2020
10.15

【アンケート調査】不動産会社におけるリモートワークの現状

アンケート記事

不動産テックとは、「不動産」と「テクノロジー」を掛け合わせた造語であり、不動産ビジネスにおけるITの活用を目指す取り組みを指します。

現在、不動産業界の生産性やITリテラシーの低さが問題となっています。そのため、昨今必要性が高まっているリモートワークの推進も後れています。

そこで今回は不動産管理会におけるリモートワークの実施者の口コミをもとに不動産テックを用いたリモートワークの推進ついて考察を加えました。

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不動産会社におけるリモートワークの現状

不動産会社におけるリモートワークの現状

不動産会社のリモートワークの導入率は他の業種と比べ低いです。その理由は不動産業界特有の紙による資料管理や対面接客が不可避なためです。しかし、今般の緊急課題であるリモートワークを実現するために考えるべき課題となっています。

そのため、不動産会社はリモートワークを実現するためにどのようなフローをたどれば良いか。この問いに答えるためにはまず業界の垣根を超えた企業全体のリモートワークの現状を考えます。

総務省によるデータによると、2020年の企業のリモートワーク導入率は20.2%でした。また、リモートワークの導入目的には、「業務の効率性(生産性)の向上」「勤務者のワーク・ライフ・バランスの向上」「勤務者の移動時間の短縮・混雑回避」など勤労者にとってのメリットとなる回答が半数近くありました。

さらに、リモートワークの効果として「効果があった」とする回答は87.2%に上り、リモートワークの実施者にとって効果の実感し、またリモートワークを好意的に受け止めていることがわかります。

今後不動産会社がリモートワークを実現するために必要なプロセスは、先述した紙による資料管理や対面接客といった不動産業界特有の業務を早急に改善することです。

リモートワークで得られた効果ランキング

リモートワークで得られた効果の上位5つは以下の通りです。

  1. ワーク・ライフ・バランスの向上
  2. 業務の効率化
  3. 新型コロナウイルス感染予防
  4. ITスキルの向上
  5. 業務の見直し

リモートワークの導入により、仕事と生活の質の向上や昨今の緊急課題である新型コロナウイルスの感染防止、リモートワーカーの能力向上といったさまざまな観点で効果を発揮していることがわかります。

第1位:ワーク・ライフ・バランスの向上

リモートワークにより時間や場所の制約を受けずに仕事ができ、自己決定できる範囲が広がります。また、通勤時間がなくなることにより肉体的疲労の軽減や精神的なバランスを保つことができます。

  • 通勤の負担(時間、疲労など)が無くなって身体が楽だった
  • 移動時間の無駄がなくなった
  • 通勤負担を軽減できた
  • 好きなタイミングで精神的に落ち着いて仕事ができた

ワーク・ライフ・バランスとは仕事と私生活の調和を目指すという考え方です。私生活にゆとりをもつことにより、仕事にも好影響をもたらす効果が期待できます。

第2位:業務の効率化

業務効率化とは、業務に潜むムダを省くことにより業務にかかるリソースを解放し、時間やコストの削減をする取組みです。不動産管理会社におけるリモートワークでも業務効率化を図ることが仕事の質の向上につながったことがわかります。

  • テレビ電話の活用で遠隔地の取引先といつでも会議や打ち合わせが効率的にできるようになった。
  • 不要な紙資源の削減ができた。
  • 計画的に業務を進めることができ、時間を有効に使えた。

また、オフィス勤務時は予定外の会議や周囲との会話などで業務の中断を余儀なくされ、集中力が途切れることもありました。しかし、リモートワークではそのような中断はなく、集中力が高まり業務効率につながったというケースもありました。

第3位:新型コロナウイルス感染予防

新型コロナウイルス感染防止に対する意識が高まりつつあることが、背景にあるとうかがえます。リモートワークにおける新型コロナウイルス感染予防の行動に関する調査では意識的に外出の頻度を抑えなど、いわゆる「三つの蜜」(密集・密閉・密接)を回避する行動を心がける人が大多数です。

また、「在宅勤務に関する意識調査」では、「ウイルスの感染リスクを妨げる」と回答した人が全体の半数を超えることからもリモートワークによる新型コロナウイルス感染防止に効果があることがわかります。

新型コロナウイルス感染のリスクを回避するための行動として、リモートワークが一役買っていることがわかります。

  • 新型コロナウイルスの感染リスクの低下につながった。
  • リモートワークで新型コロナウイルス感染予防の効果があった。

そもそもリモートワークをする目的が新型コロナ感染拡大の防止であるという意識が強いのでしょう。

第4位:ITスキルの向上 

リモートワークではITスキルの活用による効率的な作業が求められます。そのため、リモートワークはスキルや能力の底上げをする機会になったことが考えられます。

  • 業務に必要なパソコンの使い方を色々と勉強した。
  • 自主的なパソコンの多角的利用により、社員の顧客に対するコミュニケーションスキルがアップした。

リモートワークはオフォス勤務とは異なり、指示を仰ぐ上司や相談できる同僚、部下が目の前にいないため、あらゆることを自ら問題解決し、計画的に仕事を進める必要があります。実際にリモートワークをきっかけにスキルや能力の向上につながったと考えられます。

第5位:業務の見直し

オフォスで行っていた業務の見直しにつながったことが考えられます。オフィスでは仕事環境や業務の進め方などすべて構築済の中でやれましたが、リモートワークでは一から自分で作り上げなくてはいけません。そのため、効率よく成果を上げるために自発的に業務の見直しや改善をする機会につながったと考えられます。

  • 出社しなくても出来ることと出来ないことの確認ができた
  • ゆっくりいろいろと考えなおすことができた

日々の業務の見直しにより生産性を向上させることにもつながります。

リモートワークで浮き彫りになった課題ランキング

リモートワークで浮き彫りになった課題 

リモートワークで浮き彫りになった課題の上位5つは以下の通りです。

  1. 現場業務の対応
  2. コミュニケーション不足
  3. ICT環境の整備
  4. ワークスペースの整備
  5. 情報漏洩のリスク管理

リモートワークにおける課題は、不動産業界の特徴である「対面文化」の対応や人的コミュニケーションの問題、リモートワークにおける作業環境の整備、機密情報の漏洩対策といった業務パフォーマンスの質を左右するものばかりです。

第1位:現場業務の対応 

不動産管理会社は店舗の接客業務や管理物件の現地対応業務など対面で行わざるを得ない環境下にあることが考えられます。

実際に現場業務の必要性を問う声は以下の通りです。

  • 最終的にはフェイスtoフェイスでないと決まらない。
  • 部屋を見学する必要があり、写真では伝え切らない。 そのため、実際に対面をして話をして人柄等を確認したい。
  • 現場に行かないと分からないことが多い。
  • 顧客対応、物件管理は現地や実店舗でしか行えない。

現状、不動産業のリモートワークの導入率は他業種と比べて低いです。リモートワークが業界全体しにくい原因は、現場業務がどうしても発生してしまう環境にあることが考えられます。

関連記事:不動産賃貸経営の電子契約について

第2位:コミュニケーション不足 

リモートワークはオフォス勤務と違い、対面で会話をする機会がありません。そのため、周囲の状況を察することができず不安に感じることがあります。

実際にコミュニケーション不足を危惧する声は以下の通りです。

  • 細かなコミュニケーションの必要性を感じる。
  • 直接会話ができないため、言葉不足となりコミュニケ―ションが取りにくい。
  • 円滑なコミュニケーションが図れないため、部下に細かな指示の伝達がしにくい。
  • 顧客との蜜な連携が図りにくい。
  • 非対面でのコミュニケーションが不慣れなため、慣れるまではやりとりが大変に感じる。

業務上のコミュニケーション不足は情報伝達や共有におけるトラブルの要因となる可能性があります。そのため、コミュニケーションはリモートワークの大きな課題と言えます。

第3位:ICT環境の整備

リモートワークには、ICT(情報通信技術)環境の整備が不可欠です。ICT(情報通信技術)とは、様々な形状のコンピュータを使った情報処理や通信技術の総称です。コンピュータはパソコンだけでなくスマートフォンやスマートスピーカーなどを指します。

ICT環境の整備によりリモートワークでの業務効率は格段に上がります。なぜなら、ICTの活用によりスピーディーに書類や画像を送信ができ、紙の書類の削減にもつながります。また、遠方同士でも情報共有ができるので、時間と手間の省略ができるからです。

実際にICT環境整備の急務を問う声は以下の通りです。

  • 電子署名・印鑑の導入が今後の課題だと認識している。
  • 書類での管理が多すぎる。
  • スピーディーに確実に問題を対処したい。
  • リモートワークでは従来の対面での営業ができない。

また、他業種と違い不動産業界はオフラインの業務が主であるため、リモートワークのできる環境体制には急務であると言えます。

第4位:作業環境の整備

リモートワークをする上で集中力が途切れる環境は悩ましい問題です。特に自宅でリモートワークをする場合、些細な生活音や外からの音が気になってしまいます。そのため、「仕事」と「暮らし」の空間をどうのように共存させるか、またオンとオフの切り替え方を考える必要性を感じていると考えられます。

  • 作業場所の確保が難しく環境音が気になる
  • 集中が途切れて気が緩むことがある

オフィスでは業務を行うための環境が整えられていますが、リモートワークでは自身で作業環境の構築をしなければなりません。作業環境の良し悪しが業務の質に直結するので気を付けたい点です。

第5位:情報漏洩のリスク管理

リモートワークではオフィス環境と違い、セキュリティ保護の点でリスクにさらされやすい状況にあります。不動産管理会社におけるリモートワークでは顧客情報や物件管理情報など決して外部流出が許されない情報があります。そのため、情報漏洩に対するセキュリティ面での不安があると考えられます。

  • 顧客情報を含む情報漏洩の防止が今後の課題である

今後リモートワークの普及により、セキュリティ意識を高めることが求められます。個人で対策しなくてはいけないリモートワーク環境では、より一層のセキュリティへの配慮を考えることが必要になります。

リモートワークへの期待と今後の取り組み

リモートワークへの期待と今後の取り組み

リモートワークは企業にとっても従業員にとってもメリットがあります。企業にとっては経営面のおけるコスト削減や優秀な人材の確保、非常事態における事業の継続、また先進的にテレワークを導入することで企業としてのブランドイメージの向上にもなります。一方、従業員にとってはワーク・ライフ・バランスの実現、業務の生産性向上、自己管理能力の向上が期待できます。

リモートワーク普及率はゆるやかに増加する傾向にあります。今後はさらに広がりを見せ、新たな働き方の一つとなるでしょう。そのため、リモートワーク利用の課題である「会社のルールが整備されていない」、「テレワークの環境が社会的に整備されていない」といった環境面の不安要素を解消することが今後求められます。

また、リモートワークの導入に伴い、従来では問題のなかった仕事でもコンプライアンス上問題になることも想定しなければなりません。

依然、他業種に比べIT化の遅れが指摘される不動産業界です。しかし新型コロナウイルス感染拡大を受け、非対面や非接触型の機運の高まりやチャットツール、Web会議システムなどのITツール導入の広がりを受け、不動産業界もIT技術による業務効率化や労働生産性の向上に注力する傾向があります。

リモートワークの不動産ビジネスにおけるIT化を意味する「不動産テック」によって、リモートワークの可能性はさらに高まりを見せ、新たな働き方の一つになり得るでしょう。そのためにも不動産テック(不動産ビジネスにおけるIT化)の促進は今後の不動産業界の重要課題と言えます。

まとめ

現在、国内全体でリモートワークの機運が高まっています。不動産業界は「対面」を基本としたサービスが主流のため、リモートワークには不向きの業界とされていました。

しかし、不動産テックのニーズに注目が集まっているので、今後はリモートワークの促進も早まるでしょう。生産性やITリテラシーの低さを問われる今、不動産業界における不動産テックの活用は急務だと言えます。

■調査概要
調査方法:インターネットによる調査
調査対象:不動産管理業務を行う男女
調査期間:2020/09/11~2020/09/14
調査エリア:全国
サンプル数:100名

記事を監修した人

多喜裕介

多喜裕介
アパートを中心に13棟88室を経営する不動産賃貸経営者。
地元東証一部上場企業でSE、建設業業務、ビル管理を経て、現在は不動産賃貸経営者として活動を行う。費用対効果とコンプライアンスを重視し、実績と経験に基づいた考察力には定評がある。
座右の銘は「知識・見識・胆識の三識が兼ね備わってはじめて人物の器量となる。」(安岡正篤 氏の言葉)



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