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大阪市北区西天満にひっそりと佇む「お料理 山田」は、全9席のカウンターと個室を備えた隠れ家のような日本料理店です。店名の通り店主・山田晃弘氏によるおまかせコースのみを提供し、ランチ・ディナーともに完全予約制です。
開店以来わずか1年でミシュラン一つ星を獲得し、各種ガイドブックにも継続掲載されるなど、関西の食通たちから熱い注目を集める名店をご紹介します。

料理人が紡ぐ、一客一会の日本料理

大阪・西天満の静かな通り沿いに、木の温もりを感じる扉を開けると、凛とした空気が漂います。2022年に初のミシュラン一つ星を獲得して以降、2025年まで4年連続で星を守り続けています。華美な演出よりも、丁寧な手仕事と誠実な一皿で「また訪れたい」と思わせる、静かな存在感を放つ一軒です。
「お料理 山田」が大切にしているのは、一客一会の精神。
一人ひとりのお客様と丁寧に向き合い、その日のための最良の一皿を提供する。そんな想いが、席数を絞った設計や、穏やかな会話が響く店内の雰囲気にも表れています。

店主・山田晃弘氏の歩み

店主の山田晃弘氏は、大阪の老舗割烹「海鮮旬菜 うお佐」を営む家に生まれ、幼少期から料理人の背中を見て育ちました。本格的に料理の道へ進んだ後、心斎橋の「和洋遊膳 中村」で経験を重ね、つづいて北新地の「弧柳」で研鑽を積み、開業前には北新地の「纐纈（こうけつ）」でも腕を磨かれました。
2020年に北新地で独立開業。翌年にはミシュランで星を獲得し、2024年に現在の西天満へ移転。移転後も評価は衰えず、安定した高水準の料理と真摯な姿勢で、多くの食通や料理人たちから支持を集めています。
「最も大切にしているのは、お客様と一生懸命向き合うこと。“また来たい”と思っていただけるような店でありたい。」
―― 山田氏の言葉どおり、職人としての誠実さがすべての基盤にあります。

お料理とおもてなし

ミシュラン公式ガイドでは、「献立に趣向を凝らし、料理に創意を込める」と紹介されています。
伝統を礎としながらも、随所に山田氏ならではの感性が息づいています。

料理は季節ごとに構成が変わるおまかせコースのみ。
春は山菜、夏は鱧や鮎、秋は松茸や銀杏、冬はフグや蟹など、旬の恵みを生かした献立が用意されます。素材を慈しむ姿勢が、最後の一皿まで一貫した満足感を生み出しています。食材は全国各地から厳選され、出汁には天然の昆布と鰹節を使用。気候に合わせて味を微調整するなど、繊細な職人仕事が日々の味を支えています。器には古美術の一点物を多く用い、料理との調和を大切にする姿勢が印象的です。こうした細部へのこだわりが、山田氏の料理に“静かな力強さ”をもたらしています。

美食家たちを魅了する理由

多くの来店者が、「素材の持ち味を丁寧に引き出す一皿の完成度」に感嘆の声を寄せています。
塩加減や出汁の香り、温度のひとつひとつにまで神経が行き届き、全体を通して一貫した調和が感じられると評価されています。
また、店主やスタッフの誠実で穏やかな接客も印象的です。
カウンターでは、料理の手仕事を間近に感じられる臨場感と、心地よい距離感の会話が、訪れる人々に安らぎをもたらします。
記念日や会食、接待などの特別な場に選ぶ方も多く、「安心して大切な時間を任せられる」「季節ごとに訪れたくなる」といった声が寄せられています。一度の訪問で終わらず、“再び足を運びたくなる店”として、静かに確かな支持を集めています。

静けさの中にある豊かさ

その言葉が、今の「お料理 山田」を最もよく表しているのかもしれません。技巧を競うのではなく、素材と真摯に向き合い、客と真剣に向き合う。その積み重ねが、一つ星という評価と多くの支持につながっています。静かに灯るこの一軒は、華やかさではなく「心に残る余韻」で人を惹きつける場所になるでしょう。