2020
09.30
不動産管理会社の入居者アプリ活用術

不動産管理会社の入居者アプリ活用術

アプリケーション

近年IT化が進むなかで、不動産業界でも重要事項説明の遠隔化など、時代に合わせた対応を求められています。しかし、不動産管理会社の日常業務は、電話連絡や文書の郵送でのやり取りなど、アナログな作業であふれています。

本記事では、アナログ業務を効率化できる、最近人気の「入居者アプリ」についてご紹介します。

入居者アプリとは

入居者アプリとは

「入居者アプリ」とは、スマートフォンなどを用いて管理会社と入居者をつなぐコミュニケーションツールです。
管理会社からの設備点検のお知らせや家賃滞納督促、更新のお知らせなどの一方的な通知だけでなく、入居者側からも修理の依頼や質問などをスムーズにできるメリットもあります。スマートフォンの普及に伴い成長してきている今注目のサービスです。

不動産管理会社が入居者アプリを利用するメリット

不動産管理会社が入居者アプリを利用するメリット

不動産会社が「入居者アプリ」を利用するメリットとして、以下が挙げられます。

  • 入居者への連絡をアプリで行える
  • アプリで設備点検などの通知が行える
  • 修繕時の諸連絡が効率化できる

入居者への連絡をアプリで行える

入居者への連絡をアプリ上で行えるため、何度も電話をかける手間が減ります。以下が、管理会社が入居者へ連絡をする主な場面です。

  • 家賃の督促
  • 未更新手続きの督促
  • 修繕の対応

電話をかけて入居者がすぐに出てくれればよいですが、社会人などは日中電話をしても繋がらず、仕事が終わった夜間に折り返しの電話をもらうことが多くあります。しかし、管理会社は夜間では営業時間外となっていることが多いため、留守番電話になって連絡が取れないケースがよくあるのです。

また、最近は知らない番号からの電話には出てもらえない傾向が強く、管理会社の担当スタッフが電話連絡をしても入居者が電話に出ない事態も生じています。

「入居者アプリ」であれば、一度の連絡で相手に内容が伝わる確率が高まるので、何度も電話をかける手間を減らせます。

アプリで設備点検などの通知が行える 

「入居者アプリ」による入居者へのお知らせは、物件単位や部屋単位での通知、入居者を特定して通知することができます。
たとえば、設備点検・雑排水清掃・工事などのお知らせをアプリ上の掲示板で行えます。そのため、紙で通知を作成して物件の掲示板に貼りに行く、または点検のお知らせを全世帯分印刷して各戸に投函する作業がなくなり、手間やコストの削減につながるのです。
管理会社側は入居者の既読を確認できるので、入居者に読まれているのかがわかります。

修繕時の諸連絡が効率化できる

これまでは、エアコンや給湯器が故障をして修理依頼の連絡が入居者からきても、その情報だけでは動くことができず、対応するために以下のステップが必要でした。

  1. 外出先から戻ってきた担当者が入居者へ再度確認の電話を行う
  2. メーカーや型番、エラー表示、壊れている状況の詳細をヒアリングする
  3. 不動産オーナーに発注承諾を得る
  4. 修理業者に発注依頼をだす

しかし、「入居者アプリ」を導入すれば、入居者に確認すべき箇所の写真を撮影して送ってもらい、画像を共有することができます。そのため、入居者への電話によるヒアリングや担当者の現場確認などの作業が短縮できます。伝達間違いなどによる手間も削減できるのです。

入居者が「入居者アプリ」を利用するメリット

入居者が「入居者アプリ」を利用するメリットとして、以下が挙げられます。

  • 不動産会社への質問がアプリで行える
  • 通知の確認ミスが減る
  • 重要書類をアプリ内で管理できる

不動産会社への質問がアプリで行える

入居者は、チャット形式で不動産会社に質問や依頼ができ、時間を問わず手の空いた時にやり取りができます。そのため、不動産管理会社の営業時間に合わせて電話をかけたり、仕事中で電話に出られず折り返しの電話をしても担当者が不在でつながらないストレスがなくなります。

また、慣れない修繕依頼の説明であっても、スマートフォンで撮影した画像を添付できるため、管理会社に状況や型番などを間違えずに伝えることができるのです。

通知の確認ミスが減る

「入居者アプリ」内の掲示板機能を使い、設備点検や定期清掃などのお知らせを読むことができます。そのため、建物の入り口にある掲示板やポストに投函された通知の確認をしていなかったために、入居者の外出する日が設備点検日や定期清掃日と重なってしまう事態が減ります

消防設備点検や雑排水清掃などは、実施日に在宅か不在かの返事を入居者が管理会社にしなければいけません。しかし、これをアプリ上で返信ができるため、担当者の不在時に連絡をしてしまい、状況を把握していない他のスタッフにたらいまわしの対応をされることも避けられます。

重要書類をアプリ内で管理できる

重要な書類や取扱説明書をアプリ内で管理することができます。

「入居者アプリ」内のファイル管理機能では、以下の重要な契約関係書類や住生活に関する書類を管理会社側がアップしておけば、入居者はいつでも読むことが可能です。

【契約関係書類】

  • 重要事項説明書
  • 賃貸借契約書
  • 入居の手引き

【住生活に関する書類】

  • 管理会社の連絡先
  • 電気・ガス・水道・CATVなどの連絡先
  • ゴミの出し方
  • エアコンなどの取扱説明書

入居時に紙で渡されても、紛失などの理由で読まれないことが多いです。しかし、入居者アプリは困った時に必要な情報をいつどこでも読むことができるので便利です。

不動産オーナーが入居者アプリを利用するメリット

不動産オーナーが入居者アプリを利用するメリット

不動産オーナーが「入居者アプリ」を利用するメリットとして、以下が挙げられます。

  • 修繕・清掃時の報告をアプリで確認できる
  • 不動産の付加価値を高めることができる

修繕・清掃時の報告をアプリで確認できる

電話や書面だと伝わりにくい内容でも、写真や動画にすると伝わりやすく、物件ごとに状況が把握できます。そのため、複数の物件を所有している不動産オーナーにはメリットがより大きいです。
また、月次報告書や建物点検報告書もスピーディーに送ることができます。管理会社から一度送信したファイルは、不動産オーナー側のアプリからいつでも必要な時に確認できます。

不動産の付加価値を高めることができる

アプリの導入に抵抗がある入居者も、一度利用をしてみれば「入居者アプリ」の便利さに多くの魅力を感じるようになるでしょう。そのため、次に転居をする時にも「入居者アプリ」を利用できる管理会社・アプリ導入済の物件から優先的に探してもらえる確率が高くなります。

入居者アプリ導入物件は、周囲の競合物件との差別化が図れるため、空室対策にもなって不動産の付加価値も高まります。

入居者アプリ導入時の注意点

入居者アプリ導入時の注意点

メリットが多い「入居者アプリ」ですが、導入にはいくつかの注意点があります。

【入居者・オーナーがアプリの導入に協力的でないこともある】

スマートフォンの普及率は高いですが、入居者やオーナーがアプリの導入に協力的でなく、アプリを利用したくなかったり、電話やメールでの連絡を希望する人が一定数います。そのため、全員に導入するのは難しいです。

その場合は、アプリのシステムにあるメールやSMSを使い、希望に沿った手段で連絡をする必要があります。また、スマートフォンの所有率が他の年齢層に比べて低い高齢者が多く住んでいる物件での導入は、今現在では難しいでしょう。

【アプリをダウンロードしてもらうまでの案内に手間がかかる】

新規で入居する方には、「入居者アプリ導入物件」として理解してもらったうえでの入居のため、容易に利用してもらえます。しかし、既存の入居者に途中から文書やメール、電話などでアプリ導入のお願いをするのは、非常に手間もかかりますし、なかなか理解をされない場合が多いです。

【アプリの通知をオフにしているとお知らせに気づいてもらえないことがある】

アプリはお知らせが届くと利用者に通知が行きますが、通知機能をオフにされてしまうとお知らせに気づいてもらえないことがあります。アプリのダウンロード時に通知をオンにしておくアナウンスはしておきましょう。

失敗しない入居者アプリ選びのポイント

失敗しない入居者アプリ選びのポイントとして、以下の5つが挙げられます。

  • 入居者への連絡手段が複数ある
  • 管理できる入居者数が多い
  • 不動産向けの機能がある
  • 他システム・ソフトとの連携機能がある
  • セキュリティ対策が万全

入居者への連絡手段が複数ある

入居者アプリ上にお知らせをしたので伝わっているはずだと管理会社の担当者は思っていても、実際には入居者がお知らせを見ていなかったトラブルも出ています。これには、掲示板やメッセージが既読になったか確認できる機能のあるアプリを選ぶ必要があります。ただし、入居者への連絡手段が複数あるアプリを選ぶことも大切です。

SMSやメールが使えれば、連絡内容に応じて、以下のように手段を使い分けることができます。

  • SMSやメール:重要・緊急の内容
  • 掲示板:重要・緊急でないお知らせ

複数の連絡手段を上手く利用すれば、入居者も確認漏れを防ぐことができます。管理会社は何度もアナウンスをする必要がなくなり、時間と手間が省けるのです。

管理できる入居者数が多い

「入居者アプリ」で管理できる入居者数は、管理会社が契約をするプランによって異なります。数百~数千戸を管理するプランから数万戸以上を管理するプランまであり、それぞれ初期費用と月額利用料金が異なります。

現在管理をしている入居者数の規模を確認したうえで、管理できる入居者数が多いアプリを比較して選んでいくとお得です

不動産オーナー向けの機能がある

不動産オーナー向けの機能があると、電話やメールによる連絡、書類の封入、郵送などの手間やコストを削減することができます。不動産オーナー向けアプリの主な機能を以下に挙げます。

  • 月次報告書を送る機能
  • メッセージで一度送ったファイルはアプリ上でいつでも確認できる機能
  • 修繕個所や清掃箇所の報告を写真や動画で送ることができる機能
  • 全不動産オーナーへのお知らせ機能があり、どのオーナーがお知らせを見たかを管理会社側で確認ができる機能

業務効率も上がるため、不動産オーナー向けの機能やアプリの有無は必ず確認をしましょう。

他システム・ソフトとの連携機能がある

他の賃貸管理ソフト・システムとのデータ連携をする機能があるかは必ず確認しましょう。連携をすることによるメリットは、以下になります。

  • 情報の二度打ちや物件情報の照らし合わせ作業が不要になる
  • 入居者に紐づいた入金期限日や明細など支払いに関する情報を一括送信できるため、電話や郵送より早く正確に通知できる
  • 入居者からの問い合わせや契約の更新申込・解約申込情報を賃貸管理ソフトに反映できる
  • 入居者の契約情報やライフラインなど、入居者に重要な情報を賃貸管理ソフトから「入居者アプリ」に反映でき、情報共有がスムーズになる

セキュリティ対策が万全

入居者の個人情報や契約情報など重要なデータを扱うため、セキュリティ対策は万全かを導入前に確認する必要があります。データの保管体制、システムの安定性、通信の暗号化はどうなっているかなどは、最低限確認をしておきましょう。

まとめ

「入居者アプリ」について、管理会社、入居者、不動産オーナーの立場で紹介しました。新しいジャンルのサービスのため、今後多くの会社が新しい機能を開発するでしょう。
「入居者アプリ」の導入はメリットが多いですが、まずは各アプリの機能や使いやすさを比較し、導入には若い入居者が多く住む物件から試験的に始めてみることをおすすめします。

記事を書いた人

小泉寿洋

小泉寿洋
家業の眼鏡店経営、訪問販売会社立ち上げ・運営、司法書士助手等の仕事を経て、1部上場グループに所属する管理会社で賃貸仲介、賃貸管理部門で社員から管理職まで約15年程経験。その後、空室対策・シニアの住まいに関する総合サービス・不動産・リノベーション工事の会社を仲間と起業・経営。現在はフリーランスで賃貸経営や終活に関してのコンサルティングやアドバイスを行う。



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