げて資格取得を奨励しています。例えば「CPM ®(米国不動産経営管理士)」は21名が取得しています。

40年間満室のサブリース管理を実現。 引用元:株式会社アミックス  

もちろん私自身も「CPM®」を取得し、かつ「CPM®」のインストラクター(講師)としても活動しています。また、会社としても、「IREM®(全米不動産管理協会)」より厳しい審査のもとに付与される称号「AMO®(認定不動産管理会社)」の認定を、日本で初めて受けています。  

御社が「資格取得支援」に力を入れ始めたきっかけをお聞かせください。

もともとは、「日本賃貸住宅管理協会」の塩見会長にご紹介いただき、私が「CPM®」を取得したことがきっかけです。  

不動産管理の本質は、「PM(物件管理)」だけではなく「AM(資産管理)」の視点を持ち、不動産価値の最大化をもたらすこと。「CPM®」を取得するにあたり、この“不動産価値の最大化”を実現するための知識を体系的に身に付けられます。そのため、「いち早く社内に広めてオーナー様へのご提案に活かさなければ」と考え、力を入れ始めたのです。  

「CPM®」は、資格取得に100万円近く費用がかかります。そのため、毎年社内で希望者を募って1~2名選出し、会社の費用で取得してもらっています。また、資格の活用方法を考える会議も、年に2回開催しています。  

不動産投資に適した土地は、日本のわずか2%に。

これからの不動産投資について、お考えをお聞かせいただけますか?

まず、前提として日本における人口の推移からお話しますね。ご存じのように我が国の人口は2008年をピークに減少し続けており、2050年には1億を下回ると言われています。つまり、現在の人口の4分の1が減ってしまうわけです。  

不動産投資は、“人口が増えているところで行うのが基本”と考えると、日本は不動産投資に適していないと感じる部分があります。ただし、これはマクロの話。住宅地域別に細かく分析してみると、実は2050年時点でも「人口が減らない場所」が2%は存在します。  

この2%はもちろん都市部、東京です。都内でも特に“都心三区”が良いなど、さらに細分化できるのですが、これからの不動産投資は、この2%で行うべきだと思います。  

その中でも、“特に投資すべき物件”というのはありますか?

インタビュアー:GMO ReTech株式会社 代表取締役社長 鈴木明人

 例えば、「単身者向けの物件」は良いと思います。というのも、日本の人口が減り続ける一方で、東京都の人口は2025年にピークを迎えます。  

ただし、世帯数では10年遅れて2035年、そして単身者では2040年がピークだと。つまり、東京における単身者の人口は、これから先20年は減らない計算です。  

そう考えると、弊社は“東京でワンルーム物件の建築”をしていますから、まだもう少し大丈夫だろうと予想しています。しかし、他の地域で賃貸経営を続けていくのであれば、リスクを覚悟しておく必要があるのではないでしょうか。人口も不動産も、二極化が進むわけですから。  

なるほど。オーナー様にも、その2%のエリアへの投資をおすすめされているのですか?

そうですね。2%以外のところに土地を持っているオーナー様には、2%の土地への買い替えをおすすめしています。要は、資産の組み換えです。  

我々の役割は、オーナー様の資産を守ること。ですから、まずは“所有地を活かして収益を上げる”お手伝いをいたします。でも、もしその土地が確実に値下がりするとしたらどうでしょうか。「値下がりしない優良な土地」へ買い替えていただいたほうが、将来安定的に収益を上げられるはずですよね。  

人口減少は、避けては通れない問題ですね。ただ、都心は高額なのでなかなか手が出にくいように感じます。

不動産投資に適した土地は、日本のわずか2%に。 引用元:あみシェア  

おっしゃるとおりです。そのため、実は最近弊社のグループ会社で「不動産特定共同事業法」に基づいた任意組合「あみシェア」というサービスを立ち上げました。これにより、不動産を100万円ずつに小口化して販売できるようになったのです。今後は、都心の物件を小口化しようと考えています。そうすれば、2%の場所でも気軽に投資していただけますから。  

また、この方法であればレバレッジをかけなくても購入可能ですし、不動産運用のプロが選んだ複数の物件に分散投資ができます。つまり、リスクヘッジをしていただけるのです。  

「人口が増える国」での投資も、一考の価値あり。

「管理会社が小口化している」のは魅力ですね。

はい。物件の管理運営を自社でできるので、投資いただく方にとってのメリットは大きいと思います。  

もう少し突っ込んでお話させていただくと、これからの不動産投資は、世界に目をむけるのも一つの方法です。2050年に日本の人口は4分の1減る一方で、世界の人口は4分の1増えると言われています。なにも、日本の中だけで2%の土地を取り合わなくて良いのです。  

2050年の人口予想を国別で見てみると、1位がインド、2位が中国、そしてなんと3位がナイジェリアです。ナイジェリアの人口は、この先30年間で倍になると予測されています。経済規模もアフリカでは群を抜いて大きいのです。  

そこで、弊社はナイジェリアに土地を買いました。現地のデベロッパーが富裕層向けに分譲している、大都市近くの土地です。弊社は日本で唯一、ナイジェリアで不動産投資をしている不動産会社かもしれません(笑)。  

非常に興味深いです。ナイジェリアは行ったことがないので、なかなか想像つきませんが…

ナイジェリアは一般的に旅行向きの国とは言えないかもしれませんが、「行きたい国」と「投資に向いた国」は違いますよね。あとは、東南アジアも有望な投資先だと思います。 「人口が増える国」での投資も、一考の価値あり。 Q.「管理会社が小口化している」のは魅力ですね。 引用元:株式会社アミックス  

実は、カンボジアに子会社を設立しています。カンボジアは今まさに高度成長期を迎えており、これから大きく伸びると考えています。そのため、ご興味のあるオーナー様には、カンボジアでの投資もご案内しています。不動産登記も、我々の子会社の名義で行えますから。  

私は根っからの不動産投資好きなので、海外含めて良さそうなモノはまず自分で試し、上手くいったらオーナー様にもご紹介しているのです。  

これからの管理業で重要なのは、テナントリテンション。

賃貸管理業界も近年IT化が進みつつありますが、この現状をどう見ていらっしゃいますか?

さまざまなサービスが登場していますが、「どこをIT化すべきか」の整理がまだできていないかなという印象を受けますね。  

そもそも賃貸管理業界は、事業のターゲットが「入居者様=マス層」「オーナー様=富裕層」に二極化しています。そのため、ターゲット別にIT化を考えるのが合理的ではないでしょうか。  

対入居者様、つまりPM寄りの業務に関しては、業務量も多いので徹底したIT化・外注化を図るべきだと感じます。そして浮いた労力・時間は、オーナー様へのご提案や資格の勉強に充てると。  

対オーナー様のAM業務は、やはり「人」が手厚く対応・フォローするスタンスが重要ですよね。ただし、“フォローするためのツール”には、ITを取り入れれば良いのではないかと思います。  

今年6月に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が施行されましたが、末永社長はこの実現にご尽力されたと伺いました。施行により、管理業界は今後どう変わるのでしょうか?

私は昨年まで6年間、日本賃貸住宅管理協会の会長として法律づくりに奮闘してようやく実現したので、感慨深いものがありますね。  

この法律の施行により、賃貸管理業界は新たなステージへと踏み出します。「賃貸住宅管理業」がきちんと確立されたわけですから、一部の不良業者が淘汰され社会的な信頼度も高まるはずです。  

管理戸数200戸未満の登録対象外の管理業者であっても、登録しないと管理受託ができなくなるかもしれません。また、AM業務に注力できるよう、クレーム対応・修繕などの外注化も進むのではないでしょうか。  

さらに、今後は客付けだけではなく、“長く住んでもらうための施策であるテナントリテンション”がより重要視されるでしょうね。オーナー様からすると入居者様の入れ替わりはコストが掛かるため、入れ替わりを減らすことがオーナー様の収益向上に繋がるのです。  

テナントリテンションとして、御社が取り組まれている施策はありますか?

快適な住環境を整えるのはもちろん、高齢者向けの賃貸に注力しようと考えています。高齢者は、長期居住者ですからね。  

なお、テナントリテンションの必要性があるのは、管理専業の企業だからです。賃貸仲介も展開している場合、入れ替わりを減らす=仲介業務が減ってしまうわけですから。  

オーナー様の資産を守り抜くのが、我々の使命。古い物件の収益性UPにも尽力したい。

御社の今後のビジョンをお聞かせください。

我々の使命は、「オーナー様の資産を活かすこと・増やすこと・守ること」。これは、今後も変わりません。  

「管理」というのは、あくまでオーナー様の資産を活かす・増やす・守るための手段です。そのため、安価で"最低限の管理"を行うのではなく、適正価格で“真に役立つ管理”を行う。これは、他社との差別化にも繫がると考えています。

先ほどお話したように、日本は残念ながら今後少しずつ人口が減少していきます。しかし、そんな中でもオーナー様には資産を守り抜いていただけるよう、尽力する所存です。  

また、古くなった建物の収益性を上げる取り組みにも、注力しています。今は、スクラップ&ビルドの時代ではありませんから。適切なメンテナンスで建て替えることなく生まれ変わらせ、適正な家賃を取れるようにする。これも、我々の重要な役割だと思うのです。  

まとめ

常識に囚われない発想力や変化を楽しむ向上心、オーナー様・入居者様へ真摯に向き合う誠実さ。多くの強みをもつ末永社長ですが、何よりもその根底に流れる「賃貸管理業への情熱」が、オーナー様・入居者様、そして不動産業界内からの厚い信頼に繋がっているのではないでしょうか。

インタビュアー:GMO ReTech株式会社 代表取締役社長 鈴木明人(写真右)

本記事取材のインタビュイー様

末永照雄 氏
株式会社アミックス 代表取締役社長
不動産にまつわる全方位サービス提供の土台となる6社を1987年に全社合併、株式会社アミックスを設立。 社名はラテン語で友人・仲間を意味する「Amicus(アミ―クス)」が語源。
オーナー様も入居者様も協力会社もすべて大事な仲間と考え、心の交流を重視している。
40年間満室のサブリース管理を実現するなど、高い競争力と収益性を実現。 東京都各所に営業所を拡大展開し、2011年「三光ソフランホールディングスグループ」に加入。
高レベルの不動産管理を目指し、「CPM®(米国不動産経営管理士)」を自ら取得、インストラクターとしても活躍する。2014年には日管協の会長に就任し、約6年間務める。
2021年6月「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」施行の旗振り役として奮闘。
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