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オンライン内見とは|メリットとデメリット・実施の流れと注意点

近年、多くの不動産事業者はオンライン内見というWeb会議サービスを利用した新たな内見方法を取り入れてきています。それにより、地方からの転勤・上京などで物件を探す人の手間は減り、多くの選択肢から物件を決めることができるようになりました。

しかし、便利になった一方、対面で確認できていたことがオンライン内見では実施できない場面もあるなど一長一短のサービスであることも事実です。その点を当記事で確認して、オンライン内見をどうやって活用していくべきか検討してみてください。

目次

オンライン内見とは

オンライン内見とはオンライン内見とは、入居希望者が実際に内見したい物件に足を運ぶことなく、パソコンやスマートフォンなどの端末を利用して遠隔で内見ができるサービスのことを指します。リアルタイムの映像で実施するので、実際に物件の中を案内しているかのような感覚で内見できます。

オンライン内見は『どこにいても内見できる』ことが一番の特徴とも言えます。転勤・上京を予定している人にとっては、足を運ばずとも物件の中を確認できる便利なサービスです。

さらに、移動時間を必要としないので、1つの物件で複数人の内見予約を受け入れることができます。そうして、多くの方に物件を知ってもらうことで、短期間での賃貸契約を実現することが可能になります。

オンライン内見の手順

オンライン内見の手順オンライン内見は実際に店舗に足を運んで相談するのではなく、不動産事業者のホームページなどから自分で申し込みする必要があります。また、申し込み以外にも内見専用アプリやオンライン会議用のツールを使える状態にしておくなどの事前準備が必要なので、あらかじめオンライン内見の流れ・手順を把握しておきましょう。

【オンライン内見の手順】

  1. ①申し込みをする
  2. ②オンライン内見の日時を決める
  3. ③アプリ・Web会議システムを使ってオンライン内見の実施
  4. ④契約するかの決定

不動産事業者によってどのアプリ・サービスを使うのかが変わるので、入居希望者は一連の流れを確認したら実際に希望する会社のホームページで必要なものを確認しておくことをおすすめします。

申し込みをする

まず、不動産事業者のサイトや不動産情報サイトから『オンライン内見対応』の物件を探します。そして、内見したい物件が見つかったらオンライン内見を申し込みます。

申し込みをする際には、「内見時に水回りを念入りにチェックしたい」など事前に希望を伝えておくと当日の内見がスムーズに進みます。また内見をスムーズに進めるために、自身が確認したい内容は申し込みの物件が決まった段階でリスト化しておけば、聞き漏れることなく効率的に進められるでしょう。

オンライン内見の日時を決める

内見担当者と実施する日時を決めます。もしくは、申し込み時に希望日時を入力する場合はそれをもとに担当者から実施日時の連絡がきます。

日時決定の際は、ただ空いている時間帯を決めるのではなく、実際に家にいる可能性の高い時間や洗濯物を干したい時間(日中)などを加味した上で日時を決めると、実際に住んだ時をイメージしながら内見できるので参考にしてみてください。

アプリ・ウェブ会議システムでオンライン内見の実施

日時が確定すると、不動産事業者からオンライン内見に参加するためのURL、もしくは参加するためのコードなどがメールで送られてきます。そのメールの内容に従って進めることでオンライン内見の実施が可能です。

不動産事業者によっては専用のアプリをインストールする場合もあるので、事前に専用アプリが必要かどうかを調べておくこともオンライン内見をスムーズに進めるためのポイントです。

オンライン内見のメリット

オンライン内見のメリット内見を対面で行ってきた不動産事業者にとって、オンライン内見の導入は大幅な業務効率化に繋がりました。また、オンライン内見ができることによって、遠方の方や何かしらの理由で来店できない人達をターゲットにできるようになったので、生産性の向上にも繋がるといったメリットがあります。

【オンライン内見のメリット】

  • 遠方からでも内見ができる
  • 写真や見取り図よりも物件の詳細を把握してもらいやすい
  • 対面で聞きづらいことも質問してもらうことができる

遠方から内見できるのはもちろんのこと、動画で内見できることによって部屋の室内がリアルに、そして効率的にチェックできるなどのメリットがあります。

遠方から内見してもらえる

現地に行かずに内見ができるようになると、遠方の方は往復の交通費や時間が大幅カットできるので不動産事業者と内見希望者双方の効率がUPします。

また、現地に行かずに遠方から内見できることは、以下のような人たちをターゲットにすることが可能です。

  • 育児で自宅を離れられない人
  • 仕事で内見に行く時間がない人
  • 転勤・上京なので簡単に内見に行けない人
  • コロナ禍で人と接触するのが不安な人

オンライン内見を実施している不動産事業者の一部では『夜間対応』『休日対応』をしているところもあり、時間の都合がつきにくいことが理由でオンライン内見を検討している人を対象にしたサービスを行なっている会社もあります。このように、時間に余裕がない人を対象にしたサービスを行うことで、他社との差別化を図ることもオンライン内見を導入する上では重要なポイントです。

写真や見取り図よりも物件の詳細を把握してもらいやすい

今まで物件の内装や設備の詳細は、写真や見取り図を使って断片的にしか提供することができませんでした。しかし、オンライン内見を導入することで、物件の内装や設備の全ての詳細をより一層リアルな空間を提供できるようになりました。

これにより、入居希望者は「写真だとリフォームした水回りや、クリーニングした綺麗な部分しか撮影されてない」といった不満を抱えることがなくなりますし、全ての情報を提供することで安心感を持ってもらって入居日を迎えてもらうことができます。

また、オンライン内見であれば映像を録画することもできるので、入居希望者が後からじっくり気になる部分を見返すことも可能です。

対面で聞きづらいことも質問してもらえる

オンライン内見はIT重説と違って、音声のみで参加することもできます。そのため、面と向かって質問しづらいことなども、音声だけであれば気軽に質問しやすいといったメリットがあります。

些細な質問から、聞きづらい質問まで気軽に聞いてもらうことができれば、入居希望者の需要を掴むことができるので、担当者が臨機応変に入居希望者の要望に合わせて条件のいいところを紹介することも可能です。

また、気軽に質問をしてもらえることは入居希望者が求める情報を提供することに繋がるので、オンライン内見において入居希望者の満足度を高めることもできます。

オンライン内見のデメリット

オンライン内見のデメリットリモートで内見できるのは非常に便利ですが、その一方でデメリットがあるのも事実です。以下に示すデメリットを確認して上手にオンライン内見を利用することが、入居希望者の満足度を高めるためには重要になってきます。

【オンライン内見のデメリット】

  • 現場の雰囲気や臭いを動画だけでは完全に伝えられない
  • 通信環境が悪いと画質の低下や通信断絶が発生する
  • 物件の周辺環境まで映すことが難しい

雰囲気・臭い・周辺環境などは個人の感覚によって変わるものなので、実際に入居希望者に現地に来てもらわなければ伝えられません。そのため、入居希望者がオンライン内見だけで物件を決めようしている場合は、引っ越し後に想定外の臭いや、周辺環境の悪さに悩まされる可能性があることをしっかり伝えて、契約するかどうかを判断してもらうのが不動産事業者の評価も上がりやすいです。

動画だけでは現場の雰囲気を伝えられない

オンライン内見では、撮影動画を通じて部屋の臭いや、明るさなどの雰囲気を体感してもらうことができません。そのため、ジメジメしていたり、水回りが臭っていたりしても、実際に入居希望者がそれをどう感じるかは入居するまで確認できません。オンライン内見して、良さげに思えたら一度足を運んでみるのがいいかと思います。

なので、不動産事業者としてはオンライン内見でしか物件を確認できない人たちのためにも、なるべく物件の雰囲気や臭いについて客観的な意見を取り入れて情報の提供をしてあげることが好ましいとされます。具体的には、社員数名で一度内見をして雰囲気や臭いのアンケートを取るなどです。

また、『カビ臭い』や『歩くたびに軋む音がする』などのように、言葉にできる具体的な臭いや音・雰囲気は積極的に表記することで、入居希望者も物件の情報をより詳しく理解することができます。

通信環境が悪いと画質の低下や通信断絶が発生する

どこからでも内見できるのがオンライン内見のメリットですが、Webサービスを利用して実施するので、電波の悪い場所だと画質に影響が出たりスムーズに映像を撮影するのが難しくなります。

さらに、騒音があったり風が強い場所で繋いだりした場合も余計な音を拾ってスムーズな会話をできない可能性が高いです。なので、なるべく電波が良くて静かな場所でオンライン内見に臨んでもらいたいことを入居希望者にはあらかじめ伝えておいた方がいいでしょう。

また、電波が悪いことによって途中で通信が切れてしまうと、本来予定している時間通りに終わらなかったり、十分に内見しきれずに時間が来てしまって入居希望者が満足な内見ができずに終了…
という場合もあるので、その旨も事前にしっかり伝えておくようにしましょう。

物件の周辺環境まで映すことはできない

オンライン内見は室内の入り口からスタートするため、物件周辺の環境をお伝えできません。そのため、周辺の人通りや交通量などを確認するのが難しく、「夜道は安心できるのか」などの周辺環境に依存する防犯面の詳細を見せられないのが大きなデメリットです。

他にも物件周辺の環境について伝えられないことは以下のようなものがあります。

  • 周辺の景観がどうなっているか
  • 衛生面的に周辺環境は問題ないか
  • ご近所の雰囲気はどうか

不動産事業者としては、周辺環境における全ての情報を網羅することはできないので、オンライン内見前に入居希望者から『周辺環境について聞きたいことはないか?』を聞いておき、事前に調べて内見時に伝えられるようにすると入居希望者からの満足度が高まるでしょう。

オンライン内見のポイント

オンライン内見のポイントオンライン内見は対面で行わない分、「本当にこの物件で決定していいのか?」と不安になりやすいです。そのため、オンライン内見を無事に成功で終わらせるための重要なポイントを押さえておくことで成功する確率がグッと高まります。

【オンライン内見のポイント】

  • 通信環境が悪い場所でのオンライン内見は避ける
  • 家具の搬入経路はどうなっているのか確認する
  • 設備や日当たりなどの確認事項は事前にまとめておく
  • オンライン内見では見ることができない周辺環境などについては事前に質問しておく

オンライン内見の質を上げるために通信環境を整えておくことは大切です。さらに、入居時の家具搬入の際に問題が起きないようにポイントを確認しておいたり、実際住んだ際に不便なく住める設備状況なのかどうかのポイントを確認しておいたりするのも、オンライン内見を成功させるためには重要になってきます。

通信環境が悪い場所での内見は避ける

通信環境が悪い場所でのオンライン内見は、画質が悪化したり、通信が止まって内見にならないケース多いので極力避けたいです。

画質が悪化することで細かい部分をチェックしづらくなるだけでなく、オンライン内見自体の満足度を下げてしまう可能性が高まります。

満足のいく物件と出会うためにも通信環境が良好な状態を維持できる環境でオンライン内見を実施することが最優先です。

家具の搬入経路はどうなっているのか確認する

引っ越しの際に家具の搬入経路の確認は重要な項目の一つです。引っ越し業者に頼むにしても、サイズの大きい家具がどんな方法をとっても入らない場合は解体して搬入する、もしくは廃棄するしかありません。

なので、貴重な家具を全て移動できるようにあらかじめ自分の家具の採寸をしておき、オンライン内見の際に搬入経路の確認をしてもらうようにしましょう。希望すれば、マンションの入り口や通路も撮影してくれることもあるので、撮影してもらったら記録として残しておくことで、引っ越し業者に確認してもらう際に役立ったりもします。

設備や日当たりなどの確認事項は事前にまとめておく

オンライン内見をスムーズに進めるためにも、入居希望者はあらかじめ確認しておきたいことはメモとしてまとめておく方がいいです。

意外と重要なことほど、当日になって忘れてしまって、後から聞くのを忘れて後悔することも少なくないので、まとめておくことで漏れなく確認できるようにしておくことが大切になってきます。

また、事前にまとめる作業をすることで、ネットで確認事項を調べておくこともできるので、盲点となっているような質問も準備しておくことができます。特に、コンセントの位置や搬入経路に関する確認は重要だけども意外に忘れやすいのであらかじめまとめておかないと、あとで後悔することになるかもしれません。

オンラインで賃貸契約できるIT重説対応物件とは

オンラインで賃貸契約できるIT重説対応物件とはオンライン内見が終わって入居希望者が物件を決めたら、いよいよ契約に入りますが、この契約手続きも長らくシステム化が難しいとされてきた業務です。

賃貸契約については、重要事項説明(重説)と契約書の捺印取り交わしがあります。

契約書の捺印取り交わしは郵送での対応が可能でしたが、重要事項説明は宅地建物取引士が対面で説明を行なう決まりでした。そのため、どうしても入居希望者に来店してもらう必要があったのです。

ところが、平成29年10月から国土交通省によってIT重説が正式に認められたことで、直接対面することなく重要事項説明を実施できるようになりました。

IT重説とは、テレビ会議などのITツールを活用して行う、賃貸借契約における重要事項説明のことを指します。

事前に重要事項説明書を共有するなど、いくつかの決まりはあるものの、パソコンやスマートフォンの端末を利用して、ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetのような対面と同様に説明や質疑応答が行える双方向性のある環境を用いて、自宅や出先から重要事項説明を受けられるようになりました。

ただし、オンラインであっても説明を行うのは、宅地建物取引士であることが求められます。

なお、オンライン内見サービス対象の物件は、オンラインで賃貸契約を完結させるために、たいていIT重説後に契約書などの書類や鍵の郵送を行っているケースが多々あります。

関連記事:IT重説とは~対応物件普及の背景にあるメリットと課題

新型コロナウイルスにおけるオンライン内見の重要性

新型コロナウイルスにおけるオンライン内見の重要性近年、新型コロナウイルスによる感染拡大はとどまることがなく、飲食店にだけでなく各方面に大きな影響を及ぼしています。それは、対面で営業をするスタイルを基本としてきた不動産業界にとっても同じことが言えます。

そこで、最近注目されてきているのが『オンライン内見』です。オンライン内見を導入して、遠隔で重要事項説明が行える『IT重説』と掛け合わせれば、最初から最後まで直接対面することなく契約まで行うことが可能になります。

もちろん、全て遠隔で契約まで行うと実際に見ていない物件に住む不安もありますが、そういう時は当記事で紹介した『オンライン内見で成功するポイント』を確認して、少しでも理想の物件に住めるように行動を起こしてみてください。

このまま、コロナにより接触機会が減り続けるのか、それとも一転もとの生活スタイルに戻っていくのかは誰にもわかりませんが、コロナをきっかけにオンライン内見の需要が高まるとともに重要性が高まってきていることは事実なので、物件探しにおいてオンライン内見をどうやって上手に利用していくかは今後重要なポイントになってくるでしょう。

まとめ

オンライン内見は、ネット環境と端末さえあればどんな場所でも内見を行うことができる画期的な内見方法です。遠方から転勤・上京する人たちにとっては、簡単に対面で内見できるものではないので、住みたい物件に目星をつけるための手段として有効な手段としても使われます。

ただ、直接赴かないため、臭いなどの感覚的な部分はチェックできません。そういった部分にこだわりを持つ方にとっては少し不便な内見方法ではあります。

とはいえ、オンライン内見自体は便利なものなので、少しでもデメリット部分を補うことでオンライン内見を成功させることが重要です。なので、オンライン内見におけるデメリットを補うために『オンライン内見で成功するためのポイント』をしっかり押さえて、オンライン内見に臨むようにしましょう。

【オンライン内見を成功させるポイント】

  • 通信環境が良好な状態を維持できる環境でオンライン内見を実施する
  • 物件の周辺環境・騒音・臭いなどオンライン内見では伝わらないこともあることを忘れない
  • 入居希望者は事前に聞きたいことをまとめておく
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