2020
09.30
Withコロナ時代のこれからの賃貸管理

Withコロナ時代のこれからの賃貸管理

不動産管理・経営

2020年より、世界中で感染の猛威をふるい続けている新型コロナウイルスにより、賃貸業界でも一時逆風が吹き荒れました。

本記事では、新型コロナウイルスによって賃貸業界にどのようなことが起こっているのか、その変化にどう対応していくべきなのかを解説します。

関連記事:新型コロナでの不動産業界への影響|短期と長期のリスク

賃貸借契約にコロナが与えた影響

賃貸借契約にコロナが与えた影響

新型コロナウイルスが賃貸借契約に与えた影響として主なものは、以下になります。

  • 内覧数の減少
  • 来店数の減少
  • 入居キャンセルの発生
  • 入居者対応の鈍化
  • オーナー対応の鈍化

上記のように、新型コロナウイルスによる影響はいくつかありますが、まず前提として賃貸借契約のほとんどが対面契約で行われていることです。そのため、感染拡大防止のための外出自粛により影響を受けてしまっています。

内覧数の減少

そもそも内覧は、引っ越しの予定があるからこそ必要が出てくるものです。しかし、新型コロナウイルスの感染リスクが高まっている現状では、引っ越しをしようという気持ちになれない人が多いのではないでしょうか。

心理的な面だけではなく、物理的な面でも内覧が減少する要因が増えています。企業においては転勤が延期されたり、大学では授業のオンライン化などにより、社会人や新入生が引っ越しを取りやめるからです。

VRのクラウドソフト「スペースリー」を運営する株式会社スペースリーが9月7日に発表したデーターによると、賃貸の家探しをする過程で、オンラインで相談を済ませたいと回答した人は9人に1人(11.6%)と低くとどまっています。
このように、現地に足を運んで家を探すのが一般的であるといえるため、活動自粛を必要とするコロナ禍の影響を受けてしまっているといえます。

参考資料:VRクラウドのスペースリー「賃貸お部屋探し全国消費者調査レポート」発表

来店数の減少

ある不動産仲介業者の方に聞いた話によると、例年3月は来店数が最も増える時期であるものの、今年は約半数ほどにまで落ち込んだとのことでした。とくに、緊急事態宣言が発表されてからは、街中を歩いていて不動産仲介会社の窓に貼ってある図面をみて、いい部屋を見つけたら中に入ってみる来店者の数も少なくなったようです。本当に緊急で引っ越しが必要な場合を除いては、ほとんど来店がない状況が続いたという話がありました。

一方で、緊急事態宣言が明けた6月以降には、3月に引っ越しができなかった層が動き出したことや、在宅勤務が続くなかで仕事部屋を増やしたいニーズが高まったこともあり、来店数は例年と同水準にまで戻ってきているようです。

入居キャンセルの発生

例年であれば、緊急事態宣言が発令された4月から5月は、新学期の開始や新しい職場への出勤などと重なる時期でもありました。企業では転勤の時期を見送ったり、大学もオンライン授業になったりしたことから、一度契約した物件の入居のキャンセルも発生したと聞いています。
たとえば、物件を借りる予定で契約まで進めていても、転勤の予定が急遽取り下げられ、申し込みをキャンセルせざるを得なくなったケースなどがあるのです。

ほかにも、大学がオンライン授業を導入したことで大学に通学する必要がなくなり、都内の大学生が賃貸で借りた家を残して地方の実家に帰る例も見られます。また、学校がいつから再開するかの目処が立たないため、解約することもできずに家賃を支払い続けているケースもあるそうです。
東京の家賃を支払うために、地元でアルバイトをはじめたという人もいました。

不動産仲介業者の方の話では、いつもは空室が出ない高級マンションにも空き部屋が出てきたという情報もありました。セカンドハウスとして借りられていた物件も解約が進んでいるようです。

入居者対応の鈍化

内覧したい物件の鍵を手配するときに、不動産仲介業者ではなく不動産管理会社が鍵をもっているケースもあります。その管理会社の営業時間が短縮されて連絡がつかなくなることで、入居者への対応がさらに遅くなってしまったこともありました。

すでに入居済みの物件も、緊急時に対応できる業者の数が減ったため、以下のようなトラブルが生じても対応されずに、さらなるクレームにつながってしまったこともあったようです。

  • ゴミ置き場にゴミがあふれてしまった
  • テナントのエアコンが壊れた
  • トイレが詰まった
  • 家の鍵をなくした

オーナー対応の鈍化

賃貸借契約を締結する前には、一般的に大家の了承が必要です。申し込みをして、物件を押さえてから契約するまでに、大家が審査をしているのです。その大家が普段の住まいを離れていたり、海外から帰国できずに足止めされていたりすることで、審査自体が遅れるケースもありました。

ほかにも、施工業者の新型コロナウイルス対策の方針で、オーナーが依頼していたリフォームが突如中止されたことで、予定していた募集を延期する事態が生じました。管理会社との都合がつかず、賃貸の募集が遅れてしまった話もあります。

また、オリンピックを見据えて民泊や旅館業をはじめていたオーナーたちも、突然のオリンピックの延長や海外からの渡航制限が続くことで、次の動きを読みづらく、二の足を踏んでいる状況でしょう。

1部屋に複数人を入居させるルームシェアのオーナーたちも、退去者が出ても新たな募集をせずに、人数を減らすことで密を避けて様子を見ていると耳にします。

関連記事:不動産テックの活用で経費削減を図ろう!導入すべき理由も解説

Withコロナ時代に求められる賃貸管理業務

Withコロナ時代に求められる賃貸管理業務

前述したようなトラブルをなるべく避けるためにも、賃貸管理業務を「Withコロナ」に適した形で進化させていく必要があります。具体的には、重要事項説明のIT化、これまで対面での実施が中心であった契約や見学、セミナーなどのオンライン化があります。

重要事項説明のIT化

IT重説とは、テレビ会議などのITを活用して行う、賃貸借契約における重要事項説明のことを指します。この契約締結をオンラインで行うIT重説は、コロナ禍の現状において有効な手段と考えられています。

従来は、宅地建物取引士自らが対面で説明を行わなければならないことになっていたため、借主が仲介業者のオフィスなどに足を運ぶ必要がありました。
しかし、2017年10月1日から運用を開始した本制度によって、パソコンやテレビなどを利用して、対面と同様に説明や質疑応答が行える双方向性のある環境であれば、自宅などにいながら重要事項説明を受けられるようになりました。

ただし、IT重説を行えるのは賃貸借契約に関する取引に限定されています。対面の場合と同様に、宅地建物取引士が賃借人に対して重要事項説明書を事前に交付することが必要です。

関連記事:不動産賃貸経営の電子契約について

VRを使った分譲地・物件のライブ配信

物件の見学についても、VRやパノラマビューイングなどのITの技術が活用されはじめています。たとえば、不動産情報を多く取り扱うポータルサイトでも、室内を360°見渡すことができるパノラマ機能が導入されています。
実際に現地に足を運ばなくても、よりリアルに臨場感をもって見学することができ、いつでも数多くの物件を見学することができるのです。事前にオンライン上で見学しておくことで、「実際に見学に行ったのにイメージと全然違った」というリスクを減らすことができるといえます。

また、賃貸物件だけではなく、分譲マンションや戸建て住宅についても、YouTubeの動画機能やInstagramのライブ機能を用いたライブ配信を行っている業者もいます。これらはSNSなどのアカウントをフォローするだけで、気軽に見学することができます。

オンライン上で視聴するのであれば、しつこい接客をされることもないため、自分のペースで見学できるメリットもあります。
気になる物件の配信が行われるか、チェックしてみてはいかがでしょうか。もちろん、スマートフォンからでも視聴できますが、データーの通信料にはご注意ください。

オンラインセミナー・相談会の実施

オンラインによる大家や不動産管理会社に向けたセミナーや相談会も、数多く開催されています。やはり、「withコロナ」時代の賃貸管理について、不安を抱いている大家や不動産管理会社も多いのでしょう。
とくに、「コロナ禍」での入居者ニーズの変化や、「家賃支援給付金」などの国の支援策、コロナ禍で増加するトラブルへの対応策などに関するテーマが増えてきています。

また、不動産投資に関するセミナーや相談会なども、オンライン化され活況を呈しています。これまでは実際にセミナー会場まで足を運ばなければ聞けなかった話が、オンラインで参加することで気軽に受講できるようになったことが、人気を集めている大きな理由です。
最近では、新型コロナウイルスの影響により勤務先の企業の業績が不安定になったことにより、新たに不動産投資をはじめたい人が増えているそうです。

しかし、オンライン上のセミナーや相談会への参加の動きが活発になってきている一方で、オンライン化の行動に続いていったり契約に至っていたりするケースは、まだ増えていないのが現状です。まだオンライン上だけでは完結できないことが、不動産業界には数多くあるといえます。

まとめ

誰もが予想できなかった新型コロナウイルスのパンデミック。しかし、これにより「Withコロナ」時代の新たな行動様式が次々と生まれており、これは賃貸管理についても例外ではありません。これまでリアルでの動きに頼ってきた不動産業界でも、今後「オンライン化」の波が加速し、より効率化が進んでいくものと思われます。

記事を書いた人

弦本卓也
大学卒業後、2011年に大手不動産会社に入社し現在まで不動産メディアづくりや組織づくりに従事。不動産に興味を持ち個人でも戸建てや区分マンション、商業ビルなどの売買を経験。会社員を続ける傍ら、学生時代に起業した会社とあわせて現在は株式会社を2社経営。投資家として若手実業家の支援なども手がけている。


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